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「電灯のスイッチを切って扉を後ろ手に閉めるまでの長い時間、僕は後ろを振り向かなかった。一度も振り向かなかった」東京で友人と小さな翻訳事務所を経営する〈僕〉と、大学をやめ故郷の街で長い時間を過ごす〈鼠〉。二人は痛みを抱えながらも、それぞれの儀式で青春に別れを告げる。『風の歌を聴け』から3年後、ひとつの季節の終焉と始まりの予感。「初期三部作」第二作。
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Posted by ブクログ
風の歌を聴けに続いて久しぶりに読んだ。 初めて読んだ当初は風の歌を聴けが衝撃的でそちらの方が好きで印象に残ったという感想だった気がするが、久々にどちらも再読した今はこちらの方がより好きだと思った。 ずっと読んでいたいと思うような世界観。 風の歌を聴けが青春の爽やかさを存分に感じられる作品であるのに...続きを読む対し、ピンボールは全体が物悲しい雰囲気でそれがなんとも心地よい。舞台になっている夏と秋、それぞれの季節を落とし込んだような文章。 僕のどこか冷めて達観しているけれど、双子に対して愛着とあたたかさを感じているところがよかった。素直に寂しいと言えるところも。 書き出しの一文がとても魅力的で引き込まれる。 1973年の僕と鼠、それより以前の僕、色々な場面・時間軸のシーンが織り交ぜられている点がよく、それが作品が短いながらに深みを持つ要因だと思った。 初期の村上春樹作品は特に比喩表現が多く、すべての文章が比喩を用いて語られているような印象で、それもすごく好きだった。 特に好きだったのは110ページから111ページにかけての僕と事務所の女の子が寂しさについて話すシーン。 なにが好きなのか表現したくて色々書いたけれど、結局なにがというよりこの作品の世界観と雰囲気自体がすごく好きだと思った。
村上春樹節を存分に味わえる小説。とてもかっこよく大好きです。 相変わらず、サンドイッチとビールが飲みたくなる。
初期三部作の2作目。風の歌を聴けは書くとについて書かれていたけれど、2作目はしっかりと始まりと終わりのある物語。僕は小さな成功者として、鼠は過ぎていった過去にこだわって燻っている。2人と主人公の両面的な話。 ピンボールは僕の青春のマジックリアリズム的な役割として意味している。双子の存在が何を意味する...続きを読むのかは曖昧。
5年ぶりの村上春樹作品。初期作だったからか以前よりも遥かに読みやすく感じた。登場人物の奇天烈で脱力したスタイルと卓越した表現力、説明しすぎない余白のある物語構成に多くの人が惹かれ、研究の道に走るのもよくわかる。深入り危険ってやつだ。
鼠と僕、ビール、そしてピンボール。ただただピンボールをやり、そして店ごとなくなった。それは、ただ終了しただけのような、予定されていたかのようにふと消えることがある。ゆっくりと、ただ自分と向き合う主人公。そして、双子の女の子たち。 ジェイズバーで、街の中にいる自分を外に持っていく決心をつける。一歩進む...続きを読む、その大事な、大切な一歩を推してくれたのは変の兆しを与えてくれたなんでもないもの。日常の本当に小さな何か、なんの変哲もない、何かが人生を変えることもある。じっくり、もっとじっくり読まなくては、、と思いながら流して読んでしまった。
青春小説だと思います。 やるせない悲しみや逃げられない辛さに直面した鼠と主人公、二人を描いています。 彼女に何も伝えず苦しみ抜いて街を出る鼠。何も生み出さないピンボールに多くの時間を費やした主人公。 二人が具体的に何に苦しみ、悲しでいたのかは書かれません。おそらくそんな必要はないのでしょう。 ただ...続きを読む美しい情景描写、印象的な会話、いくつかの感情表現が話を綴ります。 ーこの土地には雪こそほとんど降らなかったが、そのかわりにおそろしく冷たい雨が降った。雨は土地に踏み入り、土地を湿っぽい冷やかさで被った。そして地底を甘味のある地下水で満たしたー ー時折、幾つかの小さな感情の波が思いだしたように彼の心に打ち寄せた。そんな時には鼠は目を閉じ、心をしっかりと閉ざし、波の去るのをじっと待った。 夕暮れ前の僅かな薄い闇のひとときだ。波が去った後には、まるで何一つ起こらなかったかのように、再びいつものささやかな平穏が彼を訪れたー ーねえ、誰が言ったよ。 ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね。 鼠はジェイに向かって微笑み、ドアを開け、階段を上る。街灯が人影のない通りを明るく照らし出している。鼠はガードレールに腰を下ろし、空を見上げる。そしていったい、どれだけの水を飲めば足りるのか、と思うー ー僕は一人同じ道を戻り、秋の光が溢れる部屋の中で双子の残していった「ラバーソウル」を聴き、コーヒーを立てた。そして1日、窓の外を通り過ぎていく十一月の日曜日を眺めた。何もかもが透き通ってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日だったー 何ももう苦しまなくていいんだ。全て過ぎ去ったことなんだ。全ては追憶なんだ。 そんな安らぎを読者に与えてくれる稀有な作品だとおもいます。 村上春樹の小説の中で1番好きな作品です。 あなたにとってのピンボールはなんですか?
迷わずにfive stars 短い小説ではあるが、付箋だらけになった。 ノルウェイの森と鼠三部作の関連性ははっきり言及されていないと思うが、先に読んだノルウェイの森の直子と本作品の直子がどうしても重なってしまう。直子と井戸について同時に言及されているので、尚更そう感じる。 倉庫の中での「スペース...続きを読むシップ」との再会と別れは、語り手が手放せずにいた直子の死や過ぎ去った過去(人、街、文化)に別れを告げたことを象徴するのではないか。 そしてその別れと共に、語り手の時間は少し動き出したような気がした。 けれどそれは成長というよりは、生きている限り、時間は進み、同じ場所に留まることはできないということなのかもしれない。 「見知らぬ他人が出会い、そしてすれ違う、それだけのことだった。それでも鼠の心は痛んだ。」
どことなく寂しさが漂う作品。しかし彼の文章は心の凝りを溶かしていくような温かさがある。鎮痛剤のようなものだと感じる 毎日寝る前にちまちまと読んでいた。読み進めるごとに不安が薄まっていくような感じ。 少し寂しい。
こちらを読み終わり、すぐに「羊をめぐる冒険」に行こうと思う。 そう思っちゃうくらい、この世界観がたまらなく好き。 舞台が日本なんだけど、日本じゃないような雰囲気で、その曖昧さが何とも言えないハルキ特有の感じで良い。 アメリカとかヨーロッパの雰囲気が漂いながらも急に「熱い日本茶」が出てきたりする...続きを読むから、「日本だ」って安心感が戻ってきて、でもやっぱり日本文学の雰囲気とは違う、海外文学とも違う、独特のこの雰囲気がやっぱり私は好きなんだな〜。 ずっと静かに進むストーリーの中で、最後の方にはっきりとしたクライマックスが来る。 ピンボール・マシンが並ぶところ。 ぞくっとした。 ハルキの季節や情景の描写に出てくる比喩も好きだし、服装の描写も好きだし、美味しそうなパスタとかクッキー、熱いコーヒーや冷たいビールの登場の仕方も好きだし、何なら煙草や紙ねんどのようなパン、ぬるいビールさえもが美味しそうに思えてくる。 ただ毎度のことだけど、ハルキの小説で女性が担っている役目の部分がどうしてもモヤモヤ。 昔のピンボール•マシンに描かれていた女性たちを読んだところで、もしやハルキの小説の女性たちも、この描写が合うのでは…?と思ってしまった。 以下引用。 「誰もが素晴らしい乳房を誇らしげに突き出していた。あるものはボタンを腰まで外した薄いブラウスの下から、あるものはワンピースの水着の下から、あるものは先の尖ったブラジャーの下から…。彼女たちは永遠にその乳房の形を崩さぬまま、確実に色あせていった。」
「風の歌を聴け」を読んだ勢いで2作目も読みました。本当にいい小説です。村上春樹作品で5本の指に入ります。人の出会いと別れ、街の風景、時代とともに移り変わるもの、それらが過度にセンチメンタルになることなくさらさらと流れるように綴られて気持ち良く読めます。しかしこの作品はやはり秋に読むべきだった!村上春...続きを読む樹は季節の描写も見事なので、季節を違えて読むと目の前の風景と合わずもったいない気がします。
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1973年のピンボール
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