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Posted by ブクログ
吉田修一さんの愛と喪失を描いた物語。
恋愛小説であり、戦争小説でもありました。
主人公・一心の日常と、伝説の映画女優だった和楽京子こと鈴さんの人生がリンクして描かれており、『国宝』と似た描き方だと感じました。
戦後、鈴さんの女優人生は、成功に満ちた鮮かな人生に見えますが、その裏には被爆者であることを揶揄されたり、親友の存在が心の傷として残っていることが明らかとなります。
鈴さんが佳乃子さんを長崎港に連れ出し、海に向かって叫ぶシーンは、胸が引き裂かれそうになりました。
鈴さんが佳乃子さんのことを語ると、彼女が影になってしまうという言葉が重く響き、佳乃子さんの人生も引き受けた鈴さんの覚悟に、戦争を生き抜いた人の強さを感じました。
戦争を思い出すこの時期に読めて良かった。
戦争に傷ついた人たちのことを、まだまだ知らなければならないと感じた作品でした。
Posted by ブクログ
ふと目に止まり導かれるように手に取った吉田修一さんの『ミス・サンシャイン』。
「ミス・サンシャイン」というタイトルから受ける軽やかな印象とは裏腹に、のちのち判明するその言葉が意味する重さや深さに深く納得させられました。
何より、一心君の想いがひしひしと伝わってくる物語で、今の自分の心にこれ以上ないほど響きました。
もし読書の神様がいるのなら、「今のあなたにこそ、これを読みなさい」と手渡されたような気分です。本との出会いはタイミングだと言いますが、まさに今この本に出会えたことに感謝したくなるような、特別な一冊になりました。
やっぱり吉田修一作品好きだ!
Posted by ブクログ
読み終えたあと、この小説に関する著者のインタビュー記事を読んだ。「(長崎出身なので)原爆の話をきちんと書きたいと思った」のが執筆のきっかけだと知った。
…という導入だと重苦しい内容だと思うかもしれないけど、そこまで重い物語ではない。雰囲気も暗くないし、ポップさを感じる場面もある。
主人公は大学院生の一心。彼が往年の大女優である石田鈴(芸名は和楽京子)の自宅で資料整理のアルバイトを始めるところから物語はスタートする。
大学生の一心と80歳の鈴の交流…となるとおばあさんと孫ぐらいの年齢だけど、可愛らしくどこか色気のある鈴の、女優として、そして1人の女性としての人生を知るにつけ、一心は鈴に対して恋慕のような想いを抱き始める。
一心と鈴との交流が表側の軸で、裏側の軸は女優として生きてきた鈴の人生や生き様。
長崎に生まれ育ち、戦争を経験したのち女優となり、全盛期にハリウッドに進出した鈴は、「ミス・サンシャイン」と称されるようになる。それは言葉通りの意味だけではなく…
鈴は自身も被爆者で、原爆によって大切な人を亡くした過去を持っていて、その過去を抱えながら女優として生きてきた。
あまり語らないほうが良さそうな物語なのであとは読んでください、と言う方が適切に感じるのだけど、「原爆について今一度考えて、そして忘れないで欲しい」という著者の思いが、直球ではなく物語に織り込まれるかたちになっていて、だからこそ、戦争によって1人の女性が大切な人をなくし自身のその後の人生にもたくさんの影を落とした、という事実を噛み締めることができて、それは現実にもたくさんたくさんあったことなのだろうと考えさせられる。
鈴は大女優であり、そして戦争で傷を負った、ただの1人の女性でもあるということ。
こういう物語から無知であることを知り、無知のままでいてはいけないと思ったりする。
現実的な着地点も私は好きだった。
話中では一心の辛い恋愛の描写もあるのだけど、時に痛い経験をして、時に大女優に恋をして、そうして得たものがごくありふれているもの、であるところに、幸福を感じた。
Posted by ブクログ
『国宝』の吉田せんせ、最近では日経夕刊に連載されてましたね。あれはもっとエロが欲しかったですね、残念でした。
とは言え、クズ系ばかり読んでいた私には今回の物語は一服の清涼剤と申せばよろしいのでしょうか、素敵な純愛物語で私のクズ臭が後半の涙と共に一掃されて、ここ最近では一番の涙活ではかったかと。誠にありがとうございます。
女優・和楽京子と親友佳乃子との別れは辛かった。原爆症による早世。ここから物語が一気に進む。悲しい歴史、みんな人には言いたくない辛い思い出はあるはず。
20代と80代の純愛物語です。もちろんエロはありませんが、この伝説の映画女優と言われる80代の和楽京子さんには読んでいてエロスを感じました。吉田せんせウマイ!
ただお願いがあります。実写だけはおやめになっていただければと存じます。いや、まじで。
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