三崎亜記のレビュー一覧
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『となり町戦争』がおもしろかったので、その作者の二作目。購入したのはだいぶ前なので、かなり積読していた。外れの少ない短編集。好きなのは…
「二階扉をつけてください」町内会の回覧板に書かれたその言葉。わからないままつけた二回扉に隠された秘密。SFチックで後味が少し悪い。笑
「バスジャック」バスジャックブームにより、ルールや様式美が定められた不思議な世界。「ロマンはどこだ」感。
「動物園」動物を表現できる不思議な能力を持った女性の話。おじさん飼育員との会話が良い。
「二人の記憶」彼女との記憶に少しずつすれ違い。そのずれをどうするかという話。彼女と主人公、どちらが違うのかもはっきりしないんで -
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回覧版で知らされた『二階扉』なる設備をつけるべく奮闘する男の話『二階扉をつけてください』、バスジャックがブームとなり形式化しつつある世界を書いた表題作『バスジャック』などの七つの物語。
突如不条理な世界で繰り広げられる三崎ワールド全開の短編集。
一番目の話が、戸惑いつつもコメディタッチだったのに、オチがホラーで少々ビビりましたが、その他はほぼ優しさの中に寂寥感漂うお話でした。
特にラストの『送りの夏』は、小学生の女の子の生き生きとした目線で話が書かれている為、対局である『死』もより強く、残された者達の苦しさ悲しさが感じられる話だったと思います。
この中で私が一番気に入ったのが『動物園』。ど -
Posted by ブクログ
気がついたら文庫化されていた
掃除がスポーツ認定されている世界の
ファンタジースポ魂小説第二巻。
(「となり町戦争」の著者が
「もしも掃除がスポーツだったら」な世界を
かなりディープに作り出してる。)
登場人物たちが「こいつ…デキる!」
みたいなのを感じとっていくのだけれど、
理由が良く分からないので納得できず
読者がおいてけぼりをくらう気分。
居留地や西域の雰囲気を掴むためにも
映像化(アニメーションかな?)が望まれる。
主人公の樹が後輩達一人ひとりとの絡みで
一緒に成長する描写は良い感じ。
あと、後藤がやな感じのキャラ
に育ったのがやっぱり残念。
必要悪なりに今後見せ場が欲しい -
Posted by ブクログ
再読。
建築物に執着を見せる三崎さんですが、この短編集では建物は「二階扉をつけてください」に少し出てくる程度です。
初読の時と同じくこの短編集の中では長めの「動物園」「送りの夏」が印象に残ります。特に今回は「送りの夏」。
それぞれ動かないマネキン人形のような人間を抱えた4つの家族が共同で暮らす家。主人公の小学生・麻美の母親も家出してそこで暮らしていた。
愛する人の死を受け入れるための場所。そこで麻美の知らない動かぬ男性と暮らすどこか奔放な母親と、妻や娘を信頼する父親。ちょっと不思議な家族。
夏の物語なのにどこか静寂でひんやりと、しかし暖かな気持ちになる話でした。
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Posted by ブクログ
【本の内容】
赤道上に発生した戦後最大規模の鼓笛隊が、勢力を拡大しながら列島に上陸する。
直撃を恐れた住民は次々と避難を開始するが、「わたし」は義母とともに自宅で一夜を過ごすことにした。
やがて響き始めたのは、心の奥底まで揺らす悪夢のような行進曲で…(『鼓笛隊の襲来』)。
ふと紛れ込んだ不条理が、見慣れたはずの日常を鮮やかに塗り変えていく。
著者の奇想が冴えわたる、驚異の傑作短編集。
[ 目次 ]
[ POP ]
戦後最大規模の鼓笛隊が発生した。
列島上陸・直撃の被害を恐れた住民が避難するなか、鼓笛隊の襲来体験をもつ義母の言葉を受け自宅に残ったわたし。
恐るべき鼓笛隊の真相と -
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『ダ・ヴィンチ』、『本の達人』で連載されたエッセイタダシガ記、
twitterを抜粋したツブヤ記、
居酒屋甲子園体験記のケンブツ記の3構成エッセイ。
不可思議な物語を書く人だけれど、当然ながら福岡在住の元公務員なので、その日常はごく普通である。
こだわりや着眼点は一風変わっているけれど、そこまでおおっというところはなかった。
最初のワープアが便座カバーを買うことについての考察が面白く、全体としてシニカルな見方が興味深かった。
震災を挟んでの連載ということで、震災以前に書いた文章について今コメントするという形式が内容を厚くしている気がする。
ただ、既に作品に現れているのだが、2010年〜は