三崎亜記のレビュー一覧

  • メビウス・ファクトリー

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    自分たちの総意であるかのように錯覚させられて、実は全く別の誰かによって、コントロールされている。メビウスの輪のように、わざとねじれを作り真実を覆い隠し、大きな欺瞞の歯車の小さな歯車となって滞りなく回り続ける人々。何も見ず、何も考えずに歩き続ければ、平坦で歩きやすい道がどこまでも続く。足元を一旦見つめれば、自分がねじれた空間にいることに気づいてしまう。気づいてしまえば、ねじれた部分から振り落とされてしまうだけ。だから、人々は、目をつぶる。そうすれば、足元がねじれていることなど気にかけることもなく、元の通りに平坦な道を歩くことができる。見ないフリをすれば少なくとも平穏に日々を送ることができる。目を

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    2016年10月22日
  • メビウス・ファクトリー

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    巨大な企業が支配する、極端に閉鎖的な街が舞台。外界との交流も制限され、小さな世界で何の疑問を持つこともなく暮らしている人々の生活に、少しずつ亀裂が生じてくる。

    何を作っているのかもわからないまま、工場で真心を込めて作業にあたることが美徳とされ、素直に恩恵を受けることが強要される。全体主義の社会では、日々の暮らしも通貨も価値観さえも、独自の基準で統一されている。
    正体不明の中枢によって情報が操作され、すべてを支配されている様は、まるでどこかの社会主義国家のよう。

    本当はねじれているメビウスの輪の上を、何も考えずに歩き続けること、気づかないことが幸せという、そら恐ろしい世界だ。
    非常事態には得

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    2016年10月17日
  • メビウス・ファクトリー

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    へんてこワールドがこの人の持ち味だと思うのですけど、本作はなんだか具体的すぎるミステリで違和感ありありです。ミステリやサスペンスだったら他の作家さん達がもっと上手に書きます。この人にはさらなるへんてこを目指して頂きたいです。

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    2016年10月03日
  • メビウス・ファクトリー

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    内容はええねん。THE 三崎って感じで。なんでわざわざ違和感しかない変なイラストを表紙にしてんねやろ?

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    2016年09月22日
  • メビウス・ファクトリー

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    巨大工場を中心にシステム化された町。住民の多くは工場に勤めているが、最終的に何が作られているかは誰も知らない。引っ越してきた工場員のアルトは、町の不思議な「ルール」に気づき始め…。

    あり得ない設定、でも物語は何事もなかったように進み、結果的にこの世の不条理を描く…典型的な三崎ワールドの作品だった。三崎亜記の作品は設定があまりに非現実的だと投げ出したくなるけれど、本作はそれほどではない、でもそこまで魅力的でもないという微妙な作品だった。
    (C)

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    2016年09月18日
  • 終舞! コロヨシ!! 3

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    三崎亜紀のファンタジースポ根。完結巻。
    良し悪しは、二作目と同じ。架空のスポーツと、それを取り巻く世界の設定は、破綻なく興味深いので面白い。しかし他方で、競技の描写が抽象的かつワンパターンで、どっぷりとはまることが出来ない。
    最終巻ということで大きくした話を着地させているのはよいが、さすがにご都合主義過ぎる嫌いもある。まぁ、この作風で裏切る展開はなかなか作れないと思うが。
    と、思うところは多々あるが、なかなか実力派の作家が書く小説ではないので、そういう楽しさはあったと思う。
    それにしても解説がひどい。
    3-

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    2016年07月03日
  • 決起! コロヨシ!! 2

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    三崎亜記によるファンタジースポーツ青春小説。続きのものの二作目。
    少年漫画誌的にスタンダードなスポ根を、キチッとした文体でやっている。
    展開に捻りはないものの、架空のスポーツの書き上げ具合はなかなか。これまた架空の国政を絡めた、競技相手以外との戦いもストイックに書いていて話に奥行きもある。
    ただ、主人公が課題にぶち当たって、周囲のなぞの人物たちとの修行で成長していくという過程に、「どんどんすごくなっていく」感じが上手く汲み取れない。ありきたりでも面白いものは、この辺りに興奮するものではないか。
    次が完結編。
    3+

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    2016年06月26日
  • 玉磨き

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    三崎さんには「廃墟建築士」に代表されるような建築物や町に対する強い執着心と、「動物園」のような職人に対して強い思い入れを持つ2つの系列があるようです。
    この作品はは職人の世界ですね。もっとも三崎さんのことですからとてつもない職業ですけど。
    なんとも非現実的で幻想的世界。主客が逆転した論理。考えてみれば安部公房に似た世界です。そう思って調べてみると「エンタテインメント界の安部公房」と称した書評に当たりました。うん、確かに。
    結論のわかりにくい物語ですが、三崎さんの描く不思議な世界で遊ぶのが(いや、遊ばれているのか)なかなか楽しいのです。

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    2016年06月22日
  • 鼓笛隊の襲来

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    赤道上に発生した戦後最大規模の鼓笛隊が勢力を拡大しながら上陸する。避難する人々、近づく大音響。---『鼓笛隊の来襲』 そこにいるのに誰も気づかないあの子に気づいてしまった私。---『校庭』、ほか日常に紛れ込む不条理を描く短編集。

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    2016年05月16日
  • バスジャック

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    ネタバレ

    不思議なお話でした。2階扉でコメディっぽいのかと思いきや送りの夏は思ったより深かった。
    世界観は嫌いではないです。

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    2016年03月21日
  • バスジャック

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    いろいろなタイプの短編が収録されている。
    しかし、作者の個性が発揮されていない作品が多く、
    消化不良気味。
    ネタは申し分ないと思う。
    もう少しインパクトが欲しい。

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    2016年02月24日
  • コロヨシ!!

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    ネタバレ

    架空のスポーツ「掃除」に情熱を傾ける男子高校生の物語です。

    現実にはありえないものをあるように思わせるのが作者の持ち味ですが、中短編では控え目なこの表現力を全開にしたらこうなるのかと、面白く読ませてもらいました。

    内容としては青春小説の王道を踏まえ、多分にライトノベル的・少年誌的であり、その手の話に慣れている人間にはとっつきやすかったと思います。

    ただ中盤以降の「修行」時代は、どこを目指しているのか分かりにくかったり、顧問の筋書き通りに動く展開が繰り返されたりで、やや間延びしてしまった感もあります。

    その点は作者がこのジャンルをまだモノにできていないことが原因なようで、今後に期待という

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    2016年02月11日
  • バスジャック

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    なんとなく懐かしい感じがして面白かったですね。
    筒井さんはじめ、不条理で少し怖くて、悲しくて、なんか染みてくる小説に夢中になった昔を思い出されます。

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    2016年01月30日
  • 鼓笛隊の襲来

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    日常の中にもしかしたらこんな世界が隣に広がっているかもとひやりとさせられる話がたくさん詰まってます。遠距離恋愛は巫女はちょっと複雑ですが概ねいい話です。校庭はちょっとホラーが入っていてどきどきします。この後どうなったのか想像力をかきたてられます。

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    2016年01月12日
  • 逆回りのお散歩

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    あれ、えらくドロドロとしちゃったな、というのが正直な感想。

    建築物を偏愛する三崎さんですが、もう一つのこだわりが戦争なのでしょう。これは『となり町戦争』の系譜の作品です。

    三崎さんの作品は、どれも現実とは少しずれた不思議な共通の世界を舞台にしていますが、この作品にも州都とか自治区とか隣国とか、『コロヨシ!!』にも出てくる用語が出てきます。
    しかし、何だかちょっと違います。暗めの雰囲気はいつも通りですが、いつもはサラリと距離感を置いて描かれる登場人物たちが、この作品では妙にドロドロと重いのです。何だか昼間のメロドラマでの雰囲気なのです。
    同時併録された短編『戦争研修』は『となり町戦争』のス

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    2016年05月15日
  • コロヨシ!!

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    三崎亜紀による、ファンタジー青春部活小説。
    少し変わった世界で、とても変わった掃除というスポーツに取り組む高校生とその周りの出来事を、でも一般的な青春ものとして扱う。
    才能ある主人公の挫折と成長、ライバルたちとの対決、幼馴染みや謎に満ちた後輩との恋愛要素、更には周囲の大人たちの意外な正体…と、ジャンプ漫画並の王道スポ根。
    そんなストーリーを、しかし真面目で硬めの文調・雰囲気で仕上げているのは、著者の意外性とらしさが相まって出ているようで面白かった。
    続編も読みたい。
    3+

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    2015年11月14日
  • 失われた町

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    30年に一度、何処かの町が失われる。

    正確には30年の周期で何処かの町の住人が全て消滅してしまう。

    それを悲しんではいけない。
    何故なら悲しむことでその人も消滅してしまう可能性があるから。


    この小説の世界観を掴むまでに時間が掛かります。
    ジグソーパズルのように1ピースづつ嵌めていく感じです。

    それと、泣けます!
    町に捕らえられそうです。

    となり町戦争の時にも思いましたが、近未来でもなく異世界でもない日本?
    というか、そもそも日本なのか?と、思っちゃいますが、この小説を受け入れられるかどうかは、この世界を無防備に受け入れられるかどうか?ではないでしょうか?

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    2015年08月30日
  • バスジャック

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    不思議さの度合いが心地良い短編集。
    世にも奇妙な物語で映像化してほしい。
    大切な人の死を受け止めるには、見守ってくれる第三者と、特別な時間が必要なのだと「送りの夏」を読んで思った。哀しみに浸り切る贅沢って、あってもいいのにな…

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    2015年08月25日
  • 終舞! コロヨシ!! 3

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    何だか長編スポコンアニメです。
    「キン肉マン」とか「悟空」のノリです。最初は軽いものだったのが、どんどん拡張して行き、舞台も技もとてつもないものになってしまい(笑)。
    アニメを意識してるのか、登場人物も初代顧問の寺西先生は「スラムダンク」を思い起こさせるし、今回の顧問・牧田先生もどこかのアニメにモデルが居そうです(私は詳しくないので)。
    ただ、それが成功しているかというとチョット。何か所も「ずっこけ」シーンは作っているのですが、笑う前に「ああこのパターンね」と思ってしまいます。
    そもそも三崎さんは人を描くのはあまり上手くないのかな。考えてみれば、過去の三崎作品の中で思い出されるのは、作品に描か

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    2016年05月15日
  • 決起! コロヨシ!! 2

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    『コロヨシ』の続編。
    単行本では大長編『決起!コロヨシ??2』だったそうですが、文庫化される際に『決起!コロヨシ??2』と『終舞!コロヨシ??3』に分冊されたそうです。そんな訳で話が途中で終わった感じ。やっぱりこれは別タイトルではなく、同一タイトルの上下巻にすべきものでしょう。
    というわけで、感想は『終舞』の方に。

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    2016年05月15日