アーナルデュル・インドリダソンの作品一覧
「アーナルデュル・インドリダソン」の「黒い空」「厳寒の町」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「アーナルデュル・インドリダソン」の「黒い空」「厳寒の町」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
石垣に囲まれた小さな庭の中に建つ、二階建ての建物の半地下に作られたアパートで一人暮らしをしていた老人が頭から血を流し死んでいた
側にはべったりと血糊を付けたガラスの灰皿
汚くて無意味で、足跡や証拠を隠さないこの犯行は典型的で不器用なアイスランドの殺人だと思われた
唯一不可解なのは、死体の横に添えられた3つの単語からなるメッセージ だが意味は分からない
読者が最初にわかるのは
それだけ太字で書かれた「あいつ」の単語のみ
どちらにせよ、現場で全てを見たエーレンデュルとシグルデュル=オーリですら理解しかねているのだから今は大して重大ではないのだろう
......い ま は ね
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【後書き引用 (省略有)】
物語の舞台、レイキャヴィクの街は
端から端まで2時間も歩けば終わってしまう
雨が多く、強風の寒冷地の気候に耐えるべくコンクリートの建物の外壁と屋根に波状のトタン板を貼っている
赤や緑、黄色にピンクと多彩な建物の色が、陰鬱な空の下に映える
こんなおとぎの国のような色合いのこじんまりした街並みに、凄惨な殺人事件など起こるのだろうか(中略)
アイスランド人の話はお天気に始まり、お天気に終わると言われている
一日中天気が変わる。朝に晴れていても傘とレインコートは手放せない。しかしこの国の人は誰も傘をささない
傘をさす習慣がないのか、しょっちゅう変わる天気に備えるのが面倒なのか、それとも晴れてほしいとの願望を日々抱いているのか、太陽への憧れはとても強い
一年にわずかしかない一日中快晴の日には、商店や会社は本日は《快晴につき休業》と張り出して、太陽に顔を向けて外に座っているという
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この舞台となるレイキャビクの背景、事前に知っておきたかったなぁ
言ってしまえば平穏な田舎町で起きた大事件となる のだが
前述した通り 雑な現場は雑な物盗りが起こした雑な事件にしか見えない
だがご安心を
開始早々お亡くなりのご老人 ホルベルクの素性を追っていく内にアハ体験かの如くいつの間にか大の文字が浮かんでいるはずだ
並行して、主人公エーデンデュルとその娘エヴァ=リンドの父娘物語も気になる所
父が娘の名が好きくない理由も...キャラを理解してからだと変に頷けちゃいましたね
ったく不器用さんめ ツンツン
そして今更だが
グロは無いけど皆大好き胸糞は赤保留くらいの期待値で申し分無いかと思われる
女性陣、心してかかろう
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全篇45章、約350ページ
著者のアーナルデュルはアイスランドの伝承文学のサーガ(牛のなめし革に簡潔に書かれたもの 高価なので、小さなメモに最小限に書かなければならならず その結果、短い簡潔な表現となった)に基づき
コンパクト且つ展開の早さを意識して書いているとの事
その言葉通り、睡眠を犠牲にせずともサクサク読み進める事が出来た
ラストは連載打ち切りされたジャンブ漫画を思わせるが、ずっと面白かったから◎ω◎
なんなら
残りのページ数で今の展開ならもう畳み掛けるしか無いよな って嫌でも察せるので
心の準備は脳が勝手に指令出してくれてます
因果応報
北海道と四国を合わせた程度の面積しか持たぬアイスランド
その中の首都レイキャビクは人口14万人(東京都狛江市と同等)という狭い空間で面積は千葉県千葉市程
この環境による特有のシステムと歴史が無ければ
ノルデュルミリ(北の湿地)のグレーサーガ(灰色の物語)は産まれなかっただろう
Posted by ブクログ
話題の本を読んでみた。北欧の作品だがアイスランドは初めて。ガラスの鍵賞2年連続受賞。 CWAゴールドダガー賞受賞。
いま世界のミステリ読者が最も注目する北欧の巨人ついに日本上陸
この帯を読んで期待して待っていた。久しぶりに完成度の高いミステリが読める。
ストーリーは分かりやすく、読みやすいのだが、悲しいかな舞台が北極圏に近いアイスランド、登場人物の名前が出るたびに、コツンコツンとぶつかり、慣れるまで流れに乗りにくかった。
ついにグーグルアースさんのお世話にもなった。
事件は、湿地帯に建った住宅地の中にある、石造りのアパートで起きた。
半地下にある部屋は湿気と、猛烈な馬屋に似た匂いが充満した居間で、70歳前後の白髪の男が頭から血を流して倒れていた。
レイキャヴィク警察の犯罪捜査官、エーレンデュルとジグルデュル=オーリ、エーリンボルクが男の過去、背後関係を調べ始める。
エーレンデュルは娘と居間に腰を下ろした、殺人事件の捜査と経緯と現状をくわしく話した。頭の整理でもあった。ここ数日間におきたことをはっきり把握するためでもあった。死体の発見、アパートの臭い、意味不明の走り書き、引き出しの奥から発見された写真、パソコンに満載されたポルノ、墓石に刻まれた言葉、コルブルンと姉のエーリン、ウイドルと謎の死因、いつも見る夢、刑務所のエットリデ、グレータルの失踪、マリオン・ブルーム、もうひとつのレイプの可能性、エーリンの家の窓の外に立った男、もしかするとホルベルクの息子かもしれない。エーレンデュルはできる限り論理的にこれらを話した。
異常な臭気から、湿地の上に建つアパートの床を調べ、破壊された下水道のために陥没した穴を見つける。
殺されたホルベルクの港湾労働者仲間、エットリデ、グレータルを追う。エットリデは刑務所にいて、ホルベルクにはコルブルンのレイプだけでなくもう一件レイプ事件があったことを匂わす。
40年前のレイプ被害者を探す。だが女性たちには家庭があり、難航する。
最初のレイプ被害者のコルブルンは警察に届けたが、ホルベルクが、合意だった、誘われた結果だと主張して不起訴になっていた。
もう一人の被害者にたどり着く。そしてその時期に生まれた息子がいるという。
事件はホルベルクの過去とともに意外な展開を見せて終結する。
アイスランドは10月の長雨で、垂れ込めた雲の下で暗い話が続いていく。
小さな島国に暮らす人たちの生活が伺える。
エーレンデュルはこの事件に関わる仕事にたまらなくうんざりして述懐する。
「どうしたらいいのかわからない。もしかすると何もしないほうがいいのかもしれない。なにも手を出さずに、ことが起きるままにさせておくのがいいのかもしれない。全てを忘れて。なにか意味のあることをするのがいいのかもしれない。なぜこんな惨めなことに首を突っ込むんだ?なぜエットリアのような悪党と話をしなければならないんだ。エディのようなごろつきと取引をしたりホルベルクのような人間がどんな楽しみをもっていたかなど知りたくもないのに、レイプの報告書を読んだり、ウジ虫ののたくる肥だめとなった建物の土台を掘り返したり、子どもの墓を掘り返したり、もううんざりだ!」
また
「人はこんなことに影響など受けないと思うものだ、こんなことすべて、なんとなくやりこなすほど自分は強いと思うものだ。年とともに神経も太くなり、悪霊どもをみても自分とは関係ないと距離をもって見ることができると思うのだ。そのようにして正気を保っていると。だが、距離などないんだ。神経が太くなどなりはしない。あらゆる悪事や悲惨なものを見ても影響を受けない人間などいはしない。へどがのどまで詰まるんだ。悪霊にとり憑かれたようになってしまう。一瞬たりともそれは離れてくれない。しまいには悪事と悲惨さが当たり前になって、普通の人間がどんな暮らしをしているのかを忘れてしまうんだ、今度の事件はそういうたちのものだ。しまいにはおれ自身、頭の中を勝手に飛びまわる悪霊のようなものになってしまうんだ」
エーレンデュルは深いため息をついた。
「この話はすべてが広大な北の湿地のようなものだ」
かれは自分の仕事に飲み込まれないようにつぶやく。 暗い悲惨な事件は、こうして彼の人となりも浮き彫りにする。
エンターテインメントとして成功しているが、不明な部分もある。双子の姉妹を襲った迷彩服の男はどうなったのか。結婚式から消えた花嫁は何の意味があるのか。
レイプ犯が集めた容量いっぱいのポルノ映像はいたずらに醜悪感を増すばかりで、殺された男の写真趣味も思わせぶりだ。
話を人間の醜悪さに徹するなら、上記のような独白は警察官の感傷に思える。
ストレートな簡潔なストーリーは面白いし、犯罪原因も目新しい。アイスランドという馴染みが薄い国に少し慣れた。