三崎亜記のレビュー一覧
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三崎亜記の玉磨きを読みました。
不条理な設定の短編集でした。
ルポ記者がいろいろな伝統技能や不思議な仕事を取材するという形式で書かれています。
三崎亜記の小説ではいろいろな不条理が描かれますが、その不条理と対峙する人間たちがいきいきと描かれているため、なぜか昔体験したり見聞きしたりしたことがあったような不思議な既視感を感じてしまいます。
現在は仕事上では効率が最優先されて、その仕事に関わる人間が充足しているかどうかは問題にされません。
マニュアル化などという人間の充足を否定する方向で仕事が規定されてしまうこともあります。
効率最優先とは対極的な物語を読むと、自分は仕事に満足しているんだろう -
Posted by ブクログ
国家の管理下で、掃除がスポーツとして楽しまれている世界の物語。この掃除が、武道なのです。掃除は武道とスポーツの境界線を踏み越えようとしていて、それは国際化にまつわる問題もはらみ、架空の競技を取り上げながら、作者は新しいスポーツが生まれる過程を構築(あるいは再構築)していると思いました。
自分と向き合い、精進する主人公の様子に引き込まれます。設定はファンタジーといえますが、描かれているのは人間。彼らの葛藤を余すところなく読むことができます。生きるとはどういうことか――この主題に正面から取り組んでいて、感動すら覚えます。終盤ではスポーツと政治の問題に鋭く切り込み、深く掘り下げる意図を感じました。2 -
Posted by ブクログ
好きか嫌いかでいうと、この作品ものすごく好き。
5段階評価でいうと、星五つ。
ただ、欠点も色々ある。
まず第1に会話文が下手。
会話だけを取り出して読むと、話し手の年齢も性別もまったく違った風に読めてしまうことが多々あった。
20代の彼女。40代の彼女。50代の彼女。
全く同じで、どれも私には40代のガサツなおばちゃんにしか読めなかった。
園田さんに至っては、おじさんでしょ?
最終章を読むまでは、勝手におじさんに脳内変換して読んでいた。
最終章で、園田さんは女性でなければならないと気づき、女性に戻してみたものの、会話文はやっぱりおじさんで。
30年に一度、町から人々が消失する。
どこの -
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ネタバレ廃墟が好きで、たまに見に行く。
廃墟に突如行きたくなる。
廃墟は結構怖いところなので、なかなか行けない。だから、写真集を買って、眺めたりする。
完全な自然の姿なんて、目に触れられるところには存在していないと思っていて、
もし探検家が未開の地に行ってその風景を私が目にしたとしても、探検家の目というフィルターが入った時点でもう自然の風景ではないと思う。
廃墟の魅力は、もとは生きた町として存在していたものが、死にゆく姿をみることができるという点だと思う。
表題の小説を含め、廃墟に対する思い入れが、尺者と一致して気持ちよかった。
蛇足になるが、生きた町が死にゆく姿を見せるという点に関して言えば、世 -
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『ダヴィンチ』連載当時から読んでいたのがやっと本になった。
あまりに小さなスペースだったので、あのコラムの読みにくかったこと。この本では、べつやくれいさんのイラストも大きくなって、とても楽しかった。
エッセイとはいえ、ひとつひとつのネタの濃さは、半端ではない。ぎっしり詰め込まれた内容。この作家ならここから小説が出来上がってもおかしくない・・・と思ったが、よく考えたらそこまで不条理ではない。むしろ正論に思えてくるほど説得力がある。
このくらいの説得力と構築がないと、三崎亜記の小説はその世界を保てないだろう。そのことがよくわかった。ツイッターまでもが、どれほど考えてからUPしているんだろうと思わせ -
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ヤっ,ふっ,ふっ。絵があって良かったと思えるエッセイ~便座カバーを持っている程度の幸せ。携帯って言葉が定着した。クールビズって本当に環境に良いのか。蝉の声は騒音か。隠すと目立つモザイク処理。水節約に努めた結果,水道代値上げ。流行を決められるのは嫌だが。島を小さくする虫がいる。ツィッターが流行る訳。「地球のために!」は万能の合い言葉。B級があるならZ級も。最高と普通しかなくなった。二律背反より二律共存を。骨盤体操で花粉症軽減。グローバルを地球外から見たら。風評って怖いけど。バルス!「友」「供」「共」ダ・ヴィンチから本の旅人へ。先進国って言う概念は曖昧。馴れ馴れしい寿司。福岡の居酒屋チェーンぶあい