ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
新宿でオカマの「閻魔(えんま)ちゃん」と同棲する「ぼく」。友だちのオカマがホモ狩りにあって殺された事件を契機に、気楽なモラトリアム生活がうまくいかなくなってしまう。家族との関係、元彼女との再会、閻魔ちゃんとの生活……自分がどうしたいのかわからないまま、ビデオ日記を見返してゆく。そこに映っていたものは? 文學界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちの夏の一瞬を爽やかに描いた「Water」、「破片」を収録。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
初めて著者の作品を読みましたが、とにかく文章が上手いと感じました。 収録している3つの短編、いずれも分かりやすい起承転結があるわけでもなく、登場人物たちがもつ背景や性格に沿ってごくごく自然な態度・行動を取るだけの話で、オチというよりはストーリーの過程での感情の隆起や変化そのものを楽しむものなのかな、...続きを読むと思います。 起こった事象をどう認識し解釈するか、それは個々人の持っている情報や考え方によって大きく変わります。本作はそこに至るまでの背景の説明とその際に湧き起こる感情について、そのまま書き出すというよりは、目の前で起こっている事象を登場人物がどのように捉えているか、という結果となる部分を五感で立体的に表しているため登場人物への共感を強めることができ、物語の中に引き込まれるような感覚を味わえます。 そういった意味合いでいうと、登場人物が現状をハッピーに捉えているかどうかで各編の読後感が違ってきます。最後に掲載されている「water」が爽やか要素が多いこともあって一冊の印象としてはさっぱりした本だったな、となりますが前2篇はどちらかというと陰鬱というか諦念に近いものを感じました。どれくらい感情を変化させられたか、というのは自分の中で小説を評価する評価基準の1つになっているような気がするのですが、この項目で本作は非常に優れていると感じました。 こんな文章書けるようになりたーい。
面白かった。 3つの短編どれも読み終わるとスーッとした。 どの主人公もとても順風満帆とは言えない生活の中で、周りを思いやり思いやられながら言葉を選び、周りと共存していく。 ちょっと荒み気味のガサついた心が癒された気がする。
吉田修一初期の作品、ということで文学的な香りが漂う3作品。この人の文章何というかかっこいいんだよなぁ。語弊があるかもだけど、男性的で且つキザっぽい。でもそこが最高にかっこよくて憧れちゃう。 部活ものは心に響いちゃうなぁ。『Water』のアオハル真っ只中の物語は心が爽やかになるし、でも同時に中心人物...続きを読む4名には秘密で後ろめたい暗い側面があって、そのコントラストが意外にもライトで表裏というか全く同じ方向から眺めているのに不意に影が覗くみたいな二面性的な表現方法で、今どっち側の話題だっけみたいに迷っちゃう。 何はともあれ愛おしい小説です。 その他二作品、もう少しアダルトなでもフラジールな世界観で、とっても無垢で純粋なでも過去に囚われてる『破片』が、九州のあっけらかんな情景も非常に心地よくミックスしていていやらしくない。素敵。
吉田修一の初期の短編集。著者らしく、普通の人々の日常を瑞々しく光り輝かせる。最後の『Water』は特に秀逸で、青春の結晶だと思う。
「最後の息子」 ビデオ日記を撮るという設定がなんとなくピンと来ず。かなり自分で感情を考察しなければいけない部分が多いのが難しく、読むのは2回目だが、やっぱりあまりハマれなかった。 ラストの閻魔ちゃんの電話中のメモの愛情にはグッとくる。あえて悪ぶるのとか、それでも閻魔ちゃんには優しく見えているのとか、...続きを読む人間失格に近い構図か? 「破片」 最後の息子に比べて格段に情景描写が増え、一気に物語の風景が浮かんで真に迫ってくる感じがあった。これぞ吉田修一という感じ。明らかに才能開花している。 積み重ねられるエピソードで、母を不幸な事故で亡くした田舎の男世帯の雰囲気、九州に根強く横たわる男尊女卑思想、兄弟それぞれの歪んだ女性感が伝わってくる。突然去っていくかもしれない怖さでか女を手放したくなってしまう兄と、女を握りしめて絶対逃さないことが女の幸せだと信じ込む弟。 「Water」 恋も部活も、いろいろ悩みもありつつ全力&ストイックな青春坊主たちも素晴らしいけど、かなり苦味走った恋愛をしていそうな大人のエピソードが挟まるのが、アクセントとしてとてもいい。 その効果で、より青春はキラキラして見え、大人の世界はほのぐらく見える。 とにかく部活を頑張る青春って、無駄かもしれないけどかけがえないな。部活って、初めて気づく複雑な人間心理をいったんリセットして別のことに打ち込み、心の健康を守るのに必要なのかもな。
「春、バーニーズで」と違い、こちらの作品は閻魔ちゃんのキャラクターが好きという理由から時折読みたくなる一冊。 あと、物語や登場人物に繋がりは無いのだが、この作品の“ぼく"と「パレード」に登場する杉本亮介がどうしても重なって見えるんだよなぁ。 それは、寿司屋の一人息子が誰もいない大学の大...続きを読む教室で"金沢の公務員"の息子をつかまえ、先輩の彼女とワンナイトしてしまい、親への顔向けができすわ、死んでしまった地元の友人に対しての浮かばれない思いなど様々な感情が入り混じって泣いてしまう彼。 K公園の安全な場所を一晩中歩いて自分を許し、母親に元彼女で浮気相手の女を紹介し、閻魔ちゃんに母親が会いたがってるから来てと電話して、家に戻ってこれまで撮り溜めた映像を見返すぼく。 この2人が重なって見えるのは私だけかな? どちらも一言では言い表せない、入り組んだ複雑な感情を表現してて、この物語の後に続く「春、バーニーズで」もそうした複雑な感情をすごく上手に描いた作品だと思うんだよね。
「最後の息子」「破片」「Water」の三篇。 先日(と言っても昨年8月)に読んで良かった『春、バーニーズで』がこの本の後日譚だと知り手にしました。 勿論、吉田さんの方が先達ですが、最近嵌まっている桜木紫乃さんと同じ香りがします。片や長崎、片や釧路。場所は違うけれど、場末の夜の繁華街。背徳感のある愛憎...続きを読む劇。最後の短編「Water」なんて、水泳部で競い合う高校生の爽やかな青春物語なのだけど、そんな話でさえどこか夜の酒場や背徳の香りが漂うのですから。 「破片」は良く判らなかったけれど、ショートムービーを繋ぎ合わせるようにしてストーリーを紡いで行く(しかも今はやりのLGBTネタ)構成力。そして、こういう世界が苦手な私を読み入らせてしまう文章力。凄いな、吉田さん。これがデビュー作でしたか。
私とオカマの閻魔ちゃんと一緒に住んでいた「大統領」と呼ぶ男は、K公園のオカマ狩りで殴り殺された。大統領の亡くなるまでの痕跡を、いつも持ち歩いていたビデオカメラで撮り、それを見ることで思い出そうとするが…。 吉田修一の作品は、少しずつ積み上げていくタイプの砂山のような作品で、途中で大きくストーリーが...続きを読む展開したりするわけでもないので、あらすじが極めて書きにくい。 初期作品ということで、短編3つ。オカマの家に住み込む主人公、父がなくなって九州に里帰りし、酒屋の手伝いをする主人公、高校の水泳で強豪校に勝ちたい主人公。 ストーリー的には3本目の『water』が一番とっつきやすいので、1本目を読みかけてピンとこない人は3→1→2と読むといい。 個人的には、最近の興味と自分で書いている創作の方向性からも、1本めの表題作が一番印象に残った。同性愛という匂いのしないオカマとの同棲、一方で女性とも関係を続け、ある一点からその関係が崩れていく。 2本目に関しては、適度に事件は起こるし、大河ドラマ的に読めばよいのだろうけど、荒すぎて印象が薄かった。 なにかあるに違いない、と思って読んではいけない作品群。かと言ってつまらないわけでもない。比喩表現はあまりなく、作者のその時思っていることやちょっとした周囲の出来事を、文章にちょくちょく挟み込んでいくのは、同じようなスタイルで文を書いている身にとって親近感を持った。 若い人に読みやすい作品というわけでもない。誰に薦めるべきなのかは難しい。ただ、なにかしら良いものはある作品群だ。
実家が酒屋さんだったり、同性愛が登場したり、三篇少しづつ重なるところがあって、かなりの部分は実話に基づいているんかなと思った。(作者の実家が酒屋さんなのはインタビューに載ってた。) 三篇中、『Water』が一番読後感が良い。 最後の方の、400メートルメドレーリレーのスタート直前のいざこざが、張り...続きを読む詰めた緊張感の一つの表現形として楽しい。(ずっと気遣いしてたのに「ホモはあっち行っとれ!」て、身も蓋もない。。圭一郎が、「凌雲!この前、藤森が別れようって言うてきた。お前のことが好きらしか。俺に隠れてこそこそ人の女にちょっかい出しやがって」と口火を切ったのがどう見ても間が悪いので、しょうがない。。) 言葉遣いが、自分の地元とほぼ同じなので、すごく懐かしい気がした。自分の高校生活とは全然違うけど。
おそらく再読なのだろうけど,ほとんど忘れていた.あらためて読み直してみたら,なんともまぁ吉田修一が初々しい. 「最後の息子」 芥川賞の候補になったんだっけ?まあ,そういう感じ.オカマの閻魔ちゃんを上っ面では小馬鹿に思いながらも,閻魔ちゃんに気に入られるように努力してヒモ暮らしをしている自分に嫌気が...続きを読むさしている自意識過剰な自分ってなに?ってことを考えているバイの青年の一人語り.彼がビデオの撮影に執着しているのは疎外感の現れか.たぶんこれが吉田修一の原点なんだろうな. 「破片」 幼い頃,自分たちの軽率な行いのせいで母親を失ってしまった過去を持つ兄弟.その原因となってしまった弟と,弟の手を離してしまいそれを防げなかった兄の話が,母親の葬儀の数週間後に親子で行った海での出来事を挟みながら,物語られる.弟は入れ込んだ女性を守ることに異常に執着し,その女性のためにへんてこな家を造っているのだが,それを異常とは考えない. 自信がなくて行動できていないだけで兄も実は同じ気持ちを持っているというのはいいのだけれど,最後に見つけた屋根の上に飾る物(ゴム・ボート)は何を表しているのだろうか? それより,長崎ってあんな風なんだ.ちょっとびっくり. 「Water」 ああ青春小説だなーという感じの作品.水泳部のキャプテンをしている凌雲君の夏休みから大会までのお話.読後感がなんともいい.
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
最後の息子
新刊情報をお知らせします。
吉田修一
フォロー機能について
「文春文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
国宝 1
国宝 上 青春篇
怒り (上)
東京湾景(新潮文庫)
パーク・ライフ
横道世之介
愛に乱暴(上)(新潮文庫)
悪人 新装版
「吉田修一」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲最後の息子 ページトップヘ