あらすじ
『花束は毒』の著者が放つ、“究極の選択”
かつてフィギュア・スケートの世界で競った塩澤と志藤。コーチの死をきっかけに、秘められた想いと互いへの猜疑心が疼き始める――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大前提として私はBL小説が好きでたくさん読んでいたことがあって、最終的にブロマンス(2人もしくはそれ以上の人数の男性同士の近しい関係のこと。Wikipediaより)最高〜!!になった人の感想だけど、本当に最高。1.2章は静かにストーリーが進むんだけど、3章に入ってからはページをめくる指が止まらない。お互いがお互いを想い合っているのって良いよね。あとどちらも犯人じゃなくてよかった。
サスペンスやミステリー要素は弱めだけど、勝手に憶測をたててハラハラドキドキできたから大満足!
Posted by ブクログ
「花束は毒」以来の傑作小説だと思います。
私はこういう恋愛小説好きです。
恋を知ると罪を知り、罪を知ると恋を知るみたいに対になるような感覚を覚える小説体験でした。
織守きょうやさんはこうでないと。
Posted by ブクログ
犯人探しのミステリ小説かと思いきや、純愛の物語でした。
あまりに健気で純粋な想いを抱えて、そして絶対にバレないよう、ずっと心の奥に閉じ込めているので、切なくてちょっとウルっときたりしました。
ある人の死が絡み、勘違いからその純粋な想いが暴走するところも、そこまでするほどに愛しているんだなと思うと、応援せずにはいられませんでした。
そして、そこまでするほど愛しているからこそ、失うことが怖いという思い、だからこそ失う前にそこまでしてでも幸せなまま終わりたいという思いが、胸をギュッと締め付けました。
フィギュアスケートという華やかそうで嫉妬渦巻く世界や、アスリートの現実も描かれており、これからフィギュアを見るときに意識せずにはいられないなと思いました。
表紙や帯から、想像した内容と違ったという感想をいくつか見ましたが、わたしはとても好きな作品でした。
Posted by ブクログ
フィギュアスケートの世界を舞台にした
サスペンス調の恋愛小説。
かつての盟友の死とそれぞれの過去が共鳴して起こった感情が引き起こす出来事。
どのキャラクターの造形も、
どのキャラクターの言動も、
一歩でもズレると物語自体が成立しなくなってしまいそうな、
フィギュアスケートのひとつのプログラムのように繊細に、大胆に組み立てられた構成だと感じた作品。
面白かった。
Posted by ブクログ
心の中に残るのは、すぐに名前をつけられないような余韻です。劇的なクライマックスの後の衝撃でもなく、巧妙な伏線に打たれる快感でもなく、むしろ、深夜のある時、煙の霧がゆっくりと消えた後に、自分が実はずっとその場に立っていたことに気づくような感覚です。しかし、その間に、何か感情がひっそりと自分を変えていたのです。
この本の最も魅力的な点は、「親密さ」の描写がロマン化されていないところです。キスは救いではなく、煙も逃避の飾りではありません。それらはむしろ、一時的な覆い隠しのようなもの——孤独を隠し、言葉にできない弱さを隠し、さらには自分自身への嫌悪をも隠します。登場人物同士の距離は非常に近いのに、目に見えない、しかし越えられない線が常に存在しています。この曖昧な距離感が、明確な愛や憎しみよりもずっと残酷であると感じます。
私は特に、著者が「うまく生きられない人々」に対して持つ優しさを強く感じました。物語の登場人物たちは、劇的な悲劇に巻き込まれることはなく、どちらかと言えば、痛みとは言えないが、決して癒えることのない状態に長期間苦しんでいます。それは現代人がよく知る疲れた心の状態——前に進むべきだとわかっていても、前に何が待っているのかは分からない。だからこそ、キスや煙を通して、今この瞬間自分が存在していることを証明しようとするのです。
読む過程で気づいたのは、この本が愛についてではなく、依存と孤独がどうお互いを偽装するかについて語っているということです。親密な関係が成立する理由は、理解からではなく、二人が暗闇を一人で迎えたくないからです。こうした関係が間違いだとは言いませんが、その脆さは、最初からその構造に書かれているのです。
本を閉じた時、私は慰めを得ることはありませんでした。むしろ、少しの誠実な醒めた気持ちが増しました。『キスと煙』が教えてくれるのは、ある感情は名前をつけることができず、ある傷は癒えないということです。そして人ができることは、ただそれらの存在を認め、そして生き続けることかもしれません。この答えを与えない優しさこそ、この本の最も残酷であり、また最も感動的な部分なのです。
Posted by ブクログ
あれ? 私が買ったのミステリーだよね? BL小説だったっけ? と、裏表紙のあらすじを何度か確認しました。
読んでいるうちに塩澤を応援したくなり、真っ直ぐすぎる志藤を眩しく感じたり、上手くいってくれよ頼むからという気持ちでいっぱいになるのに、挟まれる不穏な断章と、いや「花束は毒」書いた人だしな…というメタな気持ちが頭を何度もちらついてソワソワさせられました。
結果、解説にある通り、確かに尊い…尊い小説でした。こういうのをいくらでも読みたい。
Posted by ブクログ
二人が互いに感じている想いが、とてつもなく綺麗だった。想いがどんな種類であれ、自分よりも相手を大切に想う。そんな相手は、一生をかけてもなかなか出会うことができない。
事件が絡んでいるため、その真相が明かされることによって、この関係が崩れて終わることがないよう祈りながら読んだ。だが、その過程すらも、二人の関係性を強くするものであった。どこまでも綺麗で眩しい。
Posted by ブクログ
ミステリーではなく、メインは恋愛小説のジャンルに入ると思う。ミステリーだと誤読させるような仕掛けになっているので、意図的だろう。だとしたら、真相がアレなのは珍しいしちょっと切ない。
思うのは、視点が変われば、人物像は大きく変わるというところだ。シオから見れば、シドウはビックリするくらい論理的で整然とした人間に見える。シドウから見れば、シオはミステリアスな才能人だ。
そしてそれは、残酷な現実に折り合いをどうつけるのかという事にも関わってくる。内面ではいろいろ思っていても、他人からは「そう」見えてしまうのか。
この多面性が、ミラーの死の真相にも関わっていて面白い。だが、彼の内面を真に知ろうとするものはいない。それが、結末をより魅力的にしている。
(…ただ少し、パンチの足りない展開ではあるかも)