三崎亜記のレビュー一覧
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「赤道上に、戦後最大規模の鼓笛隊が発生した。」の、一文から引き込まれる。台風の如く日本に上陸する「鼓笛隊の襲来」
いなくなったが思い出せない彼の喪失感を抱えたまま、立ち寄ったギャラリーで見かけたのは、自分の記憶にある"モノ"たちだった。「彼女の痕跡展」
覆面をつけて生活をして良い制度のある世界「覆面社員」
本物の象が、リタイア後に公園の遊具として生きる世界
「象さんすべり台のある街」
その他「突起型選択装置(ボタン)」
「「欠陥」住宅」「遠距離・恋愛」
「校庭」「同じ夜空を見上げて」
不思議な世界で話が進むため、温かい話のまま終わるのか、怖い話として終わるのかど -
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発売当時、単行本を読んでから
数年ぶりに再読
ある日、町から人々が消えた。
「消失」現象が定期的に起こる世界
家族や友人を失った人たちと、消失に対抗すべく活動する「管理局」に属する者達の日々
消失の現象自体、消失に関する管理局の人間たちの持つ能力、キーアイテムで出てくる古奏器とその再魂(調律)、
同一性障害の治療として人が
本体、別体に分離する現象、など
三崎さんが1アイデアで短編一作
いけるような要素(テーマとしてはすでに扱っている)が散りばめられていて濃い。
数章にわたって、立ち位置の違う人物達の視点で消失に触れ、繋がっていく。
描かれてない消失を経験した人達もいるのだろうけど、次 -
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例えば、ある会社に勤めていて、ある日とんでもない大問題が発生する。
もう明日は来ないかもしれない、どうしよう。
なんて緊急事態は社内だけで、世間的にはどうでもいいことなのかもしれない。
近視眼的になりすぎて、世の中全体が見えてない。
だけどそれって、ある特定の組織だけの問題なのか。
世界的にみれば、極東の島国で起こることなどどうでもいいことばかりなのかもしれないし、
宇宙的にみれば、辺境の惑星の些末なことなどどうでもいいのかもしれない。
この街では、工業製品P1を生産している。
P1はこの国のあらゆる箇所で利用され、その供給が止まってしまうと大変なことになると言われている。 -
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ネタバレ7つの物語からなる短編集でした。
中でも気に入った作品は「動物園」と「送りの夏」です。
どの作品もあり得ない設定でありながら、登場人物はリアルで、とても人間味があり、面白かったです。
「動物園」
主人公の日野原さんは動物になりきる仕事をしています。設定は現実的にはあり得ない仕事ですが、現場対新参者、男社会対若い女性、ビジネスモデルをパクるライバル社の登場など、起こるイベントやその空気感はとてもリアルで今そこに起きた現実のように感じました。
自分も働く女性の1人として、共感できる作品でした。
「送りの夏」
少しわかりにくい作品でした。
短編集の中ではかなり長い作品だと思いますが、展開が多く、 -
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面白かったです。
鉄道と共に生きてきたけれど、乗り換え路線の廃止でほとんどの電車が通過するようになって寂れた町のお話でした。
光陽台ニュータウンや、象さんすべり台のあった公園、駅を通り過ぎる下り451列車の光…と、これまでの三崎作品に出てきたワードがたくさんあって嬉しいです。
80kmの駅、影を無くした「影無き者」、見えないタワー、隧道を種から作る隧道士、鉄道原理主義者や鉄道愛好者、という不思議な要素も三崎さんっぽいです。
それぞれの登場人物の視点でお話が進んでいくので、この人はこういう考えを持っていたのか…と思わされます。
消失した下り451列車の結末はじーんとしました。短い短編がこんなにふ -
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ネタバレ独特の世界観だけれど、細かく設定されていて説得力がある。
初めは理解できなくても後から繋がってくるので引き込まれる。
消滅に直接立ち向かう人も、それを支える人も、意思がとても強い。
その一方で、自分が失われると分かっているのに何もできない、月ヶ瀬など「失われる町」の住人や管理局職員のやるせなさはいかばかりかと思う。
いつ自分の元にかえってきてくれるのか分からない人を、傷つきながらも待ち続ける茜や勇治の姿は切なかったが、それだけ人を信じて待てるのは素敵なことだと感じた。
統監と中西さんが本体と別体の関係だったとは、最後まで驚かされた。 -
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面白かったですが少しこわくて考えさせられました。
大きな流れには個人の力なんて無力なのだろうと思います。何年もかけて根回しして、その流れを推し進めてきたことは特に。
見えないなら、それは無かったこと…本当に、それでいいのかなと思いました。
今の日本の縮図だ、というような解説だったのですがそう思います。こういうこと、行われているんだろうな。
見えないからといって、知らないままで良いわけではない、ということは忘れずにいたいです。
「となり町戦争」の前日譚の「戦争研修」も面白かったです。
前に読んだときはさらっと読んでしまいましたが、「となり町戦争」を読んでから再読すると、この作品を思わせるような