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Posted by ブクログ
若き天才科学者が発見する究極の理論。『星を継ぐもの』のホーガンによる、科学者の夢を描いたハードSF。
「科学の力って すげー!」
某ゲームに毎回登場するというセリフを、架空の理論によって巧みに実感させるホーガンの面目躍如たる一作。
組織での軋轢のなかで苦闘する前半から、世界の政治情勢を一変させるという大きな話に広がっていく後半まで、一貫して描かれるのはホーガン流の創作理論と科学者としての矜持を持つキャラクターの魅力。そして「こうきたか……!」と唸らせるセンス・オブ・ワンダーなラスト。創世記ってそういうことか!やっぱホーガンってすげぇな、とハードSFの面白さを再認識。K理論の内容についてのわかるようなわからないような説明も雰囲気で楽しめた。
Posted by ブクログ
量子物理学ではないK物理という概念のもと、粒子のスピンが止まると、物質は見えなくなり消滅し、また動き始めると見えるようになる。有から無が生じ、逆に無から有が生じるという理論を作り上げたクリフォード。しかしACREという、国の軍事に関わる研究機関であったため、理論/基礎研究の意味合いが理解されず、実用性がないと一蹴される。しかし、その理論が正しいことが解ってき始めると、政府の役人はコロッと態度を改めるが、クリフォードは不満しか無く、ACREを辞職してしまう。時を同じくして、応用物理分野のオーブと合流し…。
最初の数十ページかは、「ハードな物理学は苦手だわ…」と思ってしまうのだが、訳もいい加減というか、書かれているとおりに単語を訳しているだけということに気づくと、さほど重要でないということがわかり安心する。
そこからは、ブラッド(クリフォード)、オーブとの交互の快進撃が始まるし、始まってしまえば物理学は他所に置かれてしまうので、かなりわかりやすい作品ということになろう。
ラストの盛り上がり部分は、あれだけ盛り上げておいた物理学は影も形もなくなり、見事にエンターテインメント作品として昇華されている。まあでも、この作品の一番成功しているところは、K理論という仮想の物理学をぶちあげ、それをあたかも見たかのように書き上げているところにあり、こういうスタイル(仮想理論系?)というのを見たのが新鮮であった。
奇しくも「ドリーム(Hidden Figures)」の映画を見たところで、能力の有るものが、政府の建前なり州法の建前の元で全く活かされず、影に生きるところからの快進撃、という見方ができたので、非常に面白かった。
こちとら科学者の端くれなもんで、「科学というのは、建築物と違う。立てた計画通りに結果が出るわけではない」みたいな話の部分は身にしみる。
オチは小松左京の「明日泥棒」を思い出したんで、読んでない方はそちらもどうぞ。
Posted by ブクログ
良いですね。これぞハードSF。
発表されたのが1978年。舞台は近未来の2005年と言う設定です。
現実の2005年は、作品に描かれているような、東西対立が激化し世界大戦前夜という状態では無いけれど、また科学技術の進化も随分と違うけれど、それはそれで良いんです。預言書ではないのですから。
何と言ってもこの作品の魅力は「科学の発展はきっと人類を幸せに変える」という古き善きSFの徹底したオプティミズムの精神で描かれていることです。アシモフ、ハインライン、クラークの世界です。
そのため「未来はきっと良くなる」そういったポジティブな気持ちになれる、何とも爽やかな読後感です。
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