【感想・ネタバレ】鵜頭川村事件のレビュー

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ネタバレ

昭和50年代の閉ざされた村のお話。
閉ざされた村が、更に水害によって物理的にも閉ざされ、普段不遇にされている者たちが、報復に出る。 人間の怖さ、群れになると残忍さ、自己が無くなる心理描写がよく書かれている。
また、学生運動の一片も出てきて、どんなものかよく知らなかったけれど、雰囲気が伝わってきた。
熱に浮かされ、半ばカルト的な雰囲気だった。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和の時代が舞台なのと閉鎖的な村のドロドロ感が、昔本当にこんな事件が起きたんじゃないかと思えるくらい面白かった。
最後の方は展開が同時進行でひっ迫していき、先が気になって一気に読んでしまった。

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2023年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

災害という緊急事態、そして物理的に閉ざされた田舎の村となると、遅かれ早かれパワーバランスは崩壊したと思う。
こういう時に物を言うのは、普段の地位より人数と災害時に役立つ物資を持っている側だ。
しかも今回は、このパワーバランスの崩壊を先導した者がいた。

この先導した者の意図というか動機が全く見えてこなくてもやもやした。
先陣を切っているようで、その実ひどく冷めた目で現状を見ている。
崩壊はさせたいが、本気に思っていないような。
彼のスタンスが読めなくて、大いに戸惑った。
他のキャラが割と分かりやすいのと、彼の狙いは最後の最後にならないと出てこないので、余計に。
まあ明かされた真実を思えば、確かに投げやりにもなるだろうし、村を抜け出したくなる気持ちも分からないではない。

村とはいえ、あれだけの人数を出しておきながら個性豊かに書ききっているのは本当に凄いと思う。
それぞれ主役の視点があるが、全編通しての主人公にこの村とそれなりには関わっているが村出身者ではない余所者、でも自身も別の村で生まれ育ち、そして都会暮らしも知っている大人にしたのは、解説にもあったがいい塩梅だったとも思う。
村の中からの視点も、外からの(第三者的な冷めた)視点も彼なら両方書ける。

これだけの事件を起こしておいて、実は学生運動を模倣しているところがあり、その学生運動自体もこの作品中の時間軸においては10年近く前の過去の産物という。
あれだけ村人の間で盛り上がったのに、都会から見ると時代遅れのことで殺人事件にまで発展しているのが、何とも哀しい。

この物語は前述通り、あれだけキャラを出して見事に書き分けているにも関わらず、「事件」を主体にしているためか、この物語にエピローグ的な話はない。
その後、それぞれのキャラがどうなったのか、キャラ視点での後日談が一切ない。
最初読んだときは、ぶつっと話を切られた感じがして戸惑ったが、今にして思うと、村に直接関わりのない第三者である読者が知ることができるのは、実際はここまでだろうなと、そう思わされた。
Wikipediaの引用文(というていの)文章が挿入されるだけという簡素な終わりである。
多分、あの後で後日談を入れても完全なる蛇足だろう。
部外者たる自分たちは、そこまで踏み込むべきではない。
事件の中身をこれだけ知ることができただけでも、ありがたいと思わねば。

ただ個人的にはピアノさんがどうなったのかだけは、ちゃんと知りたかった無念も。
助かったはずだが、あの後も村にはいられたのだろうか。
心配である。

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2021年02月23日

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村がどんどん狂気的になっていくパニック系で面白かった。この方は人間の心に生まれた闇が少しづつ育っていく様を表現するのがすごく上手い。森で隠れながら逃げている時には私も登場人物たちの最後尾にいる気持ちでドキドキした。
途中まですごく面白かったので終わりだけもう少し丁寧だともっと良かったなー。少し物足りない感じがした。

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2024年05月02日

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ネタバレ

例え、田舎でなくても孤立する状況が
生まれた時に、人の中に「エイキチ」は
出現するのでしょう。
あぁ本当にヒトが一番怖い。


村の陰湿で閉鎖的、根強い男尊女卑
村民の詳細が長々と描かれる理由が
後に判明していくけれど
犯行動機にもう少しインパクト欲しかったかなぁ。

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2024年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ノンフィクションのようで怖かった。長雨で孤立してしまった村で、若者たちが自警団と名乗り大人たちに対し暴動を起こす。人が徐々に狂っていくのがとても怖かった。
主犯の辰樹の気持ちは最後まで理解できなかったが、村に閉じ込められ鬱屈する若者たちの気持ちはなんとなく分かる。
それにしても、時代や小さな村という背景もあるのだろうが、父親が絶対的存在で嫁や子どもがしもべのように虐げられているのは読んでいて辛かった。
雰囲気や展開などから、読んでいて小野不由美の「死屍」を思い出した。

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2023年02月07日

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ネタバレ

暴動から逃げるパニックものだと思っていたら、最後に犯人と動機が判明し、ミステリーの要素もあったのだと。
ただ、村全体の距離感がつかめず、ワープしてないか?と感じるところがあったので村の地図が欲しかった。

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2023年02月03日

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ネタバレ

抑えつけられ鬱屈した集団の暴走。狂気と残虐描写は激しいけれど、始終一定の距離を保って冷静に描かれていたのが良かったです。
誰が100%悪い、とかではなく、これまで積み重なってきた良くない事が一気に噴出した空気。時代設定も舞台設定も人物設定も絶妙でした。ここまで酷くはないけど実家のある地区も九州の片田舎で男尊女卑傾向まだ強いし何かあったら結構な速さで広まるのでつくづく。。上下関係はないけど2割同じ苗字で別の1割同じ苗字というところですし(もちろん、佐藤や田中ではない)。
暴力が渦巻いて、長雨もありジメジメしている中、港人くんと廉太郎くんの尊さ良かったです。岩森さんまで呑まれそうになるのを止められるの凄い。ピアノさんも、地元意識強いなかで、降谷にも矢萩にもつかなくていい人間関係構築してるのは女傑です。上窪のご隠居は隠居してるから巻き込まれずに済んだのかな…鵜頭川村の住人だからある程度どちらかだろうけど(そういえば屋号“上窪”しか出てなくて苗字わからない)、それ関係なく心配してくれるのはほっとします。
殺人事件と暴動の真相が、横溝正史ばりに懐かしのドロドロ血縁関係。金田一シリーズはたいてい親が気に病んでたけれど、子どもも同じように気に病みます。。

これほどの内乱事件が起こっても、小さな出来事としてWikipediaに小さくまとめられているという体なのが苦いです。
その後が気になる人物も多数居ますが、蚊帳の外側は知ることが出来るのはここまで、というのもリアルでした。下世話に調べまくらない限り現実の事件もそうだな、と。

これドラマ化するんですか…大丈夫かな。。設定変更はかなりありそうですが、WOWOW攻めてる。

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2022年07月11日

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初めての作家さん。パニックサスペンスとしては先が気になり一気読み。目を背けたくなるような描写も多く、決して読んでて気分がいい作品ではない。
でもこの作品の恐ろしさは、別の所にある。
閉ざされた集落の昔からの風習とか、都会への劣等感、やり場のない怒りや不満が、災害で完全に孤立した際に一気に爆発。
最後のオチで更に絶望的な気持ちになりました。
嫌ミスとは違うこのいやーな感じ。でも読み進めずにはいられない。
勇気を出して、別の作品にもトライしたい。

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2021年08月10日

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