猫を棄てる 父親について語るとき

猫を棄てる 父親について語るとき

719円 (税込)

3pt

各紙誌で絶賛! 村上作品の原風景がここにある
村上春樹が自らのルーツを綴ったノンフィクション。中国で戦争を経験した父親の記憶を引き継いだ作家が父子の歴史と向き合う。

父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。

ある夏の午後、僕は父と一緒に自転車に乗り、猫を海岸に棄てに行った。家の玄関で先回りした猫に迎えられたときは、二人で呆然とした……。

寺の次男に生まれた父は文学を愛し、家には本が溢れていた。
中国で戦争体験がある父は、毎朝小さな菩薩に向かってお経を唱えていた。
子供のころ、一緒に映画を観に行ったり、甲子園に阪神タイガースの試合を見に行ったりした。

いつからか、父との関係はすっかり疎遠になってしまった――。

村上春樹が、語られることのなかった父の経験を引き継ぎ、たどり、
自らのルーツを初めて綴った、話題の書。

イラストレーションは、台湾出身で『緑の歌―収集群風―』が話題の高妍(ガオ イェン)氏。

※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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猫を棄てる 父親について語るとき のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    村上春樹さん 文藝春秋2022年11月発行
    絵 ガオイェンさん
    亡くなった父親についての文章とどこか懐かしい絵

    棄てた猫が、先回りして帰宅しているところは、思わず嬉しくなった。
    心に響いたフレーズはたくさんありますが、
    ひとつだけ引用します。

    父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの
    引き

    0
    2025年11月20日

    Posted by ブクログ

    静かに心にしみる作品でした。

    なんの取り柄もない、平凡で、世の中になんの役にも立たない私だけど、「広大な大地に向けて降る膨大な数の雨粒の、名もなき一滴に過ぎない」私でも、「それが集合的な何かに置き換えられられていく」ことに生きる意味があるんだ、と力づけられました。
    歴史を受け継

    0
    2024年02月28日

    Posted by ブクログ

    猫を棄てること。親から棄てられること。
    表向きは子供を捨てているというわけではないが、子供の数が多かった時代に、子供を自分で育てるのではなく、養子に出すなり、奉公に出すなり、寺に預けるなりしたということはわりとよくあったことなのだろう。
    村上春樹の父親もそのような経験をしている。
    そして自らが棄てた

    0
    2023年09月02日

    Posted by ブクログ

    終戦記念日前後のお盆の時期に、実家の父親の仏壇の前で読めたことで、物語により深く入り込め、物語から自分の家族や記憶を思い返しながら読むことができた。
    これも読書体験なんだな

    0
    2023年08月16日

    Posted by ブクログ

    私がこの本で得られたこと、あとがきにあるように、歴史が過去のものではなく、それらが自分の中にあるのだと言うことを感じられたことです。

    父と共に猫を捨てにいったのに、その猫が先回りして家にいた。そんな父と僕との何気ない人生の共通の思い出が、2人の中にあり、その共通のものが、2人を作っていくという感じ

    0
    2025年08月26日

    Posted by ブクログ

    一人称単数のヤクルトスワローズ詩集の続き、みたいなのを読みたくて読んでみた。
    父親との関係を赤裸々に綴った本。
    確かに自分のファミリーヒストリーを辿っていくと不思議な感じ、運命やそれの連続である宇宙を感じる感覚みたいなの、わかるなー。
    改めて映画バックトゥーザフューチャーってすげえなー。
    こういう感

    0
    2025年06月18日

    Posted by ブクログ

    作者として絶大な人気を誇る村上さんの幼少期はどんなものだったのかが気になり読みました

    誰にでもある幼少期にある一種のエピソード、トラウマ、印象に残ってるなんともないこと。

    主にはご両親のお話。猫の話。

    ぎゅっと幼少期の出来事が詰まっているけど
    どれも村上さんにとって忘れられないエピソードなのだ

    0
    2025年05月26日

    Posted by ブクログ

    明らかになる父親の存在
     「神の子どもたちはみな踊る」でも父親との不和を描いた村上春樹だが、やうやくそのベールがまくられた。

     父親は中国へ行き、中国人捕虜が殺されるのを見た。この話を聞かされたことが「ねじまき鳥」の原点になってゐるのは、想像に難くない。
     勉強好きの父親とさうでない息子とのあひだ

    0
    2025年05月25日

    Posted by ブクログ

    小さい頃に父親と猫を棄てに行ったエピソードから始まり、村上春樹が調べた父親の足跡が語られている。

    絶縁に近い状態にまでなった父親と、父親の死の間際に和解する際に一つの力になったのが、小さい頃のささやかな共有体験だったという話が素敵だなと思った。
    どんなに拗れてしまった関係であっても、ささやかでも何

    0
    2024年11月15日

    Posted by ブクログ

    誰にとっても、親との永遠の別れが与える衝撃は計り知れない。元気でいることが、当たり前だと思っていても、ある日突然、命のカウントダウンが始まる。失われた時間を取り戻すかのように、親に会う時間を捻出し、なんでもない会話を重ねていくにつれ、親のことを何にも知らなかった、関心を持とうとしていなかったことに気

    0
    2024年11月14日

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