三崎亜記の一覧
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ユーザーレビュー
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地域振興事業の一環としてとなり町と戦争を始める舞坂町。しかし開戦の9月1日になっても一見何の変化もない。そんな中僕に、戦時特別偵察業務従事者の任命書が届く。
役所の決めた通りに淡々と進められる戦争。戦争があることを前提として受け入れてしまっている住民たち。戦争はとなり町との協力のもと何年も前から計画
...続きを読むされ、大きく経済を動かす。その裏で目に見えないまま増えていく戦死者数。クリーンセンターことゴミ焼却場で処分されることになった戦死者の遺体。香西さんの弟の遺体を包んでいた防水袋は、その元恋人が「地域振興事業」のために発注したものだった。誰もが無意識のうちに戦争に手を貸している。
平和に生きているようなこの日常の裏側で進行している「戦争」を、文字通り戦争として描いた作品だと思った。料金を滞納してガスと水道を止められ、餓死した家族の話が象徴しているように、お役所仕事をする側にはそうしないと回らない現実があるし、その結果個別の配慮がされずに社会の片隅で犠牲になる人もいる。何気ない日常が、他方で戦争に加担している。便利な生活を求めた結果のコンビニが環境を破壊するように。不要な物を買わないようにしようと謳ったところで、それをみんなが実行すれば経済が破綻するように。そうした構造的な暴力、無意識の加害に目を向けることが主題だと思った。リアルが感じられない世界、この資本主義社会、現代社会を生きる上でどうしようもない、他者の犠牲の上に成り立つ自分の生活。それを、自分の手は汚れていないなどと思ってはいけない。そういうことを、となり町との戦争という形で見事に描き切った作品だと思う。
Posted by ブクログ
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初読。19編の短編集。いろんな味わいの短編が一息で読める幸せ。コワイものも、ホッコリするものも、悲しくなるものも、幸せに感じるものも、どれもこれも三崎さんらしさが滲みでているのがスゴイ。
Posted by ブクログ
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確かに万城目っぽい展開。福岡に馴染みはないけれど、楽しい物語でした。かっちょいいおばあちゃん、もうちょっとふくらませて欲しかったかな。
Posted by ブクログ
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比較的最近の短編集
いつの作品なのか知らず、いつもの感じかと舐めてました(謝罪)今まで読んできた短編集の中ではベストです。
「正義の味方」
突然現れ街を破壊する「敵」とそれを退治する謎の存在「正義の味方」人々は初めは快く迎え入れたのだが、巻き込んで街を破壊するため、徐々に群衆心理が変化してくる。
...続きを読む
「似叙伝」
当人がたどりたかった偽の人生を自叙伝として作成する業者の話
残るものが本だけだとしたら、その理想は何なのか?
「チェーンピープル」
人格のチェーン展開化、マニュアルや大会まで開かれて、ひとつの理想の人格者を持って生きる人々の話
「ナナツコク」
記憶の中だけに存在する地図、その地図を受け継ぐ女性の話
三崎作品の異世界文化要素濃いめ作品
「ぬまっチ」
ゆるキャラとして活動する、着ぐるみを着ないおっさんの話
「応援」
応援する側、される側加熱する応援のの反転、ネットで起きてるリンチや炎上する現象
理想を胸に、それを目指しながら生きるのはチェーンピープルではなくともあること
ぬまっチは船橋のヤツに近い。
幻影のように、消えてなくなるものや道化のような力関係を破壊するモチーフがありつつ、どちらかというとこれまでの作品よりも現実の元テーマが強い印象でした。解説にもあるように「世にも」をこの一冊で丸々一回分やり切るのはアリだと思います。
他の短編集だと、ややモヤモヤしてわからないままの作品がひとつくらいあったのだけれど今回はどれも満足。
Posted by ブクログ
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再読。馴染みのある三崎ワールドのワードが全体に意味をもって散りばめられており、1冊の本の奥に他の複数の物語が潜んでいると感じたがっている自分がいた。他の本をひっくり返して相関図をつくってみたいものだが、それも無粋だし、面倒だ。読書中ずっと、三崎さんの本をすべて読んだうえでこの本を味わえてよかったなあ
...続きを読むと幸せな気分に満ち満ちた。
Posted by ブクログ
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