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私立探偵フィリップ・マーロウは大邸宅に住む老女主人から呼び出される。貴重な金貨を持ち逃げした息子の嫁を探して欲しいと言うのだが……だが彼の行く手には脅迫と、そして死体が! 待望の新訳版
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Posted by ブクログ
メモ 他の作品とは違ったヒロイン?が印象的。(他の作品も含め、そもそもヒロインというくくりでいいのかは謎。)
妙な一家の妙な依頼。細かいパーツが組み合わされ、最期に明らかになる事実。ヒロインが珍しく悲惨な目に遭わないので良い。
この手の文学的要素が強い小説は読み進めるのがきつい時もあると思ってるけど、今回はミステリーとしても面白かった。 いつも通り、ハードボイルドな渋いフィリップ・マーロウも楽しめる。 資産家の老女エリザベス・マードックから義娘リンダを探す依頼を受けたマーロウだったが、マードック家には秘密があった… ...続きを読む--- 70 「我々が芝生を横切って近づいていくと、女は気怠そうにこちらに目を向けた。十メートル手前から見ると、とびっきりの一級品に見えた。三メートル手前から見ると、彼女は十メートル手前から眺めるべくこしらえられていることがわかった」 155 「いや、その通りだ。私はショックを受けていてね。頭が少しうわついているんだ。コーヒーをもらおう。ろくに味のしないやつを。それから紙のように薄いハムと、黴臭くなりかけたパンで作ったサンドイッチを。いや、食べるのもまだ無理かもな。それでは」 397 「その家が視界から消えていくのを見ながら、私は不思議な気持ちを抱くことになった。どう言えばいいのだろう。私を詩をひとつ書き上げ、とても出来の良い詩だったのだが、それをなくしてしまい、思い出そうとしてもまるで思い出せない時のような気持ちだった」
あいかわらず、最高にエンターテイメントとして面白い小説でした。他にも美点はありますが、まずそう言いたいです。主人公の魅力を十分に楽しむことができました。個人的に買って読むぞという時に、ワクワク感の伴う数少ない作家です。訳をされている村上春樹さんもそれが分かった訳し方をしていただいていると思います。 ...続きを読む他のチャンドラーの小説と少し違って、筋や人物背景がきちんと描かれています。それを吹き飛ばす勢いが減じているのがありますが、主人公マーロウの魅力が損なわれるわけではなく、随所でその行動に魅了されました。そして全体的に謎がすっきりと解決されています。それは人によって違うのでしょうけど、私は良かったと思います。 探偵の仕事は、アニメなどで多数あるような、謎を一つの糸口にして明快に解決されるものではなく。この小説の主人公のように、泥臭い中で、一部の直感から導き出され、その結果は中途半端に煮え切らないものであるというものであること。それも他にない小説かなと思っています。
チャンドラーの乙な文体がたまらない。 お話としては刮目すべき大きな唸りはない。 ハードボイルドだからこその優しさを発見できた気がした。
▼なんとなく <フィリップ・マーロウをイチから再読して、続けて原りょう作品をイチから再読しよう計画>進行中。マーロウ長編第3作。高い窓。 ▼いつも通り金持ちの腐敗した家族関係。そして前作「さらば愛しき人よ」にも通じる、しょーもない奥さん。それに心を支配された娘。高い窓から、セクハラ上司を突き落とし...続きを読むた記憶。その弱みを握る男。強請。徐々に明らかになる、過去からの隠された真実・・・。 ▼これまでの3作の中では、「第2作」「第3作」は普通にミステリとして面白かったか・・・。いや、第3作がいちばんそういう意味ではかっちりしていたような気もします。ただたしかに、辻褄を超えた、よくわからない<マーロウ節>みたいな響きはやや薄かったかも。でも満足です。ということはつまり、語り口そのものでかなり満足してしまっているのだろうな、と思いました。
2度も映画化されているという名作。ミステリとしての完成度も高かったです。ただし、ミステリ好きとしてこの作品を見て読んでいるわけではないので、そこまで謎解きやプロットが面白いわけではなく。 マーロウが出ている、それだけで話や文章が魅力的になります。 マール・デイヴィス嬢に対する騎士道的な扱いには涙が出...続きを読むるくらい。あまりにもロマンチックすぎる優しさですね。
チャンドラー作品の読破2作目。 希少な硬貨の行方を巡るところから、次々と事件が発生。 翻訳が村上さんということもあいまって、とても文体が生き生きとしていた。
3作目を読み終わった。そしてやっと気付いた。 マーロウは、ただお酒を飲んで殴られているだけじゃなくて、ちゃんと事件の真相に辿り着くし、ヒロインを傷付けることはない。 探偵ものだから、やっぱり殺人は起こるのだけれど、登場人物が魅力的だから、とても面白く読める(屑も出てくるけど) そして、やっぱり皮肉...続きを読むっぽいところが、村上春樹訳にぴったりだなぁと思う。
全体に地味ではあるが、複雑すぎないプロットで読みどころがわかりやすい点、マードック夫人やマールなど印象的な登場人物が多い点がシリーズでも出色。樋口有介『夏の口紅』はこの作品の影響を受けているのではないかと勘繰っているのだがどうだろう。
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