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「お前の居場所は、俺が作るから。泣くな」
ピアノだけが友達の孤独な少女の夏子は、異彩の少年・月島と出会い、振り回され、傷付きながらもその側にいようとする。
やがて月島は唐突に「バンドをやる」と言い出した。
彼は、夏子の人生の破壊者でも創造者でもあった。
大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。
異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。
直木賞候補となった鮮烈なデビュー小説。
「生生しくて、切なくて、痛くて、何度も胸を揺さぶられた。この小説が好きだ。好きだ、と叫び出したくなる」
宮下奈都(解説より)
【藤崎彩織】
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た四人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となった。他の著書に『読書間奏文』がある。
※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
2020/09/27
SEKAI NO OWARIのピアノを担当しているSaoriさんこと藤崎彩織さんの書いた小説。豪華にも解説は宮下奈都さんが書いているから気合の入れようが違うなと感じました。
もともとセカオワ自体もすごく有名だからころバンドの人間が書く小説というのにもとっても興味があってちょうど文庫化していたので買って読んでみました。
どうしてもさおりさんが有名であることで、あーセカオワってこうやって出来上がって今の形になっていったんだなぁと結成までの背景的な感じで読むこともできますが、それを全く知らなかったとしても1つの物語として出来上がっているなと感じます。
何より言葉選びが多彩で色々な表現にあふれていて驚いたとともに、さおりさんが他の小説とか書いたらどうなるんだろう…とも思ってしまうような、その小説の情景がありありとわかるような構成になっていると思います。
かなりの部分が実体験に基づいて描かれているのだろうということは予測できますが、それを抜きにしても十分面白いのではないかと思います。
Posted by ブクログ
物語の展開が早く印象的で、すごく読みやすい作品だった。章ごとに細かく分けていることで、よりそう感じられたのかもしれない。
僕はSEKAI NO OWARIが好きなので、本を読む前から知っていたエピソードについて「ああ、この場面なのか」「こんなことだったのか」などと知ることができて面白さもあった。
ただ、この本をSEKAI NO OWARIを大して知らない人が読んだらどう思うのかな、というのはすごい不思議に思った。小説が好きな人が読んだら高い評価をつけるのかな?正直そう感じた。
ファンとして過去を知るための教科書的な本としても、小説としては面白かった。
ただ、これまでこんなに深く辛く衝撃的で、激動というかデビューまでの期間を言葉にして、文章にして表すことのできるSaoriちゃんはすごいなと感じた。
Posted by ブクログ
すごい。すごかった。どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのかはわからないけど、作者が血を流しながら書いている。そういう力をとても感じる作品だった。
たまたま手に取って、解説が宮下さんだからこれはおもしろそう!と思いレジに向かった。
読もうとして著者紹介を見てびっくり。見たことある名前だと思ったら、見たことあった。
でも何も知らずに読みたい。先入観なく、夏子と共に血を流したい。
友だちに「なっちゃん」がいる。元彼はADHDだった。名前も相まって関係性が似ていて驚いた。きっと彼女に読ませたら苦しくておかしくなってしまうだろうと思う。
セカオワのことを好きにならずにはいられない。Saoriちゃんの才能がうらやましい。と言いたいけど、なっちゃんの苦しくて苦しくて、ほんの一瞬の喜びを糧に深くて暗い海に潜り続けている様子を見てしまったら、努力もしないでうらやましいなんておこがましいとも思う。
明るい話ではないので、暗い気分の時に読まないで!週末のたのしい予定を考えて明るい気分だったはずなのに、だいぶ暗い数日を味わったよ〜
Posted by ブクログ
『言葉があれば、役立たず、お前なんて才能がない、という声から自分を救えるかもしれない。居場所なんてない、お前なんていない方が良かった、という声から自分を守れるのかもしれない。』
思っていた以上に切ない物語だった。
「お前の居場所は俺が作る」という月島の言葉、言われた時は嬉しいけれど、ずっとずっと心のどこかに残る呪いのような言葉で、解説にあった通り強烈な言葉には魔力があり、言葉ひとつでその人の人生を奪ってしまうのかと思うと少し怖くなった。
「点滴のしずくが定期的に落ちていくように、私は泣き続けた。」のように物語にちょくちょく出てくる比喩表現が本当に素敵。
セカオワの曲を聴きながら読んでいたが、どれも切ない思いをしたり、葛藤がなければ出来なかった曲ですごく尊く感じた。これからはもっともっと大事に聴きたいし、曲を聴いている時には「ふたご」で出会った素敵な言葉たちを思い返したい。
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