三崎亜記のレビュー一覧
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友人から三崎亜紀さんと言う素晴らしい作家さんがいるという話を少し前に伺ってました。
街の書店でブラブラしながら本を見ていると、たまたま目についたのがこの『バスジャック』でした。
すごいタイトルだなぁと思いながらも三崎さんが素晴らしい作家さんという友人の印象があったので早速読ませてもらいました。
感想としては唯一無二の三崎ワールドが描かれていて、素晴らしい本だなと心から思いました。
勧めてくれた友人にも感謝しました。
世界観としては、日常の風景なのかなと思うと全く別の世界線にあるような価値観、文化、風習なんかを生活の延長に組み込んでいるようで、一瞬何のことかわからなくなったりしてしまいます。
でもジワジワと何が沸いてくるような読後感です。
『動物園』と『送りの夏』がこの一冊を引き締めていると思います。
『二階扉をつけてください』の急展開にも驚かされましたが、個人的には『雨降る夜に』がとても好きだったりします。 -
Posted by ブクログ
短編集。どの話も不条理な出来事が語られている点では共通しているが、長さは3ページ程度のものから100ページぐらいのものまで色々ある。結末もブラックなものもあればハッピーエンドもあって、それぞれ違った味を楽しめるバラエティパックだ(逆に言うと、1冊の中でも好き嫌いが分かれるかもしれない)。
短編にしては濃い内容が多く、表題作の「バスジャック」や「動物園」は非現実な部分の設定がしっかり考えられていて、この短編だけで終わらせるのはもったいない気がした。
最後の「送りの夏」は、夏の海辺の美しい情景描写と人々の不気味な行動とのコントラスト、そして、悲哀の中にも希望を感じさせる結末が印象に残った。 -
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映画「カプリコン・1」を思い出した。
火星へ向かったロケットの隊員たちは英雄となったが、地球への帰還中にロケットが爆発した。
しかし、実はロケット打ち上げも火星での生活もスタジオで行われており、発覚を恐れた政府から隊員たちが逃げるという話。
となり町戦争から20年、ディープフェイクなど嘘がまかり通る世の中になるとは想像できなかった。
見知らぬ国との戦争中で鎖国中の政府が流す情報に国民はうんざりしていた。
政府の方針に反対するもの、サボタージュするものもインターネット規制で言論が封じられた。
浜に流れつくものに刻まれた見知らぬ国からのメッセージ。
何が書かれているのか誰も知らない。
戦争があることを世間に示す秘密部隊、戦争を陰で支えると言いながら意味があるのか分からない仕事を任される人々。
政府の目的は何か。
見知らぬ国との戦争と、戦後を描く。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお話が現実寄りだと、「まとめに入った…」と思うラストでもそんなに説教臭く感じなかったです。全く、というほどではないけれど。
どのお話も面白かった!
どのお話も「!?なるほど」と思いましたが、特に「ぬまっチ」「応援」がブラックで好きでした。
「応援」に“おいつめ”とルビが振ってあるのは痺れました。このやり方は上手いと言ったらいけないけど、わかりやすく脅迫とかじゃないから止めさせることも出来ない…よく考え付くなぁ。忘れ去られるのを待つしかないです。
「正義」の圧がありありと感じられる作品が多いな…と思いましたが、気付かなかった「似叙伝」「チェーン・ピープル」も考えてみれば『正義』のお話なのか。
自分の信じたいものを『正義』とするならば。 -
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なさそうであり得るかもしれない近未来。
自粛警察や怪しげなネット情報に踊らされる風潮をみると
行き着くところはこんな社会かもしれない。
「国民の心に『無意識の呪縛』を生み出すことこそが、戦争事業の目的の一つだった」
「与えられた幸福の枠内で満足できる、コントロールしやすい国民意識へと変化させるための戦争事業だったということですね」
「今の自分も、誰かに誘導された偽りの記憶によって過去を都合よく塗り替えてしまってるんじゃないかって思えてくるよね」
自分で考えること、選択することはともすれば困難を伴うし辛いこともある。
与えられた「幸せ」を享受する〈コスパの良さ〉がもたらす危機…。
でも「それって、どこが問題なの?。とりあえずちゃんと生活できるし、有り難くね。」的な事を言う人が現状でも多そうで。
怖いな。
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ネタバレ『となり町戦争』の著者が20年ぶりに筆を執った”Ver. 2.0”というコピーを目にして早速購入。どこか手応えのないまま戦争が遠ざかってしまっていた前作に比べ、3・11やパンデミックの経験が裏打ちされることで、国家の統制装置としての「戦争」がより明確に位置づけられたのは、この20年間の社会の変化ともかかわるか。
メディア・テクノロジーを用いたプロパガンダ作戦の展開や、インフルエンサーを活用した対抗宣伝のシーンには読みごたえがあった。しかし、作品世界の設定にどこか得心がいかないままで読み進めたことも事実。おそらくその理由は、著者が主要人物以外の人びと(あるいは、登場する人物たちすべて)を容易に操作・洗脳される記号的な身体としか描いていないところにある。言い換えれば、作中の人びとはまさに「駒」以外ではない。国家の戦争プロジェクトを批判的に裏返していく奥崎と有希の二人が著者の傀儡であるようにである。
もう一つの問題は、戦争を「国内」の統制装置としてしか描けなかったことにかかわる。帝国日本の日中戦争・アジア太平洋戦争の歴史を踏まえれば(そして、現在のロシアを踏まえれば)確かに戦争遂行は国家の統制権力を最高度まで押し上げる契機となる。しかし、国家とはつねに諸国家との関係性において存在している。他国との政治・経済的関係、ヒト・モノ・カネの往来なしに「戦争」のフィクションを演じ続けられるとは思えない。この作品世界には、「経済」の観点が決定的に欠けていると思われる。 -
Posted by ブクログ
(読んだ当時の記憶より)
異世界に迷い込んでしまった主人公がどうにか元の世界に戻ろうとする話。
中世ファンタジーではなく、民族的で独特な感じの世界です。
タイトルから、最初は主人公が小さくなって冒険するのかなと思いましたが、どうも30センチ定規のことのようです。
じょ、定規??定規がキーアイテム???と困惑する自分。
そんな神器みたいな位置に定規を持ってこられても。
ですがこの作品は、滅茶苦茶な法則のユーモラスな世界を主人公と一緒の目線で見る事が出来ます。定規がいくら凄くてもなあ…!と思いながら読んでいたのに、後半の展開は緊迫感がありどきどきしながら楽しませて頂きました。
ファンタジーとして異色ではありますが、テーマの扱いが上手くて面白かったです。異色作品だぞ!と心構えをしてから読むのが一番楽しめそうな気がします。本棚に並べておきたい、良い作品です。