三崎亜記のレビュー一覧

  • みしらぬ国戦争

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     映画「カプリコン・1」を思い出した。
     火星へ向かったロケットの隊員たちは英雄となったが、地球への帰還中にロケットが爆発した。
     しかし、実はロケット打ち上げも火星での生活もスタジオで行われており、発覚を恐れた政府から隊員たちが逃げるという話。

     となり町戦争から20年、ディープフェイクなど嘘がまかり通る世の中になるとは想像できなかった。
     見知らぬ国との戦争中で鎖国中の政府が流す情報に国民はうんざりしていた。
     政府の方針に反対するもの、サボタージュするものもインターネット規制で言論が封じられた。

     浜に流れつくものに刻まれた見知らぬ国からのメッセージ。
     何が書かれているのか誰も知ら

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    2025年05月19日
  • チェーン・ピープル

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    ネタバレ

    お話が現実寄りだと、「まとめに入った…」と思うラストでもそんなに説教臭く感じなかったです。全く、というほどではないけれど。
    どのお話も面白かった!

    どのお話も「!?なるほど」と思いましたが、特に「ぬまっチ」「応援」がブラックで好きでした。
    「応援」に“おいつめ”とルビが振ってあるのは痺れました。このやり方は上手いと言ったらいけないけど、わかりやすく脅迫とかじゃないから止めさせることも出来ない…よく考え付くなぁ。忘れ去られるのを待つしかないです。

    「正義」の圧がありありと感じられる作品が多いな…と思いましたが、気付かなかった「似叙伝」「チェーン・ピープル」も考えてみれば『正義』のお話なのか。

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    2025年05月16日
  • みしらぬ国戦争

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    『となり町戦争』を読んでから20年近く経ってることにもびっくりだし、“戦争”の質感も変わった感じ。未確認隣接国家と戦争するのにもリアリティがある時代になったな、と。またいつか読み直したいね。

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    2025年05月14日
  • みしらぬ国戦争

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    なさそうであり得るかもしれない近未来。
    自粛警察や怪しげなネット情報に踊らされる風潮をみると
    行き着くところはこんな社会かもしれない。

    「国民の心に『無意識の呪縛』を生み出すことこそが、戦争事業の目的の一つだった」

    「与えられた幸福の枠内で満足できる、コントロールしやすい国民意識へと変化させるための戦争事業だったということですね」

    「今の自分も、誰かに誘導された偽りの記憶によって過去を都合よく塗り替えてしまってるんじゃないかって思えてくるよね」

    自分で考えること、選択することはともすれば困難を伴うし辛いこともある。
    与えられた「幸せ」を享受する〈コスパの良さ〉がもたらす危機…。
    でも「

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    2025年05月11日
  • みしらぬ国戦争

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    近未来ディストピア風SF、と纏めてはもったいないお話でした。この国には、こんな器用なことは出来ないような気がしますが、面白く読みました。

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    2025年04月20日
  • みしらぬ国戦争

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    ネタバレ

     『となり町戦争』の著者が20年ぶりに筆を執った”Ver. 2.0”というコピーを目にして早速購入。どこか手応えのないまま戦争が遠ざかってしまっていた前作に比べ、3・11やパンデミックの経験が裏打ちされることで、国家の統制装置としての「戦争」がより明確に位置づけられたのは、この20年間の社会の変化ともかかわるか。
     メディア・テクノロジーを用いたプロパガンダ作戦の展開や、インフルエンサーを活用した対抗宣伝のシーンには読みごたえがあった。しかし、作品世界の設定にどこか得心がいかないままで読み進めたことも事実。おそらくその理由は、著者が主要人物以外の人びと(あるいは、登場する人物たちすべて)を容易

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    2025年03月20日
  • 手のひらの幻獣

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    三崎ワールド.それは現実ファンタジー.現実と同じなんだけどなにかどこか一つクリティカルに違う要素があるパラレルワールド.
    今回は「幻獣のだせる世界」.
    全く新しい世界観のSFや現実社会の中での話よりもよっぽど「似て非なる世界」で物語を紡ぐのは難しいんじゃないかと思う.
    その中で,人同士の諍い,組織同士の争い,その世界独自の恋愛を描いていて本当に不思議な感覚になる.
    そう,脳がいい意味でバグる.クセになる.

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    2024年10月05日
  • 30センチの冒険

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    (読んだ当時の記憶より)
    異世界に迷い込んでしまった主人公がどうにか元の世界に戻ろうとする話。
    中世ファンタジーではなく、民族的で独特な感じの世界です。
    タイトルから、最初は主人公が小さくなって冒険するのかなと思いましたが、どうも30センチ定規のことのようです。
    じょ、定規??定規がキーアイテム???と困惑する自分。
    そんな神器みたいな位置に定規を持ってこられても。
    ですがこの作品は、滅茶苦茶な法則のユーモラスな世界を主人公と一緒の目線で見る事が出来ます。定規がいくら凄くてもなあ…!と思いながら読んでいたのに、後半の展開は緊迫感がありどきどきしながら楽しませて頂きました。
    ファンタジーとして異

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    2024年10月01日
  • 本からはじまる物語

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    まだ本を本格的に読み始めたばかりなので、各作家さんの特徴など、自分にとって読みやすかったなどが分かり、これから本を…という人におすすめ!
    本屋を巡る話しはどれも面白かった!

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    2024年06月27日
  • 名もなき本棚

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    三崎さん久々に読んだが、面白かった!常識が違う世界の不条理加減が好み。自爆するときってどんな時なんだろう。

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    2023年06月22日
  • となり町戦争

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    通常、戦争を描いた作品はその戦争の残酷さ、非日常さをまざまざと描くものが多い。
    しかし、この作品は違う。主人公は戦争が行われているという実感をはっきりとは得ないまま、偵察業務を行い、そして戦争を終える。同じ戦争に対しても、仕方の無いものだと受け入れる者、憤りを感じながら正義のために参加しようとするもの、単に面白いものと笑うものなど様々な人の視点が見受けられる。そういう様々な人間がいて、巻き込んで、戦争という「2つの町の共同事業」が完遂された。
    戦争と日常は違うものではなく、日常の延長線上に戦争があるという文が印象的だった。

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    2023年02月22日
  • バスジャック

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    ネタバレ

    独特な世界観に引き込まれあっという間に読み終わってしまった。魚を食べて「お肉みたいで美味しい」と表現するナンセンスな芸能人みたいだけど、
    「世にも奇妙な物語の良作みたいで面白かった」

    ショートショートまではいかない短編集という感じ。短編と言えば有名なのは星新一だが、初めて星新一を読んだときぐらい衝撃を受けた。久しぶりに自分の好みの小説に出会うことができてとても満足した。三崎亜記の作品、もっと読みたい!

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    2023年02月11日
  • となり町戦争

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    となり町との戦争だから実感を伴わないことに違和感を感じるが、では、相手が遠くの国ならどうなのか。当事国でなければ加担していないと言えるのか。そのリアリティをすぐ隣まで引っ張ってきてしまった、そんな本。

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    2022年12月30日
  • 本からはじまる物語

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    本が好きな人には是非読んでほしい!
    本と人との関わり方、大切な本の思い出、ファンタジーな物語もあり、、、

    色々な方のストーリーをいっぺんに楽しめる欲張りな本です!!

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    2022年10月15日
  • 名もなき本棚

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    19の掌編。最後の「The Book Day」には羽ばたく本が登場し、これまでの作品とのつながりを感じさせますが、いつも三崎作品に登場する”この国””この街”は出てきません。しかし、原因と結果がひっくり返ったような不思議な世界、理由も分からない不条理な設定、これぞ三崎ワールドという作品ばかりです。
    帯に”中学・高校の教科書に採用された「私」「ゴール」「公園」も収録”とあります。いくつかの文学賞候補にはなるものの、デビュー作『となり町戦争』の小説すばる新人賞以外に受賞作も無く、さほどポピュラーとも思えない三崎さんの作品が教科書に載るのですね。この不条理な世界に面食らう生徒さんも多いでしょう。いや

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    2022年08月19日
  • 博多さっぱそうらん記

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    ネタバレ

    うん,面白かった。ま,行ったことがあるからだろうけどネ~かなめは博多の卸問屋のOLで20台後半。社長から言い付かった東京のデザイン事務所勤務の接待相手は中学・高校の同級生で,東京から転校してきて,東京へ帰っていった,交際しかけた博だった。博は「よかよ」という言葉にトラウマを抱えていたのだった。川端通りの振るわない,せいもん払いをなんとかするために奮闘すると,片方だけ羽を生やしたハンらに加勢を頼まれ,博多の呪いを良い方向に持って行き,セールを成功させた。筥崎で陰の玉が消えた事件では,ゴミ収集が滞り,博がカタハネに手を貸して,博多の怨念に味方して,遂には福岡市を博多市に代える運動が広がってしまう。

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    2022年03月18日
  • 博多さっぱそうらん記

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    ご当地小説も、方言、名物にとどまらず、地理、歴史、路地裏の噂話まで徹底するなんてすごい!県庁所在地めぐる争いは長野や福島でもあるが、博多で町の名前めぐる争いあったとは知らなかった。福岡では、この小説、教科書になるんだろうなー!

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    2022年02月06日
  • ターミナルタウン

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    ま る か わ ( °-° )
    って感じです(笑)
    読めば分かります。
    面白かったのは、「ぞうさん滑り台」「隧道」みたいな世界観です。
    鉄道の名前とか、自治体の名前とか、ややこしいのでそこは読みにくかったですが、日常とファンタジー的なものが混じってる。
    そんなところが好きでした、

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    2022年01月18日
  • チェーン・ピープル

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    現実から少しだけずらした微妙な世界観が特徴の三崎作品ですが、今回は実際にあった事柄をベースにした内容も多く、いつもと若干趣向が違う気がしました。特に気に入ったのは表題作ではなく「ぬまっチ」です。
    ぬまっチの造形はとてもユニークで風刺が効いていました。

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    2021年10月19日
  • となり町戦争

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    香西さんと主人公のやりとりにだけあるリアリティと、起きている戦争のリアリティの無さの差が見事だった。

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    2021年09月22日