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「好きになるということは、好きになると決めること」母性より女性を匂わせる母と、売れない春画を描く義父に育てられた姉妹ユリエとマリエ。温かく濃密な毎日の果てに、二人はそれぞれの愛を見つける。高校教師になった妹マリエは教え子のミドリ子の兄と恋に落ちるが、ミドリ子の愛人は母の恋人だった…。芥川賞作家が描く、傑作恋愛小説。
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Posted by ブクログ
一瞬気持ちが落ち着いたので、日曜の夜、眠る前に少しだけ読もうと開いたら、朝の6時までノンストップで読み切ってしまった。それくらい文章が好きで面白かったです。 ユリエとマリエという姉妹の愛の物語なのですが、幼い頃、姉妹で昼寝して長い髪がからみつく…という冒頭が朝吹真理子さんの『きことわ』と同じだった...続きを読むから驚いた。まあ、ある表現と言えばある表現かも。長い髪が絡み付くメタファーは中世ヨーロッパからありますし。(最近自分自身の仕事でのパクリ問題で病んでいるので、似ている表現に気が飛びがち。) というのは置いといて、姉妹が幼い頃から空想話を楽しんでいるのですが、その様子や物語が楽しいのです。 で、その母は最初の旦那を亡くし、春画の絵師と結婚します。姉妹はその父の仕事の影響を受けて、セックスに対してフラットで特異な価値観を持っています。この年にして、セックスって何だろう……と改めて考えてしまった。笑 絵師の父親も亡くし、母には弟子のイラストレーター・チダさんという恋人らしき人ができます。チダさんにほのかな恋心を抱くユリエは「人魚みたい」と表現。このあたりから、姉妹それぞれの具体的な恋愛模様の物語に。どちらも変わった物語になっているのだけど、それは極端なメタファー(と言っていいのか。おくるみのようなもの。)で、核だけ取ると誰もが身に覚えがあるような、よくある恋愛物語の2サンプルという感じです。 マリエは流れるように自然なお付き合いを始め、いつの間にかそれはぴったりの人で、だけど結ばれない。 盲目型・束縛型・愛の強要型のユリエの彼オトヒコくんは、ユリエの愛から目をつぶりたかったのか、変な膜をかぶって休眠して新しいオトヒコに。。 ミドリ子は何だろう。。魔性の女のメタファーなんでしょうか。 オトヒコくんの自分話は気持ち悪いし面倒臭くて読み飛ばしそうになりましたが、登場人物がみんな魅力的なので、ふったふられた・とったとられた的な恋愛沙汰があっても誰かが嫌だということもなく。久しぶりに川上さんの文章の美しさを堪能できて幸せな読書でした〜。
マリエとユリエの姉妹。 ミドリコと紅郎の兄妹。 おかあさんに、義理の父親に、チダさん。 すずもとすずろう。 いろんな人が出てきて、きらきらしたうそばなしが満載で、 私は大好きなんだけどー。 お母さんには 「なんなのーあの本。もうわけわかんない」 って言われちゃった…。
とりとめもなく奇妙で不思議な人や事柄がたくさん出てきて、頭が混乱しそうになった。といっても最後は「いとしい」に辿り着くだろうと読みすすめる。 最初はお伽話のようなおかしな笑いの場面もあるが、だんだんこわい話になってゆく。毎晩現れ、目の前でいとなみをするアキラとマキさんのユーレイ。一回につき2万円で関...続きを読む係を持つチダさんとミドリ子。玄関に猫を置いてゆくストーカー。兄妹の愛。愛する男性が膜におおわれ休眠してしまう話とか。なぜこうもいくつもでてくるのだろう。ストーリーの筋は、と考えたところ読み込めない。これは雰囲気を堪能しようと思った。やはり文章にひきつけられる。 泣けたのは、ユリエがオトヒコさんを、「長い旅に出るひとを見送る気分」で抱きしめて泣いたところ。これが見送るってことなんだ。軽かった、軽く温度がなく。ここで私は、これは生き詰まった登場人物の心の声、幻想の物語だと思った。変容しないではいられない生き物の悲しみ。ふわふわして人間の温度が感じ取れない液体みたいな人たち。だからよけい、淡々としている表現なのに、濃く伝わってきた。日々、生活していれば、世の中には理解できないことも多く、人の奥底にも何かがかくれている、よくわからないことばかり。
わたしには、1〜6までと7〜13では違うお話のように思えました。前半登場人物が増えていき取り止めもない日々が穏やかに過ぎていってとても心地よく感じました。後半になりオトヒコさんとユリエちゃんがいよいよ親密になって鈴本が現れてから、不思議なことがよくおこるようになるからかもしれません。やっぱりミドリ...続きを読む子は紅郎をそういう意味で好きだったということなのでしょうか、ふわふわしてわからないことがあるままのところが良かったです。 「ほんとはしっかりしてるんだけどね。しっかりしない自分が嬉しいみたいね」というユリエちゃんの言葉はまさに恋に恋する初期の頃を言い当てているように感じました。 余談ですが、ちょうどお昼に読み終えたので、昼食を湯豆腐にしました。手作りでなくパックだけど、おろす生姜でなくチューブだけど、ネギを刻むのが面倒で鰹節をたくさん振りかけたけど、しみじみ美味しかったです。小説に出てくるのと同じ食べ物を食べるのって特別な感じがしてうれしくなりますね。
読み終わってからこんなにもタイトルがしっくりくる本は初めて。一人ひとりに相手への愛おしい気持ちがあって、それは偶然生まれたものであったり、または歪みからかもしれない。本物どころか、愛とも呼べないものかもしれない。しかし気持ち自体はどうしようもなく確実にそこにいて、ふとした時に少し姿をあらわすことで自...続きを読む分にも相手にも影響を及ぼす。王道な、合理的な、理性的な、普通な、永続的な、愛なんてないのだろう。
川上さんらしい作品です。 何と言うか、おとぎ話のような登場人物の実在感の無さ。それで居て、存在感はしっかり有るのです。 前半は普通に始まります。実の父親は早く死に、今は春画を描く義父と暮らす幼い姉妹。その義父も事故で亡くなり、母と時折訪問するその愛人との思春期。そして姉妹も大人になり。。。このあ...続きを読むたりから、川上さんらしい奇妙な”変身物語”が始まります。繭に包まれ、やがて発芽する姉の恋人。恋人の下に現れる義父のモデルだった男女の幽霊。。。 この何とも言えない、取りとめも無く、つかみ所も無い物語は何なのでしょうかね。私は普通ならこういった話は苦手なはずなのですが、何故か川上作品には惹かれてしまいます。そこに何があるのか、自分でも良く判らないのですが。 もうしばらく、付き合うことになりそうです。。。。。
この空気がとても好きです。ふわふわととりとめなくつかみどころがないようで、しっかりと世界に絡めとられている、その感じが決して嫌ではなく、心地よいです。人を好きになるって、こわいことなのかもなと思いました。叶う思いも、叶わない思いも、あっていいのかも。誰かをいとしいと思うことは、幸せな反面、とてもつら...続きを読むいかもしれないけと、それでもやっぱり、誰かを好きになるのだろうなと思いました。
こんな可愛らしくてピンク色の字体の「いとしい」じゃないよ。 もっと暗い「いとしい」だよ。 この本読んだ人なら、こんな春めいた初恋のような表紙にしないよ。 この「いとしい」は、 とっても「こわい」。 人間の奥深くに埋まっている気持ちが、じわじわとにじみ出てくる感じ。 暗くてこわいのです...続きを読む。 「恋する」お話だけど、「恋するって決めた」お話だから、 「恋するって決める」と、人間ってどんなこと考えて、 どんなことに執着るんだろう?って考えながら読んでみる。 ありえない非現実的なできごとも、心の奥底に埋まっている感情が表れたものかもしれないね。 そう考えると「いとしい」って言葉の響きが、とても味わい深い音に感じるよ。 だから、この表紙違和感。 でも内容は、とても良かった。
恋愛小説のような 怪奇小説のような 官能小説のような 家族の物語のような いろんな要素が含まれていて、ちょっとキュンとして、それでいてこわい。 たとえばマキさんとアキラさん。ミドリ子の目玉の回転。オトヒコさんの出芽。すずもとすずろう。 驚くのは、ただ単に要素が集まっているだけじゃなくて、それら...続きを読むが複雑に折り重なっていて、混ざりあっているということ。 だからこわいはずなのに哀しいし、せつないし、ドキドキする。 そして文章が絶妙。言葉の選び方がああもうってなってしまう。 不思議な話です。 少しずつ形を変えていく、いろいろなものや出来事が描かれています。変わらないものはなにもなくて、どんどん流れていく。 そして登場人物がすべて少しずつずれています。 静かなんだけど、それがまたこわい。 つめたさや静けさの奥に、どろどろとしたものや、ものすごく熱い何かが渦を成している。 へんてこだけど、私は好きです。
川上弘美さんの作品って、不思議な雰囲気醸し出してるよね。宮田毬栄さんの解説に納得。 もともと川上作品というのと、あとはやはり主人公の名前に惹かれて、読んだんだけど (^_^;) 『センセイの鞄』ほどではなかったけれど(なので星は4つ)、なかなか良かったです。
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川上弘美
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