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「いつの世でも、人が生きてゆくということは、むずかしいものである」(序より)
正史にもとづいた大作『三国志』全12巻を書き上げた著者が、時代の潮流の外にいながらも忘れがたい12人の生涯をたどった。
『三国志』をあらわした陳寿(ちんじゅ)、輝ける倫理観と志望をもっていた太史慈(たいしじ)、魏の名臣・王粲(おうさん)・・・。
ある者は、権力者や政治の中心に近づきながら、遠ざかることを余儀なくされた。その苦難をどのようにしのいだのか。曹操、孫権、劉備、関羽といった英傑たちとはことなり、歴史の中で一瞬だけ輝いた人生。その輝きが愛惜の念とともに描かれる。
著者による後漢・三国年表つき。
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Posted by ブクログ
本作は王粲に始まり12名の人物を取りあげた短編集である。中でも『正史』の著者である陳寿にスポットを当てたのは興味深い。
また韓遂の生涯には心打たれるものがあった。
ただ、これらの作品は全て宮城谷昌光自身の手によるものなのかは疑わしい。その理由は宮城谷作品の“肝”の一つといえる漢字の使い方が、作品により異なるからだ。しかし、それが本作の評価を下げることにはならなだろう。
どの作品も面白かった。
「人は、出発はおなじでも、おなじ道を歩きつづけることはむずかしい」『許靖』より。
「人は無名のころに他人から受けた恩と仇を死ぬまで忘れない。恩を忘れず、仇を忘れることができたら、その人は聖人に近い。曹操は恩を忘れず、仇を忘れたふりをすることができた。ゆえに彼は英雄であり傑人であった。忘れたふりをつらぬくことさえ、凡百の人にはできない。」『蔡琰』より。
「身分の高低にかぎらず、怠慢はかならずおのれを損するかたちで返ってくる。それは人だけではなく王朝という組織についてもいえることかもしれない。」『蔡琰』より。
「武人にとっての弁解とは、敗戦の原因についてくどくどと解説することではなく、つぎに汚名を雪ぐほどの功を樹てることであろう。」『陳寿』より。
「勇気とか不屈とかいう精神は、政治や軍事の表舞台に立つ者だけが発揮するものではない。無名の者でも、あるいは匍匐叩頭して生きなければならない者でも、失ってはならない。失わないかぎり、その精神がかがやくときがくる。」『陳寿』より。
「文芸には伝播力ある、と最初にいったのは孔子であり、その点でも、かれは偉大であった。事実というものは、そこにとどまるが、その事実が文芸的表現をまとうと、時空のかなたまでゆける。」『楊彪』より。
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