【感想・ネタバレ】遠い太鼓のレビュー

あらすじ

ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。その音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ――。40歳になろうとしていた著者は、ある思いに駆られて日本を後にし、ギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げ、作家としての転換期となった、三年間の異国生活のスケッチブック。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

20年前、アメリカ留学のお供に連れて行った本。本が出版されたのはそれより更に10年前なので、読んでいると20年前の自分と30年前の空気が一緒に降ってくる。
あー どこか行きたいな

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

端的に言って期待以上にめちゃめちゃ面白い分厚いエッセイで、「ノルウェイの森」「ダンスダンスダンス」の副読本というと言い過ぎかもだが、脂の乗ってる30代春樹さん特有の文章(太字の使い方とか)を堪能できるエッセイはこれしかないはず。

特に序盤のギリシャパートは初期作の雰囲気がぷんぷんで、地図を描いてもらいその地図にキスをするくだりを絵で説明するトピックは、ギャグとしてとても冴えている。後半のローマへの不満パートは読んでいるこちらがイライラしてくるほどの実況ぶりで、流石だなと思う。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

村上春樹の本はダンス・ダンス・ダンスしか読んだことがなかったけど、彼は彼の文体、彼の言葉を持っている作家だとその時に感じた記憶があった。この遠い太鼓は旅行記なのに、村上春樹の文体で、彼の言葉で書かれていて、ただの旅行記じゃなくて小説を読んでいるみたいでとても面白かった。
ただ事実を綴っているだけではこんなに面白い旅行記にはならないのではないだろうか。僕という主人公がいて彼が見る世界が彼の言葉で綴られる。まるで小説だった。面白かった。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

村上春樹の中で一番好き。海外の乾いた空気が伝わってくるような、遠い記憶が呼び覚まされるような、そんな感覚がとても好き。

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2025年01月22日

Posted by ブクログ

Audibleにて耳読。20年ぶり(!)くらい前に読んでいたが、久しぶりに。いつの間にかこの本を執筆していたときの村上さんの歳を超えていた。私も3年間海外で暮らしていたのだが、こんなにも鮮明に、濃い日々を送ってもいないし覚えてもいない…。ギリシア、イタリアでの生活の様子が生き生きと描かれている。「ダンス・ダンス・ダンス」や「ノルウェーの森」は、日本から離れざるをえなかった、日本から距離を置くことでしか生まれなかったということがよくわかった。
それにしても、ジャズやクラシックを聴いて、どのような演奏だったか表現する村上さんの記憶力といったら!
エピソード一つひとつが本当に面白い。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

1986年秋から1989年秋までの3年間、村上春樹さんがギリシャ、イタリアで過ごした日々の記録。

村上さんの見たものを想像し、村上さんの感じたものを感じ、村上さんの紡ぐ言葉を味わえる、大好きな作品です。
久しぶりの再読。
奥様とのやりとりが好き。

時が経っても、その当時の村上さんの語りを聞いているかのように自然に私にしみいる文章たち。

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

ちょうど新婚旅行でギリシャにいる頃に読み始めました。思わず声を出して笑うくらい面白いフレーズがあちこちに出てきて、愚痴っぽいけど全然不快にならない絶妙なバランスで本当に面白かったです。自分の思い出とも相まって、人生で何度も手に取る本になる予感。

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2023年08月24日

Posted by ブクログ

今ここにいる過渡的で一時的な僕そのものが、僕の営みそのものが、要するに旅という行為なのではないか、と。
そして僕は何処にでも行けるし、何処にも行けないのだ。

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2023年06月05日

Posted by ブクログ

1980年代の終わり、『ノルウェイの森』『ダンスダンスダンス』を書いた30代をしめくくり40歳ごろのヨーロッパを巡る旅。小説家になって10年くらい、物書きとして板につきながらも、さまざまな孤独や苦労や疲労感があり、憂鬱な秋の海や悲惨な嵐の描写から伺える。ヨーロッパの街並みや食べ物などの情報の合間に、何の変哲もないのに癖のあるおじいさんやおばさんとの出会い、夫婦げんかや車の故障などのトラブルにたじろく村上春樹さんがおもしろい。やれやれ。遠い太鼓が聞こえる。

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2023年03月04日

Posted by ブクログ

村上春樹の面白さがはじめてわかった気がする。そんな一冊だった。
彼が書いてあることが本当ならトスカナ地方に行ってみたい。外国の旅行記というと臨場感の感じられないものが多いが、『遠い太鼓』を読んでいると村上春樹の出会ったおじちゃん、おばちゃん、若者が目の前で話しかけてくるような錯覚を覚えた。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

いつ以来の再読だろうか、たぶん20年は経っているだろう。

読み直そうと思ったのは、ずばり超久しぶりの海外出張のお供に、と考えたからである。飛行機のゴーっという音。上空10000メートルの濃い青と眼下の白い雲、その静寂。
分厚いがちゃんと読み終わった。

村上春樹30代後半、今との最大の違いはユーモアの質だろう。端的に言ってこの頃の方が断然おもしろい。イタリア、ギリシャ、そしてそのそれぞれの街や島々。こういうのは切れ味鋭い国民性洞察や地理的特性の偏見上等な観察眼が最高。

例えば北ヨーロッパ人のストイックなバックパッカースタイルについてひとしきり語ったあとはこうだ。
「・・・でもイタリア人はそうではない。彼らはとくにそういう風には考えないのだ。そういうのは彼らの生き方のスタイルではない。彼らは午後のパスタやら、ミッソーニのシャツやら、黒いタイト・スカートをはいて階段を上って行く女の子やら、新型のアルファ・ロメオのギヤ・シフトのことやらを考えるのに忙しくて、いちいち苦行なんてやっている暇がないのだ」(p277-8)。

私はこれを読んで大笑いしたが、もちろんこれが極論なことくらいはわかっている。村上春樹ももちろんわかっている。これはもう話芸の世界だけれど、今だと断片を切り取られてやれステレオタイプだ、やれ傷ついたと非難の大合唱になるだろう。

そんなユーモアと同時に、この本の底の方に流れている深い哀しみの感覚、これはなんなのだろう。別の旅エッセイで村上は「島には必ずそれぞれの哀しみがある」というようなことを書いていたが、おそらくそれと似たような何かだと思う。孤独感。死の気配。悲劇的な歴史と殺戮。
これはあるいはヨーロッパの持つ厚みそのものなのかもしれない。

3年の流浪の旅から戻った日本はまさにバブル真っ盛り。後書きを読むと、村上がその狂乱の行く末に対して暗い予感を抱いているのがよくわかる。

さあ旅行しよう、そんな気持ちになれる本。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ギリシャに来て次にどこ行くか迷ったので再読。
ちょうどクレタにいるので、「あーこのへんね〜」と思いながら読んだ。

ギリシャは各島にそれぞれ魅力があって、時期的にミコノスは微妙やしクレタから近いロードスに行こうと決めた!
が、読んでてギリシャ本土も魅力的。
結果、移動はだるいのでこのままクレタに滞在して旅行がてらに本土に行こうかと。


他にもイタリアの話はかなり良かった!
私も去年イタリアにいたので、最後に書かれてた「イタリアは記憶に残る国」的なことはほんまにその通りやなと!
現在では生活レベルとか民度?は当時ほどひどくないと思われる。
ただ読んでてやっぱりイタリア人たちは色んな意味可愛いというか愛おしいというか笑


またオーストリアについて書かれてて、8月にひと月滞在してたのでそれもまたタイムリー!
治安いいし、暮らしやすい国やけど確かに作中であったように面白味はないかもしれない。


村上さんの文章に癒されつつ、次に行く場所の参考になり良かった!

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

春樹ファンを自称していながら、このエッセイの存在を知りませんでした。。
執筆された頃の著者の年齢と、自分の現在の年齢がほぼ一致していることも相まって、まるで自分がその場にいるように楽しく読み進めることができました。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

イタリア、ギリシアで執筆していた頃の村上さんの日記的書き物。楽しく昔行った地域のことも思い出せて良い。

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2025年04月27日

Posted by ブクログ

誰かが僕らの絵を描いてくれないかな、と思う。故郷から遠く離れた三十八歳の作家とその妻。テーブルの上のビール。そこそこの人生。そしてときには午後の日だまり。

この文章がこの本の中で一番好きだった。
村上春樹ほどの人物でもやはり人間は人間であるから、心が壊れそうになったり、色んなことから逃げ出したくなったり、しがらみも何もかもを捨ててしまいたくなったり、そんな感情になるのかと思うと、何だかほっとする。
そんな彼の、イタリア時々ギリシャ、時々その他ヨーロッパでの暮らし。
食や芸術や映画、ランニング、そして執筆、それらと共にある彼の生活は、質素だけれど丁寧で、自分が憧れても憧れても届かないような、だけれども彼にとっては日常であるのだろう。
トラブルまみれのイタリアであってもなんだか憎むに憎みきれないのがイタリア人。
ああ、私もまた行きたい。
ところでタイトルの由来もなんだか好きです。

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

この本を読んで、村上春樹が40歳を前に漠然とした不安を抱えていたことを知り、私自身も同じような不安を感じていると気づきました。

特に仕事において、40歳までにやりたいことが限られた時間で終わってしまうのではという焦りがありますが、その不安を自覚できたことは良い発見でした。

また、この本ではイタリアやギリシャなどさまざまな国の様子を垣間見ることができ、視野を広げることの重要性を感じました。

30年以上前の話ながら、異なる文化や人々を知ることが世界観の拡大につながることを再認識しました。

雑多な旅行記ですが、本の持つ深い意味を知ることができ、とても面白かったです。

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2025年01月22日

Posted by ブクログ

村上春樹がヨーロッパにもみくちゃにされていて面白い。あと口が悪い。

「僕が外国で長く生活して得た教訓といえば、だいたいその程度のことだ。世界は原則的にはそのトラブルの質によってアイデンティファイされる。」(p.521)

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

日本の生活に日本の文壇に?疲れ切ってしまった村上春樹さんがヨーロッパに移住する。根無し草の生活は、旅人のようでもあり、逃亡者のようでもある。
ローマ、アテネ、スペッツェス島、ミコノス、シシリー、ヘルシンキ、ロンドン、トスカーナ、ザルツブルク。
彼に安住の地はない。でも、相変わらずユーモアにあふれている。シシリーのオペラやヘルシンキのモーツァルト等クラシックコンサートの話やジョギング事情が面白い。クリスマス前、物を乞う人たちや、ローマの縦列駐車をしげしげと観察する村上春樹さんが可笑しい。縦列駐車が上手い人には、オペラのアリアのように拍手喝采するのもおもしろい。トスカーナはやはりいいところなのかあ。『トスカーナの休日』の景色も綺麗だったもんなあ。
でも、エッセイを通してどこか冬のヨーロッパの曇天のような哀愁が漂う。
『ダンス・ダンス・ダンス』は、村上春樹さんがホントに楽しんで書いていたことが伝わってきた!

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2024年12月03日

購入済み

村上春樹はこういう旅行記とかエッセイを読むとなんというか力の抜けた、ちょっと変だけど普通のおじさん(この時はまだおじさんという歳ではないか)という感じがしますね。地中海の暖かな日光を思い浮かべながら読んでましたが、当の村上春樹本人は焦燥感に駆られているような印象。ギャグシーンが割に多く、ワインでも飲みながら読むといいかと思います。

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

手にしたのは1990年版のぶあっつい単行本。時間のある時、ペラペラ頁を捲り易かった。
1980年代どん詰まりの時間、ハルキ氏は翻訳、エッセー、そして創作と7面六臂の多面的活躍を実行していた時間。

日本を離れて、ギリシア・ローマ滞在の四方山話がでるわでるわ。
ちらちら、フィンランド、オーストリア、英国、一時帰国の日本も入ってくる。
食べ物、宿泊先とそこの親父と妻、たまに猫も、車、風景。。まさにこれもてんこ盛り。
いつもながら比喩の宝庫の扉が開けっ放し。
よくも、まぁ、こんな表現を持ってくるもんだと苦笑したり、仰天したり、くすっときたり。

イタリア人とギリシャ人の人類学的比較~生物学的に・芸術的に・心理的に・下世話的にあちこちで語っているのがフムフムである。
だから住んでいる町の国の情勢や倫理観が笑える。you tubeで語られている「明るく、楽しく、何度でも行きたい」イタリアの裏に蠢くそれを語るハルキ氏が太鼓の音のように響き渡って最後まで笑わせる中で考えさせてくれた。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

小説以外の村上作品を読んだのはこれが初めて。旅行記ということであまり期待していなかったが、面白かった。むしょうにまたヨーロッパに行きたくなった。

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2023年08月08日

Posted by ブクログ

ギリシャのことが書いてある本を探してたら、なんとあの村上春樹さんがギリシャで生活していたときの滞在記を書いているというので読んだ。けっこう分厚い本で読み応えある。かなりまえのことだがおもしろい。住んでなければわからないことがいろいろ書かれておりかなり興味深い。私にとってはこの人の作品は小説よりもエッセイのほうがおもしろい気がする。

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2023年07月09日

Posted by ブクログ

あまり村上春樹の本を読んだことがないのですが、旅行記ということで読んでみました。
イタリア、ギリシャを中心に国として、地域の特徴を上げつつ、様々な個性豊かな人物が登場します。

時折文中の主語が国となり、いささか大げさに聞こえるものの、1つの国でも様々な人物が出てくるので結局国で判断はできないということを暗に示しているように感じました。

とりあえず、ワインやホットブランデーを飲みたくなります。

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2023年01月06日

Posted by ブクログ

「村上春樹」の紀行『遠い太鼓』を読みました。

「小田実」の紀行『何でも見てやろう』に続き、旅の本で現実逃避です… 「村上春樹」の作品は2年半前に読んだ紀行『雨天炎天 ―ギリシャ・トルコ辺境紀行―』以来なので久しぶりですね。

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ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。
その音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ――。
40歳になろうとしていた著者は、ある思いに駆られて日本を後にし、ギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。
『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』を書き上げ、作家としての転換期となった、三年間の異国生活のスケッチブック。
1986年秋から1989年秋まで3年間をつづる新しいかたちの旅行記。
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「村上春樹」が1986年(昭和61年)から1989年(平成元年)にかけて、ギリシャ・イタリアを中心をしたヨーロッパへ長い旅に出た内容をスケッチブックを描くように綴った作品、、、

既読の作品ですが、もう一度読みたくなったんですよね… この時代に名作『ノルウェイの森』や『ダンス・ダンス・ダンス』が執筆されたそうです。

 ■遠い太鼓──はじめに
 ■ローマ
 ■アテネ
 ■スペッツェス島
 ■ミコノス
 ■シシリーからローマに
 ■ローマ
 ■春のギリシャへ
 ■1987年、夏から秋
 ■ローマの冬
 ■1988年、空白の年
 ■1989年、回復の年
 ■イタリアの幾つかの顔
 ■オーストリア紀行
 ■最後に──旅の終わり
 ■文庫本のためのあとがき

「村上春樹」作品って、小説の方はなかなか理解できず感情移入がムズカシイ面があるのですが、、、

紀行やエッセイは大好きです… その場の空気感や匂い、周囲の人の感情等等、目に見えないけど感じる部分が伝わってきて、その場に居るような気がしてきて、著者の目線に共感できるんですよね。

本書を読んで、一度も訪れたことのないイタリアやギリシア、イギリス、フィンランド、オーストリア等に、まるで行ってきたかのような感覚が残りました、、、

そして、感じたのは、物質的な豊かさは、心の豊かさには比例しないってことかな… そもそも、物質的な豊かさって、一人ひとり物差しがバラバラだし、統一的な基準はなく、環境や文化、習慣に依存することなので、比較は難しいんですけどね。

七輪で魚を焼き、タコを食すギリシアには好感を持ち、
郵便がキチンと届くことが期待できず、泥棒が多くて(特にローマ)、責任をバケツリレーして受け取らないイタリアのイメージが悪くなり、
『サウンド・オブ・ミュージック』で観て抱いていた好天が続く爽やかな青空と森の緑のイメージを、雨が多いオーストリアの実情に崩され… と、新しい発見のあった一冊だったなぁ、、、

そして、「村上春樹」が長い旅に出た理由… その「ある日突然、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。」というシンプルで説得力を持った理由にも共感しましたね… 600ページ近いボリュームで、分厚くて重たい文庫本でしたが、愉しく読めたので長く感じませんでした。

「村上春樹」が37歳~40歳で経験した長い旅、、、

私は、その年齢は随分と超えてしまいましたが… これから「ある日突然、どうしても長い旅に出たくなる。」ことがあるかもしれないなぁ。

その時は、どこに行こうかな… 想像すると、ちょっと愉しみです。




以下、旅の軌跡です。

【イタリア】  ローマ
【ギリシャ】 アテネ、スペッツェス島、ミコノス島
【イタリア】  ローマ、パレルモ、ローマ、メータ村、ブリンディシ
【ギリシャ】  パトラス、アテネ、ミコノス、クレタ島
【日本】
【フィンランド】  ヘルシンキ
【イタリア】  ローマ、アテネ、テサロニキ
【ギリシャ】  レスボス島
【イタリア】  ローマ、ボローニャ、ローマ
【イギリス】  ロンドン、バース
【イタリア】  ローマ
【ギリシャ】 ロードス島、ハルキ島、ロードス島、カルパトス島
【イタリア】  キャンティ地方
【オーストリア】  ザルツブルク、ロイッテ

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

自粛中の年末年始に一気によんだ。
村上春樹は小説はすきだけど紀行ものははじめて。
イタリアの空気がぶわっとかおってくるような紀行文。とてもよい。
ひとつひとつの都市がそれぞれの顔をもってる。
たまに笑わせてくる。
全然ちがう地図の上にキスをしたイラストと、鍵が壊れて、戸棚ごと壊した下り、妻とのちょっとした喧嘩が笑えて心に残ってる。
午前三時の文かな?死がちかくにやってきた文も心に残っている。

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2022年09月25日

Posted by ブクログ

以前ギリシャ旅行をした時のお供として、友人の勧めで。
東京でセカセカと仕事を終わらせて旅立ったギリシャの島。
嘘みたいに静かで蒼く美しい海をたたえていて、人々はのんびりとしていて、重たいスーツケースもどこからか現れた少年達が隣町まで歩いて運んでくれるような…素朴な雰囲気がヨーロッパとは思えない、世界の裏側感を感じた。

春樹さんが80年代バブルまっさかりの日本を離れてギリシャを点々としていた事は、彼の中でかなり大きなことになっているのだろうと思った。
石垣が嵐で倒れても、また倒れるだろうことは予想できるのに、また同じ場所に石垣をみんなで作る
効率優先、無駄な事と認識されるものが排除されていく現代において、無駄に見えることを一生懸命にやる人達。
税金を払わず美味しいものをたっぷりと食べて、ワインを呑んで人生を謳歌する人達。
春樹さんは、まいったな、という感じで愛すべき(ときにはウンザリしながら)彼らと付き合いながら異国で日本人として淡々と生活を送る。
そんな春樹さんも登場するギリシャやイタリアの人達も私は好きだなと思った。

また再読したい一冊。





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2022年06月04日

Posted by ブクログ

旅行に行った国々について、主にヨーロッパについて、書いている。
ただの旅行記にするのは勿体無いような気がする。
筆者の考えや感想が新鮮

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

 ヨーロッパに3年間滞在していた時の旅行記なのだが、ノルウェーの森とダンスダンスダンスはこの旅行中に書いたものだというのだからすごく充実した時代の旅行だ。長期間の旅行は、人生をやり直すようなものだ。そんな旅行をしてみたいと思う。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1980年代の頃、著者が37〜40歳の間にヨーロッパで暮らした日々を書いた旅行記。
拠点に縛られずにイタリアはローマ、ギリシャの島々、イギリスロンドン、オーストリアなどを転々と旅する海外生活。とても疲弊してしまいそうだけれど、この間に『ノルウェイの森』や『ダンス・ダンス・ダンス』『TVピープル』を書き上げ発表しているという。
著者のエッセイは初めて読んだが、描写が面白くて笑ってしまう場面も多くて、良い意味でイメージが変わった。
どんな人物なのか、どんな基準で生活をしているのか、その一端が見えてきて興味深い。
特にイタリアの話は面白いというか、恐ろしかったな。ちょっと想像を超えてくる。イタリアの郵便事情や犯罪事情は、日本人の基準からしたらあり得ないことの連続だった。ローマへの悪口の熱量が凄いので笑ってしまう。国によって色んな国民性が見られるのがまた面白かった。
奥様との会話も力関係が伝わってきて微笑ましい。

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2023年02月22日

Posted by ブクログ

敢えて(どころが決して?)ギリシャにもイタリアにも行きたいと思わなくなった。
それでも旅に行きたいと思う、不思議な旅行記。

ローマでの路駐はかなり興味があるけど。
ダンスダンスダンスをまた読みたくなる。

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2022年12月01日

Posted by ブクログ

著者が三年間南ヨーロッパに滞在した時の記録。
ギリシャやイタリアが主に住んでいたところ。
特にためになるような話はないのだけれど、その土地その土地の匂いが
感じられるような文章が多い。悪戦苦闘しているところなんかは
けっこう面白かったかな(読み手の性格が悪いわけではない)。

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2025年06月06日

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