あらすじ
ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。文庫版だけの特別書き下ろしサイドストーリーも収録。
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Posted by ブクログ
事業としての戦争
その設定は面白かった。目の前で人が死ぬ、とかそんなのを見ないまま始まり終わる戦争。
ただ女性の描写がファンタジーすぎて嫌
都合が良すぎる、いい匂いがしてキレイな裸で向こう主体で進む性行為、主人公に都合が良すぎて女性側が主人公に引かれる描写もなく私も納得できなくてモヤモヤした
もう少し考えて見た
女性だけでなくて、登場人物の描写が薄い
人柄、考え方の癖とか見えてきにくい
どんな人かの描写って難しいんだ
Posted by ブクログ
となり町と自治体の公共事業として戦争する舞坂町に住む主人公。戦況も報じられず、大義名分やそもそもの戦争の是非について論じられることなく、日常の延長線上に戦争が行われている。偵察任務を命じられた主人公ですら、となり町との戦争を実感することなく、いつも通り仕事に行き生活している。個人が実感できない事象は存在していないことと同義である怖さ。自覚がないままに戦争に加担し、間接的に誰かを殺しているかもしれない恐ろしさも感じる。香西さんが1番の犠牲者なのに市職員として感情を押し殺している様が切ない。文庫書き下ろしの別章も良かった。
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「戦争」は「日常」の対極にあるのではなく、「日常」の延長戦にあるのだという意識をもつべきだと訴えられた。
「戦争」という言葉を聞くだけで、言い伝えられたイメージに固執していると、私たちは本当に、自分の歩んでいる道がどこへ続いているものなのかを見失ってしまう気がする。
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地域振興事業の一環としてとなり町と戦争を始める舞坂町。しかし開戦の9月1日になっても一見何の変化もない。そんな中僕に、戦時特別偵察業務従事者の任命書が届く。
役所の決めた通りに淡々と進められる戦争。戦争があることを前提として受け入れてしまっている住民たち。戦争はとなり町との協力のもと何年も前から計画され、大きく経済を動かす。その裏で目に見えないまま増えていく戦死者数。クリーンセンターことゴミ焼却場で処分されることになった戦死者の遺体。香西さんの弟の遺体を包んでいた防水袋は、その元恋人が「地域振興事業」のために発注したものだった。誰もが無意識のうちに戦争に手を貸している。
平和に生きているようなこの日常の裏側で進行している「戦争」を、文字通り戦争として描いた作品だと思った。料金を滞納してガスと水道を止められ、餓死した家族の話が象徴しているように、お役所仕事をする側にはそうしないと回らない現実があるし、その結果個別の配慮がされずに社会の片隅で犠牲になる人もいる。何気ない日常が、他方で戦争に加担している。便利な生活を求めた結果のコンビニが環境を破壊するように。不要な物を買わないようにしようと謳ったところで、それをみんなが実行すれば経済が破綻するように。そうした構造的な暴力、無意識の加害に目を向けることが主題だと思った。リアルが感じられない世界、この資本主義社会、現代社会を生きる上でどうしようもない、他者の犠牲の上に成り立つ自分の生活。それを、自分の手は汚れていないなどと思ってはいけない。そういうことを、となり町との戦争という形で見事に描き切った作品だと思う。
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となり町戦争というのは、何かの比喩で、暗示にあふれた小説なのかな、と思っていたけど、
読後3年ぐらい経過すると、実際に起きたことだったかなと思ったりした。
現実感というのは私にとってはそのぐらい曖昧で、その瞬間をつかんでいないと、すぐに現実か、非現実か、判断がつかなくなる。
たぶんそういうこと。
Posted by ブクログ
通常、戦争を描いた作品はその戦争の残酷さ、非日常さをまざまざと描くものが多い。
しかし、この作品は違う。主人公は戦争が行われているという実感をはっきりとは得ないまま、偵察業務を行い、そして戦争を終える。同じ戦争に対しても、仕方の無いものだと受け入れる者、憤りを感じながら正義のために参加しようとするもの、単に面白いものと笑うものなど様々な人の視点が見受けられる。そういう様々な人間がいて、巻き込んで、戦争という「2つの町の共同事業」が完遂された。
戦争と日常は違うものではなく、日常の延長線上に戦争があるという文が印象的だった。
Posted by ブクログ
となり町との戦争だから実感を伴わないことに違和感を感じるが、では、相手が遠くの国ならどうなのか。当事国でなければ加担していないと言えるのか。そのリアリティをすぐ隣まで引っ張ってきてしまった、そんな本。
Posted by ブクログ
地域振興のため、日本各地で隣町同士が戦争をする。
コンサル会社が双方につき、両町で何年も前から協議して開戦と終戦までも話し合われている――。
こんな突拍子もない設定だが、私は奇妙なことに受け入れられた。
この書き手のデビュー作だそうだが、作品世界の破たんもないし、整理されていて、とても読みやすった。
戦争が始まっても、日常生活に何の変化もないことに戸惑い、良心の呵責に近い苛立ちを抱える主人公、「僕」。
確かに、太平洋戦争の写真のような、焼け野原やきのこ雲がそこに現出するわけではない。
何となく、この感じがわかる気がする。
本作が世に出たのは2003年だそうだ。
とすれば、同時多発テロからイラク戦争へという、あの時期だ。
航空機が世界貿易センタービルに突っ込んだのを、ほぼリアルタイムで見ていた。
あの時、私は暢気に月9ドラマを見ていた。
突然画面が変わり、あの場面が流れた。
最初はパニックムービーの一場面かとさえ思った。
飛行機にも、ビルにも大勢の人がいて、あの瞬間、命が失われたと理解できるまで、少し時間がかかった。
こういう、過酷な現実から隔てられた感覚と、そのことへの後ろめたさを、この作品は描こうとしているのだろうか、というのは読みこみすぎだろうか?
ただ、主人公はちょっといただけない。
彼は、となり町を偵察する任務に任命され、市役所職員の女性、香西さんと夫婦を偽装してとなり町のアパートに潜入する。
彼は敵の「査察」から佐々木さんの自己犠牲により逃れ、戦争のリアルを感じ取る経験をする。
けれど、戦争の痛みは、終戦により夫婦の偽装を解かれ香西さんを失う痛みに回収されてしまう。
えっ? あなたの痛みは、そこに収斂してしまうの?
怖いのは、外国での戦争経験から、人を殺すことに何のためらいも持たない心性を身につけた主任や、戦争の円滑な遂行を追求する行政の論理の方だった。
Posted by ブクログ
見えない戦争、感じることのできない戦争、新聞やニュースで伝えられるだけの戦争。数字だけの戦死者。映画やドラマで見るリアルっぽい戦争に流す涙。第二次世界大戦後の平和な日本では、戦争ってそんなものかもしれない。でも今日もどこかで繰り広げられてる戦乱、もしかしたら自分も遠い因果で関わっているかもしれない戦争。戦争反対って何か、戦争の悪を自分は本当に理解しているのか。戦争に対する概念を根底から揺さぶられる物語。
Posted by ブクログ
町の公共事業の一環として、となり町との戦争が開始した。
しかし町には銃声が鳴り響くこともなく、死人が倒れているわけでもない。
ただただ平穏な暮らしが続く中で町内会の掲示板だけが戦死者の増加を告げる。
ホントに戦争が起きているのか―?
そんなことを考えていた主人公の元に町役場から“任務”が告げられる。
目には見えない戦争。
しかし、確実に忍び寄るとなり町の脅威。
手に汗握るストーリーに衝撃のラスト…。
個人的には1番怖いのは主人公の上司。
Posted by ブクログ
日本は戦争を放棄していながら、軍需産業を通して戦争に関与していることを想起する内容だが、ドラマチックな変化を起こす強権が排除された法治国家を舞台に小説を書く手法のひとつとして、秩序を立ててドラマチックな変化がもたらされること(秩序だっている以上、急激な変化ではない。)を描いているのか。
ただひたすらに静謐な作風が現代的であり、心地よい。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれた。
勝手な先入観から、軽い感じの、どちらかと言えばコメディに近い内容なのかと思って読み始めた。
違う。
明らかに違う。
非常に真剣だ。
発泡スチロールの石だと思って持ち上げようとしたら、本物の石で、全然持ち上がらない。みたいな。
しかし、最後まで飽きずに読めた。
読んで良かった。
しかし、いかなる理由でも戦争はやっちゃダメだ。それは揺るがない。
Posted by ブクログ
正直あんまりよく分かんなかったけど、主人公と同じ状況だと思えばなんかリアルかも。
性描写が必要だったか、ただのエロシーンか考えるのが今年の抱負なんだけど、これはいらなかった気がするなー
Posted by ブクログ
ニュースの中でしか知らない他国の戦争や紛争
それが隣町と自分の住む町とで行われることになったとしたら……という壮大なもしも話。
舞台を身近に置くことで、直接手を下していなくても自分が戦争に加担していることをより明確にしてくれる……。
作者は村上春樹が多分好き
Posted by ブクログ
戦争を自治体の施策として運用したら、という大胆な発想。自治体の対応についてはリアルに描かれており参考になりました。例えて言えば「シン・ゴジラ」のよう。
一方で、肝心の戦争の目的が地域振興という言葉で片付けられていたり、それなりに死者が出ているがどのようにして亡くなられているのかがよくわからないまま。後半は恋愛ものへと推移するが、一緒に住み始めるところの面白い展開の割に曖昧な終焉が残念。
文章はとても好印象でした。
Posted by ブクログ
この本は今までの戦争を題材したものとは一線を画している。従来のものは戦争と日常を切り離して描いておりどこか現実味を帯びなかったからだ。しかし、この本は日常の延長線上に戦争があると伝えてくれた。
Posted by ブクログ
文章にリアリティがあって、ハラハラドキドキした。
「考えてみれば、日常というものは、そんなものではなかろうか。僕たちは、自覚のないままに、まわりまわって誰かの血の上に安住し、誰かの死の上に地歩を築いているのだ」
Posted by ブクログ
町の広報誌をふと見ると「9/1から、隣の町との戦争が始まります」と書かれていた。9月を過ぎた後も戦争の気配はなかったが、広報誌には「死亡(うち戦死者)」という記載が。そこへ、偵察役への就任に関する通知が届く…。
タイトルから何となくああ言うのかな?と思わせられるのは、筒井康隆や小松左京を読んできたからだと思う。気配がなく、夜間のみに行われ、一般市民には被害が出ないようにするという、夜間工事のような戦争。時々差し込まれる、役所的な書類フォーマットなど、なるほど、面白いことを考えるものだなあと感心した。
一方で、テーマ的にも熱くなる部分がほしいところであるが、それを架空のような掴めない話を掴みに行くようにしたいのか、突然襲い来るパニックのようなものにしたいのかがわからぬまま、どんどん進んでいき、気がついたら終戦を迎える。
役所の書類や決済のバカバカしさ、町興しをパロディにしているというところは評価できる点ではあるし、縦書きの中に差し込まれる横書きのシュール感なども成功しているものの、読者はテーマ的にも、ハラハラする何かが欲しいのではないかと思う。そこを曖昧なままにしてしまったせいで、比較的評価が低くなってしまったことは否めない。
個人的にはまあまあ楽しめたし、そういうネタとして一部は使わせてもらおうかと思ったところがある。そこまでたどり着けない人も少なくないだろうという作品だ。
個人的に、本編は★4か★3か悩むところであったが、最後に別章として、大して面白くないエピソードを付け、無理やり伏線を拾おうとしたのでマイナス。本編で評価が低かったからと、蛇に足を描くような真似はしないほうが良い。
レビューを書くに当たり、映画化とか舞台化というのを目にしたが、この作品で面白いのは公文書のパロディによる温度差なので、そこを取っ払ったら龍に目を欠くといったところである。
Posted by ブクログ
「三崎 亜記」の『となり町戦争』を読みました。
第17回小説すばる新人賞受賞作ですし、映画化もされているので、ご存知の方も多い作品だと思います。
隣の町と戦争をするという奇抜な設定の中で、フツーのサラリーマンである主人公が、戦時中という実感のないまま、流れに任せて戦争に巻き込まれて行く姿が淡々と描かれており、なかなか興味深く読めました。
-----story-------------
ある日届いた「となり町」との戦争の知らせ。
僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。
だが音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。
それでも戦争は着実に進んでいた―。
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実感のない戦争に巻き込まれ、次第に戦争がリアルに忍び寄る不気味さが恐ろしいですねぇ。
静かに、でも確実に戦争が身近に迫ってくる展開は、、、
いきなりガツーンとくるよりも効果的ですね。
でも、本当にリアルな戦争を感じる前に終戦。
戦時中の行動を振り返ると、直接的に戦闘には関わっていないものの、間接的に戦争に加担し、そのために多くの人が命を失ったことに、あとから気付くという展開。
自分は無関係だ!と思っている事象について、無意識のうちに何らかの影響を与えているってことは多々あると思います。
改めて、そのことに気付かされる物語でした。
文庫化の際、追加された別章での「西川」チーフの言葉、、、
『あなたは、わからないふりをして、現実を見ないようにしているだけではないですか?めぐり巡って、あなたは誰かの死に手を貸しているかもしれませんよ。要は、それを自覚しているか、していないかの差だけです』
この台詞が、本作品の全てを物語っているような気がしましたね。
そうそう、なんだか「筒井康隆」作品の匂いを感じる作品でした。
機会があれば映画も観てみたいですね。
Posted by ブクログ
いわゆる公共事業として、役所がとなり町との戦争を淡々と遂行する世界。いまいち実感が持てないまま、見えない戦争は着実に進んでいる。そこに主人公始め、人々は巻き込まれていく・・・。という話。非常に読みやすくズンズン読み進められます。
戦争というショッキングなものと、となり町という身近なものを組み合わせたタイトルの妙。
戦争という大きな動きに実感が持てないまま進んでいく様は、現代の日本の社会問題と私たちの関わり方を表している素晴らしいストーリー、、、と三分の二までは思えるのですが、、、
最後の方の結の部分で、言い方は悪いですがズッこける思いでした。
淡々と、しかし確実に話が広がる中、どんどん残りページ数が少なくなっていくにつれ『これはどんなふうに着地させるのか・・?』『いや着地出来るのか・・・?』とドキドキした時間は非常に楽しいものでした。
それだけに最後は『いや!!!これが戦争なんだねじゃねーよ!!!』という鳩尾がググッとなる一種の笑いみたいな感情になってしまいました。
ちなみに私は映画版を見た事はありませんが、そちらを見ているとまた感想は違うのかなとも。
Posted by ブクログ
ある日、突然となり町と戦争が始まった。
街の会報で知ったというのに、日常が続きます。
会社の上司は、別の国で戦争体験者、という事で
度々主人公と会話しています。
スパイ活動をするように、と任命され
偽装結婚する事になり…。
終着地点はどこだろう、と読み進めていましたが
戦争の掃除というか、後片付けというか。
そこだけが感じられ、主人公の知らない場所で
顔見知りがさようならしてみた、という感じで終了。
主人公と一緒に、わけがわからない状態で
戦争をしていたんだな、という気持ちだけ
かかえた状態で終了してしまいました。
Posted by ブクログ
浅井りょうさんが雑誌で紹介していたことがきっかけでこの本を読んでみた。
隣町と戦争をしている話。戦争を地域事業の一環として役所が条例に乗っ取って手続きを進めている。
主人公は偵察の役として町から任命されたが、実際に戦争をしている様子を見ることはなく、最後まで戦争していることを実感することがなかった。
しかし、戦死者は確かにいて、主人公を助けるために亡くなった人もいたので、実感することはないが戦争の痛みは感じていた。
見えないものは存在しない。
そんな訳がないのに、実感できないものを見ることの難しさについて考えさせられた。
Posted by ブクログ
今度は小説すばる新人賞受賞作品。こういう肩書きに弱いらしい。
舞台は舞坂という架空の町。年号も架空。とはいえほぼ現代日本と考えて良い舞台。
ある日、突然「となり町との戦争が開始されました」という報せが町役場から出される。
しかし、舞坂からとなり町へ通勤している主人公には全く“戦争”の気配は感じられない。
自分の町という、最もローカルな集合体が行っているにも関わらず、どこか遠くの出来事のようだった。
そんな中、主人公に「偵察業務を任命する」と、町役場からの通達が来た。
彼は実感の無いまま「となり町との戦争」に参加する事になる。。。
という物語の入り。
この後バリバリの戦争モノになるかというと、そうはならない。
主人公は偵察業務という、ある意味戦争の最前線に居ながら、
リアルな戦争と言うものを感じる事が出来ない。
なぜなら周囲は至って平和で、日常になんら支障をきたしていないのである。
「本当に戦争が行われているのだろうか?」
「そもそも、なぜとなり町と戦争するのだろうか?」
「他の人はどう感じているのだろうか?」
という、当然の疑問が沸いて出る。
主人公はそんな疑問を持ちながら、なぜか形式上の結婚をする事になった町役場の香西さんと共に過ごしていく。
香西さんは
「となり町との戦争は町の発展の為の事業・政策であり、殺しあうことが目的ではない。」
という“お上の事情”しか説明してくれない。
しかし時折り見せる内面の葛藤を、主人公は徐々に感じ取るようになる。
香西さんは最初「固い女性事務員」のようなイメージだったのだが、
物語の終盤、非常に魅力的な女性になっていた。簡単に言うと香西さん萌え〜である。
主人公と香西さんの関係も、物語の読みどころの一つかもしれない。
そして最終的に戦争は終わる訳なのだが、
結局主人公は「リアルな戦争」をほとんど体感していない。
途中で死体を遺棄する場面や、ついさっき話した人物が殺されたりする場面もあるのだが、
主人公は直接見ていない。(描写も直接的には書かれていない。)
それでも公共事業として、町の発展の為に町興しレベルで戦争が行われている。
これは架空の話とはいえ、何か恐ろしい感じもする。
現に、「戦争」でなくても、我々の無関心のままに市町村レベルで得体の知れない公共事業が行われている可能性もあるのだ。
そういう意味ではリアリティのある内容であろう。
著者の狙いは「直接関わっていなくても、あなたはどこかで間接的に戦争に参加し、人を殺めているかもしれない」
と問題提起することだろう。
それは文庫本にのみ掲載された「別章」を読んでもわかる。
その点については確かに考えさせられる。
物語としては全体に緩やかな空気が感じられ、戦争というよりかは香西さんとの心の交流の方がメイン。
主人公の上司の過去や連続通り魔殺人の件はあんまりいらないかな、と感じた。
文体が拙いとか色々ネットで批判されてたりするが、新人なんだし着眼点は見事の一言でしょう。3点。
Posted by ブクログ
話の本質に触れられるようで、触れられないような透明な薄い膜に覆われたような筆致。
わからないふりをして、現実を見ないようにしている?
そうかもしれない。今この時起きている戦争は、テレビを流しながらのんびり本を読んでいる私には他人事で無い事に等しい。
戦争だけじゃない、虐待・貧困・難病など本人ではどうしようもない現実の中でもがき苦しんでいる人はいるはずなのに。
それを知らなかった事にして生きていきたくないと物語の登場人物は言うが、自分にできる事は、なんなのか?自分の手で守れるものは何なのか?考え始めると、自分がちっぽけで無力な存在に感じてくる。せいぜい自分の手の届く範囲にいる家族と生活を守るくらい、か。
でも人の命を土台に発展してきた人類の歴史があったのだとしても、命ほど尊いものはない。
それが分かる今、戦争という人の血が流れる形で人類の発展などしてはならない。
Posted by ブクログ
となり町との戦争が始まった。
それなのに日常はまったく変わらず、その戦争をリアルに感じ取れない主人公。
だけど戦死者の数は日に日に増えていく…。
戦争と言われて想像するものはとっても悲惨な光景だけれど、
この本ではそれを感じることなく
ただ淡々と行政政策の一環として戦争がすすめられていることが、
物語として斬新だなと思いました。
ただ、途中から話の筋が曲がったような?
題名的に、色々と考えさせられる内容かなと思ったけど、意外にしっくりこない終わり方でした。
Posted by ブクログ
飛ばし読みしてしまう内容「個人的に」だけど
三崎さんの本は1行1行ちゃんと読んでいる不思議。
何かわからない正体のものを
ずっと追っているからなんだと思うけど。
短いストーリーだからか、
たまに設定や台詞とかに
無理があると思った。
Posted by ブクログ
あらすじ
ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。文庫版だけの特別書き下ろしサイドストーリーを収録。
映画と連動して見るといいかも
映画を見た後、検索を書けたらこの本が売られていたので買って読む。
映画ではスルーしていたことが本を読んで数倍感動、感激することが多いからだ。
この映画は、本を読むことで何らかの新しい発見があるのではないかと期待した。
結果だが、うーん、
この本に関しては本を読んだからといって何らかの新しい発見はなかったように思う。
もちろん、映画では、本と違う描かれかたをしている。
一番異なるのは、終わり方。
映画では二人は結ばれるが、本では結ばれない。
どちらが言い終わり方なのかわからない。
しかし、どうだろうな。
私にしては珍しく、別に原作を読まなくてもいい映画だったと思う。
それよりは、映画に出ている、原田知世さんの40歳になるのに可愛らしいところなどを見ていた方がおほどいいかんじだった。