三崎亜記のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本当は存在しない生き物を、
あたかも目の前にいるかのごとく表出させる、
一種の超能力者のお話。
読み始めて少ししたら、
「この話は読んだことがあるような...」
と思ったのですが、半分正解で半分間違い(^ ^;
正解は、同じ主人公の出てくる「シリーズ物」で、
その第一作が他の短編集に入っていたのを読んだ、
ということでした。
最初は、動物園で「皮膚病にかかってしまったライオン」
の代わりに、元気なライオンを「見せて」
子どもたちを喜ばせているような話でしたが...
徐々に話のスケールがでかくなり、
どんどんきな臭い「大人の事情」が絡んできて...
最終的にはかなりスケールのデカイ話にな -
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三崎氏らしい独特の世界観。
ただ本作は、「隧道を種から育てる隧道士」と
「影を失った者」という異様な設定以外は、
割とまとも(失礼!)か(^ ^;
事故で乗客もろとも行方不明になった列車が、
光だけの存在となって毎日同じ時間に線路を通る...
というファンタジー要素も入ってくるが、
この程度は過去に何度も描かれている。
代表作は「X電車で行こう」とか?
前提となる設定・世界観は「異常」だが、
その中で描かれていることは「政治の駆け引き」や、
「家族を喪った哀しみと復讐」「人生の進路」
「地方都市の過疎化」「世代交代」などなど
しごく「まとも」なストーリー。
そのため、異様な世界観の中でも
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Posted by ブクログ
理不尽に大切な何かを奪われていく人々。
これは喪失の物語だ。
原因を突き止めるために生き残った人たちは監視下におかれる。
生きていくためには「管理局」に協力するしかない。
さまざまな実験が繰り返されデータが集められる。
その犠牲が報われる日は来るのだろうか。
三崎さんが作り上げた独自の架空世界。
けれど、その世界にだって哀しみもあるし喜びもある。
「消失」という抗えない現実に直面したとき、人々には選択の余地は残されていない。
消え去ることを知らせることも出来ず、別れを言うことも叶わない。
消失後、国家によってすべてはなかったことにされていく。
今はまだ、それだけが被害を拡大させないための方法だ -
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停まる列車はないのに駅。その終着駅の街、ターミナルタウン。ないのにあることになっているタワー。住民がいないのに閉鎖されないニュータウン。訪れる人のいない商店街。閉鎖されて行き来できない自由通路。
そういう矛盾をかかえた存在が本書の舞台。三崎亜記らしい「ごく普通の日常なのに一箇所だけ異様」な状況を楽しませてくれる。クライマックスのタワーの「ないのにある」を解決するシーンは一発逆転奇想天外それでいてそれしかなかったという悲しみと安堵のカタルシスになっていて、さすが三崎亜記、と嬉しくなる。
ただし、登場人物たちが極端な性格付けをされていて、そのキャラのおかしさでストーリーを進めているようなところがあ -
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生まれ育った街に家族とともにUターン就職したアルト。この街で唯一の大工場の生産ラインで働き始める。慣れないことばかりだが、面倒見のいい先輩にも恵まれ、家族も街に馴染んだかに見えた。
しかし、工場で何気なく発した一言が「緊急事態」を生み出す原因となってしまう。
妻も街に違和感を感じ始めた。
それでも、やっていけると信じていた。ブラック企業から逃れ、働きがいのある仕事につけたはずだった。幼き日に失った家庭の幸せを築いて行くはずだった。
工場城下町で繰り広げられる人間模様。
体制の中で生きていくのか。
生じた疑問に蓋をせず生きていくのか。
そもそも、工場で生産されている唯一の製品「P1」とは何な -
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一人のルポライターが、消えようとする、あるいは失われようとしている6つのものについて取材したルポルタージュの体裁を持った短編集です。
伝統産業、奇妙な公共交通機関、とある世代、見えないものを狩り立てる儀式、ある部品を作り出すための業務形態、海に沈んだ町、がそれらにあたります。と言ったところで、何のことかわかりませんよね。
三崎さんの作品は、それぞれ突拍子もない設定なのですが、それ以外の点(個々の登場人物の営みや行政の描かれ方など)が、とてもリアルで「自分が知らないだけで、世間にはこんなことがあるのかも」と信じさせられそうになります。
読んでいる間、不思議で独特な雰囲気(静かで淡々としてい -
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何時もの首都・旧都・北端連合州などが存在する三崎ワールド。
主要鉄道が廃線となり、高速鉄道も止まらなくなって凋落の一途を辿る鉄道の町・静原町をめぐる各州や接続会社の暗躍が描かれます。
描き方によっては「下町ロケット」のような話になるところ。しかしそこは三崎さん。例によって不思議な世界になってしまいます。
これまでの物語に出てきた「歩行技師」なども出てきます。そこに今回登場するのは「影無き者」や「隧道師」。影無き者は本当に物理的に影が無くて政府に管理されているし、隧道師は種から隧道を育てる人々。
現実の世界の中にそんな不思議な設定を一杯詰め込んで、何とも言えない独自の世界を作り出していき -
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三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2、終舞! コロヨシ!! 3を読みました。
コロヨシ!!の続編・完結編でした。
パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。
物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。
日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。
ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き -
Posted by ブクログ
三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2、終舞! コロヨシ!! 3を読みました。
コロヨシ!!の続編・完結編でした。
パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。
物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。
日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。
ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き