あらすじ
3年ぶりに帰った故郷は、狂気に満ちていた
父と娘は、閉ざされた狂気の村から逃げられるか
墓参りのため、亡き妻の故郷・鵜頭川村を三年ぶりに訪れた岩森明とその娘。
突然、豪雨にみまわれ、山間の小さな村は土砂崩れで孤立。
そして、若者の死体が発見された。
犯人は村人か、それとも――。
降りしきる雨の中、父と幼い娘は暴動と狂乱に陥った村から脱出できるのか。
血と恐怖のパニック・サスペンス!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
集中豪雨で孤立した山間部の集落。ある事件をきっかけに少しずつ崩れていく村人たちの均衡。昭和54年というちょっとレトロな設定。悲鳴を上げる世代や男女の軋轢。パッと火花が散るみたいに起きる惨劇。密度濃いです。
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今まで読んだ中でもなかなかない、文句なしの星5つ!
最後の揉み合いのシーンは、スローモーションの映像が頭に浮かぶほど。
リーアム・ニーソン主演で映画化して欲しい(笑)
Posted by ブクログ
亡き妻の墓参りのため、妻の故郷の鵜頭川村にやってきた岩森とその娘。鵜頭川村は昔ながらの慣習を残す田舎の村。男尊女卑など当たり前。村の権力は矢萩吉朗を代表とする矢萩家に握られている。余所者はいじめられる、と言った村だった。そこで急な豪雨にみまわれ村は孤立する。そこに若者の死体が発見された。殺したのは矢萩家の乱暴者大助か?そして若者を中心に自警団が結成される。リーダーは皆の憧れだった矢萩工業で働く降谷辰樹。岩森親子はそんな暴動と狂乱に陥った村でどうするのか?櫛木さんらしい血と恐怖の戦慄のパニックサスペンス。
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まるで実話を元にした話のように、ちょいちょいWikipediaが作中に、、
集落で土砂災害=閉鎖された空間=大体面白い。(至極個人的)
狂ったり宗教的な思想がうまれたり、ありそうだなぁ、、というスリリングさが良かったです!
後半は止まらないスピード感と登場人物毎の目線がまた傑作であります。
Posted by ブクログ
いや〜良かった。昭和後半、古い田舎の村、男尊女卑全開の村人たち。水害をきっかけに2つの姓名の派閥争いが激化する。閉塞感と胸糞感のバランスが読んでいて痛気持ちいいとでも言うのだろうか。酒毒という表現があったけど、これは身に染みて他人事で終わらない話もあった。
Posted by ブクログ
ドラマ視聴からの原作読み。
閉鎖的な状況で壊れていく人間関係や暴力、
人間の本当の怖さが感じられる作品でした。
映像で観てから、原作読みしたから
更に怖さが出て面白かった!
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『エイキチ』が想像していたものとは違いました。
ドラマは酷評されてましたが、この当時の物語としてはなかなか面白かったと思います。
結局、怖いのは人間…
Posted by ブクログ
臨場感が半端ない。幾度も息の詰まる思いがする。
個の狂気が集団へ感染していく様は恐ろしく、それぞれの感情に引きずられていく。
櫛木さんの本は最終に至るまでの描写が秀悦であることが多く、最終はさらりと終わるように感じる。
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思わぬ読み応えがありました。
田舎の閉鎖的な雰囲気は今でも変わらずありますが、当時はもっとひどかっただろうと思います。
一度底なし沼に囚われたら絶対に抜け出せない、沈むだけ…
Posted by ブクログ
読み応えがすごかった。
大雨によって災害がおこり、
閉ざされた村で発見された死体。
犯人は村人の中の誰かだ。
救助はこず、外部との連絡も途絶えた。
土砂降りの雨は全く弱まることなく降り続く。
閉ざされた空間で
人間関係はゆがんでいく。
田舎の村独特の家を重んじる昔からの考えに人々は縛られて
圧迫されていた。
長年積み重ねてきた思いがついに爆発する。
ちょうど梅雨の時期に読んだので
現実の雨と
物語の中の雨が連動して
怖さが増した。
最後の結末へ向かう展開は
ただただ気持ち悪く
飛ばし読みしたくなるほど。
しかし、あまり驚きはなかった。
Posted by ブクログ
昭和50年代の閉ざされた村のお話。
閉ざされた村が、更に水害によって物理的にも閉ざされ、普段不遇にされている者たちが、報復に出る。 人間の怖さ、群れになると残忍さ、自己が無くなる心理描写がよく書かれている。
また、学生運動の一片も出てきて、どんなものかよく知らなかったけれど、雰囲気が伝わってきた。
熱に浮かされ、半ばカルト的な雰囲気だった。
Posted by ブクログ
キャラ重視のホラー小説「ホーンテッド・キャンパス」があまり合わなかったが、筆致から作者は相当本を読んでいて実力があるのではないかと感じ、諦めずに本書にも手を伸ばしてみた。
結果、大正解。この作品に出会えて良かった。やはり櫛木さんはすごい。
山奥の寒村で起こる豪雨による土砂崩れ災害、それに伴う停電や断水、殺人事件、対立する村人達。
僻地の村人の描写がすごい。
それぞれの住民が屋号を持っているというのがリアリティがあって良かった。自身も田舎育ちのため、村に一軒の魚屋の娘は「魚屋のひろみちゃん」と呼ばれるし、
和菓子屋があれば「饅頭屋の茂くん」などというように〇〇の誰それと読んでいたことを思い出した。
その中には本書に出てくるように「後妻さんの⚫️さん」や「40過ぎても跡取り息子の⚫️⚫️」などと
陰口のようなものもあったのも事実。これが田舎の生活にリアリティを与え、村という閉鎖的な社会の厭さを引き立てていると感じた。
一旦引く描写がすごい。
各章の文頭には「鵜頭川村事件」の新聞記事やウィキ記事からの引用という形で、事件を第三者に説明するような文章が配置されている。
どんなに主人公達がいる村で人々が苦しんで、状況が煮詰まっていようと、新聞の記事からは温度は感じられない。
ただ、死傷者が何人で重軽傷者、行方不明者が何人という機械的なアナウンスがあるのみである。
その温度差が、今まさに村内にいる主人公に感情移入している読者からすると、背筋が寒くなるようなゾッとする感覚を覚える。
あらためて、当事者しかこの恐怖や惨たらしさはわからないんだと思い起こされる。
テーマがすごい。
最初は「悪い子にはエイキチが来るよ…」というその地方の民話の記述があったので、妖怪か心霊モノかと期待して読んだ。
しかし、蓋を開けてみるとそんなものよりもやはり生きている人間の方がよほど残酷だった。
本書には⚫️を食いちぎったり、斧で叩き割ったりという恐ろしい描写もたくさんあったが、それより何よりも「見てみぬふり」を
する人間達の浅ましさが恐ろしや。
有名な「浅間山荘事件」より手前に同士殺害という悲劇が起こった「山岳ベース事件」を元にしているように感じたが、
本当にこれは恐ろしい事件だった。
本書を読むことで、どうしてこんなに恐ろしい事件が起こることになったのか……新聞や資料では読み解けなかった犯罪へのプロセスが
明らかになっていくというのがものすごく興味深く読んだ。
やや残念な点としては、犯人の動機が少しやっつけ感が否めなかった。
また、今回はホラーに見せかけたサスペンスだったので次回はぜひホラーを読みたい。
Posted by ブクログ
怖かった。
娘を守らなければという必死の親心。
村に染み着いた陰湿な空気。
ゆるやかに異変が始まり、急速に事態が悪化していく様子は、こちらの心もかき乱していった。
人がおかしくなっていく描写がうますぎる。
決して明るい物語ではないし、神経もすり減るのに続きをどんどん読みたくなる。
櫛木ワールドの魅力である。
Posted by ブクログ
丁寧な描写に前半進まないなぁと感じつつも、次第に不穏になっていく様子と後半の爆発力から一気読み。違和感も伏線として回収され、ミステリとしても楽しめた一冊。
Posted by ブクログ
2016年の別冊文藝春秋連載を経て、2018年に単行本化。2022年にはコミカライズ、テレビドラマ化もされている話題作。
舞台は1979年、山間の鵜頭川村。
当時流行した歌謡曲や歌手名が物語に散りばめられ、昭和後期の山村という空気感へすっと入り込める。
豪雨により村は“陸の孤島”と化し、その閉塞のなかで、櫛木作品らしい昭和的家族制度・血縁の濃さ・地域因習が、一気に噴き出していく。
特に若い男子たちを中心に高まっていく不満や暴走は、読み手にも圧をかけてくる。
その豪雨による濁流のような人間関係に紛れ込んでしまう父娘。娘の利発さはやや物語的だが、追い詰められていく緊張感はラストまで途切れない。
冒頭の人物相関図は「いるかな?」と思うが、終盤さまざまな因縁が重なり合うにつれ、あれがあることで一気に整理される仕掛けですね。
Posted by ブクログ
豪雨により土砂崩れで孤立した小さな村の中で起こってしまった事件。そもそも土砂崩れになんてならなければ、こんな事件は起きなかったのかも知れないのに。普段は理性等で抑えられている人間の本性が恐ろしい。物語で良かったと思う…
Posted by ブクログ
3.4
サクサクとは読めないが、読み応えのある本。
ある村が災害により外界との連絡が絶たれた所から始まる。
昔の嫌な日本のしきたり、風習、田舎特有の村社会がとても濃く描かれている。
そこに普段から鬱屈とした感情を持っていた辰樹の暴走が始まる。
普段は抱いていても爆発まではいかないが、災害等をキッカケに人々が狂っていく姿が、何処にでも起こりそうだと感じれる上にとても怖かった。
終盤の少し行き過ぎな感じと少しリズムが悪い気がしたので上の評点。
Posted by ブクログ
いつもの櫛木作品とはテイストが少し違う感じでした。
いわゆる村ホラーと災害によるクローズド・サークルが合わさった作品。
結末が横溝正史感というか、ドロドロとした血縁関係というのが良かった。
ただ、登場人物が多すぎて追いつけなかった…。
叔父、従兄弟、旧姓、ややこしかった。
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岩森は娘を連れて妻のお墓詣りに鵜頭川村に出かけたのだが、豪雨に見舞われ村は孤立した。
そんな中で若者の死体が発見され、村の青年たちが自警団を結成する。
村を守るために自警団は結成されたはずだったが、これまでの不満が噴出して暴走。
いつ、誰が襲われるか分からない状態になってしまった。
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古い価値観がはびこっていた時代、とはいえ、狂ってます!!
描写が生々しくて、おぞましいです。最後の対決シーンは斜め読み…。
まさにパニックサスペンスでした。
Posted by ブクログ
村の大量殺人というと、津山の話とかぶるのかな?と思うと、主人公が村の若者のヒーローだから造形が全然違った。
昭和54年って、スターウォーズの頃なら、こんな古い因習の村ってあったの?ともっと昔の話に思えた。職住が近いから余計閉塞感増すんだね。
ただ、辰樹の閉塞感、自暴自棄な気持ち。無差別殺人を犯す人と同じ。自分も周りも全て消えてしまえ…みたいな。かたや、親友の敦人は都会でのびのび暮らしているのが余計辛かったんだろうね。
Posted by ブクログ
予想通り重い話だったけど、この人の話は続きが気になって読み進めてしまう。
閉鎖的な場所での狂気…しかも、昔から知ってる幼馴染みや親戚が豹変していく様が怖かった…。
Posted by ブクログ
村がどんどん狂気的になっていくパニック系で面白かった。この方は人間の心に生まれた闇が少しづつ育っていく様を表現するのがすごく上手い。森で隠れながら逃げている時には私も登場人物たちの最後尾にいる気持ちでドキドキした。
途中まですごく面白かったので終わりだけもう少し丁寧だともっと良かったなー。少し物足りない感じがした。
Posted by ブクログ
例え、田舎でなくても孤立する状況が
生まれた時に、人の中に「エイキチ」は
出現するのでしょう。
あぁ本当にヒトが一番怖い。
村の陰湿で閉鎖的、根強い男尊女卑
村民の詳細が長々と描かれる理由が
後に判明していくけれど
犯行動機にもう少しインパクト欲しかったかなぁ。
Posted by ブクログ
雰囲気がどことなく小野不由美さんの「屍鬼」に似ている。もっとも小野さんのはホラー小説、こちらはクローズドサークルのサスペンスだが。
物語の展開が少し安易な気もするが、日本人のメンタリティの中に、物語で語られている嫌な部分というのはまだまだ根強くあるような気がする。
救いのない物語ではあるのだが、愛子の健気さと港人の真っ直ぐさは心に残る。事件終結後の村の様子をもう少し書き込んでほしかった。
Posted by ブクログ
豪雨による土砂災害で孤立した鵜頭川村。
男尊女卑で、一族間の格差甚だしい閉鎖的な村落が、日に日に不穏な気配で満たされていく。中心には、日頃虐げられてきた者たち。父親に、矢萩姓の粗暴な男たちに小突かれ詰られ虐げたれてきた若者たち。彼らの不満は、安保闘争さながらの勢いである夜爆発する。
岩森はどうして標的にされてしまったのだろうか。
限りなく余所者で、無害で、幼い娘を連れた岩森が狩られる対象になってしまったのが解せなかった。扇動者の外への憧れが、彼を標的に加えてしまったのだろうか。パニックホラー的に、幼い娘を連れて逃げるというのは恐怖を煽るのに有効だと思うが、それだけのように感じた。また、恐怖を煽る要素として使うのであれば、愛子を連れて逃げる描写がもう少し細かく、そして多く頁を割かれるべきであるように感じた。
村の様子を丁寧に描く前半。
ゆっくりと村に狂気や不穏な気配を満たしていくという意味で、じっくり描くという配慮は有りだった。それによって、後半の狂気に火がついた時との差が著しく感じられる。
村には、矢萩姓と降谷姓が大半を占める。
親戚関係も入り組んでいるので、人物の区別に一苦労。閉鎖的な村落を描く作品なら、村の地図を付けたり登場人物一覧を冒頭に載せたり、群像劇的に一人一人を深彫ってもよかった。一生懸命読んだつもりだが、登場人物全員を把握しきれなかった。一人一人が抱える鬱屈した思いなども拾いきれなかった。この作品をパニックホラーとして読むかどうかでまた読み方が変わるかもしれない。