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風呂上りの火照った肌に鮮やかな刺青を躍らせた猛々しい男たちが、下穿き一つで集い、日々酒盛りに明け暮れる三村の家。人面獣心の荒くれどもの棲む大家族に育った幼い駿は、ある日、若い衆が女たちを連れ込んでは淫蕩にふける古びた離れの家の一隅に、幽霊がいるのに気づくのだった。湾の見える町に根を下ろす、昭和後期の地方侠家の栄光と没落のなかに、繊細な心の成長を追う力作長編。
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Posted by ブクログ
吉田修一作品というと、そこはかとなくおしゃれですっきりサラサラしていて、そしてフェミニンなかおり漂うというイメージなんだけど、それを気持ちよく裏切るような泥臭い話。何しろ、やくざ稼業の一家で大人になっていく少年の話なんだから。 はなれのおばけを信じていた駿少年が青年へと育ち、アルバイトで金をためて女...続きを読むと街を出ようする。そして……。半生記かというと、実は一代記ではないだろうか。駿は若くして生ききってしまったような気さえする。やくざ稼業の一家のなかでは浮いたような、どこか一家を客観的に見ていた彼は、没落していく家から最後の最後でのみ込まれてしまった。 「乱楽坂」という坂が長崎あたりにあるのだろうか。楽しく乱れながら堕ちていく坂ということか。
昭和の長崎の、ヤクザ稼業のおじさん宅に母子3人で身を寄せ、生々しい大人たちのゴタゴタを目の当たりにしながら育った駿。絶望とか羞恥とかここから脱出したい思いとか、駿はいろいろ抱えてるんだけど、なぜかドロドロした感じがない。最底辺にいる男たちに翻弄される女たちの諦めや哀しさも感じるけど、読んでて辛い感じ...続きを読むはなく、一気に読めた。 長崎弁で語られるセリフが、心地よいせいかな。
よく行くお店の常連さんのお勧め。 作家の名前だけ聞いて、どの本、というのは聞いていなかった。本屋で選んだのがこれ。 乾いた、固い文で、淡々とつづられた物語。 この人の他の本もこうなのだろうか? 最後はちょっと大げさすぎたかなぁ・・・。
駿と悠太という、二人の兄弟の物語。 でも、主人公は実質的に駿といってよい。 長崎の極道というものがどういうものか、 駿の成長過程とともに描かれてゆく。 特にカタルシスはなく、なんとなく、虚しさだけが残る。
地方ヤクザの栄枯盛衰を描いた物語。 「ヤクザ」というある種、異質な家庭で育つ兄弟。 各章ごとに時系列が途切れ、衰退の一途を辿る一族。 地方に生まれ、地方で長い年月を生きた者には、共感できる風景の描写、兄弟の心の機微が多い。
1回途中まで読んで放り投げたけど、もう一回読んでみたらすいすい読めました。なんだか終わり方が『天人五衰』っぽい…感じがしました。うまく言えないけど。
読み始めはなんて温度が高い小説かと驚いた。そして、主人公である瞬が、小1、小5、中1、中3、そして高校2年で中退し、最後には最初は赤ん坊に近かった弟が大学生となり、主人公ではなくなった兄をあきれた目で見るようになるまでの、どんどん温度が低くなっていく過程に悲しくなった。一話一話進むごとに、三村家の人...続きを読む間がいなくなっていき、比例するように確実に温度が下がっていく。悠太が瞬を見る視線に遣る瀬無さがつのった。幼くして父親を亡くし、たくさんの男たちを見てきた瞬は、何も覚えてない悠と違い、ずっと「男」の姿を模索し続けてきた。「なんもせんで生きとるのも、なかなか難しかとぞ」と言う瞬に涙が出そうになった。最後に瞬は解放されたのだと、信じたい。
いつからだろう・・・? さだまさしの『解夏』を読んでから?吉田修一の本と出会ってから?? 僕は行ったことのない長崎県にとても魅力を感じるようになりました。 この長崎楽乱坂は、父親が死にヤクザの一家で生活することになった二人の兄弟の話です。 母が二人のもとを去り、大人になっていく姿が描...続きを読むかれています。三人称ながら主人公が変わるとゆう手法もいいです☆
長崎らしい独特の雰囲気がまさに乱を起こしているように賑々しく。自分には少し雄臭い感じが合わなかったけれど、文字だけでこれだけの乱が描けるのかということに脱帽だった。
やくざの家族の物語 地方のやくざ一家の物語、いつもの半端もんの男達が集まる家も時代とともに、廃れていき最後に物語の象徴的な離れが火事で焼ける。最初は子供目線で見ていた一家の様子も大人になり思い出となり、人は死に、殺されと憧憬と共に寂しさが伝わってくる。
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