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花村萬月の名前を聞くと、サラダ油のシーン(!)で印象深い映画化タイトル「皆月」を思い浮かべる人も多いかもしれない。過激な性と暴力描写を得意とする作家だが、その根底にあるのは神への猜疑と冒涜である。
著者の「王国記シリーズ」の第一章目にあたる本作『ゲルマニウムの夜』の主人公・朧は、頭脳明晰だが人を殺し、育った修道院に舞い戻る。彼は人を殺し、純潔の修道女を犯しても、何の罰も下さない神を見限り、宗教者のなれのはて――王国の建立を決意する。
表題作の他に「王国の犬」、「舞踏会の夜」が収録されている。いずれも朧が修道院で神を疑い、信心深い神父とアスピラントを試し、自我に目覚めるまでの小編だ。修道院という本来神聖であるはずの場所で行われている暴力、虐待、同性愛の生々しく残酷な描写は圧巻。なお、2005年に大森立嗣監督・新井浩文主演で映画化もされている。
Posted by ブクログ 2013年01月10日
良い意味でクレイジー。宗教的な題材ゆえ、うまく説明できないが、聖性と暴力という、対極に位置する要素を結節している点が巧みである。本作の舞台「王国」は宗教施設=聖域なのであるが、そこに漂うのは聖性ではなく暴力性である。また、主人公・瓏はタブーを犯し、神父にも神を愚弄するような質問をぶつけている。あきら...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年11月27日
人前でこういう本を読んでいると公言すると、確実にドン引きされる「王国記」の第一巻です。これは正直言って万人受けはしません。
これをはじめて読んだのが高校時代でした。先日、このシリーズで最新刊の『風の條』が手に入ったので跡でこれは紹介するとして最初にこの本を紹介したのですが、人を殺し、育った修道院...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
花村萬月の書く文章は生きている、と思う。
黒いだけの文字から浮かび上がる鮮やかな色。
ハッキリと想像できるその色たち。
それは想像というよりも、
リアルで目の当たりにしているような感覚だ。
彼の描く色彩のブルースは、
男性的で荒廃的で、ときに美しくも悲しい。
宗教やホモセクシャルがテーマになってはい...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
文句なしのハイレベルクラス、といった感じでした。主人公の設定とサブキャラの噛みあい方が非常に面白いところまで書かれています。
何よりすごいのはこの想像力と思想ですね。自分の世界の創世と一口にいってしまえばそれまでですが、ここまで自分の思っていることを展開できている小説を見たのは初めてです。文体も相当...続きを読む
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