三崎亜記のレビュー一覧
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三崎さんの描く世界は、普段身の回りにある当たり前のものが意思を持っていたり、普段暮らしているのと変わらないように見えつつ、実は少しずれている社会が出てきたりする。
そして登場人物自身も、それに違和感や戸惑いを感じている姿が描かれる場合と、それを当たり前のこととして、その世界で暮らしている姿が描かれる場合とがある。
前者は自身と重ね合わせて共感できるし、後者はその誇り高い姿に感動を覚える。
そしてどちらであっても、三崎さんは静かに淡々とさえいえる語り口で、それを見せてくれる。
今回、この短編集に収められた4編もそんな三崎ワールド満載。
いつもながら、楽しく読ませていただきました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに三崎亜記の本が文庫にあるのを見て購入。内容は全く知らず。。
あの人の相変わらずの、「現代社会から少し軸をずらしたパラレルワールド」が健在で、とても面白かった!!
続編なのか、続編があるのかもさっぱりわからずに終わってしまってかなり混乱してるところで、検索したらやはり続編が!…いや、梨奈とか日登美さんとの関係を思うと、前作があってもおかしくなさそうだけどね?
現代社会の概念にとらわれてると思いつけないような発想が新鮮で、読むのが好きな作家です。今回のテーマは掃除!まったく、よく掃除からここまでストーリー作れるもんだ。。
ところで、ところどころの設定に読み覚えがあるような気がしたのはなぜ -
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ネタバレ・「戦後最大規模の鼓笛隊」がやってくる表題作。台風のようでもあり、宇宙人がやってくるような不思議な話。でも最後はほっこり。
・自分を見失いそうになっている女の人の「記憶」を巡る「彼女の痕跡展」。自分の記憶は正しいものなのか?そもそも私は私なのだろうか?
・覆面を被る権利が成立した世界での日常を描く「覆面社員」
本当の素顔をさらせなくなった切ない話。
・本物の象のすべり台がある街の話。しかも象さん日本語喋ってるし。あなたの「故郷」はどこですか?
・「突起型選択装置」…ボタンのある女のひとと出会う男の人の話。ボタン、押したらどうなってたのかなぁ…。
・「欠陥」住宅に取り込まれてしまった家 -
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ネタバレ本当に、三崎亜記の意表のつき方は巧い!日常に馴染んだ言葉が、全然知らないものへと変化する。鼓笛隊、象さん滑り台、ボタン、欠陥住宅、遠距離…。
そのドキドキ感が堪らない。意表をつかれたい時(笑)、おすすめな三崎亜記でした。。
(2011.03.26)
『廃墟建築士』を読んで、久しぶりに再読。
やっぱり、三崎亜記には自分の中の常識をあっけなくひっくり返されて、それがものすごく快感。
この中だったらやっぱり「鼓笛隊の襲来」が一番好きかな。鼓笛隊が可愛くてw
『廃墟建築士』よりもライトにさらっと読める短編集なのでとても好き。
(2012.10.13) -
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表紙と題名から、当時騒がれたバスジャックを題材にした、シリアスな長編物語かと思ったが、不思議な話の短編集。
バスジャックがブームとなった社会を描く表題作。「バスジャック」
タイトルからしても不思議な話。「二階扉をつけてください」
双眼鏡の先から見えるはずもない世界を描く。「しあわせな光」
一緒にいる彼女の記憶が自分の記憶と違う2人。「二人の記憶」
雨夜に本を片手に見知らぬ女性が訪れる。「雨降る夜に」
小さな動物園に派遣された若い女性。彼女の不思議な仕事を通じて、得る物とは。「動物園」
いなくなった母親を追って辿りついた町。夏休みの数日を母親や同居人とともに過ごす。やがて別れるものとは。「送り -
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友人から三崎亜紀さんと言う素晴らしい作家さんがいるという話を少し前に伺ってました。
街の書店でブラブラしながら本を見ていると、たまたま目についたのがこの『バスジャック』でした。
すごいタイトルだなぁと思いながらも三崎さんが素晴らしい作家さんという友人の印象があったので早速読ませてもらいました。
感想としては唯一無二の三崎ワールドが描かれていて、素晴らしい本だなと心から思いました。
勧めてくれた友人にも感謝しました。
世界観としては、日常の風景なのかなと思うと全く別の世界線にあるような価値観、文化、風習なんかを生活の延長に組み込んでいるようで、一瞬何のことかわからなくなったりしてしまいます。 -
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短編集。どの話も不条理な出来事が語られている点では共通しているが、長さは3ページ程度のものから100ページぐらいのものまで色々ある。結末もブラックなものもあればハッピーエンドもあって、それぞれ違った味を楽しめるバラエティパックだ(逆に言うと、1冊の中でも好き嫌いが分かれるかもしれない)。
短編にしては濃い内容が多く、表題作の「バスジャック」や「動物園」は非現実な部分の設定がしっかり考えられていて、この短編だけで終わらせるのはもったいない気がした。
最後の「送りの夏」は、夏の海辺の美しい情景描写と人々の不気味な行動とのコントラスト、そして、悲哀の中にも希望を感じさせる結末が印象に残った。 -