父から娘への7つのおとぎ話

父から娘への7つのおとぎ話

小説・文芸
2,750円 (税込)

13pt

イギリス南西部の建築事務所で非正規社員として働くレベッカは、幼いときに父親が家を出ていっていしまい、母親に育てられた。父親のレオには20年近く会っていない。ある日、男性記者エリスが取材目的でレオの行方を尋ねてきた。レオはかつてBBCの子ども番組に出演していた人気俳優だったのだ。エリスはレオが現在どこにいるのか見つけられないという。父親など存在しないかのように暮らしてきたレベッカが母親や親戚に聞いても、「ろくな男じゃない」としか教えてもらえず、生死すらわからない。だが、祖母がこっそり一冊の本を渡してくれる。それは、父親が自分のために書いてくれたらしいおとぎ話の本だった。レベッカはエリスの取材に協力しつつ、本を手がかりに父親を探そうとするが……。〈収集家と水の精〉〈世界の果てへの航海〉〈魔女とスフィンクス〉……7つの奇妙なおとぎ話が収められた本が、知らなかった父親の想いを描き出す。本をこよなく愛する著者が贈る、切なくも心温まる家族の物語。

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父から娘への7つのおとぎ話 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    イギリスの女性が父が書いたおとぎ話を元に行方を追う話。周りが見えず自分勝手すぎるなーと辟易する場面もいくつかあったけれど、自然な流れで最後まで面白かった。

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    2024年06月05日

    Posted by ブクログ

    建築事務所の非正規社員として働くレベッカは、幼い頃に父親が家を出てから、母親に育てられ、もう20年ほど父親と会ってない。

    そんな彼女のもとに、男性記者エリスから何度も連絡があり、父親とは連絡はとっていないのか?どこに住んでいるのか知らないのか?と尋ねられる。

    いつのまにか記憶にもなかった父親のことが、思い出され、自分と母は父親に捨てられていたと信じていたのだが…
    祖母から話を聞こうと、会ったときに手渡されたのは父親からレベッカへの一冊のおとぎ話の本だった。
    そこから父親のことを知りたくなり、記者エリスの取材に協力するという理由で、2人で父親を探す。

    父親のことが、おとぎ話の1話ごとに少しずつ明らかになっていく。
    中盤から記憶の奥底にある父親の姿を追い求める娘の複雑な心境が、胸に迫ってきて切なさややりきれなさを感じてしまう。

    7話の影のない男のおとぎ話を読むと自由でいたいのにできない、身動きできないもどかしさや息苦しさを覚える。


    父親の苦しみを知ることで、会いたさが募るレベッカだが、複雑になるエリスとの関係にも悩まされる。

    ゆるやかに進みながらもおとぎ話を挟んでいることによって、想像が膨らんでしまい、最後まで目が離せなくなる物語だった。

    0
    2023年11月15日

    Posted by ブクログ

    愛に包まれた家族の物語
    読み終えた今、胸がいっぱいで涙が溢れる
    そしてこれから訪れるであろう、主人公レベッカの未来に思いを馳せる……


    レベッカの幼い頃、父親のレオは姿を消した。
    レオは人気俳優だった。
    それ以来、母親や家族は父親など最初から存在しなかったかのように暮らしている。
    レベッカもそのように暮らしてきた。
    でも心の中から父親が消えたことはない。

    ある日職場に現れたのは、レオについて調べているという記者のエリス。
    これをきっかけにレベッカは父親を探していくのだが…

    捜索の手がかりになるのは、緑色の表紙の古い本。
    父親がレベッカのために書いた「おとぎ話」だ。
    これらの文章に隠されたものとは?
    七つのお話を慎重に読み解きながら父親の足跡を辿り、過去を知っていく。

    レベッカの住むデヴォン州エクセター(イギリス南西部の地方都市)からロンドン、ケント州、エディンバラへと父親探しのロード・ムービーのようでもあるこの物語。
    共に行動するのは記者のエリス。
    二人の距離感も気になるところ。
    Google Earthを見ながら読むのも楽しい。



    とってもとっても素敵なお話でした。
    レベッカは仕事や母親との関係に悩んだり、些細なことに傷ついたりと、ごく普通の26歳。
    そんな気持ちの揺れ動きが丁寧に描かれていて、親近感を持つ。
    そして魅力的な脇役たちが物語を彩るのです。
    それはレベッカの親友・エイミーや、エリスの友人・キャム。
    特にキャムは最高に素敵な男性で、きっとキュンしますよ❥


    この作品は、autumn522akiさんのレビューから手に取りました。
    ありがとうございます!

    0
    2023年11月04日

    Posted by ブクログ

    ★5 幼い頃に失踪した父を探して…大切な人に胸の内を話したくなる名作 #父から娘への7つのおとぎ話

    ■はじめに
    私には大切な家族がいます。愛すべき妻と中学生、小学生になる息子たち。家族みんなで食べるご飯は美味しく、たまの休日に遊びに行くと日ごろの疲れが吹き飛んでしまいます。ただ最近は私や妻は仕事で多忙になり、息子たちは友人との時間を大切にし始めるようになってきました。いつの頃か家族の時間が少なくなってきたような気がしています。

    本書アマンダ・ブロック『父からの娘への7つの物語』は、そんな私に家族の大切さを再度学ばせてくれた素敵な物語でした。

    ■あらすじ
    建設事務所で非正規雇用として働いているレベッカは、母子家庭で育てられて今や26歳。ただレベッカの父レオは、かつての名俳優でありながらも、現在は行方不明になっていたのです。

    ある日レベッカの勤務先にネットメディアの記者エリスが訪れ、レオに取材をしたいと申し出を受けます。ただ母や家族に行方を尋ねてみても、レオに対しては罵倒の言葉しか得られずに孤独な気分になるだけでした。しかし祖母だけはレベッカに寄り添い、父から預かったという一冊の本を手渡すのです。その本は父が娘のためだけに書かれた「おとぎ話」の作品集でした。

    ■読書感想文
    世界中どこにでもいる、悩み多き20代女性が主人公。幼いころに大きな夢を抱きつつも、現実には非正規な雇用形態で働きながら、慎ましく生活しています。母方の家族には愛され、大切な友人もいるけど、残念ながらボーイフレンドには縁がありません。そんな彼女は、これまでの人生ずっと父親のことがなんとなく引っかかって生きてきました。記者エリスとの出会いや祖母からの本をきっかけに、徐々に父に対しての情熱が膨れ上がってくるのです。

    すでに社会に出て、大人の常識や前向きに生きる力を持ち合わせてもいる彼女ではありますが、心の奥底ではいつも繊細な胸の内が揺れ動いています。すべてを受け入れてくれる誰かを待っているようで、生き物としての脆弱さが露骨に伝わってきました。

    しかし、そんな彼女に寄り添う家族や友人たちの優しさには、読んでいて心が暖められました。母方の家族がレベッカを守るために、どんなに誠意を尽くしてきたか。そして友人エイミーとの乱雑な会話は、私を青春時代を引き戻してくれる素敵なものでした。さらに記者エリスの友人であるキャムの包容力の高さは、もはや世の中の男子全員が読んでおくべき内容に違いありません。

    彼女のボーイフレンドの候補となる記者エリスですが、二人の距離感がなんとも絶妙です。優しく誠実な男ではありますが「心配しないで、すべての責任を負う」と胸を張って言ってくれる関係性ではありません。彼にできないというわけではなく、覚悟というボタンを押す気持ちがあるかだけなのですが、彼はまだ押してくれないのです。レベッカが持つ乙女の心室細動が明々と伝わってきて、胸が張り裂けそうになりました。

    本書は父からの「7つのおとぎ話」が物語をけん引してくれます。おとぎ話には、父の人生とともに、人生の優しさや厳しさ、家族や友人の大切さ、勇気や挑戦、社会の怖さや不条理さが描かれています。そのメッセージによって娘は父への想いを膨らませていくのですが、重要なのは単なる娘へのメッセージでは終わらないということです。どんな想いで父が物語を綴ったのか… 既に若くない私ですが、力強い勇気をもらったのでした。

    そして物語の終盤、とても涙を流さずに読むことができません。すべての真相が明らかになりますが、なによりレベッカのこの物語に決着がつきます。うす暗い世界で迷い続けてきた彼女が、世界中を敵に回しても味方になってくれる人を感じられた時、さらなる成長と活気のある人生が迎えられたのではないでしょうか。

    ■さいごに
    私はかつて受験に失敗し、就職に失敗し、失恋や友人の怒りを買うなど、いくつもの失敗を経てきました。それでも地を這うような地味な努力を続け、なんとか人の親になることができたのです。自身の失敗から学んだことを家族に伝えていくことで、間違いなく子どもたちは成長すると信じてきました。しかし今回この本を読んで、それは大きな間違いということに気づかされたのです。

    家族を愛するということは、子どもたちの成長や幸福に寄与するのではなく、それはすべて自分自身にも帰ってくるということを。

    夏休みもあと一週間で終わりです。明日のお休みには、家族でかき氷を食べに行こうと誘ってみようと思いました。

    0
    2023年08月25日

    Posted by ブクログ

    主人公レベッカ(20代後半♀)が、雑誌記者エリス♂の取材をきっかけに、幼い頃に失踪した父親を探す物語。タイトルから勝手にファンタジーものと思い込んでいたので、作中の童話は、主人公の父がメルヘンの国の住人であることの証左だと思って読み進めていたら全然違いました(滝汗)
    レベッカはエリスや自分の家族、やっと会えた父にも、結構な頻度で逆ギレしてるように見え、もっと優しく接してあげればいいのに、と思う自分と作中のレベッカの行動は割と最後まで平行線のままだったので、読み終えた現在も、違和感絶賛育成中です。
    翻訳者あとがきにあった、この作者の他の作品も読んでみたいと思いました。

    追記:翻訳者あとがきには本書出版当時、子育てに追われながら2作目を出すところ、とか書いてあったのを思い出しました。日本での翻訳〜出版にはもう少し時間がかかるかも。とりあえず翻訳者の他の本を見てみようかと思います。

    0
    2026年01月16日

    Posted by ブクログ

    幼い頃から父親を断絶して成長したレベッカが主人公。俳優として名高い父親の取材を申し込んだ記者との接触により独自で父親探しを始めた主人公が行き着く先は?と言うミステリーっぽい作品。結果はどうれあれ、プロセスがとても良かったし、忌むべき父親像を恋うる対象に格上げした雰囲気も良かった。

    0
    2024年03月02日

    Posted by ブクログ

    まず、表紙の可愛らしさ。
    そして、タイトル。
    ノスタルジックで、ほっこりしたストーリーを誰もが想像するのではないでしょうか?
    …結果、全く違いました。
    誰もが知っている有名な子ども番組に出演していた父。娘のレベッカが子どもの頃に番組からは降板し、行方も分からない。
    20年間会っていなかった父をあるきっかけから探すことになるレベッカ。
    なぜ、番組を降板したのか?家族の前から姿を消したのか?父が残した7つのおとぎ話を手がかりに父を探すレベッカ。ミステリー仕立てになっています。
    幼かった頃の記憶の中の父と、周囲の人が語る父の姿の乖離。

    家族がどんな人間であるかをこちらが選ぶことはできない。こちらが選べることは、彼らを自分の人生の一部にするか否か……。

    お正月。
    久しぶりに家族と過ごす日であったりします。
    心の拠り所であると同時に厄介な存在でもある家族。
    人間関係の中で一番複雑な関係なのかもしれません。
    でもかけがえのない存在であることは確か。
    また来年もこうやって過ごせるといいな、と思ったのでした。

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    2024年01月03日

    Posted by ブクログ

    娘にとって父親の存在は母親とは随分違うと思う。自分のことを考えるとやっぱりそう。今、生きていたらどんなことを話していただろう。ラスト、とても良かったと思う。

    0
    2023年06月30日

    Posted by ブクログ

    余韻が心地よい。
    人が死んだりはしないミステリー要素も多い。

    間に挟まるおとぎ話が鍵になるが、帯にある通りそれぞれだけでもおもしろい。
    かなり後味は悪いものもあるが、、

    また、躁鬱などの表現が独特で、初めて触れる類だった。
    影がついてまわる気がして、想像力が飛躍する。
    上記のような精神的な病気の症状がわかりやすい。

    朝井まかてさんの話を続けて読んだ後なので、全体的なロマンティックさが心地良かった。

    父、主人公も父方の祖母も、不遇というか、誰かの悪意によるものというわけではなく大変な状況を味わったのだなぁと。
    普通になるってすごいことなんだというセリフに共感。

    0
    2023年05月10日

    Posted by ブクログ

    家族みんなが辛い思いをしてきたのだと思った。
    アデリーンが治療を受けることが出来ていればと思ったけど、夫が医師だし閉じ込めておけば良くなるとの認識なら無理だし、世間体があるのかもしれない。母の遺伝かわからないけれどレオは病気で相当しんどい経験をしただろう。助言されても治療の必要性を感じないから、周りもどうしようもない。排除するしか。
    みんなが辛い。
    レオが、怪物のようなものに支配されていることに気づかなかったと話しているところがとても心に残った。躁鬱病などではなくとも、自分の思い込みに支配されていると感じることがあるから。

    ハッピーエンドが嬉しかった。物語の続きを想像して長く楽しめるのも良かった。

    0
    2023年04月30日

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