三崎亜記のレビュー一覧

  • コロヨシ!!

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    とても面白かったです。
    三崎さんがスポーツ小説を書かれると、こんな世界になるのですね。
    「掃除」というスポーツを通して、物語の世界がゆっくり浮かび上がってくるのが楽しかったです。まだまだわからないところも多くてわくわくしました。
    掃除に打ち込む樹と偲の変化も、青春だなぁと思います。ふたりを取り巻く人々の濃さと、過酷な環境も、もっともっと続きを、と思います。
    自由と不自由、考えさせられました。
    続きも楽しみです。

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    2018年08月28日
  • 手のひらの幻獣

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    本当は存在しない生き物を、
    あたかも目の前にいるかのごとく表出させる、
    一種の超能力者のお話。

    読み始めて少ししたら、
    「この話は読んだことがあるような...」
    と思ったのですが、半分正解で半分間違い(^ ^;

    正解は、同じ主人公の出てくる「シリーズ物」で、
    その第一作が他の短編集に入っていたのを読んだ、
    ということでした。

    最初は、動物園で「皮膚病にかかってしまったライオン」
    の代わりに、元気なライオンを「見せて」
    子どもたちを喜ばせているような話でしたが...

    徐々に話のスケールがでかくなり、
    どんどんきな臭い「大人の事情」が絡んできて...
    最終的にはかなりスケールのデカイ話にな

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    2018年07月18日
  • バスジャック

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    読書会の為に再読しました。
    三崎ワールドは長編にも短編にも確かにあります。非日常も続けば日常になる、って確か他の作品に出てきた言葉ですが、三崎ワールドを上手く表現してあるなぁと思います。
    読書会では表題作を紹介したのですが、お話はやっぱり「動物園」と「送りの夏」が好き。動物園は日野原さんの能力表出のところが少し想像し難いですが、どのお話も情景が浮かんでくるようです。映像的。
    ヒノヤマホウオウ、見てみたいなぁ。
    情報量の少ない、静かな世界なのも好きです。
    ハヤカワ・トータルプランニングのシリーズも、他の作品も読むのが楽しみです。

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    2018年06月23日
  • 鼓笛隊の襲来

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    不思議な世界の短編集。
    三崎亜記の真骨頂のホラーでいろんな角度から紡いでいて、どれも味わいがある話がならんでいる。
    高橋克彦の「記憶」シリーズを彷彿とさせた。直木賞候補作にもなった傑作集。

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    2018年06月01日
  • ターミナルタウン

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    三崎氏らしい独特の世界観。
    ただ本作は、「隧道を種から育てる隧道士」と
    「影を失った者」という異様な設定以外は、
    割とまとも(失礼!)か(^ ^;

    事故で乗客もろとも行方不明になった列車が、
    光だけの存在となって毎日同じ時間に線路を通る...
    というファンタジー要素も入ってくるが、
    この程度は過去に何度も描かれている。
    代表作は「X電車で行こう」とか?

    前提となる設定・世界観は「異常」だが、
    その中で描かれていることは「政治の駆け引き」や、
    「家族を喪った哀しみと復讐」「人生の進路」
    「地方都市の過疎化」「世代交代」などなど
    しごく「まとも」なストーリー。
    そのため、異様な世界観の中でも

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    2018年04月12日
  • バスジャック

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    「世にも奇妙な物語」が好きな方にはオススメ
    表題作のインパクトが強い
    日常によくあることを少しずらしてさらにそれが日常になった世界を描かせたら随一
    この著者の作品を読むきっかけになった作品

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    2018年03月18日
  • ターミナルタウン

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    過去にはターミナルタウンとして栄えたが、
    高速鉄道の通過駅となるに従い鄙びた町のお話。

    とは言うもののそこは三崎亜記作品。
    現実の日本とは似て非なる世界観に誘ってくれる。

    元公務員である作者の、お役所・国が行う権謀術数の描き方も健在。

    個人的には丸川君がお気に入り。

    今後の楽しみとしては、同作者の他作品とのリンク。
    「象さんすべり台」は他の作品にも登場するし、
    北州や旧都、開南市、中津原といった地名が今後も他作品で再登場してくれるのを願う。

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    2018年03月17日
  • メビウス・ファクトリー

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    他の地域と独立している町の不思議な話。映画にも似たような設定はあったが、その町の生活、風習はまさに三崎ワールド。

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    2017年10月26日
  • 失われた町

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    前提がぶっ飛んでるわけで。思いっきりファンタジーの世界なら割とすっと受け入れられるのに、現代の世界観に似ているのに、なんかちょっと違う!みたいな時に感じる違和感はモヤモヤしてたまらん。
    でもそのモヤモヤが次第に癖になってくるというか。クラブでテクノをかける時にはじわーっと音程をずらしてくんだとかなんとか言ってた気がするけど、そういう感覚だろうか。

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    2017年03月25日
  • 失われた町

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    理不尽に大切な何かを奪われていく人々。
    これは喪失の物語だ。
    原因を突き止めるために生き残った人たちは監視下におかれる。
    生きていくためには「管理局」に協力するしかない。
    さまざまな実験が繰り返されデータが集められる。
    その犠牲が報われる日は来るのだろうか。
    三崎さんが作り上げた独自の架空世界。
    けれど、その世界にだって哀しみもあるし喜びもある。
    「消失」という抗えない現実に直面したとき、人々には選択の余地は残されていない。
    消え去ることを知らせることも出来ず、別れを言うことも叶わない。
    消失後、国家によってすべてはなかったことにされていく。
    今はまだ、それだけが被害を拡大させないための方法だ

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    2017年03月20日
  • ターミナルタウン

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    ネタバレ

    再読。「異なる位相、異なる入口から入って、異なる路線を辿って何度もこの作品を味わいなおすことができるでしょう。(解説より抜粋)」多くの視点やテーマを盛り込みながら、やり過ぎ感がなく、器にきちんと収まっているところがスゴイ。

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    2016年11月29日
  • ターミナルタウン

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    いつもながら不思議な世界観の中で展開されるお話。

    影を失った人。首都で自分の居場所を見つけられなかった人。恋人を失った人。駅の役割を失った駅と駅長さん。ないものをあると思い続ける人々。テーマは「喪失」ということなのだなあと。それぞれが喪失したものに少しずつ向き合い、何かを取り戻していく過程を描いているのでしょう。

    町長さんが選んだ選択に言葉が出ない。ちがう道があったのではないかと思ってしまう。

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    2016年11月13日
  • ターミナルタウン

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    停まる列車はないのに駅。その終着駅の街、ターミナルタウン。ないのにあることになっているタワー。住民がいないのに閉鎖されないニュータウン。訪れる人のいない商店街。閉鎖されて行き来できない自由通路。
    そういう矛盾をかかえた存在が本書の舞台。三崎亜記らしい「ごく普通の日常なのに一箇所だけ異様」な状況を楽しませてくれる。クライマックスのタワーの「ないのにある」を解決するシーンは一発逆転奇想天外それでいてそれしかなかったという悲しみと安堵のカタルシスになっていて、さすが三崎亜記、と嬉しくなる。
    ただし、登場人物たちが極端な性格付けをされていて、そのキャラのおかしさでストーリーを進めているようなところがあ

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    2016年11月04日
  • ターミナルタウン

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    現実的な世界と現実的な世界を掛け合わせて作る非現実的な世界観に魅せられます。
    魔法やしゃべる動物は出てこないけれど立派なファンタジーです。
    各章ごとに主となる登場人物が変わり、物語を進めていく形式をうまく使われています。少しづつあらわになってくる物語の輪郭に一気に引き込まれました。
    隧道とても気になります。闇を育てるという発想がとても素敵です。

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    2016年11月03日
  • メビウス・ファクトリー

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    生まれ育った街に家族とともにUターン就職したアルト。この街で唯一の大工場の生産ラインで働き始める。慣れないことばかりだが、面倒見のいい先輩にも恵まれ、家族も街に馴染んだかに見えた。

    しかし、工場で何気なく発した一言が「緊急事態」を生み出す原因となってしまう。
    妻も街に違和感を感じ始めた。
    それでも、やっていけると信じていた。ブラック企業から逃れ、働きがいのある仕事につけたはずだった。幼き日に失った家庭の幸せを築いて行くはずだった。

    工場城下町で繰り広げられる人間模様。
    体制の中で生きていくのか。
    生じた疑問に蓋をせず生きていくのか。
    そもそも、工場で生産されている唯一の製品「P1」とは何な

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    2016年11月05日
  • 玉磨き

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    一人のルポライターが、消えようとする、あるいは失われようとしている6つのものについて取材したルポルタージュの体裁を持った短編集です。

    伝統産業、奇妙な公共交通機関、とある世代、見えないものを狩り立てる儀式、ある部品を作り出すための業務形態、海に沈んだ町、がそれらにあたります。と言ったところで、何のことかわかりませんよね。

    三崎さんの作品は、それぞれ突拍子もない設定なのですが、それ以外の点(個々の登場人物の営みや行政の描かれ方など)が、とてもリアルで「自分が知らないだけで、世間にはこんなことがあるのかも」と信じさせられそうになります。

    読んでいる間、不思議で独特な雰囲気(静かで淡々としてい

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    2016年10月31日
  • ターミナルタウン

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    何時もの首都・旧都・北端連合州などが存在する三崎ワールド。
    主要鉄道が廃線となり、高速鉄道も止まらなくなって凋落の一途を辿る鉄道の町・静原町をめぐる各州や接続会社の暗躍が描かれます。
    描き方によっては「下町ロケット」のような話になるところ。しかしそこは三崎さん。例によって不思議な世界になってしまいます。
    これまでの物語に出てきた「歩行技師」なども出てきます。そこに今回登場するのは「影無き者」や「隧道師」。影無き者は本当に物理的に影が無くて政府に管理されているし、隧道師は種から隧道を育てる人々。
    現実の世界の中にそんな不思議な設定を一杯詰め込んで、何とも言えない独自の世界を作り出していき

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    2016年10月30日
  • 玉磨き

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    三崎さんの作品はフィクションとわかっていながら、何処か現実とリンクしているような不思議さがあります。
    表題の玉磨きという作品も、一名しか残っていない伝統産業の技を続けている人の取材という内容ですが、何とも奇妙でありながら愛着を覚えます。通勤観覧車を運行している会社を取り上げた作品も然り。日常的にありがちな光景に見出す発想力にいつもながら感心します。

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    2016年10月01日
  • 終舞! コロヨシ!! 3

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    三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2、終舞! コロヨシ!! 3を読みました。
    コロヨシ!!の続編・完結編でした。

    パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。
    物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。

    日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。

    ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き

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    2016年08月26日
  • 決起! コロヨシ!! 2

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    三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2、終舞! コロヨシ!! 3を読みました。
    コロヨシ!!の続編・完結編でした。

    パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。
    物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。

    日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。

    ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き

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    2016年08月26日