作品一覧

  • 大鴉の啼く冬
    3.7
    1~4巻1,200~1,500円 (税込)
    新年を迎えた凍てつく夜、孤独な老人マグナスを訪れたのは、ふたりの女子高校生だった。ひとりは金髪、もうひとりは黒髪――そう、まるで彼が助けた、傷ついた大鴉の羽根のようにつややかな。だが、四日後の朝、黒髪のキャサリンは死んでいた。大鴉の群れ飛ぶ雪原で、赤いマフラーを喉に食い込ませて……。地元のペレスと本土のテイラー、二人の警部が見いだしたのは、八年前の少女失踪事件との奇妙な相似。誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ、彼女を殺したのか? 試行錯誤の末にペレスが掴んだ悲しき真実とは? 英国本格派の新旗手が、冬のシェトランド島の事件を細密な筆致で描き出す、CWA最優秀長篇賞受賞作。/解説=川出正樹
  • 炎の爪痕
    4.2
    1巻1,500円 (税込)
    ヘレナ・フレミングは憂鬱だった。家族で引っ越してきたシェトランド本島の家の納屋で、まえの持ち主が首吊り自殺を遂げて以来、何者かが敷地に侵入し、謎めいた紙片をあちこちに残していくのだ。たまりかねてジミー・ペレス警部を訪れ相談をした翌日、同じ納屋で今度は女性の首吊り死体が発見される。彼女は島の旧家モンクリーフ一家の子守りだった。ふたつの死に関連はあるのか? ペレスは上司のウィローや部下のサンディとともに捜査に当たる……CWA最優秀長編賞受賞作『大鴉の啼く冬』から始まったペレス警部シリーズ、感慨無量の最終巻。/解説=古山祐樹
  • 地の告発
    4.0
    1巻1,500円 (税込)
    かつて『大鴉の啼く冬』の事件で重要な役割をはたしたマグナス老人が病死した。ペレス警部たちが参列したささやかな葬儀の最中、墓地や近くの農場が巻きこまれる大きな地滑りが発生。被害状況を確認すると、土砂が直撃した空き家から身元不明の女性の遺体が見つかる。ところが検死の結果、女性は地滑りの起きる前に死んでおり、しかもその死は他殺と判明。ペレス警部は被害者の身元割り出しを急ぐが、思わぬ事実が明らかに……。シェトランド諸島を舞台に英国現代本格ミステリの進化と深化を実証しつづける名シリーズの、新たなマイルストーン。/解説=吉野 仁
  • 空の幻像
    4.0
    1巻1,324円 (税込)
    ペレス警部のもとに、アンスト島でエレノアという女性が失踪したとの知らせがはいる。彼女はテレビ番組の制作者で、親友の結婚式への出席と取材を兼ねて、夫や友人たちと島を訪れていた。現地に渡ったペレスが捜索をはじめてまもなく、エレノアは死体で発見される。島に伝わる少女の幽霊――1930年に溺死した“小さなリジー”のことを取材していた彼女は、失踪する前日に「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」と話していたが、そのことと事件との関係は……。シェトランド諸島を舞台に、繊細かつ大胆に織りあげられた、現代英国本格ミステリの優品。/解説=松浦正人
  • 水の葬送
    3.9
    1巻1,324円 (税込)
    シェトランド諸島の地方検察官ローナは、鎧張りの船にのせられ外海へ出ようとしていた他殺死体の第一発見者となる。被害者は地元出身の若い新聞記者で、島にある石油ターミナルがらみの取材を兼ねて帰省したらしい。新任の女性警部リーヴズがサンディ刑事たちとはじめた捜査に、病気休暇中のペレス警部もくわわるものの、本調子にはほど遠い。複雑な人間関係とエネルギー産業問題がかかわる難事件の解決には、ペレスの観察眼と推理力が不可欠なのだが――。〈シェトランド四重奏〉を経て、クリーヴスが到達した現代英国本格ミステリの新たな高み。CWA最優秀長篇賞受賞シリーズ。
  • 炎の爪痕

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    ネタバレ

    シェトランド四重奏に続く、The Four Elements Quartetの完結編。

    そもそもが『哀惜』を読んでみたくて、それまでの作品を読んでおこうと思って改めて辿り始めたシリーズ物。
    なんだかんだで凄く長い時間が掛かってしまったなと思いつつも、その思いを抱いたのが2023年6月かと思い返すと、あちらこちらに手を伸ばしがちな自分的にはそれでも案外短期間に読み進めたなと感慨深し。

    とにかくこの著者の描き出す空気感が好き。
    正直、ミステリとしての意外性だったり新奇性というのは全くない。
    むしろしっとりと淡々と。
    犯人は誰!?というリーダビリティもあるようでないようで。
    真犯人はいつも思って

    0
    2024年09月08日
  • 水の葬送

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    ネタバレ

    衝撃のシェトランド四重奏終幕を経て、新たなるシーズンの幕開け。

    すっかり心ここにあらずのジミー・ペレスは、まぁそうだよねといったところだが、そのエース不在を補おうと奮闘するサンディの頑張りにエールを送りたい。
    何かと自信がなかったり、びくびくしてはいるものの何とか一人前になろうともがく姿がいじらしい。

    事件は、マリーナに浮遊していた船上の死体と、次いで起こる第二の殺人事件の犯人探し。
    ある日の夜、地方検察官の自宅から見えるマリーナに一艘の船が浮かんでいるところが見えた。
    検察官はボートチームに所属し、自身のボートもマリーナに係留されており、またボートの腕にも覚えがあったため、自ら操舵し浮遊

    0
    2023年11月19日
  • 炎の爪痕

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    2007年発行の「大鴉の啼く冬」に始まった「シェトランド四重奏(カルテット)」から続いた「ペレス警部シリーズ」、こちらも4作目で完結です。

    英国最北端(つまりスコットランド最北端)のシェトランド諸島。
    荒涼とした景色が美しいが、冬は厳しく、開発もされているが、新しく住む人はそう多くはない。
    イングランドから越してきた一家の納屋で、前の住人が首を吊ってしまった。
    それ以来、何者かが敷地に侵入して、謎めいた書きつけを残していく。
    さらに、近所のお邸で子守りをしている若い女性エマが遺体で発見された。こちらは自殺とは思い難い‥
    子守と言っても子供二人はかなり大きく、エマは色々な役割をしていたらしい。

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    2023年09月07日
  • 野兎を悼む春

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    ネタバレ

    シェトランドシリーズ第3巻。
    じわじわと、このシリーズの良さ、アン・クリーヴスの良さがわかるようになってきている、気がする。

    今回は春。
    いつものシェトランド本島ではなく、ペレス刑事の部下のサンディ刑事の故郷、ウォルセイ島が舞台。
    シェトランド本島よりさらに閉塞感が強いウォルセイ島でサンディが祖母の死体を発見する。サンディの従兄弟がウサギ狩りをしていて、誤って殺してしまったらしいが。。。

    終盤まで、この事件が事故なのか、殺人なのか、そこすらわからないまま進む。はっきり言って、非常に地味な話。ただ、相変わらずのペレス刑事の手堅い捜査が面白い。ゆっくりではあるが一歩ずつ、確実に真相に迫る。この

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    2023年07月08日
  • 炎の爪痕

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    ネタバレ

    『シェトランド』シリーズ最終巻。
    相変わらずの切れ者警部、ジミー・ペレス。だけど同時にこのオトコ、ダメダメ男。そこが魅力的なんだけれど。

    シェトランドである程度裕福なふたつの家族。次々と関係者が殺される。

    あんなに美しい諸島なのに人間臭いドロドロとした感情が見え隠れする。
    嫉妬、憎悪、それらがついには人をも殺す。

    今回のテーマは突き詰めて言えば虐待。
    放任主義も言葉を換えればネグレクト。
    負は連鎖するという悲しい親子関係。
    国、民族など関係なくそういったモノはある。

    0
    2023年03月30日

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