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78歳の元建築家ゲルトナーは、医師に薬剤を用いた自死の幇助を求めている。彼は肉体的にも精神的にも健康な状態だ。ただ、愛する妻を亡くし、これ以上生きる意味はないと考えている。ドイツ倫理委員会主催の討論会が開催され、法学、医学、神学の各分野から参考人を招いて、彼の主張について議論することになった。「死にたい」という彼の意志を尊重し、致死薬を与えるべきか? ゲルトナーのホームドクターや顧問弁護士も意見を述べ、活発な議論が展開される。だが、最終的な結論をくだすのは――観客の「あなた」だ。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』の著者が放つ、医師による自死の幇助の是非について観客が投票する緊迫の戯曲!/【目次】第一幕/第二幕/付録「実存的、宗教的および文化的観点から見た自死とその介助」ハルトムート・クレス/「自死の介助――倫理的論争の観点」ベッティーナ・シェーネ=ザイフェルト/「法における自死」ヘニング・ローゼナウ/解説=宮下洋一
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Posted by ブクログ
自殺を考えたことがある人間としては安楽死が制度化されることは反対という立場で本作を読んでいた。
問題を提起したおじいさんの弁護士の言葉には一理あると思いつつもとてもイライラさせられた。
というのも、私は手段も場所も選んで実行しようとしたことがある。ただし、実行することはできなかった。自殺を考えるまでとそこからでは必要な精神力がまるで違った。死にたいけれども、実際に死んでしまった際に悲しむだろう人たちの顔が浮かんでくるものだ。だからこそ、実際に死ぬ部分のハードルを他人に託すことはとても恐ろしいことに思える。それに、人を殺すという業の深いことを他人にやらせるというのも罪深いことに思える。
解説に書かれていた日本と西洋での安楽死への考え方という部分で個人の権利に対する考え方が違うという話をされていたが、こちらには作中で書かれていたキリスト教としての考え方よりすんなりと受け入れられた。
Posted by ブクログ
自殺幇助は許されるのか。
憲法は自己決定権を尊重しているが、自分を殺すことは許されるのか。そして、死にたい人の自己決定を十分に尊重し、その手助けをするべきなのか。そして、その判断は誰がするのだろうか。神やコミュニティがそれを許すのだろうか。
難しい。個人的には、自殺は許容できても、それを手助けすることまでは許容できない。自殺の意思を改めさせようと手を差し伸べるのが社会の役割であることには変わりがないようには思う。そして、コミュニティがそれを許してしまったら、やはり不寛容な社会が到来するようにも思われる。
魂は神ものなのか?幸福こそが生きる意味なのか?難しい議題ではあった。
Posted by ブクログ
最近気づいたシーラッハの新作。
タイトルから別の話を想像していたのですが、主題は「臨死介助の是非」でした。「自死選択の是非」ではなく。
法学、神学、医学の観点からそれぞれ意見を求め、戯曲なので、観客に最終判断を委ねる…「テロ」の時と同じ手法。
個人的には、なしであってほしいです。
倫理観は、時代で変わっていくものかもしれないですが、ナチの事例をシーラッハが持ち出していることが、警鐘だと思いたいからです。
この本を読む寸前にジャン=リュック・ゴダールがいわゆる安楽死を選択していた、という記事を読んだこと、また、やはりこの本を読む寸前に読んだアチェベの「崩れゆく絆」の主人公の最期のシーン、など、時折脳裏をかすめなました。
シーラッハ、好きです。
ドラマチックなタイプの書き方ではないのですが、作品のひとつひとつに心が揺さぶられます。
短編と戯曲が特に良いと思います。
酒寄さんの翻訳もすばらしいです。これからもよろしくお願いします。
マイナス一つ星は、やはり書き手として、結論はどうか、が見えないので。でも、それはそれで良いんですけどね(笑)読み手もアマノジャク(笑)
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