三崎亜記のレビュー一覧

  • 名もなき本棚
    三崎亜記感溢れる19編のショートストーリーが、ショートショートの面白さを再認識させてくれます。
    実写ドラマで見てみたいなぁ。
  • 名もなき本棚
     ”近年ますます、日常生活で「自爆」を求められる状況は多様化している”

     そうなのか?と疑問を挟む余地を与えられずにストーリーは進む。
     解説に書かれている作風の説明で「予め疑問が排除されている空気感」とあり、まさにそうだと思う。
     現実に見えるが、明らかに異なる世界が現実として存在するかのように...続きを読む
  • 失われた町
    「こんなに美しく、哀しい作品を書ける人がいるのか。」
    これが読んでいる途中で何度も思った感想。実際電車の中で読んでいて何度も目を潤ませることになった。

    人々に忌み嫌われながらも町の消滅を解明し、止めようとする人たちは、みな心に傷を負っていて、それでも自分の身を犠牲にしてでも消滅を止めようと奮闘する...続きを読む
  • となり町戦争
     となり町と自治体の公共事業として戦争する舞坂町に住む主人公。戦況も報じられず、大義名分やそもそもの戦争の是非について論じられることなく、日常の延長線上に戦争が行われている。偵察任務を命じられた主人公ですら、となり町との戦争を実感することなく、いつも通り仕事に行き生活している。個人が実感できない事象...続きを読む
  • ターミナルタウン
    三崎作品の中でも最大級のボリュームがある長編ですが、それにもかかわらず最後まで緻密に設計された非常に完成度の高い作品です。
    隧道および隧道士と影無き者が今回の三崎ワールドで産み出された非現実要素であり、また旧都や歩行技師が登場することで他の作品とも緩やかに繋がっている。
    地方都市再生という現実的な課...続きを読む
  • 失われた町
    「町」を生きているものとして取り扱っているところが面白かった。その分定義やルールづけもされており、理解しながら読み進めることができた。
  • となり町戦争
    「戦争」は「日常」の対極にあるのではなく、「日常」の延長戦にあるのだという意識をもつべきだと訴えられた。
    「戦争」という言葉を聞くだけで、言い伝えられたイメージに固執していると、私たちは本当に、自分の歩んでいる道がどこへ続いているものなのかを見失ってしまう気がする。
  • メビウス・ファクトリー
    読みやすい背景描写だったが、また違った世界観で流されて生きている人とこの働き方?製品は間違っていると言う人の生活模様。日本の中の一つの国、この中でしか通用しないお金、価値観、他者を受け入れた事からひずみが起き、波紋が広がるが汚染によって人々が散らばり、また集められ信奉者はまた戻って疑問も持つことなく...続きを読む
  • メビウス・ファクトリー
    面白かった!
    最初は宗教臭のする街の気味悪さから引き込まれ,何をつくってどのように街が動いているのか考えさせられ,そしてP1とは一体何なのかを探るようになっていた.それら全てを含めて,騙された.注目すべきはメビウスの世であり,自分は果たして自由なのか,それを自分自身に向けて疑問視する本だった.
    この...続きを読む
  • 名もなき本棚
    三崎亜記さんの大ファンなので、色々なところに発表されていた短編たちがまとめられてとても嬉しい!と思って購入しました。
    収録されている「私」という作品は教科書に採用されていまして、もう既に教科書からさよならしてしまった私にとっては、読みたくても読めない〜!!とハンカチを噛む思いをしていたのでした。それ...続きを読む
  • となり町戦争
    地域振興事業の一環としてとなり町と戦争を始める舞坂町。しかし開戦の9月1日になっても一見何の変化もない。そんな中僕に、戦時特別偵察業務従事者の任命書が届く。
    役所の決めた通りに淡々と進められる戦争。戦争があることを前提として受け入れてしまっている住民たち。戦争はとなり町との協力のもと何年も前から計画...続きを読む
  • 名もなき本棚
    初読。19編の短編集。いろんな味わいの短編が一息で読める幸せ。コワイものも、ホッコリするものも、悲しくなるものも、幸せに感じるものも、どれもこれも三崎さんらしさが滲みでているのがスゴイ。
  • 博多さっぱそうらん記
    確かに万城目っぽい展開。福岡に馴染みはないけれど、楽しい物語でした。かっちょいいおばあちゃん、もうちょっとふくらませて欲しかったかな。
  • チェーン・ピープル
    比較的最近の短編集
    いつの作品なのか知らず、いつもの感じかと舐めてました(謝罪)今まで読んできた短編集の中ではベストです。

    「正義の味方」
    突然現れ街を破壊する「敵」とそれを退治する謎の存在「正義の味方」人々は初めは快く迎え入れたのだが、巻き込んで街を破壊するため、徐々に群衆心理が変化してくる。
    ...続きを読む
  • 30センチの冒険
    再読。馴染みのある三崎ワールドのワードが全体に意味をもって散りばめられており、1冊の本の奥に他の複数の物語が潜んでいると感じたがっている自分がいた。他の本をひっくり返して相関図をつくってみたいものだが、それも無粋だし、面倒だ。読書中ずっと、三崎さんの本をすべて読んだうえでこの本を味わえてよかったなあ...続きを読む
  • ターミナルタウン
    かつて鉄道によって栄えた「静原街」
    乗り換え路線の廃止、高速列車が通過する事になり、町は衰退の一途を辿っていった。三崎流町おこし小説。

    三崎亜記さんの他作品に出てくる「都」や本物の象が引退後の職として遊具となる「象さんのすべり台」、人が消える「消失」の現象(今作では列車ごと消える)、有り得なさそう...続きを読む
  • 失われた町
    ものすごく好みの設定だった。SF物としても十分面白いし、自己啓発本的な生き方について考えさせられる部分もあり、とても満足度の高い一冊だった。
  • ターミナルタウン
    この日本ではない州に分かれた日本に、トンネルができる前は種から育てて隧道を作るそんな隧道士が集まる地域での町おこしや秘密のタワーなどこの世界を受け入れるまでに時間がかかったが途中からサクサク読める。丸川君の話が1番面白く読めた。
  • 失われた町
    30年に一度、突如としてどこかの“町”は失われる。
    その町の住民だけを飲み込んで。
    新たな町の消滅を防ぐため、人々は失われた町を悲しむことを禁止され、その町の名も世間から消される。

    作者独特の世界観が表現された一冊。町の消失を止めようとするもの、失われた人々への悲しみをこらえる残されたなど、町を中...続きを読む
  • チェーン・ピープル
    6つの短編。それぞれのテーマに寄り添いあるライターがインタビューするようなかたち。
    どの作品もどこかで聞いたような話から
    いつのまにか何処にもない、少しゾワっともするような展開へ。
    定まることなく動き続ける小説、、それも予想の出来なさ。
    大満足。