フェルディナント・フォン・シーラッハの作品一覧

「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の「刑罰」「罪悪」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 神

    4.1
    1巻1,799円 (税込)
    78歳の元建築家ゲルトナーは、医師に薬剤を用いた自死の幇助を求めている。彼は肉体的にも精神的にも健康な状態だ。ただ、愛する妻を亡くし、これ以上生きる意味はないと考えている。ドイツ倫理委員会主催の討論会が開催され、法学、医学、神学の各分野から参考人を招いて、彼の主張について議論することになった。「死にたい」という彼の意志を尊重し、致死薬を与えるべきか? ゲルトナーのホームドクターや顧問弁護士も意見を述べ、活発な議論が展開される。だが、最終的な結論をくだすのは――観客の「あなた」だ。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』の著者が放つ、医師による自死の幇助の是非について観客が投票する緊迫の戯曲!/【目次】第一幕/第二幕/付録「実存的、宗教的および文化的観点から見た自死とその介助」ハルトムート・クレス/「自死の介助――倫理的論争の観点」ベッティーナ・シェーネ=ザイフェルト/「法における自死」ヘニング・ローゼナウ/解説=宮下洋一
  • 珈琲と煙草
    4.2
    1巻1,699円 (税込)
    孤独感を抱える人物の心理を端正な文章で綴った小説。イエズス会の寄宿学校での出来事や、父の死、ナチの高官でユダヤ人迫害に加担した祖父への言及などの自伝的エッセイ。ある俳句を教えてくれた京都からの留学生をめぐる、著者の死生観が垣間見えるエピソード。ドイツで死刑が廃止される12日前に斬首刑となった男の犯罪実話。ボクサーとの恋の思い出を語る老婦人や、収支報告書の改竄で告訴された男といった、弁護士として出会った人々との交流譚──。クライスト賞受賞、日本で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いたデビュー作『犯罪』、映画化された法廷小説『コリーニ事件』、世界各国で2600回以上上演された戯曲『テロ』。これまで社会や人間を深く描写してきた現代ドイツを代表する作家が、多彩な手法で紡ぐ新たな作品世界!
  • 刑罰
    3.9
    1巻789円 (税込)
    黒いダイバースーツに身を包み、浴室で首をくくっていた男。赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、3年後に出所の日を迎えた母親。静寂の中で余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人。犯罪組織のボスとして人身売買の罪で起訴された男と、彼を弁護することになった新人弁護士。──唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもってあふれだす。刑事専門の弁護士として法廷に立つ傍ら、デビュー作『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた当代随一の短篇の名手が、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12の物語。/【目次】参審員/逆さ/青く晴れた日/リュディア/隣人/小男/ダイバー/臭い魚/湖畔邸/奉仕活動(スボートニク)/テニス/友人/訳者あとがき/解説=千街晶之
  • 禁忌
    3.8
    1巻794円 (税込)
    ドイツ名家の御曹司ゼバスティアンは、文字のひとつひとつに色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性の誘拐・殺人容疑で緊急逮捕されてしまう。取り調べの際、捜査官に強要されて殺害を自供したゼバスティアンを弁護するため、ベテラン刑事弁護士ビーグラーが法廷に立つことになった。緊迫感に満ち満ちた裁判の行方と、あらゆる者の想像を絶する驚愕の真相とは。『犯罪』で2012年本屋大賞翻訳小説部門第一位に輝いた著者が「罪とは何か」を真摯に問いかけた恐るべき問題作。
  • コリーニ事件
    4.2
    1巻712円 (税込)
    67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、事務所を開いたばかりの新米弁護士ライネンは国選弁護人を買ってでる。だが、殺されたのはライネンの亡くなった親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、少年時代に世話になった恩人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族側の辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。そして裁判で明かされた、事件の驚くべき背景とは。刑事事件弁護士の著者が研ぎ澄まされた筆致で描く、圧巻の法廷劇!/解説=瀧井朝世
  • テロ
    4.1
    1巻1,629円 (税込)
    2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄か? 犯罪者か? 結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護人の最終弁論ののちに、有罪と無罪、ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。どちらの判決を下すかは、読んだあなたの決断次第。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』のシーラッハが放つ、世紀の問題作!
  • 罪悪
    4.0
    1巻712円 (税込)
    ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。何不自由のない暮らしを送る主婦が続けてしまう万引き。麻薬密売容疑で逮捕された孤独な老人が隠す真犯人。――弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。刑事事件専門弁護士の著者が、現実の事件に材を得て描きあげた15の奇妙な物語。世界各国を驚嘆せしめ、2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた『犯罪』を凌駕する至高の連作短篇集!/解説=杉江松恋
  • 犯罪
    3.9
    1巻712円 (税込)
    一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。――魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件専門の弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。クライスト賞ほか文学賞三冠、2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作。単行本より改訂増補された最新決定版!/解説=松山巖
  • カールの降誕祭
    3.8
    1巻1,527円 (税込)
    ドイツでは、クリスマスに最も殺人が多い――日本人女性に恋をしたパン職人が、“まともなパン屋”でなくなってしまった理由とは(「パン屋の主人」)。規律を守り、公明正大だった裁判官に退職後おとずれた、すさまじく数奇な人生の結末(「ザイボルト」)。10世紀から続く貴族トーアベルク家。クリスマスの帰省中に息子が起こした悲しい惨劇(「カールの降誕祭(クリスマス)」)。本屋大賞翻訳小説部門第1位『犯罪』のシーラッハによる珠玉の3編と、気鋭の版画家タダジュンによる謎めいたイラスト。ふたりの天才が贈るブラックなクリスマス・プレゼント。
  • コリーニ事件

    Posted by ブクログ

    (2013/5/27)
    「ドイツの法律を変えた!」という書評に興味を持って読んだ。デイキャッチで豊崎さんが絶賛してた。
    結末を読んで思ったのは、この事件、記憶にある、ということだった。
    結末のどんでん返しがこの小説のすべてなので、ネタバレは避けたほうがいいのだろうが、、、
    どの書評も結末は書いてない。

    どう描いていいかわからないから、まずはDBから。

    内容(「BOOK」データベースより)

    2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。
    被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。
    だが、コリーニはどうしても殺害動機

    0
    2024年09月04日
  • 神

    Posted by ブクログ

    自殺を考えたことがある人間としては安楽死が制度化されることは反対という立場で本作を読んでいた。
    問題を提起したおじいさんの弁護士の言葉には一理あると思いつつもとてもイライラさせられた。
    というのも、私は手段も場所も選んで実行しようとしたことがある。ただし、実行することはできなかった。自殺を考えるまでとそこからでは必要な精神力がまるで違った。死にたいけれども、実際に死んでしまった際に悲しむだろう人たちの顔が浮かんでくるものだ。だからこそ、実際に死ぬ部分のハードルを他人に託すことはとても恐ろしいことに思える。それに、人を殺すという業の深いことを他人にやらせるというのも罪深いことに思える。

    解説に

    0
    2024年07月27日
  • 神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・あらすじ
    78歳のゲルトナーは3年前に妻を亡くした。
    身体的にも精神的にも健康な状況であるが、妻を亡くし人生に意味を見出せなくなったため医師による自死の介助を求めた。
    ドイツの倫理委員会主催の公開討論会で様々な専門家が医学、神学、法学的に議論する。

    ・感想
    ここ数年よく考える事柄が題材だったのでとても興味深く読んだ。
    自己決定権、自由意志、一般的人権、尊厳とは。
    生と死についての定義づけと線引きすることがいかに不可能かということ。

    印象に残ったのはドイツの憲法では神について言及されているということ。個人的にはそんな「神」なんて存在するかどうかもわからないものを憲法に挟むなんてあり得ないと

    0
    2024年07月19日
  • 犯罪

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    「順調なときにだけ約束を守るというのではだめだ。」

    フェーナー氏が立てた誓いは、最期まで守られたのだろうか。法廷で、今でも妻を愛していると、そう誓ったからだと、話す場面が目に浮かびます。ついでに涙も
    それがいつか身を滅ぼすとしても、立てた誓いを破るわけにはいかない。それは裏切りになるから。ほんとうに、痛いくらい素直で泣きたくなるほど優しい人なんでしょうね
    何度読んでも、『フェーナー氏』 は泣いてしまいます。

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    2024年01月20日
  • 珈琲と煙草

    Posted by ブクログ

    煙草関連のエッセイは編著含めとりあえず気になるのでタイトルから手に取る。
    数ページ読んだ感じは思ったものと違う(煙草がそこまで現前しない)ので、断片的な小作品とはいえ読み終えられるか疑問符が生じたものの、「ドイツ」「弁護士」といった著者の身近な題材から広がる様々な物語は、小説に対して筆者のもの含めなかなか手を出そうと思えない偏執の身からしても、良質な、いい意味で自信から縁遠いものに巡り合うことが出来たことは僥倖だった。

    0
    2023年11月19日

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