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Posted by ブクログ
犯人探しのミステリ小説かと思いきや、純愛の物語でした。
あまりに健気で純粋な想いを抱えて、そして絶対にバレないよう、ずっと心の奥に閉じ込めているので、切なくてちょっとウルっときたりしました。
ある人の死が絡み、勘違いからその純粋な想いが暴走するところも、そこまでするほどに愛しているんだなと思うと、応援せずにはいられませんでした。
そして、そこまでするほど愛しているからこそ、失うことが怖いという思い、だからこそ失う前にそこまでしてでも幸せなまま終わりたいという思いが、胸をギュッと締め付けました。
フィギュアスケートという華やかそうで嫉妬渦巻く世界や、アスリートの現実も描かれており、これからフィギュアを見るときに意識せずにはいられないなと思いました。
表紙や帯から、想像した内容と違ったという感想をいくつか見ましたが、わたしはとても好きな作品でした。
Posted by ブクログ
心の中に残るのは、すぐに名前をつけられないような余韻です。劇的なクライマックスの後の衝撃でもなく、巧妙な伏線に打たれる快感でもなく、むしろ、深夜のある時、煙の霧がゆっくりと消えた後に、自分が実はずっとその場に立っていたことに気づくような感覚です。しかし、その間に、何か感情がひっそりと自分を変えていたのです。
この本の最も魅力的な点は、「親密さ」の描写がロマン化されていないところです。キスは救いではなく、煙も逃避の飾りではありません。それらはむしろ、一時的な覆い隠しのようなもの——孤独を隠し、言葉にできない弱さを隠し、さらには自分自身への嫌悪をも隠します。登場人物同士の距離は非常に近いのに、目に見えない、しかし越えられない線が常に存在しています。この曖昧な距離感が、明確な愛や憎しみよりもずっと残酷であると感じます。
私は特に、著者が「うまく生きられない人々」に対して持つ優しさを強く感じました。物語の登場人物たちは、劇的な悲劇に巻き込まれることはなく、どちらかと言えば、痛みとは言えないが、決して癒えることのない状態に長期間苦しんでいます。それは現代人がよく知る疲れた心の状態——前に進むべきだとわかっていても、前に何が待っているのかは分からない。だからこそ、キスや煙を通して、今この瞬間自分が存在していることを証明しようとするのです。
読む過程で気づいたのは、この本が愛についてではなく、依存と孤独がどうお互いを偽装するかについて語っているということです。親密な関係が成立する理由は、理解からではなく、二人が暗闇を一人で迎えたくないからです。こうした関係が間違いだとは言いませんが、その脆さは、最初からその構造に書かれているのです。
本を閉じた時、私は慰めを得ることはありませんでした。むしろ、少しの誠実な醒めた気持ちが増しました。『キスと煙』が教えてくれるのは、ある感情は名前をつけることができず、ある傷は癒えないということです。そして人ができることは、ただそれらの存在を認め、そして生き続けることかもしれません。この答えを与えない優しさこそ、この本の最も残酷であり、また最も感動的な部分なのです。
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