アーナルデュル・インドリダソンの作品一覧
「アーナルデュル・インドリダソン」の「黒い空」「厳寒の町」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
「アーナルデュル・インドリダソン」の「黒い空」「厳寒の町」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
話題の本を読んでみた。北欧の作品だがアイスランドは初めて。ガラスの鍵賞2年連続受賞。 CWAゴールドダガー賞受賞。
いま世界のミステリ読者が最も注目する北欧の巨人ついに日本上陸
この帯を読んで期待して待っていた。久しぶりに完成度の高いミステリが読める。
ストーリーは分かりやすく、読みやすいのだが、悲しいかな舞台が北極圏に近いアイスランド、登場人物の名前が出るたびに、コツンコツンとぶつかり、慣れるまで流れに乗りにくかった。
ついにグーグルアースさんのお世話にもなった。
事件は、湿地帯に建った住宅地の中にある、石造りのアパートで起きた。
半地下にある部屋は湿気と、猛烈な馬屋に似た匂いが充満した居間で、70歳前後の白髪の男が頭から血を流して倒れていた。
レイキャヴィク警察の犯罪捜査官、エーレンデュルとジグルデュル=オーリ、エーリンボルクが男の過去、背後関係を調べ始める。
エーレンデュルは娘と居間に腰を下ろした、殺人事件の捜査と経緯と現状をくわしく話した。頭の整理でもあった。ここ数日間におきたことをはっきり把握するためでもあった。死体の発見、アパートの臭い、意味不明の走り書き、引き出しの奥から発見された写真、パソコンに満載されたポルノ、墓石に刻まれた言葉、コルブルンと姉のエーリン、ウイドルと謎の死因、いつも見る夢、刑務所のエットリデ、グレータルの失踪、マリオン・ブルーム、もうひとつのレイプの可能性、エーリンの家の窓の外に立った男、もしかするとホルベルクの息子かもしれない。エーレンデュルはできる限り論理的にこれらを話した。
異常な臭気から、湿地の上に建つアパートの床を調べ、破壊された下水道のために陥没した穴を見つける。
殺されたホルベルクの港湾労働者仲間、エットリデ、グレータルを追う。エットリデは刑務所にいて、ホルベルクにはコルブルンのレイプだけでなくもう一件レイプ事件があったことを匂わす。
40年前のレイプ被害者を探す。だが女性たちには家庭があり、難航する。
最初のレイプ被害者のコルブルンは警察に届けたが、ホルベルクが、合意だった、誘われた結果だと主張して不起訴になっていた。
もう一人の被害者にたどり着く。そしてその時期に生まれた息子がいるという。
事件はホルベルクの過去とともに意外な展開を見せて終結する。
アイスランドは10月の長雨で、垂れ込めた雲の下で暗い話が続いていく。
小さな島国に暮らす人たちの生活が伺える。
エーレンデュルはこの事件に関わる仕事にたまらなくうんざりして述懐する。
「どうしたらいいのかわからない。もしかすると何もしないほうがいいのかもしれない。なにも手を出さずに、ことが起きるままにさせておくのがいいのかもしれない。全てを忘れて。なにか意味のあることをするのがいいのかもしれない。なぜこんな惨めなことに首を突っ込むんだ?なぜエットリアのような悪党と話をしなければならないんだ。エディのようなごろつきと取引をしたりホルベルクのような人間がどんな楽しみをもっていたかなど知りたくもないのに、レイプの報告書を読んだり、ウジ虫ののたくる肥だめとなった建物の土台を掘り返したり、子どもの墓を掘り返したり、もううんざりだ!」
また
「人はこんなことに影響など受けないと思うものだ、こんなことすべて、なんとなくやりこなすほど自分は強いと思うものだ。年とともに神経も太くなり、悪霊どもをみても自分とは関係ないと距離をもって見ることができると思うのだ。そのようにして正気を保っていると。だが、距離などないんだ。神経が太くなどなりはしない。あらゆる悪事や悲惨なものを見ても影響を受けない人間などいはしない。へどがのどまで詰まるんだ。悪霊にとり憑かれたようになってしまう。一瞬たりともそれは離れてくれない。しまいには悪事と悲惨さが当たり前になって、普通の人間がどんな暮らしをしているのかを忘れてしまうんだ、今度の事件はそういうたちのものだ。しまいにはおれ自身、頭の中を勝手に飛びまわる悪霊のようなものになってしまうんだ」
エーレンデュルは深いため息をついた。
「この話はすべてが広大な北の湿地のようなものだ」
かれは自分の仕事に飲み込まれないようにつぶやく。 暗い悲惨な事件は、こうして彼の人となりも浮き彫りにする。
エンターテインメントとして成功しているが、不明な部分もある。双子の姉妹を襲った迷彩服の男はどうなったのか。結婚式から消えた花嫁は何の意味があるのか。
レイプ犯が集めた容量いっぱいのポルノ映像はいたずらに醜悪感を増すばかりで、殺された男の写真趣味も思わせぶりだ。
話を人間の醜悪さに徹するなら、上記のような独白は警察官の感傷に思える。
ストレートな簡潔なストーリーは面白いし、犯罪原因も目新しい。アイスランドという馴染みが薄い国に少し慣れた。
Posted by ブクログ
アイスランド発のミステリーということで滅茶苦茶希少価値の高い翻訳ミステリーのシリーズ最新作。そもそもレイキャビク警察のエーレンデュル捜査官のシリーズなのだが、レギュラー刑事が他に二人いて、前作『悪い男』では女性刑事エリンボルクが主役を務め、本書では残る一人の刑事シグルデュル=オーリが主役を務める。
かつてのエド・マクベイン(この作家には生前に会ったことがありますよ)著87分署シリーズを思わせる警察小説シリーズ。
何と言っても人口30万という小さな国アイスランド発のミステリーというところが楽しい上、その内容も充実したシリーズであり、本書でも人間模様とその深みをやっぱりしっかりと味わえました。
できれば最初の『湿地』から順番に読んで欲しいところだけれど、すべて単独作品としても面白いおススメシリーズであります。
Posted by ブクログ
北欧ミステリ、面白い!
本当に久しぶりに、シリーズを追いたくなる傑作に出会えました。
先が気になって2日ほどで一気読みだったのですが、早く結末が知りたいような、まだこの豊かな読書をじっくり味わっていたいような、複雑な気持ちでしたね〜。
ブックガイドなどで「北欧ミステリ」の存在は認識していたものの、どうにも暗く重たいイメージがあってなかなか手が出なかったんです。
しかし、そんな私がドハマりしたのが『The Elder Scrolls V: Skyrim』(スカイリム)というゲーム。
おそらく北欧がモチーフであろうこのゲームの世界観に馴染んだことで、ようやく手を伸ばす気になったのでした。
結果、大当たり!!
個人的に、現代ミステリはどうにも暴力的でセンシティブで受け入れがたい作品が多かったのですが、本書は私の好みにどんぴしゃ。
というのも、解説にあった著者インタビューによると、アイスランドには昔の伝承文学のサーガがあり、子牛のなめし革に最小限で書く必要があったため短い簡潔な表現になったとのこと。どうりで読みやすいはずです。
およそ翻訳小説らしくない抑制の効いた文章はすらすらと読みやすく、作中で扱われる事件はなんとも胸が苦しくなる事実ばかりなのに、不思議と気持ちが重たくならない。
それでいて、読んだ後も鮮烈な読書体験として残り続ける……なんとも稀有な一冊です。
主役であるエーレンデュル捜査官もなんとも硬派。
”アイスランド的”警官であり、若手に手を焼きながらも己の信じる正義を決して曲げない、とても頼りになる存在です。
作中ずっと具合が悪そうで(事件解決が最優先で自分のことは二の次なため)、シリーズのどこかでリタイアしてしまうのではと不安でしたが、とりあえず重篤な病気ではなさそうで一安心。
娘であるエヴァとの関係性も始終ひりつくものでしたが、作中で数少ない希望のある終わり方でよかったです。エヴァもまた登場してくれるかしら?
続編も順次翻訳中とのことで、ぜひ次巻以降も読んでみたい。
そしてこれを機に、物怖じしていた「北欧ミステリ」の名著にも、取り組んでいきたいなと思います!
Posted by ブクログ
アーナルデュル・インドリダソン『悪い男』創元推理文庫。
『エーレンデュル犯罪捜査官犯罪捜査官シリーズ』の第7弾。珍しいアイスランドを舞台にしたミステリー小説。
訳者は岩手県一関市出身の柳沢由実子さん。自分は10年前まで30年間も一関市に暮らしていたので、感慨深いものがある。
主人公のエーレンデュルは行方不明のまま、主人公不在の中、事件は起きる。
冒頭に描かれるレイプドラッグをポケットに忍ばせ、酒場で獲物を物色する男。この男がタイトルの『悪い男』なのかと思いながら読み進めば、意外な展開が待ち受けていた。
と、冒頭から畳み掛けるように読者をストーリーの中に引き摺り込んでしまうアーナルデュル・インドリダソンの力量に感服。
一時、シリーズが劣化したように思ったのだが、前作の『印』から再び盛り返してきたようだ。劣化したなどと言って、すまなかったと思う。
アイスランドの首都レイキャヴィクのアパートの一室で、刃物で喉を切り裂かれた若い男の死体が発見される。男は電気通信会社に勤務する30歳のルノルフル。ルノルフルはレイプドラッグのロヒブノールを所持しており、酒場で獲物の女性を物色し、クスリを飲ませて意識を失わせレイプをしていた常習犯らしいことが判明する。
犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明の中、同僚のエリンボルクは現場に落ちていた一枚のタンドリー・チキンの香辛料の匂いがするスカーフスカーフを頼りに捜査を進める。
果たして、ルノルフルは自宅アパートに連れ込み、レイプした女性に復讐されたのか。
この先、主人公のエーレンデュルは登場はあるのだろうかと心配しながら読み進めると……
本体価格1,360円
★★★★★