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Posted by ブクログ
著者とは同郷なので地元が舞台だとすぐにわかります
そして地元だからこそリアルに想像できました
本作は昭和50年代の村社会を描いたパニックホラーです
田舎の閉塞感、暴力を振りかざして自分の思い通りに動こうとする男、理不尽に虐げられる女と子どもたち、ここから抜け出したいと願う若者の苦悩と焦燥…
痛々しいほどの村社会がそこにありました
そんな山奥にある村が突然の豪雨で近隣から孤立してしまい、普段から鬱積していた不満が爆発し暴動が起きるお話です
昨日までは笑顔で挨拶を交わしていた隣人が、ひとたび暴力の魔力に取りつかれるとおぞましいほどの残酷さを覗かせる姿
めちゃくちゃリアルです笑
極限状態にあると人間の本性が見えるとはよく言いますが、もし自分だったらどうなるだろうと想像せずにはいられませんでした
私も暴力に酔いしれ武器を手にして殺戮にふけるのでしょうか
それとも虐げられる側に立ち、尊厳を捨ててでも地面に額をこすりつけて命乞いをするのでしょうか
性別が女性であるが故に、死んだほうがましだと思わされるような性暴力にさらされるのかもしれません
その時、私は相手を殺さずにいられるとは思えません
様々なことを考えさせるお話です
主人公は小さな少女の父親です
愛娘を守るために村から逃げ出せるのか、最後までハラハラしながら読み進めました
大変面白かったです
Posted by ブクログ
せいぜい殺人事件が2-3起こるくらいだろうと思って読んだのが甘かった…集団パニックと疑心暗鬼の末、村全体がおかしな状況に陥っていく様が、リアルで怖すぎる。
岩森明は都会に集団就職する。自動車整備工場。やがて親になった。妻は看護師の節子。子供は愛子。三年前節子は膵臓がんに倒れた。半年で亡くなった。愛子は3歳。墓参りに田舎へ。鵜頭川村へは最寄りの駅から40分かかる。
長雨でバスが止まる。飲酒運転でお地蔵さんの祠が壊れて、村人は祟りを恐れている。20歳くらいの若者が胸と腹から血を流して死んでいる。被害者は長江の敬一さん。駐在さんは爺さんが川に落ちたとかでそっちに行ってしまっている。土砂崩れが起きた。駐在さんは閉め出しだ。村は閉ざされた。
死体が診療所に運ばれた。電話が使えない。停電もしている。とりあえず葬儀だけして、遺体は氷室に移すことになった。プロパンなのでガスは使える。水道はダメ。井戸はある。7時に公会堂で集会。集会で得られるものはなかった。
雨はまだ降り続いていて、崖や山側に近い家には避難勧告が出ているが、説得は難渋している。みんなに殺人犯と目されている大助が秀夫の兄嫁を犯そうとしているところを、秀夫が見つけて殴りかかって騒ぎになる。
若者は自警団を組むことにする。矢萩一族は大助を庇う。なかったことにして欲しいと村のみんなに頼む。矢萩姓のものだちは水も食糧も手に入らなくなる。伸平が自警団のリンチに合う。自警団は50-60人に膨れ上がっている。矢萩の女衆でも仲間割れが始まり、有美が突き飛ばされ食糧を奪われる。自警団は突っ走り始めた。
自衛隊から救援物資が投下されるが、それは盗まれた。降谷秀夫が後ろから殴られてザマアミロと言われた。矢萩が救援物資を盗んだんだという風説が出る。大助が袋叩きになる。
元市が由美と岩森が密通していると信じて殴りかかってきて、出て行けと叫んだ。とりあえず愛子と車に避難する。自衛団のリーダーの辰樹はラジオで扇動している。
矢萩の嫁3人が自警団に駆け込む。続いて自警団の西尾が刺される。自警団はいまや100人。岩森と愛子は託児所の邦枝に引き取られる。殺された敬一の母親だ。ご飯を頂いて車に帰る。自警団が決起する。
Posted by ブクログ
田舎を壊して、田舎に人生を壊された人たちの話。
矢萩、降谷、血族は違えど、大人たちの本質に変わりはなく、それを日々目の当たりにして生きている子供たちもどこか皆似たような感情をもって生きていた。
そんな日々を打開せんとした青年たちの決起の衝動には青臭さが残り、村のためとは宣言したものの、それはあくまで私怨が軸で動き出した革命という名の暴動であった。
大雨が暴いた家父長制、疑心暗鬼、男尊女卑、汚れた血縁関係、隠しきれなくなったそれぞれの暗部が若者たちに火をつけた。
あんなことまでできるなら辰樹をはじめとした若者たちはもっと早い段階で村を出奔することもできただろうにとは思うが、本当は皆あの村が嫌いではなかったのだろう。
村への思いと自分の感情に揺れ続けた辰樹は痛々しいほど若く、哀れであった。
Posted by ブクログ
櫛木理宇『鵜頭川村事件』角川文庫。
小さな村を舞台に歪んだ人間関係と人間の欲望が巻き起こした悲惨な事件を描く。
過去に起きた事件の犯人の呪いが新たな事件を生み出したようなホラー小説っぽい始まりだったが、途中からノンフィクションのようなテイストに変わっていく。
亡き妻の節子の故郷である鵜頭川村を墓参りに訪れた岩森と6歳の娘愛子は、突然の豪雨で孤立した村の中で足止めを食らう。
そんな中、1人の若者の他殺体が発見され、村は疑心暗鬼と狂乱の渦に巻き込まれる。不足する物資と次々起きる諍いの中、若者たちが自警団を組織し、やがて村全体を呑み込む内乱事件へと発展していく。
本体価格880円(古本0円)
★★★★
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小説・文芸
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