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タイムマシンに乗れないぼくたち
愛され度200%! 大人気著者初の短篇集 商店街で働く南優香は、いまよりほんの少し愉快に生きるためのライフハックを思いつく。今日から私、殺し屋になる――(「コードネームは保留」)。 博物館の片隅で現実逃避に余念のないサラリーマンと小学生。つい悩みを吐露し合ってしまった二人の本当の願いは……(表題作)。 読むほどに心が楽になる、7つの物語。 解説・森川すいめい 目次 (1)コードネームは保留 (2)タイムマシンに乗れないぼくたち (3)灯台 (4)夢の女 (5)深く息を吸って、 (6)口笛 (7)対岸の叔父 単行本 2022年2月 文藝春秋刊 文庫版 2025年2月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
春の庭
第151回芥川賞受賞作。「春の庭」 書下ろし&単行本未収録短篇を加え 待望の文庫化! 東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。 彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。 街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―― 第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の三篇を加え、 作家の揺るぎない才能を示した小説集。 二階のベランダから女が頭を突き出し、なにかを見ている。(「春の庭」) 通りの向こうに住む女を、男が殺しに来た。(「糸」) アパート二階、右端の部屋の住人は、眠ることがなによりの楽しみだった。(「見えない」) 電車が鉄橋を渡るときの音が、背中から響いてきた。(「出かける準備」) 何かが始まる気配。見えなかったものが見えてくる。 解説・堀江敏幸 -
汚れた手をそこで拭かない
もうやめて……ミステリはここまで進化した! 第164回直木賞候補作。 ひたひたと忍び寄る恐怖。 ぬるりと変容する日常。 話題沸騰の「最恐」ミステリ、待望の文庫化。 閉鎖空間に監禁された デスゲームの参加者のような切迫感。──彩瀬まる 平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、元不倫相手を見返したい料理研究家……。きっかけはほんの些細な秘密だった。 保身や油断、猜疑心や傲慢。 内部から毒に蝕まれ、 気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。 凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。 解説=彩瀬まる ※この電子書籍は2020年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
花の鎖
驚きのラストが胸を打つ、感動のミステリー。 両親を亡くし、愛する祖母もガンで入院中、さらに講師として働いていた英会話スクールが破綻し金銭的に困っている梨花。 建設会社で働いていたが、伯父夫婦のすすめで営業職の和弥と結婚した美雪。 公民館で水彩画教室の講師をしつつ、和菓子屋でバイトをしている紗月。 そして、3人の女性の人生に影を落とす謎の男・K――。 大ベストセラー「告白」でのデビューから進化し続ける作家・湊かなえが放つ、感動のミステリー。 中谷美紀、戸田恵梨香、松下奈緒でドラマ化もされ、話題を呼んだ傑作。 ※この電子書籍は2011年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
八咫烏シリーズ
累計180万部ファンタジー 珠玉の8編 累計190万部のファンタジー「八咫烏シリーズ」の外伝第二弾! とんでもない意気地なし、と噂の少年・雪哉に剣の指導を頼まれた 腕に覚えのある市柳は、おびえる雪哉に自信満々で打ち込むが、 まもなく違和感を覚え始める――(「ふゆのことら」) 貴族の少年たちが、父の跡を継いだ職人が、全身全霊で守りたい ものとは何か。 山内に生きる人々の幸せを誓った彼、そして、権力闘争のはざまに育つ姫君の 心の奥にある思いとは。 読者の胸を刺し貫く魅力でベストセラーとなった異世界ファンタジーシリーズ、 震撼の第二部へと橋をかける必読の8編。 ※この電子書籍は2021年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
罪人の選択
2年半の沈黙を破り、満を持して世に放つ貴志祐介ワールド全開の作品集。 最新SF「赤い雨」は、パンデミックが起きたときあらわになる人間の本性を描いた、今読むべき一作。 表題作は、著者自身が「ここまで強いテンションを維持した作品は、書いたことがありません」と断言する手に汗握るミステリー。 人間の愚かさが絶望で世界を塗りつぶすとき、希望が一筋の光となって未来を照らし出す。 〈収録作〉 「夜の記憶」――『十三番目の人格‐ISOLA‐』『黒い家』で本格デビュー前に書かれた貴重な一編。水生生物の「彼」は、暗黒の海の中で目覚め、「町」を目指す。一方三島暁と織女の夫婦は、南の島のバカンスで太陽系脱出前の最後の時を過ごす。二つの物語が交錯するとき、貴志祐介ワールドの原風景が立ち上がる。 「罪人の選択」――1946年8月21日、磯部武雄は佐久間茂に殺されようとしていた。佐久間が戦争に行っている間に、磯部が佐久間の妻を寝取ったからだ。磯部の前に出されたのは一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。もしどちらかを口にして生き延びられたら磯部は許されるという。果たして正解は? ほか「呪文」「赤い雨」の全4作。 ※この電子書籍は2020年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
八咫烏シリーズ
累計150万部の大ヒットファンタジー『八咫烏シリーズ』の外伝集。 異世界「山内」の壮大な歴史の流れの中、主要人気キャラクターたちは どんな風に育ち、一方でどんな関係を結び、事件の裏側でなにを思っていたのか。 美貌の姫君へのかなわぬ想い、愛を守るための切ない大嘘、 亡き人が持っていた壮絶な覚悟、そして、「命をかけた恋」…… 本編では描かれなかった、「恋」の尊い煌めきが満ちる魅惑の短編集。 2020年ついにスタートした第二部『楽園の烏』の前に必読!の書。 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ロッキード
「角栄は本当に有罪だったのか?」 今日にいたるまでくすぶり続ける ロッキード事件の様々な疑問を解明すべく、 著者は事件の全貌を洗い直す。 辻褄の合わない検察側の主張、見過ごされた重大証言、 そして、闇に葬られた〈児玉ルート〉の真相――。 疑惑の背後に、戦後から現在まで続く日米関係の暗部が見えてくる! 特捜神話の真実を関係者の新証言と膨大な資料で剔抉する。 解説=奥山俊宏 ※この電子書籍は2021年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
火の航跡
名手・平岩弓枝による長編ミステリー小説。六本木に事務所を持つ有名カメラマン・城重文夫がある日突然姿を消した。呆然とする新婚の妻・久仁子は、知人の協力を得て夫の行き先を探し始めたところ、夫が向かったと思われるギリシアで事務所で働いていた女性が遺体で見つかる。彼女と夫の間には恋愛関係があったのか? 彼女を殺したのは夫なのか? そして久仁子は、有田焼の里で窯業を営む夫の実家を訪ねたことで、いままで知らされてなかった夫の家族の陰の歴史に向き合うことになる。東京、佐賀、ギリシア、マイセン、メキシコと夫の影を追い続けた久仁子が探し出した驚愕の真実とは? 細やかな心理描写と巧みな構成で読む人をうならせる著者円熟期のサスペンスロマン。 ※この電子書籍は1980年1月に刊行された文春文庫の新装版を底本としています。 -
砂男
ついに読める! 火村英生 幻の事件 都市伝説“砂男”を調べていた学者が刺殺された。 死体にはなぜか砂が撒かれていて……。 奇怪な殺人事件に火村とアリスが挑む表題作など、 これまで雑誌掲載のみとなっていた幻の〈火村シリーズ〉2作をはじめ、 〈江神シリーズ〉やノンシリーズの貴重な作品6編が一冊に! すべて単行本未収録。 江神二郎と火村英生が一冊で競演する、贅沢なミステリ作品集。 【目次】 女か猫か(☆) 推理研VSパズル研(☆) ミステリ作家とその弟子 海より深い川(★) 砂男(★) 小さな謎、解きます ☆……江神二郎シリーズ ★……火村英生シリーズ -
緊立ち 警視庁捜査共助課
警察小説の名手が満を持して放つ新警察小説 常時、七百名を超える所在不明の被疑者の顔を記憶し、人通りの多い場所に立つ見当たり捜査。警視庁捜査共助課見当たり捜査班の川東小桃は、仲間内で‟メモリー・アスリート“と呼ばれる見当たり捜査官の中でも、ひときわ優れた能力を持っていた。相手がサングラスをかけていても、変装していても、整形手術を受けていても、小桃の目から逃れることはできないのだ。 一方、同じ捜査共助課でも、わずかな手がかりを手繰り寄せて被疑者を追い詰める広域捜査共助係の佐宗橙。小桃は少女時代に盗難事件に巻き込まれ、その時の捜査官だった佐宗橙に憧れて警察官になった。奇妙な縁で結ばれた二人は、夫婦関係の難しさに悩まされながらも互いを励ましあい、着実に実績を重ねていく。 そんな時、手配中の強盗および強制性交殺人犯の「緊立ち」(緊急立ち回り情報)飛び込んできた。捜査共助課全員に出動命令が下り、小桃と燈も現場に急行する――。 単行本 2023年9月 文藝春秋刊 文庫版 2026年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
彼女は頭が悪いから
2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場! 私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの? 深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。 現実に起こった事件に着想を得た衝撃の「非さわやか100%青春小説」! 横浜の3人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。 偶然に出会って恋に落ちた2人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学のサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。 そして酒を飲ませ、仲間と一緒に美咲を辱める。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件は明るみに出ることに。 しかし、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いする。 柴田錬三郎賞選考委員絶賛! 無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静 どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。―逢坂剛 女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生 テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子 平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
震雷の人
★中華時代小説の新鋭が放つ、松本清張賞受賞の大河武侠小説 〈安史の乱〉により未曾有の混乱に陥った唐で、 言葉の力を信じ、戦禍の流れを変えるべく奔走した顔季明。 彼の言葉を胸に、武芸に秀でた許嫁の張采春は故郷を出奔し、 采春の兄の張永は叛乱軍との戦へ身を投じた。 袂を分かった兄妹の運命は戦場にて思わぬ形で交差する――。 約3600万人もの犠牲者が出たと言われる〈安史の乱〉を背景に、 言葉の力で世を動かしたいという一心で文官を志す名家の青年と、 理不尽な理由で世間からつまはじきにされてきた地方の兄妹の 運命の出会いが唐の歴史を大きく動かす。 手に汗握るアクション、ハラハラする謀略、 そしてかけがえのない友情と愛情……。 そのすべてが詰まった、圧倒的スケールの武侠小説登場! (解説 三田主水) 第27回松本清張賞受賞作。 ※この電子書籍は2020年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
なんで死体がスタジオに!?
『探偵小石は恋しない』の著者、最新文庫! 「森バジルの快進撃が止まらない」 ――阿津川辰海(作家)【解説より】 生放送直前に見つかった大御所俳優の死体。 曲者ぞろいのトーク番組出演者たちの「嘘」を見破れ! 2026年本屋大賞ノミネート! 『探偵小石は恋しない』著者による、禁断のバラエティ・ミステリー! ◇あらすじ 人気トーク番組の生放送特番の本番直前に、遺体が発見された。帰らぬ人となったのは、大御所俳優・勇崎恭吾。彼の遺体の上には「放送を止めないこと!」と書かれた台本が置かれていた――。 犯人は出演者の中に? 番組は無事に 放送できるのか。 新進気鋭の作家が挑む、前代未聞のバラエティ・ミステリー! 解説・阿津川辰海 単行本 2024年6月 文藝春秋刊 文庫版 2026年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
夜叉の都
こんな美しい日に、私は息子を殺すのだ――。 建久10年(1199)、源頼朝と北条政子の間の息子・頼家が将軍職を継いだ。 だが頼家は酒色に興じ、その期に乗じ、 政子の弟・北条義時は頼家の側近の梶原氏の失脚を画策する。 さらに北条家の危機を避けたい義時と政子の父・時政は 頼家の排斥と実朝の将軍擁立を主張、政子は武士の府を守るため、 自ら頼家に毒を盛り、最終的に頼家は謀殺される。 頼朝亡き後、弟・義時とともに、多くの政敵を滅ぼしていく北条政子。 “夜叉のごとき”苛烈さで幕府を守り抜いた政子を描く迫力の歴史巨編。 解説=本郷和人 -
古今盛衰抄
卑弥呼や紫式部、淀君、井原西鶴、小林一茶、樋口一葉などなど、田辺さんがお気に入りの歴史上の人物たちに新たな息吹を吹き込んだ歴史エッセイ集! スサノオからはじまり、卑弥呼、持統天皇、小野小町、紫式部、後白河院、淀君、北政所、西鶴、芭蕉、一茶、歌麿、一葉、桂春団治まで、田辺さんが好きな歴史上の人物を、半分エッセイ半分小説で紹介。かわいげのある心憎いばかり人物たちを選び、まるで本人たちに会って話したことがあるかのように生き生きと描かれている。 確かな時代考証もあいまって、安心して楽しみながら、歴史上の人物たちと交遊できる。 「戦後三十年たってみれば、若者は日本の歴史や、古往の人物について、全くなんの愛着も関心も持たないではないか。彼らにあっては母国の歴史は、教科書の中の無味乾燥で煩はん瑣さ な、受験用知識にすぎないのだ。私は、それらをみて胸が痛む。古い代に生きて戦い、恋し、苦しみ、死んだ愛すべき人々が、いまの若者たちの心になんの感動をおこすことなく、打ち忘れられ、かかわりをもたず、歴史に埋没してゆくのを悲しむ。受験用知識の、かわいた記号のきれっぱしとなった人々を惜しむ」(著者の「あとがき」より)。ここで取り上げた人物を通して、若い人たちが歴史へ新しい興味を持って接してもらえるようにとの願いを込めた1冊。 解説は『はいからさんが通る』や『あさきゆめみし』などで有名な漫画家の大和和紀さん。 -
その女アレックス
英国推理作家協会賞を受賞した大逆転サスペンス。貴方の予想はすべて裏切られる! おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進する。「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。未曾有の読書体験を、貴方もぜひ! -
連続殺人犯
小野さんは殺人犯を描き尽くすことで、我々の内なる「魔」の姿を、闇の中から掘り出してくれた――重松清氏、推薦! 人が人を殺す「その理由」を直接取材しつづけた、傑作ノンフィクション。 21世紀の10大殺人の深い闇に、事件現場と拘置所の面会室で迫る! CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】 CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】 CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】 CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】 CASE 5 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】 CASE 6 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】 CASE 7 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】 CASE 8 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】 CASE 9 角田美代子【尼崎連続変死事件】 CASE 10 筧千佐子【近畿連続青酸死事件】 解説・重松清 本書は単行本『殺人犯との対話』(2015年11月・文藝春秋刊)を改題、加筆修正のしたものです。 *単行本に収録された〈宇野ひとみ【高槻養子縁組保険金殺人事件】〉は入っておりません。かわりに〈筧千佐子【近畿連続青酸死事件】〉を収録。 -
アンネの日記 増補新訂版
「アンネは、死んでも私たちの心の中に生き続けているのです。そして、世界の歴史を変える存在になりました」(池上彰『世界を変えた10冊の本』より) ユダヤ系ドイツ人の少女アンネが、ナチスの「ユダヤ人狩り」から逃れるため家族と共に二年間潜んだアムステルダムの“隠れ家”。彼女はそこで、架空の友人キティーに宛てて日記を綴りました。戦後、残された父オットー・フランクにより編集・公表されたこの「アンネの日記」は各言語に翻訳され、2009年にはユネスコ世界記憶遺産にも登録されました。わが国も同様で、1952年に「光ほのかに」のタイトルで文藝春秋より刊行されて以来、綿々と読み継がれています。 実は、アンネの綴った日記は二種類あります。アンネが自分のためだけに書いたものと、後の公開を期して清書したもの。そのふたつを編集し直した〈完全版〉をもとに、さらに1998年に発見された5ページ分を加えたのが本書〈増補新訂版〉です。尋常ではない環境の中で、13歳から15歳という思春期を過ごした少女の夢と悩みが、より瑞々しく蘇り、私たちの胸を打ちます。平和を愛し、誰かを愛するすべての人に改めて贈る、永遠不滅の一冊です。 -
葉村晶シリーズ
ミステリ作家やミステリファンに熱い支持を受ける“葉村晶”が帰ってきた──! タフで不運すぎる女探偵・葉村晶。 吉祥寺のミステリ専門書店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉でアルバイトとして働きながら、〈白熊探偵社〉のただ一人の調査員として働いている。 「さよならの手口」(2014年4位)、「静かな炎天」(2016年2位)、「錆びた滑車」(2019年3位)、「不穏な眠り」(2021年10位)と「このミス」上位常連の人気シリーズ、5年ぶりの書き下ろし長編が文庫で登場です。 「鼻からポタポタと血を垂らしながら考えた。いったいどこのどいつだ、わたしを殺そうとしているのは……。 心当たりは、ありすぎるほどあった」(本文より) 葉村晶も五十代に突入し、老眼に悩まされるお年頃。 魁皇学園の元理事長でミステリのエッセイストとしても名を馳せた乾巌、通称カンゲン先生に、<秘密厳守>で「稲本和子」という女性の行方を捜してほしいと頼まれた晶。 彼女の一人娘は学園の理事だったが、本屋で万引きしたとして留置中に急死していた……。 高級別荘地の<介護と学園地区構想>など、さまざまな思惑が絡み合い、 やがて誰もが予想のしない結末へ! 前回の書き下ろし長編「静かな炎天」は「このミス」2位、「読書芸人」のカズレーザーさんや、のんさんも絶賛、2020年には、NHK総合で「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」として連続ドラマ化もされています。 クールでドライでシニカルで、唯一無二の強烈な魅力を放つ葉村晶が、緑の古い小型車“毒ガエル”を駆って真実に迫ります。 -
海を破る者
なぜ、人は争わねばならないのか 弘安四年、夏。博多湾に蒙古軍14万の艨艟(もうどう)が押し寄せた。 日本史上最大の国難――元寇。 そのとき石築地(防塁)の外、波打ち際にあえて陣を張った若き武士がいた。 伊予の没落御家人・河野六郎通有である。 かつて名門として知られた河野家は、いまや一族骨肉の争いに沈み、再興の道は遠い。 伯父と当主の座を争う六郎が、奴隷市で買い受けたのが、西域から流れてきた少女・令那と、高麗から連れてこられた青年・繁だった。 言葉も、信じる神も、肌の色も違う三人。 それでも伊予の家で、血のつながらぬ者たちは奇妙にひとつの「家」を築いていく。 血を分けた一族とは争い、血のつながらぬ相手と心を通わせる――その日々の先に、海の彼方から異形の艦隊が現れる。 河野家は寡兵で、博多湾の砂浜に陣を据えた。 身を守る石築地の「外」に。 退路を断つかのようなその構えは、後世「河野の後築地」と呼ばれ、史実に名を残す。 六郎はなぜ、あえて防塁の外へ出たのか。 神風が吹く、その前に、彼は何を守ろうとしたのか。 家か。国か。それとも、共に生きる者たちの命か。 『塞王の楯』『イクサガミ』の今村翔吾が、元寇、鎌倉時代、博多湾、海戦、異文化との共生を壮大なスケールで描く歴史小説。 「別冊文藝春秋」連載時から話題を呼んだ、著者渾身の歴史長編、待望の文庫化! 単行本 2024年5月 文藝春秋刊 文庫版 2026年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
ぼくは青くて透明で
高校一年、夏。ぼくは彼と、恋に落ちた 高校一年の夏。地方の高校に転校したぼくは、あの教室で忍に出会った。 恋愛小説の名手が初めて描く、少年と少年の、強くやわらかな愛の軌跡。 血の繋がらない母・美佐子さんと暮らすぼく。 実の母も、父も、いつの間にかどこかへ行ってしまった。 ぼくは男で、男が好きだ。 新しい高校にも、どうやら馴染めそうにない。 学校なんて、卒業してしまえばそれまでなのだからと、ぼくは“空気のように”過ごそうと決めた。 しかし、ふと触れ合ったクラスの優等生、忍の指先の体温が、ゆっくりと確かにぼくの中に広がっていく。 いつしか互いへの思いを募らせてゆく二人の少年。 しかし学校の教室という閉ざされた場所では、思うように過ごすことは難しく――。 「出会わなければ、自分は自分のままでいられたんだ。出会わなければ、いつまでも本当の自分を隠して、普通の人として生きていけた」 それでも、共にいたいと願う二人の少年と、それを見守るいくつもの眼差しを丁寧に描いた、孤独と愛の物語。 解説=鈴掛真 単行本 2024年1月 文藝春秋刊 文庫版 2026年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち
大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞ダブル受賞作! ボランティアの現場、そこは「戦場」だった――。筋ジストロフィーと闘病する鹿野靖明さんと、彼を支える学生や主婦らボランティアの日常を描いた本作には、介護・福祉をめぐる今日的問題と、現代の若者の悩みが凝縮されている。単行本版が刊行されてから10年、今も介護の現場で読み継がれる伝説の作品が増補・加筆され堂々の復活! -
キリング・ゲーム
ディーヴァーの後継者、カーリイの超絶ミステリー登場。まったくつながりのない連続殺人の謎を解け。 街で連続殺人が起こっていた。しかし凶器も手口もバラバラ、被害者同士にもつながりはまったくない。ただ現場に1セント硬貨が残されていることだけが共通していた。被害者をランダムに選ぶ動機なき殺人なのか? やがて犯人がカーソンを名指しで警察に挑戦状を送りつけてくるに及び、事件は警察の威信をかけたものとなる。過去の経験から「動機なき無差別殺人」などないと信じるカーソンだったが、突破口は一向に見えてこず、被害者の遺族の悲しみに向き合うことしかできなかった。 一方、殺人犯は微細な証拠も残さぬように細心の注意を払って殺人を遂行していた。ルーマニアの独裁政権下で心理実験のモルモットとされた過去を持つ男の狙いはいったい何か。 「このミス」「週刊文春ミステリーベスト10」などランキング常連のミステリー作家が超絶技巧で放ったシリーズ随一のはなれわざ。意外な動機は、巧妙に敷かれた伏線とエピソードの網の目に隠されて、あなたの目の前にある! -
世にも奇妙な人体実験の歴史
マッドサイエンティストの世界へ、ようこそ 性病、コレラ、放射線、毒ガス……。人類の危機を救った偉大な科学者たちは、己の身を犠牲にして、果敢すぎる人体実験に挑んでいた! 自身も科学者である著者は、自らの理論を信じて自分の肉体で危険な実験を行い、今日の安全な医療や便利な乗り物の礎を築いた科学者たちのエピソードを、ユーモアたっぷりに紹介します。 解剖学の祖である十八世紀の医師ジョン・ハンターは、淋病患者の膿を自分の性器に塗りつけて淋病と梅毒の感染経路を検証しました。十九世紀の医師ウィリアム・マレルは、ニトログリセリンを舐めて昏倒しそうになりますが、血管拡張剤に似た効果があると直感。自己投与を続けて、狭心症の治療薬として確立するもとになりました。二十世紀、ジャック・ホールデンは潜水方法を確立するために自ら加圧室で急激な加圧・減圧の実験を繰り返し、鼓膜は破れ、歯の詰め物が爆発したといいます。 その他にも放射能、麻酔薬、コレラ、ペストなどの危険性の解明に、自らの肉体で挑んだマッド・サイエンティストたちの奇想天外な物語が満載。その勇気と無茶さに抱腹絶倒するうち、彼らの真の科学精神に目を開かされる好著です。 解説・仲野徹 -
奔流の海
人は運命に抗うことができるか? 1968年、後に「千里見の七夕崩れ」とよばれる大型台風による土砂崩れで、町は多数の死者・行方不明者を出した。 20年後、同じ町の旅館の娘・清田千遥は、東京からやってきた大学生・坂井裕二と出会う。裕二はなぜか夜ごと町を徘徊していた―― 激流に飲まれた運命がやがて大きな感動へとたどり着く。 『代償』『悪寒』のベストセラー作家・伊岡瞬史上、 最も残酷で美しい青春ミステリー! Apple Books Store 2022年上半期ベストブック(ミステリー部門) ※この電子書籍は2022年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
クリスマス・プレゼント
ひねりにひねった短篇16連発。原題もズバリ“Twisted”。これぞ「どんでん返しの魔術師」ディーヴァーの真骨頂だ! スーパーモデルが選んだ究極のストーカー撃退法、オタク少年の逆襲譚、未亡人と詐欺師の騙しあい、釣り好きのエリートの秘密の釣果、有閑マダム相手の精神分析家の野望――。ディーヴァー・マジックが次々に炸裂するミステリー短篇集。お馴染みリンカーン・ライムとアメリア・サックスが登場する「クリスマス・プレゼント」は本書のための書き下ろし。2006年週刊文春ミステリーベスト10第8位、このミステリーがすごい!第2位。 -
宇喜多の捨て嫁
五冠達成! 驚異の新人、衝撃のデビュー作 戦国時代の備前の国で宇喜多直家は権謀術策を縦横無尽に駆使し、成り上がっていった。 腐臭漂う、傑作ピカレスク歴史小説見参! 娘の嫁ぎ先を攻め滅ぼすことも厭わず、権謀術数を駆使して戦国時代を駆け抜けた戦国大名・宇喜多直家。 裏切りと策謀にまみれた男の真実の姿とは一体……。 高校生直木賞、オール讀物新人賞、舟橋聖一賞、咲くやこの花賞、歴史時代作家クラブ賞の5冠達成! 特別収録・高校生直木賞ルポ。 【目次】 宇喜多の捨て嫁 無想の抜刀術 貝あわせ ぐひんの鼻 松之丞の一太刀 五逆の鼓 -
三途の川のおらんだ書房
【〈文学少女〉シリーズの著者が放つ、すべての本好きに贈る感動のビブリオ・ファンタジー】 三途の川べりに佇む〈おらんだ書房〉では、 艶やかな着物をまとった陽気な店主が 「人生最後にして最上の一冊」を選んでくれるという。 客は子供から老人まで生前に大きな未練を残した死者ばかり。 そのひとりひとりの人生の物語に優しく寄り添い、 店主は成仏へと導く本を探すが――。 【目次】 第一話「本が大好きな三田村祐介様(享年三十四)の場合」 第二話「でんぐり返る本を探してる越野園絵様(享年八十六)の場合」 第三話「空っぽのおなかをかかえた、空っぽな目の初芝泪衣様(享年四)の場合」 第四話「呪いの本を求めてやってきた尾崎純香様(享年三十五)の場合」 第五話「描けない人気漫画家司七彦様(享年四十一)の場合」 第六話「世界で一番退屈で、つまらなくて、どうでもいい本をご所望の鈴木藍理様(享年十六)の場合」 -
仕立屋お竜
表の顔は腕の良い仕立職人、裏の顔は達人に仕込まれた剣術で悪を成敗する「地獄への案内人」。仕立屋お竜の活躍を描く痛快時代小説開幕! 第一話は、いたいけな少女・おしんがお竜と名を変えて「地獄への案内人」の道を歩むまでが描かれます。幼い頃に父からDVを受けてきたおしんは、母と家を逃げ出すが、その母も過労で亡くなり天涯孤独の身に。母親の薬代のためにつくった借金を抱えたおしんだが、親切顔で近づいてきたやくざの林助に騙され、盗品の運び屋や、美人局の片棒を担がされるなど、悪の道にひきづりこまれてしまいます。 とあることがきっかけで、武芸の達人・北条佐兵衛に助けられて自由の身となったおしんは、天賦の才があったのか、達人から教えてもらった武術を乾いた砂が水を吸うようにわがものにしてゆきます。「お前の才能は、お前のように困っている女性のために使うのだ」という師匠の言葉を胸に、師匠の紹介で仕立屋「鶴屋」から仕事をもらうようになります。そしてお竜と名を変えて、女をいたぶる悪人を退治することを決意。そんなある日、因縁の男と再会することになって……。 お竜の庇護者となる仕立屋の主・鶴屋孫兵衛、鶴屋の碁敵で謎のご隠居・文左衛門、そして鶴屋の用心棒で、ちょっととぼけた吉岡流剣術の使い手・井出勝之助など、お竜の脇を固める登場人物たちも魅力たっぷり。そして何よりの読みどころは、お竜の艶やかさと痛快アクションシーンです! -
小隊
★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。 ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。 【収録作】 「小隊」(第164回芥川賞候補) 「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補) 「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞) ※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています -
飛族
日本海のはずれ、朝鮮との国境に浮か養生島。 かつては漁業で栄えていた離島で暮らす三人の老女のうち、ナオの死で、いまはイオとソメ子のふたりが取り残されている。 九十二歳でひとり暮らしのイオの娘、ウメ子も六十五歳になった。 イオは海女をなりわいとして、八十五歳までアワビを獲るほど、心身ともに丈夫ではあるけれど、娘のウメ子としては心配でならない。 二十五年前の海難事故で命を落とした夫を供養するイオとソメ子。 異国からの密漁船による侵略や、地球温暖化など、不吉な未来を予感しながら、泰然と暮らしを守り続ける老女たち。 そんな島に、おそろしい台風が近づいてきて……。 名作映画「八月の鯨」のように、海辺での厳しい暮らしとシンプルに生きようとする姿に胸を打たれる。 いまの時代こそ、こんな世界に浸りたくなる。谷崎潤一郎賞受賞作品。解説・桐野夏生 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
百花
「あなたは誰?」 徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。 ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。 泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。 母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。 記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。 「あなたはきっと忘れるわ。 だけどそれでいいと私は思う」 「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。 あの時のように」 ……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。 『君の名は。』『天気の子』を生んだ稀代の名プロデューサーにして、 小説『四月になれば彼女は』『世界から猫が消えたなら』で 作家としても大きな衝撃を与えてきた川村元気。 各界からも反響が続々! ◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合 ◆深い感動のうちに読了した。 ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次 涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。 解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。 ※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ブルーネス
〈津波監視システム〉は実現できるのか? はぐれ研究者たちの情熱溢れる理系エンタメ! 「津波監視システムの実現に手を貸して欲しい」。 東日本大震災後、地震研究所を辞めた準平は、学会で異端視されている武智に誘われる。 海洋工学や観測機器などのエキスパートだが個性が強すぎて組織に馴染めない“はみ出し者”たちと、準平は前人未到のプロジェクトに挑むか……。 研究者の情熱ほとばしる科学エンタメ! 解説・巽好幸(神戸大学海洋底探査センター教授・センター長) ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています -
竜馬がゆく
総発行部数2500万部超! 坂本竜馬の奇蹟の生涯を壮大なスケールで描く、司馬文学の金字塔、遂に電子化! 土佐の郷士の次男坊に生まれながら、ついには維新回天の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。司馬遼太郎の永遠のベストセラーが半世紀の時を経て、電子版で新たによみがえる! 第1巻/生まれ落ちたときから背中一面に旋毛がはえていたため、豪気な父は、“千里の駿馬”になるかもしれないと、竜馬と名付けた。が、十二になっても寝小便する。近所の子から「坂本の寝小便ったれ」「坂本の泣き虫」 とからかわれ泣かされて帰ってくる。字を満足に覚えられず、寺子屋の師匠に見捨てられる。そんな竜馬は、十四歳の時に小栗流の道場に通いはじめてから、にわかに顔つきまで変わっていった。竜馬は強い――。幼年時代から、江戸での剣術修業、奥手だった青年時代、人斬り以蔵、桂小五郎との出会いなどを描くシリーズ第1作 -
殉国 陸軍二等兵比嘉真一
14歳の少年は、何を見たのか。 少年の体験を通して、すさまじい沖縄戦の実相をつぶさに描いた長篇小説。 「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」 太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。 実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。 1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。 解説・森史朗 ※この電子書籍は、1911年11月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。単行本は1982年6月に筑摩書房より「陸軍二等兵 比嘉真一」として刊行されました。 -
日暮れのあと
生と死、そして性愛――人生を謳いあげる至高の短編小説集 【誰だって、人に知られたくない秘密がある。】 「過ぎてみれば、全部、どうってことなかった」 こんなに心を震わす小説が、他にあるだろうか――? 孤独、死、性愛と情熱、そして嫉妬…… 人に悟られたくない、繊細な心の機微を見事に描く極上の短編小説集。 【解説・小川洋子】 老いを感じながら山裾で暮らす童話作家の72歳の雪代。庭を訪れた植木屋の若者から、還暦過ぎの風俗嬢への一途な恋心を聞き嫉妬するが…(表題作)。自分の夫と一緒に死んだ女に、線香をあげる妻が放つ不穏な空気(「喪中の客」)。 誰しも運命に逆らえず秘密を抱えて生きていく。 短編の名手・小池真理子が放つ、至高の7編。 〈あの人に抱いた、言葉にできない想い――〉 ・いつものように彼女に請われても、彼は化粧をしようとしなかった。(「アネモネ」) ・ある日、朽ち果てて使われなくなった玄関のブザーが鳴った…(「喪中」の客) ・若かったおばの白いふくらはぎと甘ったるい声が、彼女の遺骨を抱いて蘇る(「ミソサザイ」) ・40歳の時に恋をした相手は、大学生。旅館で親子と間違われて…(「微笑み」) 単行本 2023年6月 文藝春秋刊 文庫版 2026年4月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています -
ガンルージュ
「あたしたち、最強の相棒。」 韓国最凶の特殊部隊が日本に潜入。迎え撃つは、元公安のシングルマザー&女性体育教師!? ・あらすじ 韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。 事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。 日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。 祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。 因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は。そして絶体絶命の母子の運命は――。 ・著者コメント 「(アクションorサスペンスor興奮に)手に汗を握りつつ、泣いて笑ってしんみりと。 私の持てる技術をありったけ投入した、あなたのためのエンターテインメントです」 解説・大矢博子 -
マリコ、アニバーサリー
会議に執筆、今年もマリコは大忙し 祝・連載40周年×古希! 日大理事長になっても、転んで、旅して、怒ってます。 最強の「老人初心者」による、痛快アニバーサリー・エッセイ。 【内容紹介】 「週刊文春」の看板連載がついに40周年を迎えました(単行本刊行時)。 マリコは古希(70歳)となり、日大理事長という重責を担う日々に。しかし、偉くなってもマリコは止まらない。 ◆ 身体はガタがきても、フットワークは軽く 「老人初心者」を自認する著者を襲ったのは、池袋駅前での派手な転倒とケガ。不眠に悩み、鏡を見ては「顔のパンツ(マスク)」を外す勇気がないと嘆き、眼瞼下垂の手術に心を揺らす……現実に直面しながらも、好奇心は衰え知らず。コロナが明ければ台湾へ美食の旅に出かけ、ルーマニアの演劇祭へ飛び、パリで豪華なランチを堪能する。その驚異的なバイタリティに、読めば元気が湧いてくる! ◆ 世相をメッタ斬り&昭和への惜別 不倫騒動からジャニーズ問題、岸田内閣の顔ぶれ、そして大谷翔平・藤井聡太・羽生善治といった天才たちまで。理事長室から飛び出し、あらゆる世相に独自の視点で切り込む。一方で、西武デパートのストライキや山の上ホテルの休館など、変わりゆく時代の風景に寄せる思いは切なく、同世代の共感を呼ぶ。 ◆ 特別収録 本書の最後には、美智子さまへの尽きせぬ敬愛を綴った特別編「美智子さまからのお言葉『どうかゆっくりしていらしてね』」ほか、文庫版特別付録「『皇后は闘うことにした』が生まれるまで」を収録。笑いあり、涙あり、そして深い感動あり。 肩書きは重いが、腰は軽い! 作家・林真理子の「現在地」が詰まった、記念すべき最新文庫! 単行本 2024年3月 文藝春秋刊 文庫版 2026年3月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
錯覚の科学
あなたの脳は「6つの錯覚」に支配されている ハーバード大学の俊才たちが、最先端科学実験で次々に明らかにする、あなたの記憶のウソ、認知の歪み、理解の錯覚。 「えひめ丸」を沈没させた潜水艦の艦長は、なぜ“見た”はずの船を見落としたのか。ヒラリー・クリントンはなぜありもしない戦場体験を語ったのか。――日常の錯覚が引き起こす、記憶のウソや認知の歪みをハーバードの俊才が科学実験で徹底検証。サブリミナル効果、モーツァルト効果の陥穽まで暴いた脳科学の通説を覆す衝撃の書! 解説・成毛眞 単行本 2011年2月 文藝春秋刊 文庫版 2014年8月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
幽霊人命救助隊
僕たちが助けにいきます 浮かばれない4人の霊に、49日以内に自殺しようとする100人を救えとの神の命令が下る。笑いあり涙あり、怒涛の救助大作戦始動 浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で3人の男女に出会った。老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女。そこへ神が現れ、天国行きの条件に、自殺志願者100人の命を救えと命令する。裕一たちは自殺した幽霊だったのだ。地上に戻った彼らが繰り広げる怒涛の救助作戦。傑作エンタテインメント! 解説・養老孟司 単行本 2004年4月 文藝春秋刊 文庫版 2007年4月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
リンカーン・ライム
リンカーン・ライム・シリーズ第14作! ダイヤへの妄執を紡ぐ殺人者――ニューヨークを揺るがす大犯罪を暴け。 シリーズ原点回帰の傑作。 ダイヤモンド店で三人の男女が無惨に殺害された。 被害者は婚約指輪を受けとりにきたカップルとダイヤ加工職人。現場からはダイヤモンドも持ち去られていた。 科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査を担当することになるも、犯行直前に店を訪れた人物が殺害され、さらにはやはり結婚間近の男女がダイヤモンドへの妄執を口にする男に襲撃され、辛くも難を逃れる事件が起きる。連続する事件に振り回されるライムらのもとに、「プロミサー」と名乗る人物から、婚約したカップルへの異様な殺意を表明するメールが届いた。 犯人は関係者を次々に殺害しながら、逃走する目撃者のあとを追う。犯人より先に目撃者を確保すべく、ライムと仲間たちは必死の推理と捜査を展開するが――。 ※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
赤川次郎クラシックス 幽霊愛好会
傑作中篇「幽霊」シリーズ第3弾の新装版。 永井夕子は高校時代の親友・片倉敦子の邸宅を、宇野とともに訪れる。敦子は57歳の会社社長・泰長の後妻となり、自分より年上の義理の息子・靖夫と、自分より一つ年下の娘・不眠症の亜里沙と暮らしていた。 誰もがうらやむ豪邸に暮しているとはいえ、気苦労が多いんじゃない、と心配する夕子に、敦子は 「なにも問題はないわ。あるといえば主人が月に一度、亡くなった先妻に会いに行くくらい」と驚きの告白。 そんな話をしているところへ、亜里沙の部屋が何者かに荒らされていることが発覚。そしてベッドの上には、冷たくなった亜里沙の身体が横たわっていた――。 表題作ほか、「名探偵の子守唄」「青ひげよ、我に帰れ」「赤い靴はいてた女の子」「コウノトリは本日休業」「殺された死体」の計6篇を収録。 -
恋とそれとあと全部
友達だけど、違う生き物 夏休み、俺は片想い中のサブレと夜行バスの旅に出た。彼女が口にした、ちょっと風変わりな目的のために――見知らぬ町で一緒に過ごすうち、そして会話を重ねる度に、サブレをもっと深く知った俺の中に名前のない感情たちが溢れ出てきて……。特別な夏の4日間が教えてくれた、恋だけじゃない、世界の「あと全部」を巡る物語。 『君の膵臓をたべたい』から10年―― 住野よる史上、最も不器用で愛おしい恋の物語 言葉にする前の、 この瞬間だけが 永遠ならいいのに。 【登場人物】 めえめえ(瀬戸洋平) サブレに片想いし、彼女と旅に出る高校生 サブレ(鳩代司) 命のエネルギーに惹かれる、ちょっと気にしすぎな同級生 夏休み、夜行バスに揺られ、僕らは世界の輪郭と、言葉にできない想いの行方をなぞっていく。 単行本 2023年2月 文藝春秋刊 文庫版 2025年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
深海の使者
インド洋を横切り、アフリカ大陸を回りこんで大西洋を北上する3万キロの隠密行! 第二次大戦中、五回に渡って行われた遣独潜水艦作戦の全貌を描いた著者最後の戦史小説 太平洋戦争勃発後、連合国側に陸路・海路を封鎖され、日本と同盟国ドイツとの連絡は途絶した。この苦境を打破するため、海軍は潜水艦を単独でドイツに派遣する“遣独潜水艦作戦”を敢行した。 マラッカ海峡を抜けてインド洋を横断し、アフリカ大陸を南下、喜望峰を回りドイツ占領下フランスの大西洋岸の港まで、はるか3万キロを連合国側の厳重な対潜哨戒網をかいくぐって往復するという、過酷極まりない作戦。 伊30、伊8、伊34、伊29、伊52。五次に渡る作戦の中で、無事に日本に帰還したのは第二次の伊8一隻に過ぎなかった。 「文藝春秋」連載中から大きな反響を呼び文藝春秋読者賞を受賞。そして本作が著者最後の戦史小説となった。 解説・半藤一利 -
ジェンダー・クライム
死んだ男の息子は集団レイプの加害者だった ジェンダー・クライムの連鎖を断ち切れ! 罪と罰と赦しを問う、著者ならではのノンストップサスペンス 八王子南署刑事課の鞍岡直矢の元に、殺人事件の一報がもたらされる。殺されたのは54歳の男性、佐東正隆。裸に後ろ手で縛られた遺体には、肛門に擦過傷と、「目には目を」というメッセージが残されていた。 浮かび上がったのは、佐東の息子・進人が3年前に起こした集団レイプ事件。 昔気質の強行犯係の猛者・鞍岡は、バディとなったどこか掴みどころのない警視庁捜査一課・志波倫史と共に事件を追うが、最重要人物だったレイプ事件被害者の兄・竜介が姿を消し、曰く付きの元警官・伊崎が接触してきて……!? 佐東殺しの犯人は誰なのか? そして、隠された志波の過去とは? 「ジェンダー・クライム」とは――DV、痴漢、盗撮、虐待、同意なき性行為、児童買春、ストーカー行為や暴力、女性を狙った無差別な攻撃、性に関する偏向した考えや性文化に起因する犯罪、著者はジェンダー・クライムと名付けた。 単行本 2024年1月 文藝春秋刊 文庫版 2026年2月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
Black Box
社会を変え続けるジャーナリスト、渾身の手記 「そうは言ってもあなたも悪かったんじゃないの?」社会システムの隅々まではびこる性暴力被害者への偏見。立ち上がり闘う魂の記録。 ※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
名画と読むイエス・キリストの物語
この絵は、イエスの生涯の「いつ」のこと? 『怖い絵』で人気の著者がキリストの生涯を描いた絵画43点をオールカラーで解説しつつ、その生涯を追う。読んで、見て楽しい一冊。 〈イエス・キリストのおおまかな生涯を知った上で西洋名画を楽しみたい――そう願う人のための、これは手引書を目指した〉。 ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』やベラスケス『キリストの磔刑』をはじめ、レンブラント、ルーベンス、グレコなど43点をオールカラーで収録。 解説・末盛千枝子 ※この電子書籍は2012年9月に大和書房より刊行された単行本を、文春文庫で刊行した文庫版を底本としています。 -
暗殺の冬
ニューヨーク・タイムズが年間ベストに選んだ傑作警察小説! 1986年、冬。スウェーデン首相が暗殺された夜に、寂しい寒村でひとりの女性が殺された。それは連続殺人犯の最初の犯行だった。しかし暗殺事件の余波で捜査は十全に行われず、第二、第三の事件を許すことになった。第一の被害者を救えなかった刑事スヴェンは姿なき暴行魔を単身、追い続けた。執念の捜査は警官となった息子ヴィダルに引き継がれたが……。 そして現在。作家である「私」はこの村に帰郷する。かつてスヴェンの相棒の刑事だった老女エヴィと私が知り合ったことで、ついに封印されていた恐るべき「罪」が姿をあらわしはじめる。 30年以上にわたる歳月、罪、秘密。最年少で最優秀スウェーデン・ミステリーを受賞し、スウェーデンと北欧のミステリー賞を総なめにしてきた最重要作家カールソンの出世作、日本上陸。