【感想・ネタバレ】ふたごのレビュー

あらすじ

「お前の居場所は、俺が作るから。泣くな」
ピアノだけが友達の孤独な少女の夏子は、異彩の少年・月島と出会い、振り回され、傷付きながらもその側にいようとする。
やがて月島は唐突に「バンドをやる」と言い出した。
彼は、夏子の人生の破壊者でも創造者でもあった。

大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。
異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。
直木賞候補となった鮮烈なデビュー小説。

「生生しくて、切なくて、痛くて、何度も胸を揺さぶられた。この小説が好きだ。好きだ、と叫び出したくなる」
宮下奈都(解説より)

【藤崎彩織】
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た四人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となった。他の著書に『読書間奏文』がある。

※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても特別な関係のふたりについて書かれた物語。テーマはある意味普遍的なのに、私がリアルにも小説でもまだ体験したことのない感情がたくさん描かれてた。

文章の密度がすごくて、つめこまれた想いもすごく濃く深いのが感じられた。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

2人は傷つけあいながら時に支え合いながらの関係性
夏子自身も月島に振り回されて困っているが、実は彼女もどこかに居場所を探していたのではないか
月島もやりたいことを見つけられて楽しそうに過ごしている様子が描写されて明るい着地で終わって良い小説だった
これからセカイノオワリの見方が少し変わりそうだ

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

痛くて苦しくて切なくて少し甘い。
書き手の感情が滲み出た結果、本になったような。
名もない男女の関係に少しずつ名前がついていく、変化していく2人が見ていて苦しかったし応援したくなった。
SEKAI NO OWARIがまた好きになった1冊でした

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

これは小説なのかな伝記なのかな?気付けばSEKAINOOWARIのメンバーたちが小説の中で話したり動いたりしていた。
こんなにも色んな感情を含む関係っていうのも存在するんだな…
個人的には闘病する月島に対する夏子の気持ちにとても共感。
この物語を読んでからまた曲を聴くと、情景が目に浮かんで心にくる歌詞がたくさんあった。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

2020/09/27
SEKAI NO OWARIのピアノを担当しているSaoriさんこと藤崎彩織さんの書いた小説。豪華にも解説は宮下奈都さんが書いているから気合の入れようが違うなと感じました。
もともとセカオワ自体もすごく有名だからころバンドの人間が書く小説というのにもとっても興味があってちょうど文庫化していたので買って読んでみました。
どうしてもさおりさんが有名であることで、あーセカオワってこうやって出来上がって今の形になっていったんだなぁと結成までの背景的な感じで読むこともできますが、それを全く知らなかったとしても1つの物語として出来上がっているなと感じます。
何より言葉選びが多彩で色々な表現にあふれていて驚いたとともに、さおりさんが他の小説とか書いたらどうなるんだろう…とも思ってしまうような、その小説の情景がありありとわかるような構成になっていると思います。
かなりの部分が実体験に基づいて描かれているのだろうということは予測できますが、それを抜きにしても十分面白いのではないかと思います。

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2020年09月28日

Posted by ブクログ

頑張れない時の方が頑張ってる時よりも辛いから、限界まで身体が壊れかけるまで頑張れてる人を見ると羨ましく思えるし格好良く見えるしキラキラして眩しい。そこまでやったら本末転倒だろ!っていうやつは人の心がないんか?お前がこっそり手助けして見守ってあげればいい。ヒトは独りで生きてけない弱い生き物なんだから。

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

『言葉があれば、役立たず、お前なんて才能がない、という声から自分を救えるかもしれない。居場所なんてない、お前なんていない方が良かった、という声から自分を守れるのかもしれない。』

思っていた以上に切ない物語だった。
「お前の居場所は俺が作る」という月島の言葉、言われた時は嬉しいけれど、ずっとずっと心のどこかに残る呪いのような言葉で、解説にあった通り強烈な言葉には魔力があり、言葉ひとつでその人の人生を奪ってしまうのかと思うと少し怖くなった。
「点滴のしずくが定期的に落ちていくように、私は泣き続けた。」のように物語にちょくちょく出てくる比喩表現が本当に素敵。
セカオワの曲を聴きながら読んでいたが、どれも切ない思いをしたり、葛藤がなければ出来なかった曲ですごく尊く感じた。これからはもっともっと大事に聴きたいし、曲を聴いている時には「ふたご」で出会った素敵な言葉たちを思い返したい。

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2024年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めの2章で心を掴まれ、かつて私が受けたいじめや重い足を引きずって登校した過去が思い出され、読むのに2週間以上かかってしまいました。
「頑張りたいのに頑張れない」そのことを最近友人から聞き、お互いに共有し合っていたのですごく私にとってタイムリーな話題でした。パニック障害や鬱のことは私にはわかりません。当事者ではないので分かるつもりになることも許されないと思います。当事者になったとしてもその人の苦しみを分かったフリをすることは許されないでしょう。
でもその生きづらさを共有する心強さや反対に理解されないもどかしさは少し自分と共通するものがありました。





最初は失恋を思い出して過去をゆっくり丁寧に思い出す小説だと思っていました。
でもそうではありませんでした。
恋愛小説と簡単にカテゴリ化してはいけないような気もします。
月島は分類したがる人を否定して、常識ひとつひとつを突き放している。それなのに結局は常識に苦しめられている。さおりさんがこういう話をかける人だからHabitが生まれたのかもしれないなぁとふと思いました。

☆次に読んてほしい本
アントキノイノチ/さだまさし
ふたつのしるし/宮下奈都

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2024年04月26日

Posted by ブクログ

依存し合ってるのに、寄りすぎては壊れてしまう、だけどいつまでも離れることができない二人の不思議な関係に惹き込まれた。

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2022年11月08日

Posted by ブクログ

最初は可愛い表紙を手に取っただけ。でも、読み進める中で不思議と月島に惹かれるものがあった。現実にいたら振り回されるような男なのに。。
お互いなぜそこまでお互いにこだわるのか、理解しがたいような、できるような。

個人的に出会えてよかったと思う作品。
続編がどうこうではなく、単純に彼らの未来が気になるところ。

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2022年05月03日

Posted by ブクログ

この本は、解説を宮下奈都さんが書いているので、本屋さんで手に取りました。後から「セカオワのキーボードは藤崎さんという名前の女性で、数年前に小説を書いて直木賞候補になったニュースを見たなぁ」と思い出しました。でも、本を読んでいてそれに気がついたのは、なんとラジオがDJでバンドに参加するシーンでしたので、もうお話としてはクライマックスでした。何という世間知らずで鈍いこと。でも、購入前に知っていたら、おじさんとしては本屋さんで手に取っても元に戻していたかも・・・ミーハーであるがゆえに。藤崎さんの見た目通りの繊細さが文章にも表れていて、よい本を読むことができてよかったです。

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2021年04月17日

Posted by ブクログ

「野生の獣のように、月島は美しかった。」
沙織さんの、この表現力が心を震わせた。

SEKAI NO OWARIというバンドが好きだったから、興味本位で読んだ。
だが、興味本位で読むものでは、なかった。

読み進める度、最初の方はとても苦しく、ページをめくる指はとても重かった。出来れば、もう読みたくないと感じるほど、私の心は、揺らされていた。

夏子は、良くも悪くも月島に依存していたのではないか。月島も、そうだ。
この、ふたりの名前の無い関係。
振り回され、傷つけ、傷つけられ。
悲しかった。苦しかった。でも、素敵な物語だった。


素晴らしかった。

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2021年03月15日

Posted by ブクログ

切なくて重たい、産みの苦しみが続く感じ。ミュージシャンとして成功する人が一握りなら、きっとこれはノンフィクションに近いんだろうなと。セカオワの誕生でメンバーが語る話とリンクしている部分も多々あり、セカオワの物語かと想像しながら読みました。

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2024年04月04日

Posted by ブクログ

どうもセカイノオワリみたいな人たちだなぁ、と思っていたら本当に本人だった。いろんなエピソード、どこまで本物に近いのだろうなぁ。
文章は読みやすく、スラスラと読めました。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

小説はあまり読まないのだが、セカオワのSaoriとしてではない作家としての沙織さんの表現に何度も食らわされた。ベースとなる内容が自分の人生に関係の無いものでも、かつてどこかで感じたことのある心持ちを言語化してくれる「小説」は我々にとって、ある種の救済であるのかもしれないと思った。小説を手に取るという行為そのもののハードルを下げてくれた1冊。

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

恋人ではない月島に振り回されそれでも離れられない関係、ADHDの人に対する感情(骨折してれば、盲腸なら分かりやすいのに)が丁寧にかかれている。主人公はこの後、ものすごく傷つくか疲れてボロボロになって離れてしまいそうだなと思った。全然ふたごではない。曲を産む苦しみ、ステージで観客と向き合う怖さ、その辺は現役ミュージシャンの経験だからこそ書けるものなのかも

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2023年01月03日

Posted by ブクログ

月島と夏子。ふたごでも恋人でもない二人。
月島は自分らしく気ままに生き、側にいる夏子は振り回される。一緒に落ちては進み、互いに傷つき傷つけ合いながらも離れられない二人の距離感が印象的。
どうしてもセカオワの二人を想像してしまうけど、小説としても十分面白い。

ときおり出てくる月島や夏子の言葉が刺さる
・お前は自分で選んだ人生を生きているのか?
・結局みんなが乗っている列車に乗らないことは、月島らしい選択に思えた
・なっちゃんには、俺と同じ景色を見ていて欲しいんだよ。
・ふたごのようにずっと隣で時間を共に共有してきた月島は、私のことをひとりぼっちにもしたけれど、ずっと一緒に夢を見ていられる友達を作ってくれた。

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2020年11月21日

Posted by ブクログ

セカオワが好きな女の子に勧められて購入。
なんか、よく分からないが最初の感想。
結局好き同士なのに、どうして月島が
他の女の子と付き合うのかがどうしても
分からなくて…。
結果的には良い結末だったのかな?

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2020年11月13日

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