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Posted by ブクログ
比較的最近の短編集
いつの作品なのか知らず、いつもの感じかと舐めてました(謝罪)今まで読んできた短編集の中ではベストです。
「正義の味方」
突然現れ街を破壊する「敵」とそれを退治する謎の存在「正義の味方」人々は初めは快く迎え入れたのだが、巻き込んで街を破壊するため、徐々に群衆心理が変化してくる。
「似叙伝」
当人がたどりたかった偽の人生を自叙伝として作成する業者の話
残るものが本だけだとしたら、その理想は何なのか?
「チェーンピープル」
人格のチェーン展開化、マニュアルや大会まで開かれて、ひとつの理想の人格者を持って生きる人々の話
「ナナツコク」
記憶の中だけに存在する地図、その地図を受け継ぐ女性の話
三崎作品の異世界文化要素濃いめ作品
「ぬまっチ」
ゆるキャラとして活動する、着ぐるみを着ないおっさんの話
「応援」
応援する側、される側加熱する応援の反転、ネットで起きてるリンチや炎上する現象
理想を胸に、それを目指しながら生きるのはチェーンピープルではなくともあること
ぬまっチは船橋のヤツに近い。
幻影のように、消えてなくなるものや道化のような力関係を破壊するモチーフがありつつ、どちらかというとこれまでの作品よりも現実寄りのテーマが強い印象でした。解説にもあるように「世にも」をこの一冊で丸々一回分やり切るのはアリだと思います。
他の短編集だと、ややモヤモヤしてわからないままの作品がひとつくらいあったのだけれど今回はどれも満足。
Posted by ブクログ
短編、どれも良い作品だった。
三崎亜記テイストが元々好きなのだけど、この短編集では、より現実社会側にシフトさせている感じがして、それが良かったなー。
冒頭「正義の味方」は個としての正義を、末尾の「応援」は全体としての正義を、それぞれ冷ややかに描いていて面白い。
ある時、日本を襲う謎の敵が現れ、政府が責任を負いたくないあまりに武力行使を控えていたところ、三分間の「正義の味方」が現れる。
では、何を以てそれは味方と呼べるのか。
敵を排除してくれるから、同じ思いを共有できるから、それとも……。
味方は、敵に対して「私がこちら側にいると思える存在」であって、味方自身が何を思っているかは別なのだ。
だから、「正義の味方」は悪となり罰される。
町や人を破壊し、理由もなく敵を倒し、何も言わず自分の星に還ってゆく。
私たちが「ありがとう」を言える間だけの味方なのだった。
同じことは「応援」でも言える。
魅力的な俳優を応援によってのし上げ、また共演女優を追い落とし、聖地巡礼はやがて騒動となる。
俳優を追われても、それは事務所の陰謀であり、倹しい暮らしを取り上げ、消滅するまで追い回す。
「私たちがあなた側にいるのだ」という領域が、今度は敵を作り、排除の対象とする。
先ほどとは逆の構造で、無理に味方につくことで、正義が生まれ、敵が現れるわけかー。
いやあ、これ、めっちゃ面白いですね。
他に「似叙伝」「チェーン・ピープル」「ナナツコク」「ぬまっチ」が入っていて、どれも、この話はさぁと語り出したくなります。
語ってください(笑)
Posted by ブクログ
6人の様々な「人」。
それを「私」という記者が文字にして記録を残す。
だから、この「私」は、あくまで黒子。
「ナナツコク」は頭の中にしかない地図の国の物語。
どこにもない国を代々女性が記憶として受け継いでいく家系があるのだという。
語らない、記さない、自ら変えない……繋ぎ続けるものには、そんな掟があるそうだ。
地図は日々変わり、それを記憶し伝える者はナナツコクが他国から攻められても何もできない。
なんとふしぎな世界だろう。
物語はナナツコクが主人公の嘘やもうそうなのか、それとも本当なのかについて明らかにしない。
なぜなら人の心の中は自由だから。
嘘か誠か、それはそこでは大きな問題ではない。
人は自らの中に心の地図を持っているのだ、と「私」は記事を締める。
表題作「チェーン・ピープル」は無個性の個性について。
このチェーンはチェーン店のチェーンである。
チェーン・ピープルは平田昌三という一人の人間の個性をマニュアルとして、自分を作り上げている。
たくさんの個性の中であえて同じような人となる……。
しかし生きている年齢や仕事が違うから、個性が際立ちもする。
ふしぎな感覚だが、よく考えれば街のコンビニだって同じ店は一つとしてない。
同じなのに違う。
それこそが個性?
本書では読者が生きる現実世界を少し変えた不思議な世界が広がっている。
大きな事件が起きるわけではないが、淡々とした世界にSF要素が入ってくる。
私とは、そして私が見ている世界とはなんなのだろう?
そんなことを問われているようだ。
Posted by ブクログ
お話が現実寄りだと、「まとめに入った…」と思うラストでもそんなに説教臭く感じなかったです。全く、というほどではないけれど。
どのお話も面白かった!
どのお話も「!?なるほど」と思いましたが、特に「ぬまっチ」「応援」がブラックで好きでした。
「応援」に“おいつめ”とルビが振ってあるのは痺れました。このやり方は上手いと言ったらいけないけど、わかりやすく脅迫とかじゃないから止めさせることも出来ない…よく考え付くなぁ。忘れ去られるのを待つしかないです。
「正義」の圧がありありと感じられる作品が多いな…と思いましたが、気付かなかった「似叙伝」「チェーン・ピープル」も考えてみれば『正義』のお話なのか。
自分の信じたいものを『正義』とするならば。
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