三崎亜記のレビュー一覧
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理不尽に大切な何かを奪われていく人々。
これは喪失の物語だ。
原因を突き止めるために生き残った人たちは監視下におかれる。
生きていくためには「管理局」に協力するしかない。
さまざまな実験が繰り返されデータが集められる。
その犠牲が報われる日は来るのだろうか。
三崎さんが作り上げた独自の架空世界。
けれど、その世界にだって哀しみもあるし喜びもある。
「消失」という抗えない現実に直面したとき、人々には選択の余地は残されていない。
消え去ることを知らせることも出来ず、別れを言うことも叶わない。
消失後、国家によってすべてはなかったことにされていく。
今はまだ、それだけが被害を拡大させないための方法だから。
地図からは抹消され、土地の名前を別のものに変えられる。
個人の持ち物からも写真や書籍、場所が特定できるようなものはすべて処分されていく。
消滅した人たちを想う心。
消滅した町にはせる思い。
大切な何かを「喪失」した心はどうなるのだろう。
きっと少しずつ慣れていくんだろう、と思う。
でも、慣れることはできても「喪失」によって空いた心の穴はけっして埋まることはないような気がする。
たとえ異世界であっても、喜怒哀楽の感情に共感はすることはできる。
どうすることも出来ない理不尽さに負けない希望。
明日へ、もっと先の未来へとつながる希望のカケラ。
わずかな可能性でも諦めない人間の強さが、結局は解決への糸口になるのでは?と思ったりもした。 -
Posted by ブクログ
停まる列車はないのに駅。その終着駅の街、ターミナルタウン。ないのにあることになっているタワー。住民がいないのに閉鎖されないニュータウン。訪れる人のいない商店街。閉鎖されて行き来できない自由通路。
そういう矛盾をかかえた存在が本書の舞台。三崎亜記らしい「ごく普通の日常なのに一箇所だけ異様」な状況を楽しませてくれる。クライマックスのタワーの「ないのにある」を解決するシーンは一発逆転奇想天外それでいてそれしかなかったという悲しみと安堵のカタルシスになっていて、さすが三崎亜記、と嬉しくなる。
ただし、登場人物たちが極端な性格付けをされていて、そのキャラのおかしさでストーリーを進めているようなところがある。テレビアニメっぽいというかラノベっぽいというか、安っぽいところがあり少々残念。 -
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生まれ育った街に家族とともにUターン就職したアルト。この街で唯一の大工場の生産ラインで働き始める。慣れないことばかりだが、面倒見のいい先輩にも恵まれ、家族も街に馴染んだかに見えた。
しかし、工場で何気なく発した一言が「緊急事態」を生み出す原因となってしまう。
妻も街に違和感を感じ始めた。
それでも、やっていけると信じていた。ブラック企業から逃れ、働きがいのある仕事につけたはずだった。幼き日に失った家庭の幸せを築いて行くはずだった。
工場城下町で繰り広げられる人間模様。
体制の中で生きていくのか。
生じた疑問に蓋をせず生きていくのか。
そもそも、工場で生産されている唯一の製品「P1」とは何なのか。
隙がなく作り上げられた、巨大な街のシステム。黙って従っていれば、全て順調に行くはずなのだが。
完全に管理しようとしても、完璧なシステムなど存在しない。
タイトル通り出口のないメビウスの世界に導く、摩訶不思議な三崎マジック。 -
Posted by ブクログ
一人のルポライターが、消えようとする、あるいは失われようとしている6つのものについて取材したルポルタージュの体裁を持った短編集です。
伝統産業、奇妙な公共交通機関、とある世代、見えないものを狩り立てる儀式、ある部品を作り出すための業務形態、海に沈んだ町、がそれらにあたります。と言ったところで、何のことかわかりませんよね。
三崎さんの作品は、それぞれ突拍子もない設定なのですが、それ以外の点(個々の登場人物の営みや行政の描かれ方など)が、とてもリアルで「自分が知らないだけで、世間にはこんなことがあるのかも」と信じさせられそうになります。
読んでいる間、不思議で独特な雰囲気(静かで淡々としていながら、時々思わず心がざわつかされる)に取り込まれ、読んだ後もしばらくそれに心が絡めとられてしまいます。
ハマるとクセになること間違いなしです。 -
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何時もの首都・旧都・北端連合州などが存在する三崎ワールド。
主要鉄道が廃線となり、高速鉄道も止まらなくなって凋落の一途を辿る鉄道の町・静原町をめぐる各州や接続会社の暗躍が描かれます。
描き方によっては「下町ロケット」のような話になるところ。しかしそこは三崎さん。例によって不思議な世界になってしまいます。
これまでの物語に出てきた「歩行技師」なども出てきます。そこに今回登場するのは「影無き者」や「隧道師」。影無き者は本当に物理的に影が無くて政府に管理されているし、隧道師は種から隧道を育てる人々。
現実の世界の中にそんな不思議な設定を一杯詰め込んで、何とも言えない独自の世界を作り出していきます。
ほかの人のレビューにもあるように「喪失」がテーマなのでしょうね。
三崎さんにしては珍しい500ページを超える長編です。しかし、上思議な世界をこの長さで維持し続けるのは少々辛そうです。やはり基本は短編作家さんなのだと思います -
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三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2、終舞! コロヨシ!! 3を読みました。
コロヨシ!!の続編・完結編でした。
パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。
物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。
日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。
ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き込みがあった方がいいのに、と思いました。 -
Posted by ブクログ
三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2、終舞! コロヨシ!! 3を読みました。
コロヨシ!!の続編・完結編でした。
パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。
物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。
日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。
ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き込みがあった方がいいのに、と思いました。 -
Posted by ブクログ
『となり町戦争』がおもしろかったので、その作者の二作目。購入したのはだいぶ前なので、かなり積読していた。外れの少ない短編集。好きなのは…
「二階扉をつけてください」町内会の回覧板に書かれたその言葉。わからないままつけた二回扉に隠された秘密。SFチックで後味が少し悪い。笑
「バスジャック」バスジャックブームにより、ルールや様式美が定められた不思議な世界。「ロマンはどこだ」感。
「動物園」動物を表現できる不思議な能力を持った女性の話。おじさん飼育員との会話が良い。
「二人の記憶」彼女との記憶に少しずつすれ違い。そのずれをどうするかという話。彼女と主人公、どちらが違うのかもはっきりしないんですよね。
「送りの夏」ある日突然蒸発した母の行き先を求めて娘が向かった先には、マネキンのような人を抱えたいくつかの家族のシェアハウスが。彼らとマネキンのような人々の正体は?
ショートショートから短編まで、変わった設定の作品が多いけれど、どれも読んでいて感情移入できる。「動物園」と「送りの夏」が好き。とくに「送りの夏」はアニメ映画にでもできそうな感動的なストーリーです。命とか、死の乗り越え方について考えさせられます。 -
Posted by ブクログ
回覧版で知らされた『二階扉』なる設備をつけるべく奮闘する男の話『二階扉をつけてください』、バスジャックがブームとなり形式化しつつある世界を書いた表題作『バスジャック』などの七つの物語。
突如不条理な世界で繰り広げられる三崎ワールド全開の短編集。
一番目の話が、戸惑いつつもコメディタッチだったのに、オチがホラーで少々ビビりましたが、その他はほぼ優しさの中に寂寥感漂うお話でした。
特にラストの『送りの夏』は、小学生の女の子の生き生きとした目線で話が書かれている為、対局である『死』もより強く、残された者達の苦しさ悲しさが感じられる話だったと思います。
この中で私が一番気に入ったのが『動物園』。どこがとは上手く言えないのですが、印象強いものを感じました。 -
Posted by ブクログ
気がついたら文庫化されていた
掃除がスポーツ認定されている世界の
ファンタジースポ魂小説第二巻。
(「となり町戦争」の著者が
「もしも掃除がスポーツだったら」な世界を
かなりディープに作り出してる。)
登場人物たちが「こいつ…デキる!」
みたいなのを感じとっていくのだけれど、
理由が良く分からないので納得できず
読者がおいてけぼりをくらう気分。
居留地や西域の雰囲気を掴むためにも
映像化(アニメーションかな?)が望まれる。
主人公の樹が後輩達一人ひとりとの絡みで
一緒に成長する描写は良い感じ。
あと、後藤がやな感じのキャラ
に育ったのがやっぱり残念。
必要悪なりに今後見せ場が欲しいところ。