吉澤康子の一覧
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ユーザーレビュー
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★5 幼い頃に失踪した父を探して…大切な人に胸の内を話したくなる名作 #父から娘への7つのおとぎ話
■はじめに
私には大切な家族がいます。愛すべき妻と中学生、小学生になる息子たち。家族みんなで食べるご飯は美味しく、たまの休日に遊びに行くと日ごろの疲れが吹き飛んでしまいます。ただ最近は私や妻は仕事で
...続きを読む多忙になり、息子たちは友人との時間を大切にし始めるようになってきました。いつの頃か家族の時間が少なくなってきたような気がしています。
本書アマンダ・ブロック『父からの娘への7つの物語』は、そんな私に家族の大切さを再度学ばせてくれた素敵な物語でした。
■あらすじ
建設事務所で非正規雇用として働いているレベッカは、母子家庭で育てられて今や26歳。ただレベッカの父レオは、かつての名俳優でありながらも、現在は行方不明になっていたのです。
ある日レベッカの勤務先にネットメディアの記者エリスが訪れ、レオに取材をしたいと申し出を受けます。ただ母や家族に行方を尋ねてみても、レオに対しては罵倒の言葉しか得られずに孤独な気分になるだけでした。しかし祖母だけはレベッカに寄り添い、父から預かったという一冊の本を手渡すのです。その本は父が娘のためだけに書かれた「おとぎ話」の作品集でした。
■読書感想文
世界中どこにでもいる、悩み多き20代女性が主人公。幼いころに大きな夢を抱きつつも、現実には非正規な雇用形態で働きながら、慎ましく生活しています。母方の家族には愛され、大切な友人もいるけど、残念ながらボーイフレンドには縁がありません。そんな彼女は、これまでの人生ずっと父親のことがなんとなく引っかかって生きてきました。記者エリスとの出会いや祖母からの本をきっかけに、徐々に父に対しての情熱が膨れ上がってくるのです。
すでに社会に出て、大人の常識や前向きに生きる力を持ち合わせてもいる彼女ではありますが、心の奥底ではいつも繊細な胸の内が揺れ動いています。すべてを受け入れてくれる誰かを待っているようで、生き物としての脆弱さが露骨に伝わってきました。
しかし、そんな彼女に寄り添う家族や友人たちの優しさには、読んでいて心が暖められました。母方の家族がレベッカを守るために、どんなに誠意を尽くしてきたか。そして友人エイミーとの乱雑な会話は、私を青春時代を引き戻してくれる素敵なものでした。さらに記者エリスの友人であるキャムの包容力の高さは、もはや世の中の男子全員が読んでおくべき内容に違いありません。
彼女のボーイフレンドの候補となる記者エリスですが、二人の距離感がなんとも絶妙です。優しく誠実な男ではありますが「心配しないで、すべての責任を負う」と胸を張って言ってくれる関係性ではありません。彼にできないというわけではなく、覚悟というボタンを押す気持ちがあるかだけなのですが、彼はまだ押してくれないのです。レベッカが持つ乙女の心室細動が明々と伝わってきて、胸が張り裂けそうになりました。
本書は父からの「7つのおとぎ話」が物語をけん引してくれます。おとぎ話には、父の人生とともに、人生の優しさや厳しさ、家族や友人の大切さ、勇気や挑戦、社会の怖さや不条理さが描かれています。そのメッセージによって娘は父への想いを膨らませていくのですが、重要なのは単なる娘へのメッセージでは終わらないということです。どんな想いで父が物語を綴ったのか… 既に若くない私ですが、力強い勇気をもらったのでした。
そして物語の終盤、とても涙を流さずに読むことができません。すべての真相が明らかになりますが、なによりレベッカのこの物語に決着がつきます。うす暗い世界で迷い続けてきた彼女が、世界中を敵に回しても味方になってくれる人を感じられた時、さらなる成長と活気のある人生が迎えられたのではないでしょうか。
■さいごに
私はかつて受験に失敗し、就職に失敗し、失恋や友人の怒りを買うなど、いくつもの失敗を経てきました。それでも地を這うような地味な努力を続け、なんとか人の親になることができたのです。自身の失敗から学んだことを家族に伝えていくことで、間違いなく子どもたちは成長すると信じてきました。しかし今回この本を読んで、それは大きな間違いということに気づかされたのです。
家族を愛するということは、子どもたちの成長や幸福に寄与するのではなく、それはすべて自分自身にも帰ってくるということを。
夏休みもあと一週間で終わりです。明日のお休みには、家族でかき氷を食べに行こうと誘ってみようと思いました。
Posted by ブクログ
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本の題名が面白そうで手に取った本だったけれど、ただただ面白かった。
祖母から渡された父からの贈り物の物語から、ぼんやりとした記憶の中でしか覚えていない父を探し始めるお話。
父親との再開とその後の話は読みながら泣いてしまった。
Posted by ブクログ
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真っ黒の艶やかな髪をボブにした美しい女性、オダリー。生真面目な警察署のタイピストのローズの人生は、彼女が現れたことにより変わり始める…。危険な秘密に気がつき始めるも、彼女の魅力と友愛への羨望から逃れられない。
どうしてもこの人に好かれたい、好かれた自分までグレードが上がる気持ち。分かるなあ。
親密
...続きを読むな友情より特別な愛情ってあるのかしら。ただ、肩を寄せてひそひそ話をしたり、頬にキスをされたいだけなの。
Posted by ブクログ
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「夜ふけに読みたい数奇なアイルランドのおとぎ話」の続編。
フィンの物語とおとぎ話でアイルランドの伝説と昔話を楽しもう。
巻頭詩 猫のパングル・バーン
第1部 クウァルの子フィンの物語 第二夜、全3話。
第2部 パングルのおはなしぶくろ、全3話。
第3部 クウァルの子フィンの物語 第三夜、全3話。
モ
...続きを読むノクロのアーサー・ラッカムな挿絵が良い。
物語のふるさとの地図、底本、参考文献有り。
「夜ふけに読みたい数奇なアイルランドのおとぎ話」の続編で、
今回も、猫のパングル・バーンと写字生アイドが、収集した昔話と
伝説を紹介するという内容になっています。
読み聞かせのランクも付加・・・実際は難しいんだけど。
フィンの話に挟まれたおとぎ話は、お姫さま、邪眼、魔女。
聞き手は、ちょっぴり怖いけどドキドキしながら話に没頭し、
語りの終わりに、ほっと息をつく・・・そんな情景が浮かんできます。
フィンの話は騎士道物語的な要素もあり、謎めいた美女、修道士、
対峙する騎士、手助けする妖精、対する妖精王、魔女、
復讐心は忘れない配下であり仲間、忠誠心は素晴らしいけど
フィンに振り回されるフィアナ騎士団の面々。
そして異世界でのハラハラする冒険の数々。
キリスト教へのちょっとの皮肉があったり、
不条理だったりするけど、男性は愚かしいが勇猛であり、女性は強い。
なんとも大らかな神話、おとぎ話を楽しんでしまいました。
また、サトクリフの『黄金の騎士フィン・マックール』も
読んでみたいとも、思いました。
Posted by ブクログ
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元ネタってナウイね、チェシャちゃん。
塩の話、なんか知ってるなと調べたら「影武者 徳川家康」!
<収録話>
あれあれおたすけ
三びきの熊の話
トム・ティット・トット
三枚の羽根
金のまり
ジャックと豆の木
ねこっ皮
三びきの子豚
ノロウェイの黒牛
めんどりペニー
井戸の三つの首
フォックス氏の城
...続きを読むおちびのスコーン
赤ずきんちゃん
妖精王の黒い塔
おばあさんとお化け
イグサのずきん
ロバとテーブルと棍棒
バラの木
Posted by ブクログ
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