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Posted by ブクログ
例えば、ある会社に勤めていて、ある日とんでもない大問題が発生する。
もう明日は来ないかもしれない、どうしよう。
なんて緊急事態は社内だけで、世間的にはどうでもいいことなのかもしれない。
近視眼的になりすぎて、世の中全体が見えてない。
だけどそれって、ある特定の組織だけの問題なのか。
世界的にみれば、極東の島国で起こることなどどうでもいいことばかりなのかもしれないし、
宇宙的にみれば、辺境の惑星の些末なことなどどうでもいいのかもしれない。
この街では、工業製品P1を生産している。
P1はこの国のあらゆる箇所で利用され、その供給が止まってしまうと大変なことになると言われている。
町民は皆、P1の生産に関わっており、町内では貨幣の流通もなく社内パスで全てのものが精算できる。
また、町民が町外に出る時には事前申請が必要であり、町の外から見ると閉じた世界になっている。
この工場に新入社員として引っ越してきたアルトは、かつてこの町に住んでいたことがある。
町外からの社員は異例なことだった。
アルトはこの町に慣れようとするが、妻の様子がおかしくなってくる。
最終工程を経たP1は鑑定士が、P1に真心が入っているかの最終チェックを行うが、町出身の鑑定士を育てようという機運が高まる。
遠山は、何故自分が鑑定士見習いに選ばれたのか、理由が全く分からなかった。
町外に住む師匠の跡をつける。
自分の仕事が世の中で、どのように役立っているか分かって仕事をする人は少ない。
その働き方は、機械とは一体何が違うというのか。
Posted by ブクログ
生まれ育った街に家族とともにUターン就職したアルト。この街で唯一の大工場の生産ラインで働き始める。慣れないことばかりだが、面倒見のいい先輩にも恵まれ、家族も街に馴染んだかに見えた。
しかし、工場で何気なく発した一言が「緊急事態」を生み出す原因となってしまう。
妻も街に違和感を感じ始めた。
それでも、やっていけると信じていた。ブラック企業から逃れ、働きがいのある仕事につけたはずだった。幼き日に失った家庭の幸せを築いて行くはずだった。
工場城下町で繰り広げられる人間模様。
体制の中で生きていくのか。
生じた疑問に蓋をせず生きていくのか。
そもそも、工場で生産されている唯一の製品「P1」とは何なのか。
隙がなく作り上げられた、巨大な街のシステム。黙って従っていれば、全て順調に行くはずなのだが。
完全に管理しようとしても、完璧なシステムなど存在しない。
タイトル通り出口のないメビウスの世界に導く、摩訶不思議な三崎マジック。
Posted by ブクログ
自分たちの総意であるかのように錯覚させられて、実は全く別の誰かによって、コントロールされている。メビウスの輪のように、わざとねじれを作り真実を覆い隠し、大きな欺瞞の歯車の小さな歯車となって滞りなく回り続ける人々。何も見ず、何も考えずに歩き続ければ、平坦で歩きやすい道がどこまでも続く。足元を一旦見つめれば、自分がねじれた空間にいることに気づいてしまう。気づいてしまえば、ねじれた部分から振り落とされてしまうだけ。だから、人々は、目をつぶる。そうすれば、足元がねじれていることなど気にかけることもなく、元の通りに平坦な道を歩くことができる。見ないフリをすれば少なくとも平穏に日々を送ることができる。目をあけたらどうなるのか。本書はそれを教えてくれる。
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