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初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近いぶん、願いが叶う気がして――。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北米まで、6つの町での出会いをつづったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌『翼の王国』人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。
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Posted by ブクログ
実際に旅行にいけなくてもちょっと違う景色を覗けるような短編集。 モダンタイムスという話の中で、飛行機に乗って知らない街へ行き、帰ってくることで「スッとする」という言う話があるが、この本を読むことが、正にそんな感じ。
吉田修一(1968年~)氏は、長崎市生まれ、法大経営学部卒の小説家。芥川龍之介賞(2002年/『パーク・ライフ』)のほか、山本周五郎賞、大佛次郎賞、柴田錬三郎賞等の文学賞を受賞している。 本書は、初出はANAの機内誌「翼の王国」への2007年4月号~2008年9月号の連載(短編小説12篇+エッセイ6...続きを読む篇)で、2008年に単行本で出版、2011年に文庫化された。尚、同連載は、2016年9月までのものが、本書、『空の冒険』、『作家と一日』、『泣きたくなるような青空』、『最後に手にしたいもの』の計5冊で書籍化(文庫化)されている。 私は、本書を含む3冊目までを2019年にまとめて購入し(4、5冊目は文庫化された昨年購入)、それは、当時、ビジネスの関係で海外の短距離フライトに乗る機会が急激に増え、その時に読もうと思ってのことだったのだが(非日系キャリアの短距離便ではすることがなく、とにかく退屈である)、その直後にコロナ感染症が発生し、全く飛行機に乗る機会が無くなってしまったため、書棚の隅で眠っていた。 4、5冊目は、帯に書かれた「今年こそは旅に出たい!まずは“読む旅”をお楽しみください」というフレーズを見て、買ってすぐに読んでしまったのだが、今年も春めいてきて、身も心もうずうずしてきて、本書を引っ張り出してきて開いてみた。 短編小説については、よくもこんな巧妙で洒脱なストーリーを考えつくものだと感心する一方で、少しクサ過ぎないかとも思うのだが、まあ、非日常の空の上で読むには、これくらいの方がテンションも上がっていいのかも知れない。 後半のエッセイの舞台は、バンコク、ルアンパバン(ラオス)、オスロ、台北、ホーチミン、スイスである。 コロナ禍があったからこそ、我々は、旅のできる日常が当たり前のものではないことを知り得たのだが、今はただ、一日も早く、心置きなく旅ができる日々が戻ってくることを祈るばかりである。 (2022年3月了)
文庫本で10ページ程度、テーマとしては旅に関連するものといったところか。青の航空会社の機内誌に掲載された小説とエッセイ集はちょっと読んで旅先に想いを馳せるきっかけとなる。作者の小説は人間的に不思議な魅力があるものが多いが、短編小説の巧さが心地よい。
外国に今すぐ行きたくなった。ヨーロッパでもアジアでもアメリカでもいい。 飛行機に今すぐ乗りたくなった。ANAでもJALでもエールフランスでもタイ航空でもいい。 コロナのバカやろうーっ!
短篇(の中でもさらに短い方)なのに、ここまで「まだ終わらないでほしい」「続きが読みたい」と思うほど心の琴線に触れたのは初めての感覚でした。短い文章でもしっかりと細やかな描写を盛り込む、筆者の技術は他のプロの作家とも一線を画するすごい才能だと思いました。 ヒット作「悪人」の重厚なイメージから入ったから...続きを読むか、このような作品を書く方だとは全く想像していませんでした。(だから飛行機に乗った時も読んでいませんでしたごめんなさい。次からは絶対読もう!)
読み終えた後にふらりと旅に出たくなる昭和の名曲・山口百恵さんの「いい日旅立ち」がピタリと来る気分爽快な作品集です。旅と人生の一コマを切り取ったかの様な掌編小説12編と海外旅行記エッセイ6編には本当の意味での悲しみは一切なく辛い過去があってもそれを乗り越えたからこその今の自分がいるみたいなひたすらポジ...続きを読むティヴな考えの主人公達が描かれていて前へ進む事を恐れない一歩踏み出す事の希望と勇気をもらえましたね。これらの作品達を読むと過去を悔やんでも仕方ない事で自分の選んだ道を信じて生きる事が大切だと改めて感じましたね。 『願い事』飛行機内で神さまに願う。『自転車泥棒』最悪の気分を救ってくれた届け先間違いの手紙。『モダンタイムス』さり気ない人生の恩人。『男と女』別れても好きな人。『小さな恋のメロディ』後輩男子との久々の再会。『踊る大紐育』米国旅行で世話になった女。『東京画』裏切りを許し合えるのが親友。『恋する惑星』年下男との恋。『恋恋風塵』台湾で別れた女。『好奇心』大学生の息子と母親。『ベスト・フレンズ・ウェディング』一人旅も良い。『流されて』苦しむより楽しむ恋愛。『エッセイ6編』日本人が遥か昔に忘れ去った自由さと純朴さ。
短編は気の抜けた炭酸水みたいなものと思っていたけど、そうではなかった。エッセイも短編ぽい。それも悪くはない。
飛行機会社の機内雑誌に掲載された短編集。多分、全て映画の題名で、内容に全て旅を絡めている。現在の生活に満足はしていないが、前向きに頑張ってみようって話ばかりで、良かった。映画を見てたら、なるほどと感じるところも多かったかもしれないが、残念ながら1本しか見ていない。エッセイを含めて読んでいると、飛行機...続きを読むに乗ってどこかに行きたくなった。
旅、というか飛行機の中で読むのに最適な本。 ほっこりする。一話完結型の短い小説とエッセイだから気軽に読める。 思わず旅をしたくなりますね。 初めて読む吉田修一の本だが、印象としては、割と静かな人なのかなと。あと自由な旅が好きな方、と。
ANAの機内誌に連載された短編とエッセイ集。 機内誌の連載ですから普通の短編より短く、200ページほどの文庫本に18作品が収められています。 短くてさらりと読める内容ですが、一言でいうなら小粋。 短いながらも月並みでは無く、上手さを感じさせる作品です。
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吉田修一
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