村上さんが亡き父を語ったエッセイ。大概の人間は親と何らかの確執を持っているものと思います。若い頃と言っても40〜50歳手前までは、(これは自分の感覚なのかもしれませんが)その確執から逃れる機会はないのだろうと思います。しかし、親が高齢になり、衰え死期もそう遠くないと思われる頃にようやく和解の時、また
...続きを読むは寛容になれる機会が訪れることが多いのではないか、自分の経験からそう思っています。(私も父は6年前、母を最近亡くしました)
だから、村上春樹でさえそうなのか!と半ば驚きもあり、みんなそうなのだ…と納得もする告白(このエッセイは意を決しって書いたと言う印象)でした。
父と小さい頃に海辺に猫を棄てに行くという思い出のシーンは、どこか懐かしさを感じます。(イラストも効果的です)
私も父母を亡くしてから自分の家系のルーツに興味を持ち、調べているところなので、その心境にはとても共感しました。(どうしてもっと前に興味を持たなかったのかと後悔しつつ)
父母、祖父母と遡って生き様を知ることで、彼らのこれまでの行動や言動の成り立ちが分かり、先人たちの多くの努力や犠牲の上にここに居ると言うことに気がつきます。
村上さんもお父様と長年の確執があったにせよ、最後は和解したということでほっとしました。