三崎亜記のレビュー一覧

  • 30センチの冒険

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    やはり三崎亜紀氏の本は自分と相性が合う。ユーリは何故か故郷に戻らなくてはいけない焦燥にかられて何年振りかに小学生の頃から片時も離さない30センチ物差しを持って帰る。酩酊状態でバスに乗り着いた先は異世界。アンバランスな世界で施政官、エナ、など様々な周りから蔑まれていた人がその人たちのために世界を取り戻す。そして何故物差しを捨てずに持ち歩いていたのかも後半で分かる。



    できない事を可能にするのではなく、できる土台の上でできない事を出来る事にするが必要なのでがむしゃらに、ではなくて日々の努力、経験も必要だと教えてくれた。

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    2024年12月07日
  • コロヨシ!!

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    三崎亜記ファンは持っとくべき本。代表作と言っても過言ではありません。文庫本だと3部作。読み進めるにつれ物語に引き込まれました。三崎亜記の本を読み終えるとその世界に浸っていたくなる。この本も例外なくそんな気持ちにさせてくれます。続編希望!!

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    2024年06月16日
  • 失われた町

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    ネタバレ

    失われた町

    30年に一度、ある町の住民が突然失われるという現象に巻き込まれた人々の物語です。
    「となり町戦争」と同様に、無機質で冷たい官僚機構の中に情緒ある物語が展開されるので、物語が引き立っています。
    この物語には何人もの主人公がおり、それぞれの体験から町が失われるという現象に否応なく巻き込まれたり、進んで対峙したりしていきます。冒頭で次の消失を防ごうとする様子が大きなインパクトを持って語られますが、続く各章で、大円団に向かって収束していく主人公達の軌跡が丁寧に語られていきます。語られるにつれて登場人物同士の関わり合いがだんだんとわかってくるという構成はとてもわくわくしながら読むことができ

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    2024年06月11日
  • となり町戦争

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    事業としての戦争
    その設定は面白かった。目の前で人が死ぬ、とかそんなのを見ないまま始まり終わる戦争。
    ただ女性の描写がファンタジーすぎて嫌
    都合が良すぎる、いい匂いがしてキレイな裸で向こう主体で進む性行為、主人公に都合が良すぎて女性側が主人公に引かれる描写もなく私も納得できなくてモヤモヤした

    もう少し考えて見た
    女性だけでなくて、登場人物の描写が薄い
    人柄、考え方の癖とか見えてきにくい
    どんな人かの描写って難しいんだ

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    2024年05月29日
  • 名もなき本棚

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    三崎亜記感溢れる19編のショートストーリーが、ショートショートの面白さを再認識させてくれます。
    実写ドラマで見てみたいなぁ。

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    2024年04月10日
  • 名もなき本棚

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     ”近年ますます、日常生活で「自爆」を求められる状況は多様化している”

     そうなのか?と疑問を挟む余地を与えられずにストーリーは進む。
     解説に書かれている作風の説明で「予め疑問が排除されている空気感」とあり、まさにそうだと思う。
     現実に見えるが、明らかに異なる世界が現実として存在するかのように世界観を作り上げる。

     本書はショートショート19編、

     うがいをした拍子で体から部品を失くしてしまった男の違和感を描く「部品」

     政府が確認したために日常で見かけることが多くなった飛行物体をめぐる「確認済飛行物体」

     祖父も父も失踪した原因となる”闇”が、ついに自分の近くで見かける機会が増

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    2024年03月17日
  • 失われた町

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    ネタバレ

    「こんなに美しく、哀しい作品を書ける人がいるのか。」
    これが読んでいる途中で何度も思った感想。実際電車の中で読んでいて何度も目を潤ませることになった。

    人々に忌み嫌われながらも町の消滅を解明し、止めようとする人たちは、みな心に傷を負っていて、それでも自分の身を犠牲にしてでも消滅を止めようと奮闘する。
    登場する名前のある人物にはすべてに役割があって、ちょい役のようでも伏線のように後で効いてきたりする。そういう上手さもある。
    悲壮な努力の結果は報われたのか、新たな問題を生み出したのかはわからないし、今回使えた手は次回使えない(消失した双子はいないし、属体のひびきはおそらく戻ってこられない。消滅耐

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    2024年03月04日
  • となり町戦争

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     となり町と自治体の公共事業として戦争する舞坂町に住む主人公。戦況も報じられず、大義名分やそもそもの戦争の是非について論じられることなく、日常の延長線上に戦争が行われている。偵察任務を命じられた主人公ですら、となり町との戦争を実感することなく、いつも通り仕事に行き生活している。個人が実感できない事象は存在していないことと同義である怖さ。自覚がないままに戦争に加担し、間接的に誰かを殺しているかもしれない恐ろしさも感じる。香西さんが1番の犠牲者なのに市職員として感情を押し殺している様が切ない。文庫書き下ろしの別章も良かった。

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    2024年01月11日
  • ターミナルタウン

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    三崎作品の中でも最大級のボリュームがある長編ですが、それにもかかわらず最後まで緻密に設計された非常に完成度の高い作品です。
    隧道および隧道士と影無き者が今回の三崎ワールドで産み出された非現実要素であり、また旧都や歩行技師が登場することで他の作品とも緩やかに繋がっている。
    地方都市再生という現実的な課題を取り込むことで物語の非現実性とのズレを巧みに融合させて、違和感なく読者が物語世界に入ることができる。
    個人的には三崎作品の中でもベストな一冊だと思います。

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    2023年09月09日
  • 失われた町

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    「町」を生きているものとして取り扱っているところが面白かった。その分定義やルールづけもされており、理解しながら読み進めることができた。

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    2023年08月13日
  • となり町戦争

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    「戦争」は「日常」の対極にあるのではなく、「日常」の延長戦にあるのだという意識をもつべきだと訴えられた。
    「戦争」という言葉を聞くだけで、言い伝えられたイメージに固執していると、私たちは本当に、自分の歩んでいる道がどこへ続いているものなのかを見失ってしまう気がする。

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    2023年08月05日
  • メビウス・ファクトリー

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    読みやすい背景描写だったが、また違った世界観で流されて生きている人とこの働き方?製品は間違っていると言う人の生活模様。日本の中の一つの国、この中でしか通用しないお金、価値観、他者を受け入れた事からひずみが起き、波紋が広がるが汚染によって人々が散らばり、また集められ信奉者はまた戻って疑問も持つことなく。。と最後は自分の空想だが同じ生活をしていくんだと思う。そしてまた疑問を抱いた人が排除されていく。自由がないとも思わないけど保証された生活が羨ましいと思うのは生活に疲れているからかも知れない。

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    2023年07月02日
  • メビウス・ファクトリー

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    面白かった!
    最初は宗教臭のする街の気味悪さから引き込まれ,何をつくってどのように街が動いているのか考えさせられ,そしてP1とは一体何なのかを探るようになっていた.それら全てを含めて,騙された.注目すべきはメビウスの世であり,自分は果たして自由なのか,それを自分自身に向けて疑問視する本だった.
    この人の本は,現代日本から少しズレた並列世界の現代日本を舞台にしているのが多いイメージだけど,この本は良い感じでズレていて良い感じで重なっている.

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    2023年06月13日
  • 名もなき本棚

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    三崎亜記さんの大ファンなので、色々なところに発表されていた短編たちがまとめられてとても嬉しい!と思って購入しました。
    収録されている「私」という作品は教科書に採用されていまして、もう既に教科書からさよならしてしまった私にとっては、読みたくても読めない〜!!とハンカチを噛む思いをしていたのでした。それがついに!こちらに収録されまして!読むことができました!ありがとうございます。フリマで教科書買おうか悩んだことが懐かしい・・・・・・。内容は流石というかちょっと不思議でちょっと難しいんですけど、テスト‎対策و・◡・وみたいな動画がYouTubeに上がってたりして、新鮮な楽しみ方ができますよ。
    お気に

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    2023年05月29日
  • となり町戦争

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    ネタバレ

    地域振興事業の一環としてとなり町と戦争を始める舞坂町。しかし開戦の9月1日になっても一見何の変化もない。そんな中僕に、戦時特別偵察業務従事者の任命書が届く。
    役所の決めた通りに淡々と進められる戦争。戦争があることを前提として受け入れてしまっている住民たち。戦争はとなり町との協力のもと何年も前から計画され、大きく経済を動かす。その裏で目に見えないまま増えていく戦死者数。クリーンセンターことゴミ焼却場で処分されることになった戦死者の遺体。香西さんの弟の遺体を包んでいた防水袋は、その元恋人が「地域振興事業」のために発注したものだった。誰もが無意識のうちに戦争に手を貸している。
    平和に生きているような

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    2023年03月12日
  • 名もなき本棚

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    ネタバレ

    初読。19編の短編集。いろんな味わいの短編が一息で読める幸せ。コワイものも、ホッコリするものも、悲しくなるものも、幸せに感じるものも、どれもこれも三崎さんらしさが滲みでているのがスゴイ。

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    2022年10月18日
  • 博多さっぱそうらん記

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    確かに万城目っぽい展開。福岡に馴染みはないけれど、楽しい物語でした。かっちょいいおばあちゃん、もうちょっとふくらませて欲しかったかな。

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    2022年03月30日
  • チェーン・ピープル

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    比較的最近の短編集
    いつの作品なのか知らず、いつもの感じかと舐めてました(謝罪)今まで読んできた短編集の中ではベストです。

    「正義の味方」
    突然現れ街を破壊する「敵」とそれを退治する謎の存在「正義の味方」人々は初めは快く迎え入れたのだが、巻き込んで街を破壊するため、徐々に群衆心理が変化してくる。

    「似叙伝」
    当人がたどりたかった偽の人生を自叙伝として作成する業者の話
    残るものが本だけだとしたら、その理想は何なのか?

    「チェーンピープル」
    人格のチェーン展開化、マニュアルや大会まで開かれて、ひとつの理想の人格者を持って生きる人々の話

    「ナナツコク」
    記憶の中だけに存在する地図、その地図を

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    2022年01月06日
  • 30センチの冒険

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    ネタバレ

    再読。馴染みのある三崎ワールドのワードが全体に意味をもって散りばめられており、1冊の本の奥に他の複数の物語が潜んでいると感じたがっている自分がいた。他の本をひっくり返して相関図をつくってみたいものだが、それも無粋だし、面倒だ。読書中ずっと、三崎さんの本をすべて読んだうえでこの本を味わえてよかったなあと幸せな気分に満ち満ちた。

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    2021年10月11日
  • ターミナルタウン

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    かつて鉄道によって栄えた「静原街」
    乗り換え路線の廃止、高速列車が通過する事になり、町は衰退の一途を辿っていった。三崎流町おこし小説。

    三崎亜記さんの他作品に出てくる「都」や本物の象が引退後の職として遊具となる「象さんのすべり台」、人が消える「消失」の現象(今作では列車ごと消える)、有り得なさそうな職業などが登場します。
    現実の中には微妙に現実とは違う「ありそうでないモノ」を散りばめてくるので毎回ネタの濃さ、複雑さにむせ返ってます(褒め言葉)

    衰退した町の復興という題材ではあるものの、物語に配置された要素
    「処置」として影を失った男や、無いのに有るとされているタワー、トンネルとは違う「種」

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    2021年07月01日