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Posted by ブクログ
川上弘美さんの英語翻訳版が発売。NYに実際にお越しいただき、直接お会いする機会まで。本当にありがたい。
人間と異界の存在が交わる不思議な世界観を、まるで日常の中に溶け込ませるような格好で隣接させ、融合していく。客観的な視点から、主観的な視点に移しながら、日常をぐにゃりと曲げていく感じ。秀逸な、それぞれのストーリーを体験させていくことで、浮かび上がらせる人間の生き方。女性の存在を強く前に押し出すような作品を感じますという風にお伝えしたところ、私自身から自然と出てくるものであって、それだけを意識しているものではないんですよ、と爽やかな笑顔で語って頂いた。本当に、魅力的な内面の部分が溢れ出るような、そういう方だ。ダイバーシティが進むニューヨークで、神も妖怪も、異質なものもひっくるめて当たり前に生活しているような大都市で、いつの間にか人間界に入ってきた蛸、台所の下にいる荒神様、普通に年金の話をしたりしている先祖と恋をしたら、、、リアリティとかそういうものではない、自然な世界が実はあるんだろうと。じわじわと引き込まれていく、この境界線の向こう側。この感覚がきっとアメリカでも、刺さるに違いない。
Posted by ブクログ
名前が付けられたり付けられなかったりするような不思議な人間ではない生物の生き様やその生物と人間との関わりを描いた幻想譚の短編集。
始めはそれぞれの話に出てくる怪異が何かのメタファーなのではないかと思って一つ一つ考えて読んでいた。けれど、「荒神」まで読んだところで、そこまで深く考えずに不思議な世界の雰囲気を楽しむものであることに気付き、それ以降はその世界にどっぷり浸かることだけを考えて読んだ。この考えは意見が分かれると思うが、それが幻想小説のいいところだと思う。
個人的には「狐塚」と「鼹鼠」が好きだった。「狐塚」は狐のような高齢の男性と主人公の年の離れた恋の話で、その男性だけでなく人間もまた得体の知れないものとして描かれていた。人同士であれ人と化け物同士であれ、分かってるつもりになっているだけで、その実何も分かっていないということが印象的だった。「鼹鼠」は化け物の丁寧な生活という感じの話で、一日の過ごし方や人間との関わり方が描かれていた。多くの人が気付いていないだけで、実は人間と化け物が持ちつ持たれつの関係にあるというところが好きだった。
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