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神父や修導士の厳しい監督のもと、社会から完全に隔離した集団生活――修道院とは名ばかりの教護施設で、混血児イグナシオは友人を事故に見せかけて殺害した。修道女・文子は偶然現場を目撃するが、沈黙することを約束する。“人を裁けるのは、神だけです。”静謐に言い放つ文子にイグナシオは強く女性を意識し、施設を脱走する最後の晩、初めて文子と結ばれる。そして、己の居場所を探して彷徨い新宿歌舞伎町で新たな生活を始めるが……。芥川賞受賞作と対をなす記念碑的名作。
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Posted by ブクログ
破戒的、暴力的だけど、宗教的。ペシミスティックでもあり、紫色の小説だった。イグナシオが様々な人と出会い、愛や温もりを知るたびに、その自我は密かに、しかし確実に崩壊へ進んでいく。差別を定義するのはすごく難しいけど、あいつに言われるのはいいが、こいつに言われると腹が立つ、と超主観的に説明していたイグナシ...続きを読むオの理論には共感できる。多分、差別なんてそんなもんだ。深く、エグい。
リアルな情景が浮かんでくる。セックスやグロテスクな描写をふんだんに使用してる反面、一種の爽やかさも持っていると思う。
確か花村萬月自身もカソリック系の施設に居たとかで、修道院の描写がかなりリアル。神様と暴力がてんこもりで、いつものごとく生々しい世界が繰り広げられる。救いのなさも含め、読んだときの衝撃は忘れられません、、
『王国記』シリーズを読む前にこっちを読むべきだったかな、と少し後悔。向こうのシリーズはまだ文庫の2巻までしか読んでいませんが。 ここでこういう選択をしたら、こっちに行くのかな。読んでない人には訳が分からないだろうけれど。 まあ、言ったとおりに『王国記』を読み終わっていないから、逆の選択をした結...続きを読む果もまだ良く分からないが。
衝撃的でした。随分昔によんでもまだその内容を覚えているぐらい衝撃でした。血生臭い、でも引き込まれていく、そんな感じを抱いたのを覚えています。もう一度読みたい。今ならもっとこの話の中にのめり込めそうです。
暴力は嫌いだけど、暴力的なものは嫌いじゃない。セックスと暴力って結局人間の根本なのか、と思わされる。「疾走」同様、彼の不幸(と一言ではいえないが)はどこからやってきたのだろう、と考えてしまう。
ハードボイルドかな〜?エロくてグロイ。拒否反応が出る人には絶対オススメできません^^; 私は汚い物を書かないと、綺麗な物は見えないのだな、と思っています。これと同じ内容の書き直し作品「王国記」がありますが、私はこちらの作品の方が好きです。
純粋な破壊衝動を持った少年イグナシオが「施設」という閉鎖世界から脱出し、「歌舞伎町」という開放世界に逃げ出し、そこで自分を見つけようとする物語。って感じでしょうか。 現代の若者にも通じるような部分があると思うんです。気に食わないから殴ったとか、誰でも良いから殺したとか(誰でもいいってのはこの話には無...続きを読むかったけど。)。 非常に面白かったです。おかげで、速く読み終わりました。
ほとんど私小説だけどなんていうかネタ切れしてる時期に書いたやつかなぁ。微妙なところではあるけど好き。
悲しいぞ。萬月を読むと、鬱になってしまうぞ。 いくつか読んでいると、同じようなパターンが多いことに気がつくが、萬月自身言うようひとつの素材を繰り返し使わないのはもったいないとか。 とにもかくにも、萬月読むとダメージでかい。
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