あらすじ
心の中に作り出した動物のイメージをあやつる異能力を持つ「表出者」の日野原柚月。十万人に一人といわれる彼らが集まる企業に勤めて早くも十年。孤独を感じながらも安定した日々を送っていた。そんなある日、できたばかりの新研究所を警備する業務を任される。しかしそこには表出者のパワーを増幅する禁断の存在が隠されていて……。日常化した非日常を緻密に描く“三崎ワールド”全開!
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Posted by ブクログ
三崎ワールド.それは現実ファンタジー.現実と同じなんだけどなにかどこか一つクリティカルに違う要素があるパラレルワールド.
今回は「幻獣のだせる世界」.
全く新しい世界観のSFや現実社会の中での話よりもよっぽど「似て非なる世界」で物語を紡ぐのは難しいんじゃないかと思う.
その中で,人同士の諍い,組織同士の争い,その世界独自の恋愛を描いていて本当に不思議な感覚になる.
そう,脳がいい意味でバグる.クセになる.
Posted by ブクログ
本当は存在しない生き物を、
あたかも目の前にいるかのごとく表出させる、
一種の超能力者のお話。
読み始めて少ししたら、
「この話は読んだことがあるような...」
と思ったのですが、半分正解で半分間違い(^ ^;
正解は、同じ主人公の出てくる「シリーズ物」で、
その第一作が他の短編集に入っていたのを読んだ、
ということでした。
最初は、動物園で「皮膚病にかかってしまったライオン」
の代わりに、元気なライオンを「見せて」
子どもたちを喜ばせているような話でしたが...
徐々に話のスケールがでかくなり、
どんどんきな臭い「大人の事情」が絡んできて...
最終的にはかなりスケールのデカイ話になる。
それでも、細かいところまで設定に手を抜かないので、
不思議なリアリティを感じるのが三崎節(^ ^
いつの間にか「正義の側」に肩入れしてしまう。
が、悪も単純な悪ではなく、いつものように
「元々の設定が変」なだけであって、
きっちりと人間ドラマとして成立している。
これぞ、三崎亜紀ってかんじ(^ ^
ただ、私が三崎節に慣れてきたせいかも知れませんが、
今作は結構「先が読める」ストーリー運びで...(^ ^;
その分、☆一つ減らしてみました(^ ^;
面白くない訳では、ぜんぜん無いです(^ ^
また、いきなり本作から読んでも無問題です(^ ^
Posted by ブクログ
「表出」の設定開示の饒舌さと比べて、外見や風景など目に見えるもののに関する描写がびっくりするほど少ない。映像を必要とせず文字だけで進んでいけるので、えらく読みやすくはあったのだが、果たして作者にとっても文字だけの存在なのか、それとも描写するまでもなく映像が存在しているのかどうかが気になった。
物語としては過去作の短編を読んでいれば気に入るであろう人物再利用っぷりではあったのだが、残念ながら初見だったので刺さらず。
ところでタイトルから手のひらサイズの幻獣(ユニコーンとか)を出現させられる能力の話だと思っていた私の期待はどこへもっていけばいいのか。