あらすじ
新年を迎えた凍てつく夜、孤独な老人マグナスを訪れたのは、ふたりの女子高校生だった。ひとりは金髪、もうひとりは黒髪――そう、まるで彼が助けた、傷ついた大鴉の羽根のようにつややかな。だが、四日後の朝、黒髪のキャサリンは死んでいた。大鴉の群れ飛ぶ雪原で、赤いマフラーを喉に食い込ませて……。地元のペレスと本土のテイラー、二人の警部が見いだしたのは、八年前の少女失踪事件との奇妙な相似。誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ、彼女を殺したのか? 試行錯誤の末にペレスが掴んだ悲しき真実とは? 英国本格派の新旗手が、冬のシェトランド島の事件を細密な筆致で描き出す、CWA最優秀長篇賞受賞作。/解説=川出正樹
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シェトランド四重奏というシリーズがあるということも、女性作家ということも何も知らずただ寒い内容~という先入観だけだったけれど、読みやすくて、登場人物の内面的なことまで詳しく描かれていて思いがけなく丁寧に読み込んでしまった。
シェトランド諸島の美しい風景にまた出逢いたい。このシリーズもリストに加えてゆこう。
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大晦日の夜に老人マグナスを訪ねた少女キャサリン・ロスとサリー・ヘンリー。数日後パーティーで朝帰りしたキャサリンがマグナスの家に招かれた翌日絞殺体で発見される。8年前に失踪した少女カトリオナ事件との関係を疑われていたマグナス。ベレス警部とテイラー警部の捜査。死体の発見者フラン・ハンターの元夫ダンカンが開いていたパーティー。カトリオナの遺体の発見。カトリオナの殺害容疑で逮捕されたマグナス。サリーがベビーシッターをしていたキャリーの失踪。キャサリンが撮影しようとしていた映画。大晦日の夜にキャサリンたちを送った実業家イズビスターの息子ロバート。ロバートとキャサリン、サリーの関係。キャサリンが撮影したビデオ。
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スコットランドから北にフェリーで14時間の最果ての島で起こる事件
いきなりズンと重苦しく物語は始まる
初めは、もしかしたら単純な事件?とおもわされたが、次々に容疑者が浮かび上がり、混沌とそして長く続く
そして、むくわれない結末
違うんだけど、グリーンマイルと言う映画を思い浮かべていた
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イギリスのミステリーが大好物だった。好きだったよな、という感想だけでもう一度読んで愕然。なんと、犯人を覚えてなくて、夢中になって読み上げた。やっぱり面白かった。このシリーズ、もう一度読み返してみよう。
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ペレス警部シリーズ一作目。雪原で黒髪の少女の絞殺遺体が発見される。シェトランド島の自然と、濃密な人間関係が描かれる。ペレス警部のじっくりとした捜査のペースで物語が進むが、後半は一気読みしてしまう展開である。怪しげな人物が続々登場するので、犯人探しも楽しい。
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北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のこと。このジャンルでは、アイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。本書もそんな北欧ミステリです。
舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間くらいの海洋に位置するシェットランドの孤島。この地で大晦日の夜、長年の間家に閉じこもる老人を2人の女子高生が訪問するところから物語は始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されました。シェトランドでは数年前にも別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当然今回の殺人でも皆から疑われます。噂やゴシップで非難されることとなったマグナス。状況証拠に基づいてマグナスを逮捕した島の警部のジミー・ペレスですが、彼は別の未知の殺人者を示す手がかりを見つけ、誰もが行きたがらないシェットランド諸島の過去に深く迫る捜査の迷路に入っていくというのがストーリーのあらすじです。プロットの中には様々な紆余曲折が盛り込まれており、最後まで犯人はなかなか本性を現しません。
そのせいか、最初の内はローカルな人間関係の事情の説明が主で、とにかくまともにストーリが動き出すのがかなり後の方になるため、読む人を選びそうな感じの一冊です。
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イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『大鴉の啼く冬(原題:Raven Black)』を読みました。
「P・G・ウッドハウス」、「セバスチャン・フォークス」の作品に続き、イギリス作家の作品です。
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【CWA最優秀長編賞受賞作】
新年を迎えたシェトランド島。
孤独な老人「マグナス」を深夜に訪れた黒髪の少女「キャサリン」は、4日後の朝、大鴉の舞い飛ぶ雪原で死んでいた。
真っ赤なマフラーで首を絞められて。
住人の誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ彼女を殺したのか?
8年前の少女失踪事件との奇妙な共通項とは?
「ペレス警部」の前に浮かびあがる、悲しき真実。
現代英国本格派の旗手が、緻密な伏線と大胆なトリックで読者に挑戦する!
解説=「川出正樹」
*第3位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家・評論家部門
*第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
*第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
*第6位『週刊文春』「2007ミステリーベスト10」/海外部門
*第6位『2008 本格ミステリ・ベスト10』/海外ランキング
*第8位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
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ロンドンから北へ遥か960キロメートル… イングランド本島とノルウェーを橋渡しするかのように、北海の北辺に浮かぶ島々――シェットランド諸島、、、
そこを舞台とした「ジミー・ペレス警部」シリーズの第1作目… 2006年(平成18年)に発表された作品で、最初の4作品は四季がテーマ(冬→夏→春→秋の順)となっており<シェットランド四重奏(カルテット)>とも名付けられているようですね。
2006年度(平成18年)CWA(英国作家協会)最優秀長編賞受賞作で、冬のシェトランド島を舞台に、厳しい自然環境の中で不吉な大鴉を象徴的に配して、村の因習や余所者を巡る人間関係を丹念な筆致で描き上げた重厚な傑作に仕上がっています… 絶妙な舞台設定と計算されつくした視点採用が両輪となり、読む者の心をとらえて離さない、謎解きと人生のドラマが融合した味わい深い、そして、オーソドックスなミステリで、しっかり愉しませてもらえました。
凍てつく元日の夜、パーティー帰りの二人の女子高生「キャサリン・ロス」と「サリー・ヘンリー」が、母親に死に別れ独り暮らしの老人「マグナス・テイト」を訪ねる… 「マグナス」は知的障害者で、数日後町へ出掛けたバスの帰りに偶然「キャサリン」と出遭い、再び家に招く、、、
翌朝、ロンドンからシェトランドへ移り住んできたシングル・マザーの画家「フラン・ハンター」は、娘の「キャシー」を学校に送る途中、雪原で無残な死体と化した「キャサリン」を発見する… 彼女は赤いマフラーで絞め殺され、打ち捨てられていた。
地元のシェトランド署の警部「ジミー・ペレス」は捜査を開始し、偏見を捨てなければと思いつつも、8年前に起こった少女失踪事件の時も疑われた老人「マグナス」に疑惑の目を向ける… 島外から応援に来たインヴァネス署の警部「ロイ・テイラー」と協力して捜査に当る「ペレス警部」が決め手を欠く内に、8年前に失踪した少女「カトリオナ・ブルース」の遺体が泥炭の中から、傷んでいない状態で発見される。
少女の遺体を発見したのは、またもや「フラン」だった… やがて、「キャサリン」がシェトランドの人々を題材に制作中だった映画が消えていることが判明し、事件と何らかの関わりがあると思われたが、その謎の解明を待たず、「カトリオナ」が行方不明になる前に髪を結わえていたリボンを持っていたことが決め手となり「マグナス」は逮捕される、、、
事件は解決したかに見えたが、村の祭り〈アップ・ヘリー・アー〉の夜に新たに少女が姿を消す… 行方が分からなくなったのは、「フラン」の娘「キャシー」だった。
同一犯の犯罪なのか!? そうであれば8年前の犯行は「マグナス」の手によるものではないのか!? 「ペレス警部」は「テイラー警部」の協力を得ながら衝撃の事実を抉り出す。
本作品の最大の特質は、四人の何処かに悩みを抱える登場人物… 母の過去の思い出に捕えられる老人「マグナス」、殺された「キャサリン」の親友で学校と恋に悩む「サリー」、富豪と結婚しながら夫の浮気の為に離婚して一人娘を育てる「フラン」、親の暮らす島の農業を継ごうか迷っている「ペレス警部」のそれぞれの視点で交互に語られている点ですかね、、、
「ペレス警部」は粘り強い捜査で、村のあらゆる人間関係を解きほぐしますが推理力で解決するには至らず、結局決め手となったのは「マグナス」への尋問・証言でした… まだ少女とはいえ、女性間の嫉妬は怖いですねぇ。
予想し難い結末でしたが、その分だけ愉しめました… 面白かったです。
以下、主な登場人物です。
「キャサリン・ロス」
高校生
「ユアン・ロス」
キャサリンの父。高校の英語教師
「サリー・ヘンリー」
高校生。キャサリンの友人
「アレックス・ヘンリー」
サリーの父。自然保護係官
「マーガレット・ヘンリー」
サリーの母。小学校の教師
「マイクル・イズビスター」
実業家
「シーリア・イズビスター」
マイクルの妻
「ロバート・イズビスター」
マイクルの息子
「ダンカン・ハンター」
富豪
「フラン・ハンター」
画家。ダンカンの元妻
「キャシー・ハンター」
フランの娘
「マグナス・テイト」
知的障害のある老人
「メアリー・テイト」
マグナスの母。故人
「アグネス・テイト」
マグナスの妹。故人
「デヴィッド・スコット」
高校の英語教師
「カトリオナ・ブルース」
八年前に失踪した少女
「ケネス・ブルース」
カトリオナの父
「サンドラ・ブルース」
カトリオナの母
「ブライアン・ブルース」
カトリオナの弟
「ジミー・ペレス」
シェトランド署の警部
「モラグ」
シェトランド署の巡査
「サンディ・ウィルソン」
シェトランド署の巡査
「ロイ・テイラー」
インヴァネス署の警部
「ジェーン・メルサム」
インヴァネス署の犯行現場検査官
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アン・クリーヴスのシェトランドシリーズ(カルテット)第1巻。
全8冊のシリーズがとうとう完結したとのことで。
15年ぶりの再読(奥付見て、購入してからそんなに経つかと愕然)。
女の子が殺された。過去にも行方不明になった女の子がいる。現場近くに怪しい男が住んでいる。
事件自体はシンプルで、大掛かりなトリックはない。小さなコミュニティのシェトランド諸島で、誰が何のために殺したか。4人の視点から語られる。
終盤近くになり、殺された女の子の行動が明らかにされる。そこからの展開は早い。
シェトランド諸島の有名な祭りアップ・ヘリー・アーの最中、容疑者と思われる登場人物が順番に姿を現す場面は圧巻。最後の最後まで犯人が分からず、フーダニットを楽しませてもらった。
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シェトランドについては犬しかイメージがなかったが、木も生えない寒い土地で、イギリスからもノルウェーからも14時間も掛かる場所だとは思っていなかった。天然のクローズドサークルだが、謎解きのミステリではなかった。狭い世界に暮らす人間模様をミステリ仕立てで表現したものといった印象。
手掛かりらしい手掛かりは与えられないので、最後まで犯人は分からなかったが、胸に何かが残る作品だった。
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イギリス最北端にあるシェトランド諸島を舞台に、それぞれの人生でこの諸島と何らかの関係を持ち続ける人々の間で発生する事件。ある女学生が死体で発見され、8年前に発生した少女失踪事件(その後死体で発見される)が想起されるなか、両方の事件の容疑者として知的障害のある老人が逮捕される。
事件の謎がクリアに解き明かされないなか、新たに少女失踪事件が発生する。犯人は誰だ?第三の連続事件か?と謎を膨らませて最終章へと向かう。
派手さはないが、事件の真相へと地道に捜査を進める地元の警部ジミー・ペレス。静かに進行していた犯人探しが、第三の事件発生と同時に急展開する。
犯人として絞り込まれた人物を追い求め、たどり着いたと思った矢先に待ち受ける、どんでん返し。
事件の背景にある人間関係、そこから生まれた犯人の心理、よく考えられた謎解きとして楽しめる。
Posted by ブクログ
ヴェラシリーズの作者だと知り読んでみた。
舞台はスコットランドのさらに北にあるシェットランド諸島。文章からだけでこの土地の寒い厳しい冬を体感しているかのように感じられる。タイトルの「大鴉」は「おおがらす」と読む。
Posted by ブクログ
ネットで見かけて。
シェトランド島。
イギリス、グレートブリテン島の北東部にある、
佐渡島の1.1倍の面積の島が舞台。
新年の雪の中を若い女の子が死体で発見される。
8年前、同じ家に住んでいた少女が失踪しているが、
何か関連があるのだろうか。
正しくはメインランド、本島とだけ呼ばれており、
最もさかえている町、ラーウィックですら、
誰にも知られずおならもできない、と言われるぐらい
こじんまりとした、誰もが顔見知りの社会そのものが、興味深かった。
周りの島の子供たちは、高校になると本島の寄宿舎に入って学校へ行くとか。
島によっては、週末も家に帰れないとか、
ヴァイキングの格好をして練り歩く、ウップ・ヘリアーという祭りとか。
といっても、閉塞感はあまりない。
比較的登場人物たちが、それほど感傷的でも、
それほどヒステリックでもないせいだろう。
どちらかというと、内省的。
意外なことに、二つの事件が同一犯でなかったのも、
陰惨さを軽減できたのかもしれない。
読み終わった後に、火の祭り、ウップ・ヘリアーを調べてみて、
ちょっとがっかりした。
なんだろう、コスプレしているだけにしか見えないというか。
日本にも時代祭、という似たようなお祭りがあるが、
どうも「祭り」には思えない。
私にとっては、自分が何をやっているのか意味が分かるようなお祭りは
「祭り」ではないようだ。
なぜ、大木の柱にまたがって急な坂を降りるのか。
なぜ、寒い中、裸で押し合いへし合いするのか。
なぜ、山盛りのご飯を食べるか。
起源や、理由や意味がわからないところに「祭り」はある気がする。
Posted by ブクログ
なんでも日本のミステリ界では数年来「北欧ミステリ」と言うのが人気のジャンルのようですね。北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のことを言います。最近だとアイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。
私たちが北欧と聞くと、福祉が充実しているとか子供の教育では世界でも定評があるだとかを想像します。しかし実際のところは、高福祉の代償として現役世代へ非常に重い税負担が強いられていたり、移民問題が重くのしかかり移民への排斥が問題視されているといった負の側面も少なくありません。豊かな自然や高福祉などの明るい部分とともに、それら負の側面も併せ持っているところに北欧ミステリの人気の秘密があると言えそうです。
そんな北欧を舞台とした本作の舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間地点くらいの海洋に位置する孤島です。孤島が舞台と言うと、クリスティの「そして誰もいなくなった」を始め有名な作品がたくさんありますが、本作がそれらと異なるのは、シェットランド諸島という実際に存在する場所を舞台にしているところです。この島にはシェトランド・シープドッグという犬がいるそうですが、私を始め日本人でなじみのある人はまずいないと思います。
大晦日の夜、長年の間家に閉じこもり、来ない訪問者を待つ孤独な追い出し者のマグナス・テイト老人を2人の女子高生が訪問するところから始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されることになりました。シェトランドでは数年前にもカトリオナという別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当然今回の殺人でも皆から疑われることになります。噂やゴシップで非難されることとなったマグナス。状況証拠に基づいてマグナスを逮捕した島の警部のジミー・ペレスですが、彼は別の未知の殺人者を示す手がかりを見つけ、誰もが行きたがらないシェットランド諸島の過去に深く迫る捜査の迷路に入っていくというのがストーリーのあらすじです。プロットの中には様々な紆余曲折が盛り込まれており、最後まで犯人はなかなか本性を現しません。
「シェットランドでは、風がないときは衝撃的だった。人々は耳を絞め、何が欠けているのか疑問に思った」
「巨大なクルーズ船が港に滑り込み、建物の上にそびえ立って座っていることもあった。1時間の間、彼らの乗客は町を占拠した」
こういった風景の描写を見ると、シェットランドに行ってみたくなるものもありますが、本書のあとがきによると、シェットランド諸島にはクルーズ船でアイルランドから14時間もかかるそうで、まさに現代の絶海の孤島ですね。まぁ、日本でも北欧でも、隔絶された地域というのはたいてい住人同士の血縁・人間関係が濃く、お互い知り合い同士である場合が往々にしてあります。人口2万人くらいの隔絶された島が舞台となるシェトランド諸島も例外ではなく、ペレス警部は容疑者の洗い出しを始めるにもまずドロドロした人間関係を丹念に解きほぐすところから始めるところが本書の特筆すべきところといえそうです。そのせいか、最初の内はローカルな人間関係の事情の説明が主で、とにかくまともにストーリが動き出すのがかなり後の方になるため、読む人を選びそうな感じの一冊です。
Posted by ブクログ
やっぱり好きだなぁこの作家。
だいぶ前に何の気なしに一作品だけ読んだけど、思いがけず心理描写に優れ、何とも言えないひりひりした世界観をつくり出すなぁと感じたことだけは憶えている。
シェトランド島四重奏の第1作。
誰もが顔を知っている閉ざされた環境の中で起きた少女の殺人事件。
8年前の事件との関連からすぐに容疑者が浮上し逮捕へと。
一方、少女の父親ユアン、本土から来た警部テイラー、そして島出身の刑事ペレスは真相は別のところにあるのではと少女が生前のめり込んでいた映画製作の課題に目を向ける。
後半のとある場面でそれっぽくなく、さらりと真犯人に真相を語らせるなんてにくすぎる。
事件だけ見るととてもシンプルで登場人物もごくわずか。
非常にミニマムな設定の中で事件の背景となっている人間関係、心理を丁寧に紡いでいく様が秀逸。
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シーリアの存在がムカつく&気持ちが悪い
シーリアは、周りの男(息子も含め)をみんな自分の思い通りに動かしたいのか?
マイクル、男のメンツ無いのか?こんな浮気女とっとと離婚しろ
フランもダンカンに「シーリアと手を切らないとキャシーに会わせない」と言えばいいのに。ダンカン、目を覚ませ。ロバート、大人になれ。
きれいな島がシーリアの腐った性根で汚染されていく 島の女性達、一致団結して立ち上がれ。こんなクソ女、一文無しで島から追い出せ!
サリーと母親(教師)との微妙な母娘関係 サリーの母親に対する冷めた感情も読み応えあった
読みやすくて、サクサク読めた
Posted by ブクログ
シェトランド四重奏の1冊目。
4冊読み終わった後だとはるか昔のような気がしてくる。
イングランドの北のシェトランドで起こる殺人とそれを取り巻く人々を丁寧に丁寧に描いてく、本としても面白い作品。
Posted by ブクログ
雪に囲まれた海外のとある村で起こった殺人事件を捜査していく話。
ものすごい大掛かりなトリックを使ったようなものではなく、村の住人や村について掘り下げを行っていく描写が多い。個人的にいい小説を読んだと満足はしたが続編まで手が伸びにくかった。
Posted by ブクログ
スコットランドの北に浮かぶシェトランド島が舞台。
完全な孤島というわけではないが離島。
本土とはやや違う風習。寒い灰色の風景。
そして、本土から来たヨソモノ。明らかにあやしい老人。
そんな感じが、所謂「クローズドサークル」の雰囲気を盛り上げて面白い。
以上、”イカニモ”な感じの設定なのに、読みすすむのはその筆致にあるとおもう。
それに、クローズドサークルの犯人が誰でしょう?が主題はではない。
#もっとも、私としては意外な犯人でしたが。
このシェトランドという「クローズドサークル」な社会と人々を描いたおはなし、と言って良いのではないだろうか。
そのへんに、イカニモな設定にもかかわらず、グイグイと引き込まれる要素だあったのではないかと思うのである。
Posted by ブクログ
シェトランド島を舞台とする4部作の1作目だそう。ほぼタイトル通りの期待に応える雰囲気と内容です。
女性作家が書いているだけあって、地元のペレス警部もちょっとイイ感じ。本土のインヴァネス署から来たテイラー警部と共に、捜査に当たります。
雪に埋もれた風景の中を行き来する女子高生、その親たち、バイキングのような船主の息子、幼い子を連れた離婚女性フラン、大金持ちのフランの元夫、知的障害のある一人暮らしの老人マグナス…
誰もがよく知り合っている村で、1年前に越してきた娘キャサリンが殺された。
数年前の少女行方不明事件も思い出させて、大きな祭りへ向かう時期に、村は紛糾する。
スコットランド北端からノルウェーへ向かう架け橋のような島の形。
その中でも寒村というと、想像を絶するものが。
でも現代なんで、車で行けば大きな街もあるんだけど。
離婚後もこの地に留まっている女性フランがヒロインで、ペレス警部としだいに仲が深まりそう。
2006年、CWA最優秀長編賞を受賞した作品。
Posted by ブクログ
海外ミステリーに慣れたくて手に取ってみた一冊。じっとりとした、閉鎖的なロケーションで起きる事件が、淡々と解決に向け進んでいく感じが嫌いではなかったです。シリーズ物のようなので、次のも読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
物語全体のこの「トーン」は好きです。
4人の視点で書かれるというのも、新鮮でした。
意外な犯人に、驚きの声が出てしまったけど、
(もう一度読み直さないと、色々読み落としてる)
私が犯人の立場でも、同じことをした…かも。
次も読みます。
Posted by ブクログ
終始淡々としたモノローグでつづられる物語。
退屈ではないものの、先へ先へと言う気持ちにはならず、ゆっくりめのペースで読んでいたところ、
最後の最後、犯人が明らかになった時、
思わず「えーーーっ⁉︎」と叫んでしまった。
それくらいの意外な結末。
イギリス本土と北欧の間に位置するシェトランド島。
セーターと牧羊犬くらいしか知らなかった土地が、
このような場所にあったとは。
華やかな観光地とは言えないけれど、
味わい深く描かれていて、「シェトランド四重奏」とされるこのシリーズ、続きも読むつもり。
Posted by ブクログ
濃密な心理描写と雪原の描写が大変素晴らしい。まるでその場に居合わせてしまったかのような雰囲気がある。それだけに後半に至っての失速が残念。それまではテンポよく進んでいたのに突然バキッと勢いを殺されたような感じがした。それでも読ませる作品ではある。
Posted by ブクログ
原題”Raven Black"
カラスじゃなくて、大鴉、しかも鳴くじゃなく啼く。
こういった小道具の情景設定へ与える雰囲気がぴったり来ている。
個人的には【ユアン&サリー】 【マイクル&シーリア】
【ケネス&サンドラ】の3組の夫婦が作る空気感の微妙な色合いがハーモニーの様に奏でられ、ともすると退屈極まりない殺人事件解決物語へ色を添えている。
何といっても狭い空間、登場人物が限られているから、犯人の目星はすぐ着きそう・・と言っても知的に問題のある老人を証拠なしにしょっ引き立てるのは些かやり方がちゃち。8年前の少女殺人事件の古傷、なにやらろくに捜査もしていなかった感があるのは鼻しろむ。
そうなるとサスペンスというより解説に有るようにイギリスの最北端、地の果てともいうような孤絶の小さな町の人間劇を愉しむというのが正解だろう。
北欧の小人を思わせる様な老人、おちょくるような2人の少女との絡み・・そして数日後の死体。マフラーの赤、黒髪、雪の白・・発見者が元画家という事も併せてなんと色彩的。
更に一人のCの頭文字を持つ少女が行方不明・・は何ともおまけっぽく。
火と炎の祭りを背景に盛り上げたかったようだが、「男たち衣装をまとって欲望を秘めつつ、踊りあかす」空気感は今一つ内容にマッチしていないように思えたが。
Posted by ブクログ
イギリス最北のシェトランド島で起きた殺人事件。雪原で発見された黒髪の少女。8年前の少女失踪事件との相似。
知的障害のマグナスが犯人だとは思わなかったが、ふたつの事件につながりがあるていで読んでいたのでかなり終わりに近づくまで全く犯人が分かりませんでした。
それにしても読んでいるだけで寒い…。
Posted by ブクログ
イギリス最北端の地を舞台にしたミステリ。誰もが顔見知りで、鍵も掛けずに暮らしているような小さな町で起きた殺人事件。八年前には少女が失踪しており、それに関係しているとみられた知的障害のある男は母親亡き後、孤独に暮らしていた。今回も被害者は彼の元を訪れていたため、疑いの目が向けられる。
閉鎖的な町での暮らしは息苦しく、偏見に満ちている。警部たちも特に切れ者というわけではないが、偏見を否定し、事件をフラットに見ようとしている態度に好感がもてる。
Posted by ブクログ
イギリス最北端に位置するシェトランド諸島、島民誰もが顔馴染みの集落で女学生殺人事件が発生する―。大寒波が押し寄せる真冬という作中季節に加え、事件に挑むのはバツイチで出自に訳ありの出戻り刑事。本土から遠く離れた孤島というシチュエーションといい、北欧らしいローカルで仄暗い世界観が堪らない。派手さのない堅実な筋運びで、言ってしまえば地味な作風だが、クライマックスに至るまでの積み上げが実に緻密。村社会の閉塞感、そして家族や学校の抱える諸問題は万国共通なのか。やはりミステリーは米国発より北欧発の方が私は好きですね。
Posted by ブクログ
ていねいに描き込んであり、良い作品。伏線が多いため、普通に読んでいれば犯人はすぐにわかる。荒涼とした風景に息が詰まる人間関係。でも、訳がちょっとなあ。そのまんま訳しているので、これはどういう趣旨で書いているのか、と脳内転換して読まなければならないのが難。続編は、日本語訳ではなく、頑張って原書で読んだ方がいいのかも。こんな訳だから海外ミステリが売れないのでは? 原題Raven Black