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人間の顔は、時代を象徴する。幸運と器量に恵まれて、世界を揺るがせた歴史上の大人物たち――ペリクレス、アレクサンダー大王、カエサル、北条時宗、織田信長、西郷隆盛、ナポレオン、フランツ・ヨゼフ一世、毛沢東、チャーチルなど14人を辛辣に優雅に描き、真のリーダーシップとは何かを問う。
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Posted by ブクログ
歴史上の人物14名を独自の視点で評価していく。著者がローマ世界、中世ヨーロッパを書いてきたからこそ、その視点に思わず唸る。特に織田信長の比叡山焼き討ちに対する評価はさすがだと思う。他に北条時宗、千利休、西郷隆盛に対する視点も印象深い。
14人の歴史上の男性を、教科書的な一般的な歴史の人物評ではなく、彼女独特の視点で評している。 特に北条時宗の生涯は、ヨーロッパからモンゴルがどう捉えられていて、その視点を挟むとこういうことになる、と、彼女の歴史観から語られている。不勉強な私には目から鱗だった。 幅広い時代から人選されている。取り上げ...続きを読むられた人物から、興味がある時代の理解を深めるものいいと思う。
人間の顔というものは、その人個人のものであるはずである。 だが、場合によっては、その人が生きた時代を象徴する「顔」になるときもある。 という一文で始まる。 ペリクレス、アレクサンダー大王、大カトー、ユリウス・カエサル、北条時宗、織田信長、千利休、西郷隆盛、ナポレオン、フランツ・ヨゼフ一世、毛沢東、...続きを読むコシモ・デ・メディチ、マーカス・アグリッパ、チャーチル 14人の歴史上の人物をとりあげている。 各人物の肖像画、彫像の写真、顔写真が合わせて掲載してある。 日本史に出てくる名前は一応みんな知ってましたが・・ この齢になって初めて聞く名前も2・3あった(世界史の先生ごめんなさい・・) 少し紹介しますね。 【ペリクレス】 著者はこの人物の顔を初めてみたのは高校の教科書だったと書いている。 アテネの民主政治の説明のかたわらに載っている、その「端正な美貌」を見ながら読むと その政治体制自体が「端正」のものに思えてきたとも・・ ペリクレスの顔は民主主義の広告として大いに貢献しているのではないかとも言っている。 う~ん・・妙に納得してしまった。 アテネの民主政のリーダーとして民衆から支持を得るにはもちろんそれだけではないことも確かだ。 「選ばれたる能力の持主ではない人が、全員平等の制度を好むのはうなずける。だが、その種の人々だけでこの制度を運用すると、なぜか失敗におわるのも事実だ。やはり、運用役には、選ばれたる能力の持主を必要とするらしい。」 といっても、その反対の平等主義の民主政を運用するのだから、その能力も性格も第一級であったのでしょう! 本にはアルカイックスマイルを浮かべる胸像の写真が載っているがホントにハンサムだ! その上、彼の演説は定評のあるものだ(それくらいは知ってます^^) また演説の際にはいかなる感情にも乱されない上衣の着こなし、という評言も残っているらしい。 もって生まれた美貌だけではなく、言葉つき、歩きぶり、声の出し方などすべてにおいて崇高な雰囲気だったのかもしれない。 【西郷隆盛】 私も著者と同じで、上野の山にある銅像は子供の頃からみていたが・・ あまり興味をもったことはなかった。 著者が愕然としたという 「一日西郷に接すれば、一日の愛生ず。三日接すれば、三日の愛生ず。親愛日に加わり、 今は去るべくもあらず。ただ、死生をともにせんのみ」 これには私もへぇ~って思いました。 これは男が男に抱いた思いだと思うと、西郷どんの人柄が思い浮かんでくる。 坂本龍馬の西郷評に 「大きく打てば大きく響き、小さく打てば小さく響く釣鐘のような人物」 というのがあるらしい。 良い人物であることはわかりますが、 100年以上前に身長180センチ近く、体重100キロ超え、牛のように太い首回り・・ 何度見直しても・・私の好みじゃない(そんな情報要りませんね) 【ユリウス・カエサル】 この章はカエサルからエジプトの女王クレオパトラへの手紙という形になっている。 著者の戯作ということだが、カエサルならこういうこと書きそうって感じだ。 (もちろん私の知ってる範囲のカエサルだが) これを読むとカエサルのひととなりとともにクレオパトラの愛人としての可愛らしさや母親としての愛情深さや、 なにより女王としての知性を浮き彫りにしている。 男女の格差が大きくあった当時・・カエサルは妻にはけしって愛を囁くことはなくても、 女王としてのクレオパトラには自分と同等の者として充分に囁いたのかもしれない。 著者はいいところをついていると思った。 著者はすべて女性としての目線で書いています。 読んでいてなるほど!そうかもって思えることが多い。(それは私が一応・・女だからかもしれない・・笑) 作家としての塩野七生はすごいと思うだれでも知っている歴史上の人物(それも大物)を 「歴史上の人物は皆、私の知り合いになってしまった。いや、イイ男だったら、皆、愛人にしてしまった。」 と言ってのけた(笑) 解説者が述べるところによると・・ 「こういう文章を味わっていると、セクシーな感覚の深化は、ただ感覚的な表現で達成されるものではなく、知的な営みの深さによってはじめて可能になるものだということがわかる。塩野七生さんの男性論の魅力はそういうところにある。」 さらには、著者を地中海作家と呼ぶ解説者は 「高貴なる精神と通俗的なエロスの微妙な重ねかたも、この地中海作家の得意技といえる。そこがユーモアの源泉でもある。」とあるように・・ 人間に興味があるなら歴史に興味のない人にも面白く読める本だと思った。
塩野さんが大胆な想像も加えてペリクレス、アレクサンダー、カエサル、時宗、信長、西郷どん、ナポレオン、フランツヨゼフ一世、毛沢東、チャーチルなどについて論じている。史上の大人物を女の視点からみるのもなかなか面白い。
司馬遼太郎のエッセーをよんだ直後に読んだため、西郷や千利休のあたりで司馬氏との着眼点の違いを感じ面白かった。 それと、ほかの方も書いているように、信長に関する考察は新鮮に感じた。
20年以上前の本ですが、著者の塩野さんの視点が新鮮で斬新に感じました。大っぴろげに発言したら、各所から批判されそうな言葉もありますが、それらの記述は私にはとても印象深かったです。
塩野さんの本なので。なんかの連載をまとめたものなのかな。 選んだ人物は割とよいし、それぞれに興味深いのだけど、いかんせん短い。もうちょっと掘り下げほしいと思うところも多々あり。 彼女は西洋のものしか書かないと思っていたので、日本の武将や毛沢東について書いているのが新鮮でした。同意はしかねるが。
塩野 七生さんが、歴史上の男性を辛口で批評。なじみのなかったペリクレスや、アグリッパ、有名なアレキサンダー大王、カエサルなど地中海世界の人物に加え、織田信長や千利休、毛沢東までとりあげています。あまりパッとしないイメージだった北条時宗が、世界に通じるヒーローだという話など、新鮮な見方もあり興味深かっ...続きを読むたです。
ローマ史の英雄、西郷隆盛や毛沢東まで様々な方々の評なのですが、 中でも、北条時宗と織田信長の延暦寺虐殺の見方は「ほほう!」と 目からウロコでございました。紙も装丁もうつとりですよ。
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