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3年ぶりに帰った故郷は、狂気に満ちていた 父と娘は、閉ざされた狂気の村から逃げられるか 墓参りのため、亡き妻の故郷・鵜頭川村を三年ぶりに訪れた岩森明とその娘。 突然、豪雨にみまわれ、山間の小さな村は土砂崩れで孤立。 そして、若者の死体が発見された。 犯人は村人か、それとも――。 降りしきる雨の中、父と幼い娘は暴動と狂乱に陥った村から脱出できるのか。 血と恐怖のパニック・サスペンス!
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Posted by ブクログ
今まで読んだ中でもなかなかない、文句なしの星5つ! 最後の揉み合いのシーンは、スローモーションの映像が頭に浮かぶほど。 リーアム・ニーソン主演で映画化して欲しい(笑)
いつもの櫛木理宇とは違った気がした。人のいざこざ注視で露骨に惨たらしい有様はなかった。でも人間同士がな……どうしようもないからこれは
亡き妻の墓参りのため、妻の故郷の鵜頭川村にやってきた岩森とその娘。鵜頭川村は昔ながらの慣習を残す田舎の村。男尊女卑など当たり前。村の権力は矢萩吉朗を代表とする矢萩家に握られている。余所者はいじめられる、と言った村だった。そこで急な豪雨にみまわれ村は孤立する。そこに若者の死体が発見された。殺したのは矢...続きを読む萩家の乱暴者大助か?そして若者を中心に自警団が結成される。リーダーは皆の憧れだった矢萩工業で働く降谷辰樹。岩森親子はそんな暴動と狂乱に陥った村でどうするのか?櫛木さんらしい血と恐怖の戦慄のパニックサスペンス。
「死刑にいたる病」がおもしろかったので、こちらも読んでみました。 設定がちょっと「八つ墓村」チックで私は好きです(^^) 昔からの風習に囚われている村だったり、度を越した乱暴者がいるというあたり。 違うのはこちらは集団心理の恐ろしさ、みたいなものに焦点を当てている点。 日頃の不満を押し殺している人た...続きを読むちが集団になると、変な方向にうっぷんが爆発してしまうことの恐ろしさが感じられます。 「死刑にいたる病」にも姑に押さえつけられていた主婦がパン屋の助言(と言っていいのか?)から、姑に強い態度をとれるようになった、というエピソードがありましたが、本作と共有点だな、と感じました。 一気に読める勢いのある小説です。 イヤミスが嫌いじゃない人にはお勧めです(^^)
臨場感が半端ない。幾度も息の詰まる思いがする。 個の狂気が集団へ感染していく様は恐ろしく、それぞれの感情に引きずられていく。 櫛木さんの本は最終に至るまでの描写が秀悦であることが多く、最終はさらりと終わるように感じる。
思わぬ読み応えがありました。 田舎の閉鎖的な雰囲気は今でも変わらずありますが、当時はもっとひどかっただろうと思います。 一度底なし沼に囚われたら絶対に抜け出せない、沈むだけ…
読み応えがすごかった。 大雨によって災害がおこり、 閉ざされた村で発見された死体。 犯人は村人の中の誰かだ。 救助はこず、外部との連絡も途絶えた。 土砂降りの雨は全く弱まることなく降り続く。 閉ざされた空間で 人間関係はゆがんでいく。 田舎の村独特の家を重んじる昔からの考えに人々は縛られ...続きを読むて 圧迫されていた。 長年積み重ねてきた思いがついに爆発する。 ちょうど梅雨の時期に読んだので 現実の雨と 物語の中の雨が連動して 怖さが増した。 最後の結末へ向かう展開は ただただ気持ち悪く 飛ばし読みしたくなるほど。 しかし、あまり驚きはなかった。
キャラ重視のホラー小説「ホーンテッド・キャンパス」があまり合わなかったが、筆致から作者は相当本を読んでいて実力があるのではないかと感じ、諦めずに本書にも手を伸ばしてみた。 結果、大正解。この作品に出会えて良かった。やはり櫛木さんはすごい。 山奥の寒村で起こる豪雨による土砂崩れ災害、それに伴う停...続きを読む電や断水、殺人事件、対立する村人達。 僻地の村人の描写がすごい。 それぞれの住民が屋号を持っているというのがリアリティがあって良かった。自身も田舎育ちのため、村に一軒の魚屋の娘は「魚屋のひろみちゃん」と呼ばれるし、 和菓子屋があれば「饅頭屋の茂くん」などというように〇〇の誰それと読んでいたことを思い出した。 その中には本書に出てくるように「後妻さんの⚫️さん」や「40過ぎても跡取り息子の⚫️⚫️」などと 陰口のようなものもあったのも事実。これが田舎の生活にリアリティを与え、村という閉鎖的な社会の厭さを引き立てていると感じた。 一旦引く描写がすごい。 各章の文頭には「鵜頭川村事件」の新聞記事やウィキ記事からの引用という形で、事件を第三者に説明するような文章が配置されている。 どんなに主人公達がいる村で人々が苦しんで、状況が煮詰まっていようと、新聞の記事からは温度は感じられない。 ただ、死傷者が何人で重軽傷者、行方不明者が何人という機械的なアナウンスがあるのみである。 その温度差が、今まさに村内にいる主人公に感情移入している読者からすると、背筋が寒くなるようなゾッとする感覚を覚える。 あらためて、当事者しかこの恐怖や惨たらしさはわからないんだと思い起こされる。 テーマがすごい。 最初は「悪い子にはエイキチが来るよ…」というその地方の民話の記述があったので、妖怪か心霊モノかと期待して読んだ。 しかし、蓋を開けてみるとそんなものよりもやはり生きている人間の方がよほど残酷だった。 本書には⚫️を食いちぎったり、斧で叩き割ったりという恐ろしい描写もたくさんあったが、それより何よりも「見てみぬふり」を する人間達の浅ましさが恐ろしや。 有名な「浅間山荘事件」より手前に同士殺害という悲劇が起こった「山岳ベース事件」を元にしているように感じたが、 本当にこれは恐ろしい事件だった。 本書を読むことで、どうしてこんなに恐ろしい事件が起こることになったのか……新聞や資料では読み解けなかった犯罪へのプロセスが 明らかになっていくというのがものすごく興味深く読んだ。 やや残念な点としては、犯人の動機が少しやっつけ感が否めなかった。 また、今回はホラーに見せかけたサスペンスだったので次回はぜひホラーを読みたい。
怖かった。 娘を守らなければという必死の親心。 村に染み着いた陰湿な空気。 ゆるやかに異変が始まり、急速に事態が悪化していく様子は、こちらの心もかき乱していった。 人がおかしくなっていく描写がうますぎる。 決して明るい物語ではないし、神経もすり減るのに続きをどんどん読みたくなる。 櫛木ワールドの魅...続きを読む力である。
丁寧な描写に前半進まないなぁと感じつつも、次第に不穏になっていく様子と後半の爆発力から一気読み。違和感も伏線として回収され、ミステリとしても楽しめた一冊。
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