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Posted by ブクログ
冒頭嫁と折り合いの悪い農家の主婦の独白から始まる。これは何を読まされているのか?となるのだが、その主婦こそ一連の端緒となる殺人事件の第一発見者であり、逆に言えばここから榎津巌という連続犯罪者が社会に発見され、稀代の犯罪逃避行が始まるのだ。
以降、濃淡様々に事件と関わることになる人々の昭和38年における人生の一断面が丁寧に描かれていく。運送業者、専売公社員、ストリッパー、スナックのママ、貸間業母娘、弁護士、銀行員、証券会社員、保護司、教戒師…実に様々な職業・階層の老若男女が榎津の巧みな口先に踊らされ、金銭や時には命までむしり取られてしまう。
後半逮捕後の榎津の供述も二転三転しどこに本意があるのか分かりづらいのだが、その中の一つに「どこまで通用するか試してやろう」との主旨のものがある。単に逃げるだけならもっと別のやり方があるはずだが、榎津の場合は息を吐くように人を騙し、接触する人間全てを被害者に落とし込んでいく、犯罪こそが生きることであるかのような稀有な性質が見られるように思う。そのような主人公を得たことが半世紀以上経っても新版として読みつがれる理由ではないかと思う。
Posted by ブクログ
たまたまTVでドラマ版見て(柳葉敏郎)実話ベースということに驚き、その後 映画版見てからの読書。
復讐するは我にあり(新約聖書 ローマ人への手紙12.19) 。というフレーズにある「我」は神でなく自分自身のことだとこの犯人は思い込んでいた。という一説をどこかで目にしたような記憶があったけど、これは私の思い違いであろう。犯人はカトリック信者だったので、いくら信仰から離れた生活をしていたといっても、幼いころにどこかでこれは耳にしていると思うし、一連の犯行は復讐とは関係ないものであるから。
(余談ですが、「ローマ人への手紙」の「人」は「ひと」ではなく「びと」)
大人は誰も気が付かなかったのに(それどころかすっかり騙されている)小学生の女の子に気づかれた、なんて犯人は信じられなかったでしょう。初めてドラマで見たときは、この子も、、、、とサスペンスドラマの流れで最悪のパターンを想像してしまった。
別の書籍で犯人が死刑になるまでの様子について記述されたものを読んだことがあったが、これも佐木隆三だったかな
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