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ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。その音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ――。40歳になろうとしていた著者は、ある思いに駆られて日本を後にし、ギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げ、作家としての転換期となった、三年間の異国生活のスケッチブック。
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Posted by ブクログ
20年前、アメリカ留学のお供に連れて行った本。本が出版されたのはそれより更に10年前なので、読んでいると20年前の自分と30年前の空気が一緒に降ってくる。 あー どこか行きたいな
端的に言って期待以上にめちゃめちゃ面白い分厚いエッセイで、「ノルウェイの森」「ダンスダンスダンス」の副読本というと言い過ぎかもだが、脂の乗ってる30代春樹さん特有の文章(太字の使い方とか)を堪能できるエッセイはこれしかないはず。 特に序盤のギリシャパートは初期作の雰囲気がぷんぷんで、地図を描いても...続きを読むらいその地図にキスをするくだりを絵で説明するトピックは、ギャグとしてとても冴えている。後半のローマへの不満パートは読んでいるこちらがイライラしてくるほどの実況ぶりで、流石だなと思う。
村上春樹の本はダンス・ダンス・ダンスしか読んだことがなかったけど、彼は彼の文体、彼の言葉を持っている作家だとその時に感じた記憶があった。この遠い太鼓は旅行記なのに、村上春樹の文体で、彼の言葉で書かれていて、ただの旅行記じゃなくて小説を読んでいるみたいでとても面白かった。 ただ事実を綴っているだけでは...続きを読むこんなに面白い旅行記にはならないのではないだろうか。僕という主人公がいて彼が見る世界が彼の言葉で綴られる。まるで小説だった。面白かった。
村上春樹の中で一番好き。海外の乾いた空気が伝わってくるような、遠い記憶が呼び覚まされるような、そんな感覚がとても好き。
Audibleにて耳読。20年ぶり(!)くらい前に読んでいたが、久しぶりに。いつの間にかこの本を執筆していたときの村上さんの歳を超えていた。私も3年間海外で暮らしていたのだが、こんなにも鮮明に、濃い日々を送ってもいないし覚えてもいない…。ギリシア、イタリアでの生活の様子が生き生きと描かれている。「ダ...続きを読むンス・ダンス・ダンス」や「ノルウェーの森」は、日本から離れざるをえなかった、日本から距離を置くことでしか生まれなかったということがよくわかった。 それにしても、ジャズやクラシックを聴いて、どのような演奏だったか表現する村上さんの記憶力といったら! エピソード一つひとつが本当に面白い。
1986年秋から1989年秋までの3年間、村上春樹さんがギリシャ、イタリアで過ごした日々の記録。 村上さんの見たものを想像し、村上さんの感じたものを感じ、村上さんの紡ぐ言葉を味わえる、大好きな作品です。 久しぶりの再読。 奥様とのやりとりが好き。 時が経っても、その当時の村上さんの語りを聞いてい...続きを読むるかのように自然に私にしみいる文章たち。
ちょうど新婚旅行でギリシャにいる頃に読み始めました。思わず声を出して笑うくらい面白いフレーズがあちこちに出てきて、愚痴っぽいけど全然不快にならない絶妙なバランスで本当に面白かったです。自分の思い出とも相まって、人生で何度も手に取る本になる予感。
今ここにいる過渡的で一時的な僕そのものが、僕の営みそのものが、要するに旅という行為なのではないか、と。 そして僕は何処にでも行けるし、何処にも行けないのだ。
1980年代の終わり、『ノルウェイの森』『ダンスダンスダンス』を書いた30代をしめくくり40歳ごろのヨーロッパを巡る旅。小説家になって10年くらい、物書きとして板につきながらも、さまざまな孤独や苦労や疲労感があり、憂鬱な秋の海や悲惨な嵐の描写から伺える。ヨーロッパの街並みや食べ物などの情報の合間に、...続きを読む何の変哲もないのに癖のあるおじいさんやおばさんとの出会い、夫婦げんかや車の故障などのトラブルにたじろく村上春樹さんがおもしろい。やれやれ。遠い太鼓が聞こえる。
村上春樹の面白さがはじめてわかった気がする。そんな一冊だった。 彼が書いてあることが本当ならトスカナ地方に行ってみたい。外国の旅行記というと臨場感の感じられないものが多いが、『遠い太鼓』を読んでいると村上春樹の出会ったおじちゃん、おばちゃん、若者が目の前で話しかけてくるような錯覚を覚えた。
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