東京創元社作品一覧
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4.1ケンブリッジを震撼させた連続殺人は過去のこと。わが子アリーや召使いのマンスールたちと、イングランドの地で平穏に暮らしていた女医アデリアは、アリーの父であるロウリー司教に呼び出される。管区オックスフォードシャーにある迷路に囲まれたワームホールド塔で、ヘンリー二世の愛妾ロザムンドが毒を盛られたのだ。最大の容疑者である王妃エレアノールは、幽閉先から姿を消していた。国全体を巻きこむ戦を阻止するべく、アデリアは難事件に立ち向かう。CWA最優秀歴史ミステリ賞に輝いた『エルサレムから来た悪魔』に続く、シリーズ第2弾。
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4.121世紀最悪の連続殺人犯ビリー・デントが脱獄して二カ月、ジャズのもとをニューヨーク市警の刑事が訪れた。父ビリーに施された殺人者としての英才教育を生かして、ニューヨークの連続殺人、通称ハット・ドッグ・キラーの捜査を手伝ってほしいというのだ。渋々ニューヨークに同行するジャズ。だが事件を調べるうちに、故郷で起きた“ものまね師”事件との繋がりに気づく。そして被害者の遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャスパー〉のメッセージ。まさか父が? 悩みながらも事件を解決しようとするジャズ。好評の異色青春ミステリ第2弾!/解説=穂井田直美
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4.1アフガニスタンへの従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン博士。ロンドンで下宿を探していたところ、偶然に同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ――。ホームズとワトスン、永遠の名コンビの誕生であった。ふたりが初めて手がけたのは、空き家でのアメリカ人旅行者の奇妙な殺人事件。いくつもの手がかりから、ホームズの精緻な推理によって浮かびあがった驚きの真相の背景には、長く哀しい物語があった……。名探偵ホームズ初登場の記念碑的長編!/解題=戸川安宣、解説=高山宏
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4.1病院のベッドで科学者ジョー・コリガンは記憶を失い目を覚ます。もはや以前の自分ではない。かつて、オズ計画と呼ばれた極秘プロジェクトの立案者として、現実世界に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事してきた。そのテスト段階で自ら被験者となり、仮想世界と神経接合する。記憶はそこで途絶えた。計画はずっと昔に放棄されたと聞かされ、妻は去り、ひとり馴染みのない環境に置かれている。そこへある女が現れて言う。二人とも、いまだシミュレーション内に取り残されたままだ、と。現実と境目のない虚構世界のなかで、罠に囚われた科学者に脱出の道は? リアルすぎる仮想空間を描く、本格ハードSF!
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4.1一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。話の途中で気を失ったアンズウェルが目を覚ましたとき、密室内にいたのは胸に矢を突き立てられて事切れたヒュームと自分だけだった――。殺人の被疑者となったアンズウェルは中央刑事裁判所で裁かれることとなり、ヘンリ・メリヴェール卿が弁護に当たる。被告人の立場は圧倒的に不利、十数年ぶりの法廷に立つH・M卿に勝算はあるのか。法廷ものとして謎解きとして、間然するところのない本格ミステリの絶品。/座談会 ジョン・ディクスン・カーの魅力=瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久、戸川安宣(司会)/本座談会と『ユダの窓』について=戸川安宣
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4.1かつて繁栄を誇ったコンスル帝国の最北西に位置する霧岬。そんな霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日父と衝突し、怒りにまかせてゴルツ山に登った彼は、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟った。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになるとは……。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第3弾。/解説=金原瑞人
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4.1レースの本命と目されていた名馬が失踪し、調教師の死体が発見された。犯人は事件当夜に厩舎情報をさぐりにきた男なのか?錯綜した情報のなかから絶対的な事実のみを取りだし、推理を重ねていくシャーロック・ホームズの手法が光る「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」。ホームズが最初に手がけ、探偵業のきっかけとなった「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」、発表時イギリスに一大センセーションを巻き起こした、宿敵モリアーティー教授登場の「最後の事件」など、11の逸品を収録するシリーズ第2短編集。/収録作=「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」「黄色い顔」「株式仲買店員」「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」「マズグレーヴ家の儀式書」「ライゲートの大地主」「背の曲がった男」「寄留患者」「ギリシア語通訳」「海軍条約事件」「最後の事件」「解題=戸川安宣」「解説=小池滋」
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4.1スコットランドの寒村の古城で暮らすノーベル賞物理学者。この老科学者が地下の実験室で開発したのは、60秒過去の自分へ、6文字までのメッセージを送るプログラムだった。孫たちとともに実験を続けるうち、彼らは届いたメッセージを60秒後に送信しないという選択をしたが、何も起こらなかった。だがメッセージは手元に残っている。では送信者は誰なのか?そして、この宇宙はいったいどうやってできあがっているのか?ハードSFの巨星が緻密に描き上げる“時間間通信”の姿。大胆不敵な時間SF!
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4.1若き天才科学者クリフォードは、政府機関で統一場理論の研究を進めるうち、画期的な成果をあげた。物質、電磁気力、そして重力の本質を見事に解き明かしたのだ。この理論を応用すれば、宇宙のエネルギーを自由に操り、利用することができる。使い方によれば究極の兵器ともなり得るのだ。そこに目をつけた軍部は、ともすると反抗的なクリフォードを辞職に追いやり、独自に研究を始めた。彼は私的研究機関に移り、細々と自分の研究を続けていたのだが……。ハードSF界の旗頭ホーガンの面目躍如たる大作長編。星雲賞受賞作。
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4.11932年、突如として世界各地に現われた異能力者たち。ユーバーメンシュ――超人ともヒーローとも呼ばれる彼らは、第二次世界大戦を前に各国の情報機関や軍に徴集され、それぞれの能力を駆使して死闘を繰りひろげた。そして現在。戦時中にイギリスの情報機関に所属していたユーバーメンシュのひとりフォッグは、かつての上司と同僚に呼び出され、過去の回想をはじめる。レニングラード、ノルマンディ、ベルリン、そしてアウシュヴィッツ……やがてかれらは〈完璧な夏の日〉と呼ばれた少女にまつわる、歴史の陰に隠された事件の真相に迫ってゆく。新鋭の世界幻想文学大賞作家が放つ、最先端の“戦争×SF”。ガーディアン紙2013年ベストSF選出作。
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4.1出張帰りの夫の目に飛び込んできたのは、妻の無惨な死体。ふつうならこれだけでトルケル率いる殺人捜査特別班が呼ばれることはない。被害者が自宅の寝室で縛られ、首をかき切られていたのでなければ。その状況は、かつてセバスチャンがつかまえた連続殺人犯ヒンデの手口に酷似していた。だが、ヒンデはレーヴハーガ刑務所で服役中のはず。一方、ある動機で、ふたたび殺人捜査特別班に加わろうと企むセバスチャンは、渋るトルケルに売りこみをかけた。凄腕だが自信過剰の迷惑男セバスチャンの捜査が始まる!
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4.1惑星バラヤーの貴族の嫡子として生まれながら、身体的ハンデを背負って育ったマイルズ。17歳になり帝国軍士官学校の入試に臨んだ彼だったが、生来のハンデと自分の不注意のために試験に失敗、一切の希望が奪われたかに思われた。だが彼のむこうみずな性格が思わぬ道を切り拓く。ふとしたことから、身分を隠して大宇宙へ乗り出すことになったのだ。頼れるものは自らの知略だけ。しかし、さすがにマイルズも予期してはいなかった……この自分が、戦乱のタウ・ヴェルデ星系の真っ只中で実戦を指揮することになろうとは……! ユーモアと冒険の大人気スペースオペラ、ヴォルコシガン・シリーズ第1弾。
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4.1「息子が帰ってこないんです」ヴェステロース警察にかかってきた一本の電話、それがすべての始まりだった。少年は心臓をえぐり取られた死体で発見された。センセーショナルな事件に、国家刑事警察の殺人捜査特別班に救援要請が出された。メンバーはリーダーのトルケル以下四人の腕利き刑事。そこにひとりの男が加わった。男の名はセバスチャン・ベリマン、心理学者で殺人捜査特別班の元トップのプロファイラー。だがこの男、自信過剰で協調性ゼロ、アドレナリンとセックス中毒、捜査中でも関係者を口説いて寝てしまう、はた迷惑な奴だったのだ。スウェーデンを代表する脚本家がタッグを組んだ、注目の北欧ミステリ。
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4.1右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジストに、目の前で育ての親を惨殺されたことで、彼の人生は一変する。月の乙女、闇の魔女、海の女魔道師、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。宿敵を滅ぼすべく、カリュドウは魔法ならざる魔法を操る〈夜の写本師〉としての修業をつむが……。日本ファンタジーの歴史を塗り替え、読書界にセンセーションを巻き起こした著者のデビュー作。
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4.1【第1位『週刊文春』1994年ミステリーベスト10】クライヴは内心腐っていた。刑事に昇進したのも束の間、栄光のロンドンから七十マイル以上離れたこんな田舎町に配属になるとは。だが、悲嘆にくれている暇はない。じきにクリスマスだというのに、日曜学校からの帰途失踪した八歳の少女、銀行の正面玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物など、市には大小様々な難問が持ちあがる。いや。最大の難問は、不撓不屈の仕事中毒にして、死体と女の話をこよなく愛する、上司のフロスト警部であったかもしれない……。続発する難事件をまえに下品きわまる名物警部が奮闘する、風変わりなデビュー作!
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4.1ドイツ、2008年11月。空軍基地跡地にあった空の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明する。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、生まれ育った土地へ戻ってきていた。彼はふたりの少女を殺害した罪で服役したが、寃罪だと主張しつづけていた。だが村人たちに受け入れてもらえず、正義という名の暴力をふるわれ、母親までも何者かに歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。閉塞的な村社会を舞台に、人間のおぞましさと魅力を描き切った衝撃の警察小説!
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4.1舞台はどことも知れぬ惑星。数百メートルの巨大な鉄柱に支えられた小さな甲板。そこに“会社”が建っている。語り手は日々、そこで異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない。はるか泥土の海を渡って襲い来る“外回り営業”との戦い、脳裏にフラッシュバックする、自分のものかどうか分からぬ記憶……。そしてこの惑星自体が、最終的に何かを生み出すために存在したのだった。奇怪な造語に構築された、誰も見たことのない世界を構築するSFセンス! 応募総数594作から大森望・日下三蔵・堀晃が選出した大型新人。作者自筆のイラストを付す。第2回創元SF短編賞受賞作。選評・電子書籍版特典画像をダウンロードできるID・パスワード付き。(本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 結晶銀河』(創元SF文庫版 2011年7月初版発行)に掲載の、受賞作短編である「皆勤の徒」を電子書籍化したものです。同名の書籍(『皆勤の徒』 創元日本SF叢書版 2013年8月初版発行)及び、『結晶銀河』全ての電子書籍版ではございませんので、ご注意ください。)
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4.0猟区管理官ジョー・ピケットは、隣の地区の猟区管理官から、ドローンがミュールジカの群れを追い立てている件で協力を要請される。ドローンを使う狩猟は違法だ。情報を集めていくうちに、ドローンの所有者が2年前に東部から来た男で、ジョーの三女ルーシーのボーイフレンドの父親らしいとわかるが、なぜか捜査にFBIが絡んでくる。一方、鷹匠のネイトは、アリゾナ州ナンバーの車に乗ったガン・ケースを持つ男女を目撃し、不穏な予感を抱くが……。ジョー・ピケットVS.冷酷非情な暗殺者チーム! 大人気冒険サスペンス・シリーズ待望の最新作。/解説=吉野仁
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4.0妖力を分け与えるためとはいえ、妖怪奉行所東の地宮のお奉行月夜公が犬猿の仲である朔ノ宮に口づけしたという事件は、あっというまに噂好きの妖たちの間に広まった。そこで黙っていられなくなったのが、日頃朔ノ宮に熱をあげていたやもりの妖怪白守だ。月夜公に果たし状を送っても相手にされず、送りつけた大量の文もすべて黙殺され、怒り心頭に発した白守はついに最終手段にでることに……。果たしてその顛末は? 妖怪の子預かり屋の青年弥助、養い子の千吉と妖たちの、愉快でほろ苦く心に響くエピソードをつないだ、人気シリーズ第6弾。
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4.01~2巻950円 (税込)ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選し、全3巻のアンソロジーに集成した。第1巻には名探偵・神津恭介がホテルの密室殺人に遭遇する高木彬光「妖婦の宿」、チーム移籍を控えたプロ野球投手が殺される坂口安吾「投手(ピッチヤー)殺人事件」、黄色い窓の部屋で起きた変死事件を描く陳舜臣「新・黄色い部屋」など全10篇を収録。謎を解く手掛かりは、本文中のあちこちに隠されています。あなたは巧妙な罠に騙されずに推理力を働かせ、真相を見抜くことができますか?/【目次】序文=福井健太/「妖婦の宿」高木彬光/「投手(ピッチヤー)殺人事件」坂口安吾/「民主主義殺人事件」土屋隆夫/「文学クイズ「探偵小説」」江戸川乱歩/「車中の人」飛鳥 高/「土曜日に死んだ女」佐野 洋/「追悼パーティ」菊村 到/「高原荘事件」山村正夫/「新・黄色い部屋」陳 舜臣/「愚かなる殺人者」笹沢左保
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4.0台北、東京、マラケシュ、ウィーン、チューリヒ、パリ……。弁護士で作家の「私」は講演会や朗読会で世界各国を訪れ、さまざまな過去を抱える人々と出会う。16年前に弁護したかつての依頼人がマラケシュで語った、当時明かさなかった事故死の事情。イタリアの古い館に滞在中、怪我をした隣人の女性から聞いた衝撃的な身の上話。ベルリンで亡くなった知人の遺言執行者に指名されて知った、彼の唯一の遺産相続人との愛憎半ばする関係──。死や罪悪感に翻弄される純粋で奇妙な人々の物語と、ところどころに挿入された歴史上のエピソードによる全26章は、ページを閉じたあとに、深く鮮烈な余韻を残す。クライスト賞受賞、日本で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた『犯罪』の著者が贈る新たな傑作短編集!
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4.01巻1,300円 (税込)ホフマンは友人のコンテッサとフケーを誘い、それぞれ1編ずつ短編を創作し、『子どものメルヘン』として1816年のクリスマスに刊行、翌17年にはその第2巻を刊行した。なかでもホフマンの「クルミ割り人形とネズミの王さま」が代表作で、今は翻案のバレエがクリスマスの定番となるほど親しまれているが、刊行当時は子どもには複雑すぎて理解できないとされた。本書には1巻と2巻を集約、他に森の精霊に翻弄される話(コンテッサ「別れの宴」)、怪しい風体の男の甘言に乗せられて怖い目に遭う子どもの話(フケー「覗き箱」)など全6編を収録。/【目次】K・W・ザリーツェ=コンテッサ「別れの宴(うたげ)」/フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー「小さい人たち」/E・T・A・ホフマン「クルミ割り人形とネズミの王さま」/E・T・A・ホフマン「見知らぬ子」/K・W・ザリーツェ=コンテッサ「剣と蛇 八章からなるメルヘン」/フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー「覗き箱」/訳者あとがき
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4.0ロンドンのマナーパーク校の同窓会で、下院議員が殺害された。彼の友人たちは女優や人気バンドのリードシンガーなど個性的な有名人ばかり。だが、現場に到着した刑事ハービンダー・カーは、部下のキャシーも友人のひとりだったと知る。下院議員の死因はインスリン中毒で、糖尿病患者であるキャシーは注射器を持ち歩いていた。捜査が始まると、被害者は「血を流す心臓(ブリーディング・ハート)」と書かれた手紙を何通も受け取っており、21年前に起きたある生徒の死亡事故の目撃者だったと判明する──。巧みな伏線の妙を味わえる『見知らぬ人』の著者の傑作謎解き長編。/解説=若林踏
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4.01955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!
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4.0天才的な腕前を誇るナイフ投げ師が、私たちの町にやってきた! 彼の名はヘンシュ。それまでいかなるナイフ投げ師も越えなかった一線を越えたことで、その名声を築き上げたのだ。公演の日、噂に聞いたヘンシュの投げ技は、徐々に趣向をエスカレートさせ……(表題作)。夜、私たちの町では、少女たちの秘密結社が妖しい儀式を開くという。風聞や関係者の証言によっても、結社の真の姿は判然とせず……(「夜の姉妹団」)。自動人形、空飛ぶ絨毯、地下世界――精密な文章により現実から飛翔するミルハウザーの魔法のごとき十二篇を、名手の翻訳で贈る。/【目次】ナイフ投げ師/ある訪問/夜の姉妹団/出口/空飛ぶ絨毯/新自動人形劇場/月の光/協会の夢/気球飛行、一八七〇年/パラダイス・パーク/カスパー・ハウザーは語る/私たちの町の地下室の下/訳者あとがき/創元文芸文庫版訳者あとがき/解説=藤野可織
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4.0時は19世紀。イギリス人外科医師サイラス・コードが乗船する小型帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸の極地探検にむかっていた。北緯68度線付近にある目的地のフィヨルドには、古代に建造されたとおぼしき未知の大建築物が存在するのだという。さまざまな苦難を経て、ようやく現地に到達したサイラスたち探検隊一行は、先着したライバル船のたどった運命を知る。そして目的の建築物を発見したとき、予想もしなかった事態が起こる……星雲賞作家が放つ、読者の予測を鮮やかに反転させる、超絶展開の傑作SF! ローカス賞、ドラゴン賞候補作。/解説=渡邊利道
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4.0荒廃した世界から浮上したかつてのベンガルールの街は、徹底した能力主義のテクノクラシー統治体制がしかれ、“頂点都市”と改名して繁栄を極める。この街の住民は生産性とソーシャルメディアのスコアに基づき厳格に評価され、上位二割と中間七割の“ヴァーチャル民”は最新テクノロジーを駆使した豊かな特権生活を享受している。だが、そこから排除されて都市外に追いやられた下位一割の“アナログ民”のあいだでは叛逆の胎動が……両者の視点から衝撃の近未来社会を描き、ローカス賞・クラーク賞ファイナリストとなったインド発の傑作SF!/解説=鯨井久志
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4.0パリのアパルトマンでルーマニアからの亡命将校の射殺体が発見された。傍らに残されたDRACという血文字。その後、女性が全身の血を抜かれて殺される猟奇殺人が続き、〈吸血鬼(ヴァンピール)〉事件としてパリ市民を震えあがらせる。矢吹駆は事件の犯人が遺体に動物の徴(シーニュ)を残していることに着目する。ミノタウロス島での凄惨な事件のショックから精神的に不安定な日々を送るナディアは、この連続猟奇事件に巻き込まれていく。脱血と動物の徴(シーニュ)は何を意味するのか? 亡命将校射殺事件と〈吸血鬼(ヴァンピール)〉事件の接点は? 矢吹駆の現象学的推理が暴く驚愕の真相とは。/解説=中村大介
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4.0弁護士事務所で働く青年・諒佑のもとに、幼馴染みである誠の捜索依頼がもたらされた。少年時代の出来事をきっかけに毎年必ず集まると約束していた日──クリスマスを目前に、誠はなぜ失踪したのか。諒佑は誠たちと出会った18年前の夏を回想する。無戸籍の諒佑と双子の妹の美子、ヤクザの家に生まれた誠、不法滞在の両親と暮らす姉弟マヨンチットとククリン。学校には行けずとも、楽しく豊かだった5人の生活は、殺人事件を機に一変する。誠の行方を追う諒佑は、奇しくもその事件の真相に迫ろうとしていた。警察小説の旗手、新境地たる傑作長編。/解説=若林踏
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4.0「では、明智小五郎権刑部卿。良き報せを待っている」帝の新たな命により、行方不明となった陰陽師の捜索にあたるべく堺を訪れた明智卿と安倍天晴。堺には納屋衆という商人たちの組合があり、それぞれ大店では上級陰陽師を抱えている。消え失せたのは人望も厚い熟練の陰陽師・土御門。錯綜する証言を前にさしもの明智卿も困惑する。いっぽう京では、若い娘と老人の骸が相次いで盗まれていた。堺と京、商いと政の中心地でそれぞれ発生した奇怪な事件は、やがて思わぬ場所で交錯する。魔術の発達した世界の犯罪に、名探偵と陰陽師が挑む本格ミステリシリーズ、待望の続編登場!/解説=松浦正人
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4.0まだ早い春の日、思い出の山を登るひと組の男女。だが、女は途中で足を挫き、つかの間別行動をとった男は突然の吹雪に襲われる。そして、山小屋で彼を待つ女に忍び寄る黒い影――山岳を舞台にした驚愕のサスペンス「冷たいホットライン」、両親に置き去りにされた孤島で生き抜こうと奮闘する幼い姉弟の運命を描く「アイランド」、海に臨む児童養護施設で噂される、謎の声が聞こえる空き家の秘密が明かされる表題作ほか、トリックと物語の融合で読者を魅了し続ける気鋭が贈る、一編一編に異なる技巧を凝らした9編を収める本格ミステリ短編集。/【目次】冷たいホットライン/アイランド/It's only love/悲しみの子/さよならシンデレラ/桜前線/晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)/発音されない文字/空耳の森/解説=末國善己
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4.0その骸は、四阿いっぱいの雪に埋もれていた。魔術による殺人と思われたが、なぜ犯人はこんな奇妙な手段で殺したのか。事件関係者は、調略に長けた軍人や京を牛耳る待徒一族、魔術の才を持つ近衛将曹ら、一癖も二癖もある人物ばかり。魔術を行使して人を殺めると、その証が術者の相貌に顕われるが、関係者にその気配はない。では、誰がなぜ、この異様な殺人を為し遂げたのか? “雪密室”を調査するのは、権刑部卿・明智小壱郎光秀と陰陽師・安倍天晴。『短編ミステリの二百年』で日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を制した著者が、魔術が存在する“日の本”を舞台に贈る傑作長編。/【目次】明智卿死体検分/天正十年六月一日の陰陽師たち/著者あとがき/解説=大森望
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4.0ミステリ界の巨匠・横溝正史。本格推理、耽美小説、時代小説など多岐にわたるジャンルで活躍した著者の軌跡を堪能できる傑作十七編を、入手困難な初出誌と初刊本をもとにして執筆順に収録。寄宿舎内で起きた、死体のない殺人を描くデビュー作「恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)」。かつて亡き姉と過ごした蔵の中で、少年が遠眼鏡で見たある光景が語られる「蔵の中」。河を流れてきた、胸に短刀が刺さった蝋人形が悲劇の幕開けを告げる、〈由利麟太郎〉シリーズ「猫と蝋人形」。『犬神家の一族』の原点ともいうべき名品の雑誌掲載版「車井戸は何故軋る」。殺人の濡れ衣を着せられた男が隣人・金田一耕助に救われる、「蝙蝠(こうもり)と蛞蝓(なめくじ)」。著者没後に発表された、記憶喪失の女性の正体をめぐる「空蝉処女(うつせみおとめ)」などを精選して贈る、珠玉のベスト短編集!/【目次】恐ろしき四月馬鹿(エイプリル・フール)/河獺(かわうそ)/画室(アトリエ)の犯罪/広告人形/裏切る時計/山名耕作(やまなこうさく)の不思議な生活/あ・てる・てえる・ふいるむ/蔵の中/猫と蝋人形/妖説孔雀樹(ようせつくじゃくのき)/刺青(いれずみ)された男/車井戸は何故軋る/蝙蝠(こうもり)と蛞蝓(なめくじ)/蜃気楼島(しんきろうとう)の情熱/睡(ねむ)れる花嫁/鞄の中の女/空蝉処女(うつせみおとめ)/編者解説=末國善己
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4.02019年2月。ベルリン国際映画祭の開会式場に悲鳴が響き渡った。オープニングで、女性が殺害される瞬間を撮った予定外の映像が上映されたのだ。金髪の女性が何者かに襲われ、大きな釘で心臓をひと突きされていた。しかも、彼女は市長の娘で女優の卵だと判明。映像はあまりにもリアルで、目出し帽の人物が上映を強要したという。トム・バビロン刑事は捜査を始めるが、相棒の臨床心理士のジータは、映像内の壁に残されていた「19」に自分との共通点を見つけて戦慄する。そして新たな惨劇が!『17の鍵』につづく、疾走感抜群のシリーズ第2弾。/解説=吉野仁
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4.0ジョンはフランス史を教える英国人の歴史学者。空虚な人生に絶望していた彼は、旅先のフランスで自分と瓜ふたつの男ジャン・ドゥ・ギに出会う。相手に引っ張られるままに飲んだ翌朝、ジョンが目覚めるとジャンの姿はなく、車や持ち物のすべてが消えていた。呆然とするジョンは、彼を主人と信じて疑わない運転手に促されるまま、ジャンの家に連れていかれる。ジャンは伯爵だが所有するガラス工場は経営が危うく、家族間はぎくしゃくしていた。手探りでジャンになりすますジョンだったが、事態は思わぬ方向に……。名手による予測不能なサスペンス。/解説=杉江松恋
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4.0謎を愛し推理を愛する読者の皆様は、ここにある六つの小説の問題編を読んで、真相に辿り着けるでしょうか。事件を解決に導くために必要な手掛かりは、紙上の名探偵たち同様、既に手渡されています。冷静な観察と論理的思考、そしてすこしの想像力を駆使すれば、犯人を、そして小説の向こう側にいる作者をも出し抜くことができるかもしれません。謎を解き明かす愉しさを、どうぞ心ゆくまでご堪能ください。六人の推理作家からの挑戦状は、たった一行──犯人は誰か? 豪華作家陣の犯人当て小説アンソロジー。/【目次】市川憂人「赤鉛筆は要らない」雪の夜の邸宅で起きた殺人/米澤穂信「伯林あげぱんの謎」当たりのお菓子を食べたのはだれ?/東川篤哉「アリバイのある容疑者たち」容疑者全員に犯行不可能/麻耶雄嵩「紅葉の錦」異色にして正統の○○○+犯人当て/法月綸太郎「心理的瑕疵あり」事故物件をめぐって相次ぐ死の真相は/白井智之「尻の青い死体」ホラー映画の撮影中に起きた殺人
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4.0人々に妖精の谷と怖れられる地で、荒野を庭として育った少女がいた。母は少女の名を隠し、少女の父、海の息子マナナーンから盗んだ鉢を護って洞穴でひっそりと暮らしていた。だが少女は日ごとに成長し、力強く、そして素早くなった。やがて広い世界への憧れが抑えきれなくなった少女は、母からペレティルという名前を受け取ると、カエル・レオンに玉座を構える王アルトゥルスの戦士団に加わるべく旅立った……。ネビュラ賞受賞作家が、アーサー王伝説群の中のパーシヴァルの物語を独自の視点で語り直した鮮烈な作品。LAタイムズ文学賞受賞作。
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4.0「さて、今日の“お楽しみ(エクサイトメンツ)”は何かしら?」ロンドンに住む99歳のジョゼフィーンと97歳のペニーの姉妹は、ただ者ではない。第二次世界大戦中、姉は海軍婦人部隊に、妹は応急看護婦部隊に所属していた。戦後もそれぞれ社会に貢献する日々を送り、現在は退役者として講演をしたり、インタビューを受けたりして暮らしている。そんなとき、戦時中のフランスへの働きに対して、姉妹にレジオン・ドヌール勲章が授与されることに。二人は甥の息子アーチーと一緒にパリへと向かうことにするが、ペニーには別の思惑があった。パリでの勲章授与式の裏で、長年心に秘めてきたある計画を成し遂げなくては――。モールス信号での会話が得意で格闘術の心得もあり。“いつも機嫌よく(トゥージュール・ゲ)”を合言葉に、第二次世界大戦から現在まで激動の時代をたくましく生きる最高の姉妹を描いた、勇気をもらえる感動作!
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4.0“だァれも知らないとこなの”女が語った美しい故郷の風景とは? 哀切極まる真相が胸を打つ「エルドラドオ」。中世錬金術師の甦りの秘薬をめぐる奇譚「復活の霊液」。偶々下船した島で見知らぬ女との暮しに引き込まれていく「郷愁」他、読者を「ミステリアスな宇宙へとさそいこむ」と星新一が絶賛する城昌幸傑作選『のすたるじあ』を完全収録。第2部には、酒場の主人が語る数奇な運命譚「面白い話」、ナイル河畔に出没する魔性の者の甘美な恐怖を描く「吸血鬼」など、書籍初収録を含む珠玉の短篇を収める。/【目次】1 のすたるじあ/大いなる者の戯れ/ユラリゥム/ラビリンス/まぼろし/A Fable/光彩ある絶望/燭涙/エルドラドオ/美しい復讐/復活の霊液/斬るということ/蒸発/哀れ/郷愁/解説=星新一/2 その他の短篇/今様百物語/シャンプオオル氏事件の顚末/東方見聞/神ぞ知食(しろしめ)す/死人に口なし/吸血鬼/書狂/他の一人/面白い話/三行広告/間接殺人/うら表/憂愁の人/夢見る/怪談京土産/白夢/2+2=0/はかなさ/解説=夕木春央/初出一覧・編集後記
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4.0実は英国政府の情報員(エージエント)であるレドヴァースの依頼で、夫婦のふりをして豪華客船オリンピック号に乗りこんだジェーン。目的はドイツのスパイを捜しだすこと。ジェーンは初めての捜査(?)にやる気満々だ。そんなとき、乗客の女性が、新婚の夫が消えてしまったと騒ぎはじめた。おまけに夫の荷物まで部屋からきえてしまったのだという。船長は彼女の訴えをまともにとりあおうとしなかったが、出港するときに女性とその夫の姿を目撃していたジェーンは、彼女の主張を信じて勝手に調べはじめる。好評アガサ賞最優秀デビュー長編賞受賞シリーズ第3弾!
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4.0ロンドンはテムズ川沿いの閑静な高級住宅地リヴァービュー・クロースで、金融業界のやり手がクロスボウの矢を喉に突き立てられて殺された。門と塀で外部と隔てられた、昔の英国の村を思わせる敷地のなかで6軒の家の住人が穏やかに暮らす──この理想的な環境を、新参者の被害者は騒音やプール建設計画などで乱していた。我慢を重ねてきた住人全員が同じ動機を持っているこの難事件に、警察から招聘された探偵ホーソーンは……。あらゆる期待を超えつづける、〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ第5弾!/解説=古山裕樹
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4.0大昔、日本は北と南でアジア大陸と地続きだったが、温暖化によって……。ところで「日本」はニホンかニッポンか、日本人の要件って何だろう? バーのカウンター席で始まった歴史談義は、漠然と受け止めていたけれど実は全然知らなかったんだと気づかされることのオンパレード。八幡平や桶狭間などの現地踏査も交え、数々の不思議に理論で迫る。原日本人、邪馬台国、柿本人麻呂、空海、織田信長、東州斎写楽、太平洋戦争――日本人なら知っておきたい七つのテーマに、鯨史観は如何なるアプローチを試みるか。好評を得た『邪馬台国はどこですか?』『新・世界の七不思議』に続く、第3弾。/【目次】原日本人の不思議/邪馬台国の不思議/万葉集の不思議/空海の不思議/本能寺の変の不思議/写楽の不思議/真珠湾攻撃の不思議/*本電子書籍は『新・日本の七不思議』(創元推理文庫 新装新版 2024年8月30日初版発行)を底本としています。
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4.0生きるために、他人になりすまして“仕事”をしてきた“わたし”。今回はボスから、エヴィという女の経歴を使い、ルイジアナ州の小さな町に住む男ライアンの裏稼業について調べろと指令を受けた。偶然を装ってライアンと出逢い、同棲にこぎつけ、順調に調査をつづけていたある日、状況が一変。パーティで紹介された女性が、自分そっくりの外見で、自分の本名を名乗り、自分自身が経験した出来事を語ってきたのだ。“わたし”になりすましている彼女は何者なのか? 目的は? 〈ニューヨーク・タイムズ〉ベストセラー第1位の大型サスペンス!/解説=若林踏
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4.0玩具会社部長の馬割朋浩から、妻・真棹の素行調査を依頼された調査会社社長・宇内舞子は、新米助手の勝敏夫と共に夫妻の乗った車を尾行する。ところが、その車を隕石が直撃するという奇禍で、朋浩は命を落とす。この事件が幕開けを告げたかのように、馬割家で不可解な死が連続し、舞子と敏夫は、幕末期まで遡る一族が抱える謎と、「ねじ屋敷」と呼ばれる同家の庭に造られた、五角形の巨大な迷路に隠された秘密に挑むことになる。絢爛巧緻な犯罪絵巻であり、本格ミステリの醍醐味に満ちた、第31回日本推理作家協会賞受賞作にして、不朽の名作!/解説=阿津川辰海
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4.0「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったです。特にマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いて抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その人は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──錯乱する少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様と出会うことで想像を絶する奈落へと突き落とされる──。/解説=織守きょうや
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4.0迷路のような地下都市カヴェルナの人々は自分の表情をもたず、《面(おも)》と呼ばれる作られた表情を教わる。そんなカヴェルナに住むチーズ造りの親方が、トンネルで痩せこけた幼子を見つけた。ネヴァフェルと名づけられた幼子は、ある理由から外の世界から隠されて育てられる。一瞬たりともじっとしていられない好奇心いっぱいの少女に成長したネヴァフェルは、ある日トンネルを抜けだし街に出てしまい、そこで奇しくも国全体を揺るがす陰謀のただ中に放り込まれるが……。『嘘の木』の著者が描く、健気な少女が大活躍する冒険譚。カーネギー賞候補作。
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4.0私立探偵マーロウはある弁護士から駅に着くひとりの女を尾行し、その宿泊先を報告せよと依頼される。目的は知らされぬまま……。彼は列車から降りたった女を尾行するが、彼女は男につきまとわれ、どうやら脅されているらしい。ホテルにチェックインした女は、そこでも男につきまとわれていた。マーロウは依頼主の意思とは無関係に女の秘密をさぐろうと接触する。すると彼女は夜中に、バルコニーに男の死体があると助けを求めてきたが、マーロウが行くと死体は消えていた。何が起きたのか? この女は何者なのか? チャンドラーの実質的遺作!/解説=堂場瞬一
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4.0十九世紀末のフランス・パリ。職人ノアは、故人の姿を見ることができる特別な幻燈機の製作を得意としていた。新たな依頼人は、鏡だらけの奇妙な屋敷で暮らすマルグリット。五年前に亡くなった彼女の妹シャルレーヌの過去を読み解くうち、ノアは姉妹の秘密に呑み込まれてゆく……。SFと幻想が融合した世界を紡ぎ続ける著者、待望の第二作品集。/【目次】感傷ファンタスマゴリィ/さよならも言えない/4W/Working With Wounded Women/終景累ヶ辻(しゅうけいかさねがつじ)/ウィッチクラフト≠マレフィキウム/解説=高原英理
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4.0被害者は、2月5日、火曜日の午後4時5分に空から降ってきた。喉には無惨な切り傷。落下してきたと思われたその男のフラット5階、バルコニーのある部屋は無人で、しかも玄関ドアは内側から釘と板で封じられていた。この不可解な密室殺人に臨むのは、サセックス警察のテス・フォックス警部補。彼女はしかし、被害者の名を知って愕然とする。その男は15年前、妹セアラを救うために罪を犯したあの夜の関係者だった。詐欺師として自分と正反対の世界で生きる異母妹を救うために……。意外な展開を見せる事件に姉妹が挑む、新シリーズ開幕!
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4.0何らかの賞を獲ったら恋人の可能キリコへ求婚すると、心に決めていたミステリ作家の牧薩次。文英社の「ざ・みすてり」大賞に、薩次の作品が選ばれたと、新宿ゴールデン街の行きつけのスナック『蟻巣』に連絡が入る。店の面々がお祭り騒ぎの中、当の薩次は嬉しいはずなのにどこか煮え切らない態度……。一方、選考委員の三人が、一人は北海道のホテルのコテージで殺害され、一人は箱根橿の木坂近くで事故に、一人は行方不明に、と次々と不幸に見舞われる。ミステリ新人賞の選考会をテーマに、薩次とキリコの結婚のエピソードを描いた、〈ポテトとスーパー〉シリーズ幻の長編。/解説=西日暮里佐保
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4.0ヨークシャーの荒れ野で農場を営むキャロルのところに、謎めいた男が転がりこんできた。嵐の夜、雨宿りの場所を請う男を警戒してことわる一幕を経て、不幸な経緯から、キャロルはショットガンで男に怪我を負わせる。看護の心得のある彼女は応急処置をほどこし、回復までの宿を提供することにしたが、意識を取りもどした男は、過去の記憶がないと言う。何もかもが見かけどおりでないかもしれない。そんな奇妙な不安のもとに始まる共同生活――背後で繰りひろげられる異様な逃避行! 幻惑的な冒頭から忘れがたい結末まで、圧倒的な筆力で紡がれる悪夢と戦慄の物語。驚嘆のデビュー長編。/解説=三橋曉
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4.0レイキャヴィクのアパートの一室で、刃物で喉を切り裂かれた若い男の死体が発見された。男はレイプドラッグと言われるクスリを所持しており、バーやレストランで出会った女性にクスリを混入した飲み物を飲ませて意識を失わせ、レイプしていた常習犯らしい。被害者による復讐か? 犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明のなか、同僚のエリンボルクは現場に落ちていた一枚のスカーフの香りを頼りに捜査を進める。世界のミステリ読者を魅了する北欧の巨人の人気シリーズ第7弾。
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4.0平穏な家庭に育ち、26年間大きな恐怖に襲われたことがなかった会社員・友安小輪の生活は、ある日を境に一変した。恋人と同棲するアパートに突然謎の老人が現われ、執拗ないやがらせを始めたのだ。恋人は不自然に萎縮し、交番の警官はまともに取り合おうとしない。一方、都内に住む若夫婦が老人に襲撃され、夫は過剰殺傷の末に死亡、妻が攫われるという事件が起きる。幼い頃に姉を殺害されたことがきっかけで刑事になった“事件マニア”の佐坂湘は、くせ者ながら優秀な警視庁捜査一課の捜査官・北野谷輝巳と組み、妻の行方を追うが……。老人による不可解な犯罪、その先に待つ衝撃の結末とは。戦慄のサイコサスペンス。/解説=古山裕樹
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4.0神田・お玉が池に住む岡っ引きの佐七親分。京人形のような色男ぶりから「人形左七」と呼ばれる彼は、明晰な頭脳で多くの事件を解決する名探偵でもあった。羽子板のモデルになった娘が次々に殺される、佐七初登場作「羽子板娘」。隠居した元大身の旗本が主催する、月見の宴で招待客が殺され、四つの証拠品がそれぞれ別の客が犯人だと示唆する「名月一夜狂言」。恋女房のお粂、子分の辰五郎と豆六と共に活躍する、佐七の名推理を描いた17編を収録。ミステリ界の巨匠による人気捕物帳シリーズから、選りすぐりの本格ミステリを収録した決定版!/【目次】羽子板娘/名月一夜狂言/戯作地獄/生きている自来也(じらいや)/出世競べ三人旅/鶴の千番/春色眉(まゆ)かくし/彫物師の娘/春宵(しゅんしょう)とんとんとん/狐の裁判/当り矢/風流女相撲/たぬき汁/遠眼鏡(とおめがね)の殿様/呪いの畳針/ろくろ首の女/初春笑い薬/編者解説=末國善己
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4.0伝説の古書『サラエボ・ハガダー』が発見された――深夜のその電話が、数世紀を遡る謎解きの始まりだった。容赦ない焚書と戦火の時代にありながら、この本は誰に読まれ、守られ、現代まで生き延びてきたのか? 調査を依頼された古書鑑定家のハンナは、ページに挟まった蝶の羽や、羊皮紙に染み込んだワインの一滴を手がかりとして、美しい古書の歩んできた歴史をひも解いてゆく。その旅路には、激動の世を懸命に生きる人々の姿があった――科学調査に基づく謎解きの妙と、哀惜に満ちた人間ドラマが絡み合う、第2回翻訳ミステリー大賞受賞作!/解説=千街晶之
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4.0M・リッカート / エリザベス・ハンド / ショーニン・マグワイア / カルメン・マリア・マチャード / カッサンドラ・コー / ジョン・ランガン / カレン・ヒューラー / ベンジャミン・パーシィ / ジョイス・キャロル・オーツ / リチャード・キャドリー / ポールトレンブレイ / スティーヴン・グレアム・ジョーンズ / ジェフリー・フォード / ジェマ・ファイルズ / ジョシュ・マラーマン / ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン / レアード・バロン / ケリー・リンク / 新井なゆり / 市田泉 / 井上知 / 小野田和子 / 佐田千織 / 谷垣暁美 / 中村融 / 原島文世 / 渡辺庸子 / エレン・ダトロウ1巻1,599円 (税込)『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』『処刑人』「くじ」など数々の名作を遺した鬼才シャーリイ・ジャクスン。日常に潜む不安と恐怖、目には見えない邪悪な超自然的存在との出会いや家族間の複雑な関係、人間心理の奥底に流れる悪意を鮮やかな筆致でえぐりだした彼女に敬意を表し、ケリー・リンク、ジョイス・キャロル・オーツ、ジェフリー・フォード、エリザベス・ハンドら当代の錚々たる幻想文学の名手たちが書き下ろした傑作18編を収録する、珠玉のトリビュート・アンソロジー。シャーリイ・ジャクスン賞特別賞、ブラム・ストーカー賞受賞作。/【目次】序文=エレン・ダトロウ/弔いの鳥=M・リッカート/所有者直販物件=エリザベス・ハンド/深い森の中で――そこでは光が違う=ショーニン・マグワイア/百マイルと一マイル=カルメン・マリア・マチャード/穏やかな死者たち=カッサンドラ・コー/生き物のようなもの=ジョン・ランガン/冥銭=カレン・ヒューラー/鬼女=ベンジャミン・パーシィ/ご自由にお持ちください=ジョイス・キャロル・オーツ/パリへの旅=リチャード・キャドリー/パーティー=ポール・トレンブレイ/精錬所への道=スティーヴン・グレアム・ジョーンズ/柵の出入り口=ジェフリー・フォード/苦悩の梨=ジェマ・ファイルズ/晩餐=ジョシュ・マラーマン/遅かれ早かれあなたの奥さんは……=ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン/抜き足差し足=レアード・バロン/スキンダーのヴェール=ケリー・リンク/謝辞/解説=深緑野分/編者紹介/訳者紹介
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4.0ロンドン警視庁の孤独な刑事、ケイト・リンヴィルは、敏腕警部だった父の惨殺現場となった生家を貸し家にしていたが、家の処分を決意。宿を取った近くのB&Bの14歳の娘アメリーが行方不明になる。捜査にあたるのは、ケイトの父の事件の時と同じ地元警察のケイレブ・ヘイル警部だった。その頃、1年前に失踪した少女の遺体が発見された。これは同一犯による誘拐なのか? しかし、アメリーは奇妙な状況下で発見される。防波堤から海に落ちかけていたところを男たちに助けられたのだ! 何があったのか? ケイトは管轄外の事件に再び巻き込まれる。
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4.0数万の暗い部屋を持つアーチ状の7層のフロアからなる、ミツバチの巣のような外観をしたバビロンならぬヴァヴィロン(格差市)。あらゆる信仰とあらゆる都市を見知った人々が理想都市にふさわしい地を求めてさまよう中、一瞬だけ地平線に見出したアラパバード(憧憬市)。天上と地下に永遠に続いていく超巨大建築都市ヴァーティシティ(垂直市)……。カルヴィーノ『見えない都市』と同時期に構想され、SFとファンタジイの女王アーシュラ・K・ル=グインが愛し自ら英訳を手がけた、ルーマニアの鬼才が描く空想上の都市と建築についての36編。/【目次】日本の読者へ/ヴァヴィロン――格差市/アラパバード――憧憬市/ヴィルジニア――処女市/トロパエウム――凱歌市/セネティア――老成市/プロトポリス――原型市/イソポリス――同位市/カストルム――城砦市/・・・・・/ザアルゼック――太陽市/グノッソス――迷宮市/ヴァーティシティ――垂直市/ポセイドニア――海中市/ムセーウム――学芸市/ホモジェニア――等質市/クリーグブルグ――戦争市/モエビア、禁断の都/モートピア――モーター市/アルカ――方舟/コスモヴィア――宇宙市/サフ・ハラフ――貨幣石市/シヌルビア――憂愁市/ステレオポリス――立体市/プルートニア――冥王市/ノクタピオラ――夜遊市/ユートピア/オールドキャッスル――古城市/ゲオポリス――地球市/ダヴァ――山塞市/オリュンピア/ハットゥシャシュ――世界遺産市/セレニア――月の都/アンタール――南極市/アトランティス/クアンタ・カー――K量子市/アルカヌム――秘儀市/私の幻想都市/フランス語版あとがき/スペイン語版まえがき/πへの道――アーシュラ・K・ル=グイン:英語版序文/訳者あとがき/解説=酉島伝法
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4.0村外れに一人で住む少年コルネーリオは、森で瀕死の男を見つける。男はフィレンツェ共和国政府の要人でもある芸術家ミケランジェロの密偵だった。教皇と神聖ローマ皇帝の軍勢から故国を救おうと、レオナルド・ダ・ヴィンチが隠した兵器の設計図を、密かに探していたのだ。だが手がかりは謎めいた詩だけ。治癒の力をもつコルネーリオと、かつてかれが命を助けた少女フランチェスカ、そしてヴェネツィアの魔術師も加わった一行は、敵の追っ手が迫るなか、万能の天才が残した手がかりを追う。『ヴェネツィアの陰の末裔』の著者が16世紀イタリアを舞台に描く、歴史ファンタジイの決定版。
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4.0「われわれの契約は、これで終わりだ」彼が主人公のミステリを書くことに耐えかねて、わたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは探偵ダニエル・ホーソーンにこう告げた。翌週、ロンドンの劇場でわたしの戯曲『マインドゲーム』の公演が始まる。初日の夜、劇評家の酷評を目にして落胆するわたし。翌朝、その劇評家の死体が発見された。凶器はなんとわたしの短剣。かくして逮捕されたわたしにはわかっていた。自分を救ってくれるのは、あの男だけだと。〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズの新たな傑作!/解説=三橋曉
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4.0アコースティックギターの調べは、ぼくの目の前に金色の雨として現われる。指で絹をなでたときには、レモンメレンゲの風味とねっとりした感触を舌に感じる。ぼくは「共感覚」と呼ばれるものの持ち主だった――コーヒー味を通してのみ互いを認識できる少年と少女の交流を描くネビュラ賞受賞作「アイスクリーム帝国」、エミリー・ディキンスンが死神の依頼を受けて詩を書くべく奮闘する「恐怖譚」、マッドサイエンティストが瓶の中につくりあげたメトロポリスの物語「ダルサリー」、町に残される奇妙なしるしに潜む魔術的陰謀を孤独な男女が追う表題作ほか、繊細な技巧と大胆な奇想に彩られた全十四篇を収録する。/【目次】アイスクリーム帝国/マルシュージアンのゾンビ/トレンティーノさんの息子/タイムマニア/恐怖譚/本棚遠征隊/最後の三角形/ナイト・ウィスキー/星椋鳥(ほしむくどり)の群翔/ダルサリー/エクソスケルトン・タウン/ロボット将軍の第七の表情/ばらばらになった運命機械/イーリン=オク年代記/編訳者あとがき
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4.01891年、英国で創刊したばかりの〈ストランド・マガジン〉が掲載したシャーロック・ホームズ譚は、爆発的な好評を博し、雑誌の売行きは一挙に数倍にはね上がった。この異常人気に他誌が黙っているはずはない。かくして陸続と独自の個性を誇る名探偵たちが登場し、名推理を競い合うことになった。彼らを通称して《シャーロック・ホームズのライヴァルたち》といい、名探偵の世紀が開幕する。本巻はアメリカの生んだ名探偵《思考機械》の活躍を描く名作を選りすぐった本格派ファン垂涎のコレクション第1巻!/【目次】《思考機械》調査に乗り出す/謎の凶器/焔をあげる幽霊/情報洩れ/余分の指/ルーベンス盗難事件/水晶占い師/茶色の上着/消えた首飾り/完全なアリバイ/赤い糸/解説=戸川安宣
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4.0〈久遠の島〉そこは世界中のあらゆる書物を見ることができる不思議な場所、心から本を愛する人のみが入ることを許される楽園だった。あるとき、ひとりの王子が島を訪れた。魅力的で、島を守る氏族の少年ともすぐに打ち解けたが、その真の姿は強欲で身勝手で目的のためなら手段を選ばない人物だったのだ。そして彼の野心が島に悲劇をもたらした……。書物の護り手である氏族の兄弟がたどる数奇な運命とは。連合王国フォト、呪法の国マードラ、写本の都パドゥキアを舞台におくる、著者のデビュー作『夜の写本師』に連なる本の魔法と復讐の物語。/【目次】久遠の島/テズーとヨーファン/あとがき
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4.0月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行なわれた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。生物学的には現代人とほとんど同じにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいたのだ。いったい彼の正体は? 謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。調査チームに招集されたハント博士は壮大なる謎に挑む……。ハードSFの巨匠ホーガンのデビュー長編にして、不朽の名作。第12回星雲賞海外長編部門受賞作。/解説=鏡明/*本電子書籍は『星を継ぐもの』(創元SF文庫 新装新版 2023年7月7日初版発行)を底本としています。
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4.0僕の姉は怪談作家だ。本名にちなんだ呻木叫子というふざけた筆名で、専攻していた民俗学でのフィールドワークの経験を生かしたルポルタージュ形式の作品を発表している。ある日姉の自宅を訪ねた僕は、密室の中で両瞼を己の髪で縫い合わされて昏睡する姉を発見する。この常識を超えた怪事件は、彼女が取材中だった旅館〈影踏亭〉に出没する霊と関連しているのか? 姉を救う手掛かりを求めて宿へ調査に出向くことにした僕は、宿泊当夜に密室で起きた殺人事件の容疑者となってしまい……第17回ミステリーズ!新人賞受賞作ほか、全4編を収録。/【目次】影踏亭の怪談/朧トンネルの怪談/ドロドロ坂の怪談/冷凍メロンの怪談/解説=朝宮運河
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4.0江戸の片隅で養い子の千吉と暮らす青年弥助は、実は妖怪の子預かり屋。夜な夜な妖怪達が子供を預けにくるのだった。そんな弥助の家の外にそっとたたずむひとりの妖怪、人恋しそうな彼女を弥助は家に招き入れるが……「軒先にたたずむもの」、石地蔵そっくりの妖怪が子供を預けにきた。だが三人の兄弟は仲が悪く喧嘩ばかり……「仲の悪い三兄弟」、へちまそっくりの貸し道具屋の若旦那が拾った手鏡、そこには……「迷子のへちま」等、妖怪達のにぎやかで不思議な日常を描いた短編9編を収録。可愛くてちょっぴり怖いお江戸妖怪シリーズ第3弾。/【目次】プロローグ/軒先にたたずむもの/仲の悪い三兄弟/迷子のへちま/蛍狩り/秘密の茶飲み仲間/蛙達の家探し/冬の訪れ/年末の餅つき/鼓丸(つづみまる)の毛/あとがき
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4.0好古趣味と巧みな恐怖演出で近代怪奇小説の礎を築いたM・R・ジェイムズ。幽霊、魔女、異界など多様な題材に怪異のリアリズムを追求しつつ心理学的解釈を加えたアルジャーノン・ブラックウッド。『幽霊島』に続く平井呈一怪談翻訳集成第二集は、マッケンとあわせて英国怪奇小説の三羽烏と称される恐怖の名匠の傑作を中心に、その訳業の原点ともいうべき昭和初年の翻訳、コッパード「シルヴァ・サアカス」とホフマン「古城物語」、さらに鍾愛の作家ラフカディオ・ハーンの怪奇文学講義を集成。付録として作家解説や翻訳観が窺えるエッセーを収録。/【目次】〈Ⅰ M・R・ジェイムズ集〉消えた心臓/マグナス伯爵/解説(平井呈一)/〈Ⅱ アルジャーノン・ブラックウッド集〉人形/部屋の主/猫町/片袖/約束/迷いの谷/解説(平井呈一)/〈Ⅲ 初期翻訳〉シルヴァ・サアカス=A・E・コッパード/古城物語=E・T・A・ホフマン/〈Ⅳ ラフカディオ・ハーンの怪奇文学講義〉「モンク・ルイス」と恐怖怪奇派/小説における超自然の価値/〈付録 エッセー〉マリー・コレリ『復讐(ヴェンデッタ)』あとがき/もう一人のシャーロック・ホームズ/〈東都書房版「世界推理小説大系」月報〉訳者として、訳者のことば、H・M礼讃/〈講談社版「世界推理小説大系」月報〉訳者のことば、翻訳よもやま話、下戸/教師としての小泉八雲/秋成小見/『万霊節の夜』について/解題/「われわれ自身が一個のghostである」=垂野創一郎
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4.0かつてはナチの残党を、現在は独裁者や犯罪者を標的としてきた暗殺組織〈美術館〉。社会に害を為す人物の抹殺に40年を捧げてきた60歳のビリーたち女性暗殺者4人は、引退の日を迎えた。それを記念するカリブ海クルーズに出かけたが、彼女たちを殺すため、組織から刺客が送り込まれたと判明する。生き延びるには、知恵と暗殺術を駆使して組織に反撃するしかない。もはや若くはない肉体と輝かしくもほろ苦い思い出を抱え、ビリーたちは殺すか殺されるかの危険な作戦を練りはじめる──。MWA賞候補作の著者が贈る、極上のエンターテインメント!/解説=村上貴史
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4.0大風がイングランドを見舞った日、ロンドンの下宿ビーコン・ハウスでは珍事が発生する。新参者のスミスという男が、下宿の管理人ダイアナの友人である女相続人ロザマンドの話相手(コンパニオン)メアリーに唐突に求婚し、その上友人を訪ねてきた流行医師ウォーナーに銃を向けて発砲したのだ。彼はしかも、メアリーを連れて馬車でその場から逃走をはかった。ビーコン・ハウスの面々はスミスの奇妙な行為を裁くため、私的法廷を開く。検察側に立った犯罪学者サイラス・ピムと、弁護に名乗りを上げた皮肉屋マイケル・ムーンは、スミスを告発する、あるいは擁護する様々な手紙に基づき、舌戦を繰り広げるが――巨匠幻の傑作長編、新訳にて登場。/解説=松浦正人
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4.01000年以上、誰も読むことができなかった古代エジプトの謎の文字“ヒエログリフ”。ナポレオンのエジプト遠征でそれが刻まれた黒い石板“ロゼッタストーン”が発見され、イギリスとフランスのふたりの天才学者がその解読に乗り出したとき、国の威信をかけた究極の解読レースの幕が上がった。性格も思考方法も正反対のライバルは、“神々の文字”とも呼ばれた謎の言語に、どのように挑んだのか? アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作家が、壮大な解読劇を新たな視点から、スリリングかつリーダビリティ溢れる筆致で描く、傑作ノンフィクション!
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4.0数学と暦に基づいて通常の物理法則を超越する科学体系〈暦法〉を駆使し、広大な宙域を支配する星間専制国家〈六連合〉。この国の若き女性軍人にして数学の天才であるケル・チェリスは、鉄壁の〈不変氷〉シールドに守られた巨大宇宙都市要塞・尖針砦で起こった反乱の鎮圧を命じられる。ただしそれは、シュオス・ジェダオ――史上最高の戦略家にして、敵味方もろともに百万人以上を虐殺した最悪の反逆人――の精神をその身に宿す、という条件つきだった。ローカス賞第一長編部門受賞、ヒューゴー賞・ネビュラ賞候補の、魔術的本格宇宙SF!/解説=渡邊利道
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4.0人里はなれたところにある〈ザ・ローレルズ〉で、過去の新聞記事をスクラップしながら、わたしは回想する――英国の大手スーパーマーケットの社長マイナ・アプルトンの秘書として活躍した日々を。長くわたしは、完璧な忠誠心と職務遂行能力をもって、私生活を犠牲にしてまで彼女に仕えてきた。マイナの父を会社から追い出したときも、名誉毀損で記者を訴えた裁判のときも。強い信頼で結ばれたこの関係は、ずっと続くと思っていた――オフィスに警察がやってくるまでは。予測不能の展開に、じわじわとにじみ出る怖さ。俊鋭が放つ、傑作サスペンス!/解説=若林踏
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4.0ヴィクトリア朝期、ディケンズ『クリスマス・キャロル』がベストセラーとなって以降、聖夜の訪れに伴って出版社は作家に怪奇小説の新作を依頼し、特別なシーズンの贈り物として大衆に届けた――幽霊をこよなく愛するイギリスの国民性に根ざす慣例から生まれた作品を、数々の怪奇幻想小説を紹介する翻訳家が精選する。古屋敷に招かれた男が鏡の中に見た幻影「鋼の鏡、あるいは聖夜の夢」、もの悲しい海岸の村で起きたゴシック的怪異を綴る「海岸屋敷のクリスマス・イヴ」、奇妙な下宿で女性が体験する恐怖の一夜「メルローズ・スクエア二番地」など、知られざる傑作から愛すべき怪作まで13篇を収録。集中12篇が本邦初訳。/【目次】クリスマス・ツリー チャールズ・ディケンズ/死者の怪談 ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル/わが兄の幽霊譚 アメリア・B・エドワーズ/鋼の鏡、あるいは聖夜の夢 ウィリアム・ウィルシュー・フェン/海岸屋敷のクリスマス・イヴ イライザ・リン・リントン/胡桃邸の幽霊 J・H・リデル夫人/メルローズ・スクエア二番地 セオ・ギフト/謎の肖像画 マーク・ラザフォード/幽霊廃船のクリスマス・イヴ フランク・クーパー/残酷な冗談 エリザベス・バーゴイン・コーベット/真鍮の十字架 H・B・マリオット・ワトスン/本物と偽物 ルイーザ・ボールドウィン/青い部屋 レティス・ガルブレイス/編者あとがき 夏来健次
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4.0「怪盗になる」そう宣言した幼馴染の蓮に仲間として引き入れられ、安西省吾は東京地方裁判所検事局を辞めてともに欧州に渡った。異国で成功した手妻師とそのマネージャーという体裁で帰国した二人は、しばらく日本で休養するはずだったが……蓮は揉め事を起こさないという約束をはぐらかし、次々と不可解な出来事に首を突っ込んでいく。帝国ホテルから一晩で消えた金塊、名家に伝わる嫁入道具をめぐる騒動、すべて一等が出る駄菓子屋の籤の謎――怪盗ロータスの華麗なる推理綺譚。〈帝都探偵絵図〉シリーズ、待望のスピンオフ。/【収録作】「グランドホテルの黄金消失」帝国ホテルに持ち込まれた金塊が一晩で消えた。/「特等席」名家に伝わる嫁入道具・貝合わせの行方を追う。/「埋める者 暴く者」湯治のはずが、何故か埋蔵金探しに巻きこまれ……。/「すべて当たり籤」駄菓子屋の籤引きが思わぬ騒動を引き起こす。/「光と影のおむすびころりん」貧しかった寺男の遺品を盗んだ犯人の目的とは。
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4.0『毒入りチョコレート事件』(アントニイ・バークリー)、『赤い館の秘密』(A・A・ミルン)、『クロイドン発12時30分』(F・W・クロフツ)、『失踪当時の服装は』(ヒラリー・ウォー)、『野獣死すべし』(ニコラス・ブレイク)……などなど、数々の傑作を著した53人の海外ミステリ作家たち。その意外な交友関係や、執筆にまつわる知られざるエピソードを、風の向くまま気の向くままにご紹介します。寝る前や、ちょっとした空き時間に、ページをぱらぱら捲っていただければ幸いです──。ミステリのみならず、文芸全般に精通する気鋭の書評家・杉江松恋が、丸9年にわたり連載した「ミステリーズ!」伝説のブックレビュー。ミステリ読者必携の一冊!/【目次】まえがき/エドマンド・クリスピンはグルーチョ・マルクスから何を学んだか/真似してはいけないロジャー・シェリンガムの恋愛作法/クリスティ、皆殺しのバラード/フィリップ・トレントの密かな愉しみ/イズレイル・ザングウィルで笑うべきか否か/A・A・ミルンの「これが人生だ!」/教えてよ、ミッキー・スピレーン/四十年は早かった? クロフツ/ステーマンの作品の外に伸びた線/ビル・S・バリンジャーの「遠くへ行きたい」?/メースンの義を見てせざるは/ウォーの奇妙な味/パット・マガーの『アメリカの悲劇』/ホーナングの滑稽な階級意識/アラン・グリーンの恋のから騒ぎ/カーだってマルキスト/レックス・スタウトのリベラリズム/フレミングの愛したスパイ/ウッドハウスという鋳型/ヒルトンは孤独ではない/フラナガンの歴史的視点/テイという人の顔/ご冗談でしょう、フリーマンさん/チェイニイの強運/ノックスの王手無用/人騒がせなルブラン/ホワイトチャーチに萌えてみた/アップフィールドの帝国主義/クイーンが読まなかった本/フレミングの二人の合作者/ブラウンに茶々を/ミッチェルの振り上げた拳/ヒラーマンの偉大な箱庭/O・ヘンリーのほら話/ブレイク、家族の問題/ガードナーは車輪を回す/ブラウンのサイド・ショウ/ブリーンひとり雑誌/二人でコールを/モイーズのお話が生まれたところ/ストリブリング、交わらない線/ホックのD/ヴァン・ダインの六文字/ケメルマンの閉じた世界/ネヴァーランドのバリ/アタイヤにつながる線/プロクター、身も蓋もなし/袋小路のハミルトン/アリグザンダーの〈戦前〉/ドモアリガト、ミスター・ボール/セックス・ヘクト・ロックンロール/モームの英国式朝食/バウムのグランド・ホテル/索引
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4.0黒いダイバースーツに身を包み、浴室で首をくくっていた男。赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、3年後に出所の日を迎えた母親。静寂の中で余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人。犯罪組織のボスとして人身売買の罪で起訴された男と、彼を弁護することになった新人弁護士。──唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもってあふれだす。刑事専門の弁護士として法廷に立つ傍ら、デビュー作『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた当代随一の短篇の名手が、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12の物語。/【目次】参審員/逆さ/青く晴れた日/リュディア/隣人/小男/ダイバー/臭い魚/湖畔邸/奉仕活動(スボートニク)/テニス/友人/訳者あとがき/解説=千街晶之
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4.0日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編。全編書き下ろし。第13回創元SF短編賞受賞作を収録。創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」が12,000ダウンロードを記録した八島游舷。『神々の歩法』が話題、日本初の動画配信SFシリーズを生み出した宮澤伊織。《ユア・フォルマ》シリーズで人気、今回初の短編小説に挑んだ菊石まれほ。『マインド・イーター』で知られ、人間と音楽と宇宙をテーマに描いた水見稜。『感応グラン=ギニョル』でデビュー、注目の怪奇幻想SF作家・空木春宵。三選考委員絶賛の第13回創元SF短編賞受賞者・笹原千波。ベテランから日本SFの未来を担う新鋭まで、6人の作家が集結!/【目次】はじめに/八島游舷「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」/宮澤伊織「ときときチャンネル#3【家の外なくしてみた】」/菊石まれほ「この光が落ちないように」/水見稜「星から来た宴」/空木春宵「さよならも言えない」/笹原千波「風になるにはまだ」〔第13回創元SF短編賞受賞作〕/第13回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より
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4.0証書偽造が発覚、窮地に立たされた由比祐吉は破滅を逃れるため、恩義ある子爵の殺害を決意する。冷徹巧妙な殺人計画の進行を倒叙形式で描く「烙印」、横暴な父に苛められる母には秘密があった――子供の目を通して家庭の悲劇を描いた名篇「凧」、建設中のビルの鉄骨から転落した夫の死の真相が十九年後に明らかになる「不思議な母」、誘拐事件を扱った最後の推理短篇「螢」まで、戦後作を含む全八篇を収録。人物の性格や心理描写に優れた犯罪小説で探偵小説界に大きな足跡を残した巨匠、大下宇陀児の短篇傑作選。/【目次】烙印/爪/決闘街/情鬼/凧/不思議な母/危険なる姉妹/螢/〈エッセイ〉乱歩の脱皮/探偵小説の中の人間/解題/解説=伊吹亜門
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4.0その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む九人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。施設と外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り48時間、二人の予言に支配された匣のなかで、葉村と比留子は生き残って謎を解き明かせるか?! ミステリ界を席捲した『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾。/解説=大山誠一郎
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4.0人形を売買するだけの自分に、ものを作る人々にのしかかる重圧は永久にわからない――スランプに陥った店の職人・冨永の言葉に傷つきながらも、せめて創作の一端に触れようと、老舗の人形店が開く教室に通い始めた玉阪人形堂の新人店主・澪。店にやってくる様々な顧客が持ち込む謎、そして人々との対話を通して、彼女は日々、人形に向き合う。少女たちが夢中になった国民的着せ替えドールを巡る騒動、髪が伸びる市松人形に隠された胸を打つ物語。当代きっての短篇の名手が贈る、『たまさか人形堂ものがたり』に続く珠玉のミステリ連作集。書き下ろし「戯曲 まさかの人形館」を収める。/解説=倉数茂