あらすじ
レイキャヴィク警察の犯罪捜査官シグルデュル=オーリは、友人から厄介な相談を受けていた。妻の姉夫婦がいかがわしい写真を撮られ、それをネタにゆすられている。表沙汰にならないように写真のデータを取り戻してほしいというのだ。恐喝者である女性の家に行ってみると、女性は頭から血を流して倒れており、シグルデュル=オーリ自身も何者かに殴られて昏倒してしまう……。犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明のなか、同僚のシグルデュル=オーリが自らが巻き込まれた殺人事件の捜査を進める。北欧ミステリの巨人の人気シリーズ第8弾。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アイスランドを代表するミステリー、エーレンデュル捜査官シリーズの第8弾である
前作に引き続きエーレンデュルは不在で、今作ではエーレンデュルの部下の傲慢野郎シグルデュル=オーリが主役を務めます
第1作からのレギュラーメンバーとの付き合いも長くなりました
懐かしいなぁ…
あの頃はまだ経験不足のくせにやけに自信だけはたっぷりで、見当違いのことばっかり言ってたっけ
そして今回もやけに不遜で、自分の考えだけで突っ走る
こいつぜんぜん成長しねーなーと思っていたのですが…
ちなみにシグルデュル=オーリとは本当に長い付き合いなのですが、実はほとんど彼のことをシグルデュル=オーリと呼んだことがありません
いつも「シングルデュオーリ」って呼んでます
なぜならその方が発音しやすいからw
いやアイスランド人の名前の発音ムズいって、恐らくほんとはカタカナでは表現できないんだよ
あと、主人公のエーレンデュルは「エーレンデュエル」、もうひとりの主要メンバー・エリンボルクは「シンボルク」って呼んでます
その他の人の名前は全く覚えてません
翻訳ものを読むときに名前が読みづらいとか覚えにくいって人にたまに聞かれます「どうしてるの?」って
お答えしましょう!
ちゃんと読んでないし、ちゃんと覚えてません
そんなもんです
はいはい、本編ね
相変わらずの重〜いテーマです
人間の果てのない欲望と止まらない暴力についてです
そして傲慢野郎は傲慢野郎なりに「警察官」だったということでした
彼もまた『黒い空』の下、絶望に飲み込まれそうになりながら、必死に「青い空」を手繰り寄せようとする「警察官」だったのです
頑張れ!闘う「警察官」たち!
Posted by ブクログ
★5 恐喝から発展、重なり合う凶悪事件… 背後にあるのは、欲望の黒い空と少年の叫び #黒い空
■あらすじ
アイスランドの犯罪捜査官、シグルデュル=オーリは友人から相談を受けていた。妻の姉夫婦が猥褻な写真をとられ、恐喝にあっているというのだ。彼は恐喝者である女性に話をつけに家に行くが、なんと女性が血を流して倒れていて…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 北欧ミステリーの雄、エーレンデュル捜査官シリーズの最新作。
とはいえ本作ではエーレンデュル捜査官は休暇中のため登場せず、シグルデュル=オーリ捜査官が視点人物になります。これまでのシリーズ作を読んでなくても楽しめますのでご安心を、前作までのネタバレもありません(ちなみに私も未読です)。
まず声を大にして言いたいのは、主人公のシグルデュル=オーリの人間性ですよ。ヤな奴! でも愛おしすぎる!
警察官であるにも関わらず、自分の思うような行動をし続けるという剛腕&破天荒っぷり。周囲に気が利かず、常に自分の価値観が正しいと思い込んでる昭和のおっさんですよ。そりゃ仕事仲間からも嫌われるし、元妻からも嫌われるっつーの。
でもね、こんなオヤジでも言い放つセリフは筋がとおってるんです(同意できるかは別として)。正論を吐かないよりは、吐くほうが絶対いいと思うんですよね。時折、反省する様子も可愛いですし、私は結構好きです。まぁ友達にはなりたくないけど。
そしてヨーロッパの警察小説ってシブくていいのよ。次々と場面展開するようなエンタメ性は少な目だけど、じっくりと捜査をして、事件を読み解いていく感じがたまらなくイイ。
本作は恐喝から発展した殺人、マネーロンダリング、児童虐待と3つの事件が重なり合って展開していく。人間性は微妙でも、捜査官としての経験はあるシグルデュル=オーリの捜査は粘り強かったですね。
不真面目でいい加減な性格の私だったら、とてもじゃないけど彼みたいに根気強く行動できないと思った。やるじゃん、シグルデュル=オーリ! ちょっとカッコイイかも。
後半、事件の全体像が見えてきたあたりからはもう完全に夢中ですよ。そして終盤、思わず目が開かれるような真相が… いやー読み応えがありました。
前作もそうでしたが、人間の欲望って何故こんなにも尽きないんでしょうか。幸せの分量を人から奪っても、その分だけ自分の幸せに追加されることはないと思うんだけどなー。本作ではその強欲っぷりを見事に描いていて、どれだけ人が人でなくなるか悲しいほどよくわかるのです。
今回も読み応えたっぷりのミステリー、次回作も期待しています!
■ぜっさん推しポイント
この小説を読んでいて一番心臓に突き刺さったテーマ。それは児童虐待がもたらす不幸。この行為がどれほど罪なことかよくわかるし、社会福祉や保護施設の重要性も納得できてしまう。
本作では被害者の痛切な叫びが描かれるのですが、彼の行動や価値や判断基準を見てると、どこまでもどこまでも泣けてくる。人ひとりの人生をまるごと狂わせてしまうんです。
親になったら子どもを大切にするのは当たり前。でもまずそれ以前に、自分自身がまっすぐ生きることが大前提なんすよね。だって影響与えてしまうのは子どもなんだもの。
Posted by ブクログ
エーレンデュル捜査官シリーズ第8弾。
今作品は、今までエーレンデュルの脇役捜査官だったシグルデュル=オーリが、友人から厄介な相談事を受けたことから始まる。
スウィンガー・パーティーで撮られた写真がきっかけで起きた暴力事件が殺人事件となり、関わった者を捜査するうちに銀行員が絡んだ犯罪もまた、この事件と絡んでくる。
もうひとつは、浮浪者で酒浸りのアンドレスと革製のマスクの男である。
何故アンドレスが酒に溺れることになったのか、それは彼の少年の頃の出来事が関係していた。
このシリーズの特徴といってもいいのが、捜査する者(シグルデュル=オーリ)の私生活が明らかになることである。
彼の生い立ちと母親との関係、別れた妻ベルクソラへの未練などが、捜査中にも入ってくる。
何事もなく捜査に邁進できる…わけでもなくちょっとした時間に母親との会話や父親の病気などで心乱されたりする。
だが自身が複雑なだけに捜査においても良い意味で、人の感情に敏感になりプラスとなることも…と思ったりするのだが…。
ラストで、革製のマスクと関わりがあるアンドレスを追った先に…。
これも想像してしまう…。
続編になるのか…
そして、エーレンデュルの休暇は終わったのか、気になるところ。
Posted by ブクログ
アイスランドの作家によるアイスランドが舞台のミステリー。アイスランドは人口が40万人ほどで、金融立国であり観光立国でもある。舞台はアイスランドが所謂金融バブルが爆ける前で、書かれたのがはじけた翌年ということもあり、一部社会派寄りのミステリーとも捉えられるかも。
3つの事件要素を絡めての進展はなかなか面白く飽きさせない。一つ難を言えば、慣れない人名と地名で悩まされる笑
Posted by ブクログ
かなり終盤まで、このシリーズの中では弱いなと思いつつ読んだのですが、終わってみればさすがの重厚さと暗さにしびれました。
主役不在の中、今回抜擢された普段は脇役の若者の、父と母からの影響の受け方、さまざまなカップルの形、また興味深いアイルランドのバブル経済など、忘れ難いものを残してくれました。
Posted by ブクログ
大好きなシリーズ新作、これまでザ陰鬱を突きつけてくれたシリーズにしては、銀行がらみでちょっと軽い印象。それでも、アイスランドって全く、、と思わざるを得ないような事件の数々でいやはや、です。まあ、知らないだけで日本もそうでしょうけど。アンドレスが切なくて胸が痛みました。そして、久しぶりのメンバー登場で懐かしさでいっぱい。いつもはサブキャラのシグルデュル-オーリ、スカした奴かと思っていましたが、妻や両親との関係など深くえぐってくれてて、好感持てました。エーレンデュルはまだお出かけのようなので、サブキャラの皆さんで展開してくださっても全然OKです。
Posted by ブクログ
本作もエーレンデュルは不在。同僚のシグルデュル=オーリが殺人事件の捜査を進める様子が描かれる。
エーレンデュルとは違い、やや気取り屋で熱血とは程遠いイメージのシグルデュル=オーリだが、本作では彼の生い立ちや、別れた妻や両親との関係も事件と並行して丁寧に描かれていて、彼の人間らしさに触れることが出来る。
その生い立ち、特に母親との関係のせいで、人を見下すような態度をとってしまう不器用な彼が、父親や悲惨な生活を送っている人達に時折見せる優しさが愛おしい。
事件の内容も読み応え十分で、次作へと続くであろう不穏な展開で物語は終わる。早くも次作が待ち遠しくて仕方ない。
Posted by ブクログ
前作に続き主人公エーレンデュルが不在、部下のシグルデュル=オーリが中心の話です。これまでのシグルデュル=オーリの横柄な態度や冷淡さの理由が明らかになります。彼の事はずっと、嫌なヤツ…と思っていましたが、本作を読んでちょっと可愛く思えてきました。
夫婦交換からの恐喝そして殺人。幼少期の性的虐待からの復讐。銀行員たちの金融関係の悪事。この3つの出来事が最終的に絡みあっていきます。さほど難解ではない割に、読み応えはたっぷり。今作も面白いです!
個人的にはシグルデュル=オーリが人の心がわかる人間に少しづつ変わっていく過程が好きでした。
それにしてもエーレンデュルはいつ帰って来るのかな。次回作に期待です。
Posted by ブクログ
凄く好きなシリーズだが、今回は3番手のオーリ
が主人公。このシリーズのエーレンデュルがいないのに作品を作るのが私にはあり得ない。彼を好きな人には良い作品かもだが、私には刺さらなかった。
Posted by ブクログ
アンドレスの復讐劇、スウィンガーパーティー絡みの殺人、銀行を巡る犯罪という3つの事件が複雑に絡み合い、時系列も入り組んでいて理解するのが大変。しかも登場人物の名前が覚えにくく、私にとってはかなり手強い一冊だった。著者はアイスランド出身でダガー賞受賞歴もあるとのこと。もし名前がもっと覚えやすければ、さらに楽しめた気がする。簡単には犯罪の全貌がつかめない構成はさすが!