あらすじ
新年を迎えた凍てつく夜、孤独な老人マグナスを訪れたのは、ふたりの女子高校生だった。ひとりは金髪、もうひとりは黒髪――そう、まるで彼が助けた、傷ついた大鴉の羽根のようにつややかな。だが、四日後の朝、黒髪のキャサリンは死んでいた。大鴉の群れ飛ぶ雪原で、赤いマフラーを喉に食い込ませて……。地元のペレスと本土のテイラー、二人の警部が見いだしたのは、八年前の少女失踪事件との奇妙な相似。誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ、彼女を殺したのか? 試行錯誤の末にペレスが掴んだ悲しき真実とは? 英国本格派の新旗手が、冬のシェトランド島の事件を細密な筆致で描き出す、CWA最優秀長篇賞受賞作。/解説=川出正樹
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
大晦日の夜に老人マグナスを訪ねた少女キャサリン・ロスとサリー・ヘンリー。数日後パーティーで朝帰りしたキャサリンがマグナスの家に招かれた翌日絞殺体で発見される。8年前に失踪した少女カトリオナ事件との関係を疑われていたマグナス。ベレス警部とテイラー警部の捜査。死体の発見者フラン・ハンターの元夫ダンカンが開いていたパーティー。カトリオナの遺体の発見。カトリオナの殺害容疑で逮捕されたマグナス。サリーがベビーシッターをしていたキャリーの失踪。キャサリンが撮影しようとしていた映画。大晦日の夜にキャサリンたちを送った実業家イズビスターの息子ロバート。ロバートとキャサリン、サリーの関係。キャサリンが撮影したビデオ。
Posted by ブクログ
アン・クリーヴスのシェトランドシリーズ(カルテット)第1巻。
全8冊のシリーズがとうとう完結したとのことで。
15年ぶりの再読(奥付見て、購入してからそんなに経つかと愕然)。
女の子が殺された。過去にも行方不明になった女の子がいる。現場近くに怪しい男が住んでいる。
事件自体はシンプルで、大掛かりなトリックはない。小さなコミュニティのシェトランド諸島で、誰が何のために殺したか。4人の視点から語られる。
終盤近くになり、殺された女の子の行動が明らかにされる。そこからの展開は早い。
シェトランド諸島の有名な祭りアップ・ヘリー・アーの最中、容疑者と思われる登場人物が順番に姿を現す場面は圧巻。最後の最後まで犯人が分からず、フーダニットを楽しませてもらった。
Posted by ブクログ
ネットで見かけて。
シェトランド島。
イギリス、グレートブリテン島の北東部にある、
佐渡島の1.1倍の面積の島が舞台。
新年の雪の中を若い女の子が死体で発見される。
8年前、同じ家に住んでいた少女が失踪しているが、
何か関連があるのだろうか。
正しくはメインランド、本島とだけ呼ばれており、
最もさかえている町、ラーウィックですら、
誰にも知られずおならもできない、と言われるぐらい
こじんまりとした、誰もが顔見知りの社会そのものが、興味深かった。
周りの島の子供たちは、高校になると本島の寄宿舎に入って学校へ行くとか。
島によっては、週末も家に帰れないとか、
ヴァイキングの格好をして練り歩く、ウップ・ヘリアーという祭りとか。
といっても、閉塞感はあまりない。
比較的登場人物たちが、それほど感傷的でも、
それほどヒステリックでもないせいだろう。
どちらかというと、内省的。
意外なことに、二つの事件が同一犯でなかったのも、
陰惨さを軽減できたのかもしれない。
読み終わった後に、火の祭り、ウップ・ヘリアーを調べてみて、
ちょっとがっかりした。
なんだろう、コスプレしているだけにしか見えないというか。
日本にも時代祭、という似たようなお祭りがあるが、
どうも「祭り」には思えない。
私にとっては、自分が何をやっているのか意味が分かるようなお祭りは
「祭り」ではないようだ。
なぜ、大木の柱にまたがって急な坂を降りるのか。
なぜ、寒い中、裸で押し合いへし合いするのか。
なぜ、山盛りのご飯を食べるか。
起源や、理由や意味がわからないところに「祭り」はある気がする。
Posted by ブクログ
やっぱり好きだなぁこの作家。
だいぶ前に何の気なしに一作品だけ読んだけど、思いがけず心理描写に優れ、何とも言えないひりひりした世界観をつくり出すなぁと感じたことだけは憶えている。
シェトランド島四重奏の第1作。
誰もが顔を知っている閉ざされた環境の中で起きた少女の殺人事件。
8年前の事件との関連からすぐに容疑者が浮上し逮捕へと。
一方、少女の父親ユアン、本土から来た警部テイラー、そして島出身の刑事ペレスは真相は別のところにあるのではと少女が生前のめり込んでいた映画製作の課題に目を向ける。
後半のとある場面でそれっぽくなく、さらりと真犯人に真相を語らせるなんてにくすぎる。
事件だけ見るととてもシンプルで登場人物もごくわずか。
非常にミニマムな設定の中で事件の背景となっている人間関係、心理を丁寧に紡いでいく様が秀逸。
Posted by ブクログ
物語全体のこの「トーン」は好きです。
4人の視点で書かれるというのも、新鮮でした。
意外な犯人に、驚きの声が出てしまったけど、
(もう一度読み直さないと、色々読み落としてる)
私が犯人の立場でも、同じことをした…かも。
次も読みます。
Posted by ブクログ
イギリス最北のシェトランド島で起きた殺人事件。雪原で発見された黒髪の少女。8年前の少女失踪事件との相似。
知的障害のマグナスが犯人だとは思わなかったが、ふたつの事件につながりがあるていで読んでいたのでかなり終わりに近づくまで全く犯人が分かりませんでした。
それにしても読んでいるだけで寒い…。