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「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は――(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた4組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。(解説・中江有里)
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Posted by ブクログ
三崎ワールド全開(^ ^; 基本、すべて荒唐無稽な話なので 「SF」に分類はしてみましたが...(^ ^; これはもう「三崎亜紀というジャンル」としか(^ ^; よくもまぁ、こういう変なことを思い付くもんだ(^ ^; いや、思い付くだけならできるかも知れんが、 それを掘り下げて突き詰めて異世界を...続きを読む構築して、 その中で破綻なくストーリーを織り上げるのみならず、 うっかりすると「感動させられてしまう」(^ ^; 荒唐無稽なのに(^ ^; 三崎氏の一連の作品は、読まなければ絶対伝わらない。 伝わった人は、あっさりと「三崎菌」に感染し、 次の作品、また次の作品と、追い求めずにはいられない。 ...そういう「危険な作品」です(^ ^;
「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」 ある日突然、妻は私に疑問を投げかけた。 見た目、癖、記憶、そして遺伝子までも全く同じニセモノが突然出現する「突発性真偽体分離症」は、ニセモノがホンモノに抱く劣等感だけが違いを分ける。 ホンモノを探さなくては。 ニセモノの妻は全力でホンモノを探そう...続きを読むとする。 そしてたどり着いたのは、ニセモノを保護すると偽る収容施設だった(「ニセモノの妻」)。 短編四編、ほか 「終の筈の住処」 300戸超のマンションを終の住処とした夫婦。 夜、夫がジョギングから戻ってくると、自分たちの部屋だけにしか明かりがついていない異様な光景を目にする。 近所で起こるマンション建設反対運動。 夫の仕事の先輩が反対運動の地区に住んでいるが、その理由も分からない。 このマンションは、何かがおかしい。 「坂」 ある日、家の前の坂がバリケードに囲まれて通行できなくなっていた。 居座る団体は、坂を大地のもとに戻すと主張し、その団体に妻が加担している。 坂が趣味として認知される世界。 元通りの生活を取り戻せるか。 そして、三崎亜記の真骨頂だと思ったのが最終話「断層」だった。 ある激甘ラブラブ夫婦のイチャイチャっぷりが描かれる。なんだこのバカップルは。 しかし、ある災害による被害者という暗い日常とが交互に描かれる。 2つの世界はだんだんと時間が乖離していく。 どうしてなのか。 この4話目が、特に印象的だった。 「海に沈んだ町」「刻まれない明日」など、町が突然に消滅する世界が、いくつか書かれている。 その中でも、この短編「断層」が一番切ない。 今までの日常が、突然に終わりを告げるのではなく、消える日が来るのが迫っていながらも、どうしようもできない。 それを、筆者は災害として描く。 狂ってしまいそうな悲しみを隠して、日常を振る舞う。 どうして、なぜ。 筆者らしい短編集だった。
三崎亜記のニセモノの妻を読みました。 不条理な事件に巻き込まれてしまう人々を描いた短編集でした。 印象に残ったのは「断層」という短編でした。 突然、住んでいる場所に断層と呼ばれる異変が起きて妻がその断層に飲み込まれてしまいます。 夫はその妻との接触を続けていくのですが、タイムリミットが来て妻は失わ...続きを読むれてしまいます。 三崎亜記の小説では、突然家族や仲間が異変に飲み込まれてしまうという設定の物語が多いですが、この短編もせつない余韻を残す物語でした。
4編からなる短編集。どれも荒唐無稽な物語ながら,結末が知りたくなり止まらず一気読み。面白い!!中でも表題作が一番好き。 あらすじ(背表紙より) 「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻...続きを読む」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は―(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた4組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。
ファンタジーとはならないけど、ビミョーな何かが起こる世界。これは読む人を選ぶ本かなぁ?と思います。人によって面白いと思ったり違ったり…自分にはちょっと合わないかも?と思いました。
今回も三崎さん独特の不思議な世界観が満載です。 購入したマンション「ルミナス野分浜」はとても静かで人の気配が全く感じられない 駐車場にはたくさんの車が止まっているが灯りが灯っているのは我が家だけと言うホラー的な要素を含んだ「終の筈の住処」 ホンモノの妻捜しを始める奇妙な物語の「ニセモノの妻」...続きを読む 「坂」では階段主義者の登場にクスっと笑え、「断層」は少し切ない 4作とも現実には起こりえない物語ですが不思議な世界観を味わいたい方にはオススメの1冊です。
ファンタジーほどまで飛ばない 日常をズラす三崎ワードの短編集 「終の筈の住処」 「ニセモノの妻」 「坂」「断層」の四篇 「終の〜」実は、これに似たような現象 (同建物内で周辺に一切居住者が居なくなる)に遭遇し、なんだか怖さが強まる。 なにより主人公の職場の先輩の立ち位置が怖かった。 「静かな戦争...続きを読む」であるマンション建設反対運動が出てくる。 「ニセモノの妻」自分がニセモノなんじゃないかと言い出した妻と本当の妻を探す話。 何がニセモノでホンモノなのか曖昧なところをどう捉えるか? 読み終えて、いつ入れ替わっているのかも分からない自分の妻を観察する。 「坂」坂ブームという三崎作品ぽい 「ないないあるある話」そして夫婦間の戦争…詰め込んできた感がある。 「断層」ある日を境に次元の狭間に囚われ、1日の数分間を何日かに分けて生活する妻と、それを維持するために妻との生活を続ける夫 二人の時間と、夫の時間にだけ流れる深刻さの対比が際立ち、切なくて泣きそうになりました。 「失われた町」で起こる「消失」よりも急ではない分、酷ですね。 夫のつぶやいた言葉が心に残る。 「お好み焼きを作って、余った青のりを磯辺揚げに使って食べる」場面から ぐっと感情移入しました。(よくやる人)
いつも不思議な世界を見せてくれる三崎氏ですが、表題作のような人間そのものが変わってしまう作品はあまり記憶に無い。 断層もややその雰囲気があるし、ちょっと怖くなる一方で切なくもなるので、いつもの作風の方が好みかな。
表題作のニセモノの妻、がやっぱり一番おもしろかった。姿形も記憶でさえも何もかも同じもう一人の自分、、それってもはやニセモノって言えるんかな?ある日突然自分の妻がニセモノに変わってても私も気づかんやろうなと思う。自己申告がなければ。だって記憶もDNAも同じやから確かめる術がない。そんなぞっとする状況が...続きを読む描かれてて面白かった。
あっという間に読み進めていける本。 最後の断層がバカップル丸出しだけど、幸せな夫婦の切ない話。 あり得ない日常だけど、全部の作品が夫婦のあり方を書いていて考えさせられる。 となり町戦争は受け入れられなかったけど、これは面白かった。
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