初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近いぶん、願いが叶う気がして――。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北米まで、6つの町での出会いをつづったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌『翼の王国』人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。
Posted by ブクログ 2022年03月10日
吉田修一(1968年~)氏は、長崎市生まれ、法大経営学部卒の小説家。芥川龍之介賞(2002年/『パーク・ライフ』)のほか、山本周五郎賞、大佛次郎賞、柴田錬三郎賞等の文学賞を受賞している。
本書は、初出はANAの機内誌「翼の王国」への2007年4月号~2008年9月号の連載(短編小説12篇+エッセイ6...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年05月01日
短篇(の中でもさらに短い方)なのに、ここまで「まだ終わらないでほしい」「続きが読みたい」と思うほど心の琴線に触れたのは初めての感覚でした。短い文章でもしっかりと細やかな描写を盛り込む、筆者の技術は他のプロの作家とも一線を画するすごい才能だと思いました。
ヒット作「悪人」の重厚なイメージから入ったから...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年01月17日
読み終えた後にふらりと旅に出たくなる昭和の名曲・山口百恵さんの「いい日旅立ち」がピタリと来る気分爽快な作品集です。旅と人生の一コマを切り取ったかの様な掌編小説12編と海外旅行記エッセイ6編には本当の意味での悲しみは一切なく辛い過去があってもそれを乗り越えたからこその今の自分がいるみたいなひたすらポジ...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年04月30日
飛行機会社の機内雑誌に掲載された短編集。多分、全て映画の題名で、内容に全て旅を絡めている。現在の生活に満足はしていないが、前向きに頑張ってみようって話ばかりで、良かった。映画を見てたら、なるほどと感じるところも多かったかもしれないが、残念ながら1本しか見ていない。エッセイを含めて読んでいると、飛行機...続きを読む